表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/288

147 幼女はお腹ぺこぺこです

 キラープラントに捕まった私は、服を溶かされてパンツだけの姿になりながらも、必死にニュルニュルの蔓を解こうと必死にもがく。

 だけど、腕まで蔓で巻き付かれてしまっているせいで、全く身動きすら出来ないでいた。

 そんな中、私は恐ろしい事に気がついた。


「やばいよ! リリィ、助けて! このままじゃ、パンツまで溶けちゃうよ!」


「そうだったわ!」


 リリィが正気をとり戻し鼻血を拭きとってから、キラープラントに飛びかかる。

 キラープラントは身を護るように蔓や葉などを使って防御したけど、流石と言って良い程に見事なリリィの蹴りは、それを物ともせずに一瞬で蹴り破ってキラープラントに風穴を空けた。

 しかし……。


「あ、あら?」


 私が攻撃した時と同じように、キラープラントは直ぐに再生してしまう。

 それから、リリィは何度か攻撃を繰り返すけど、何度蹴り破っても直ぐに再生してしまった。


 やっぱり、弱点の口を狙わないと駄目なんだ。


「リリィ! 口を狙って!」


「口!? わかったわ!」


 リリィが勢いよく跳躍する。

 そして、キラープラントの花の目の前に辿り……着かない。

 何故かリリィは私に向かって、鼻息を荒くしておちょぼ口で接近して来た。


「え? 何? なんで!?」


 これはまさか!?


 私は無我夢中で魔法を使う。

 魔法で強風を発生させて、私は風の勢いで逆さ吊りのまま、勢いよくブランコの要領でリリィを避ける。


 あ、危なかったよ。

 あと一歩遅れていたら、私のファーストキスが奪われていたよ。


「なんで避けるのよ? ジャスミンから、口を狙えって言ったのに」


「私の口じゃなくて、この植物、キラープラントの口の事だよ!」


「なーんだ。残念」


 もう。

 本当、油断も隙も無いよ。

 まあ、リリィが相手なら、別に構わないけ……って、ダメダメ。

 それ以上は危険だよ。私!


 などと私がアホな事を考えていると、ラヴちゃんが耳元でボソボソと呟く。


「おはな、おくちちがう。おなか、おくち」


 え?

 お花じゃない?

 お腹?


 私は言われて確認する。

 見ると、キラープラントの根っこのあたり、茎の下の方が少し膨らんでいて、そこに唇のようなものがついていた。


 な、なんかついてる。

 どう見ても、アレが口だよね?


「リリィ、根元に口がある!」


「根元? あ、本当ね。見た目が見た目だから、つい上ばかり見てしまって、気がつかないものね」


 リリィはそう言うと、キラープラントの口目掛けて、何かを投げた。

 すると、キラープラントは口から中心に燃え始める。


「キシャーッ!」


 キラープラントの叫びが響き渡る。

 私が突然の出来事に驚きを隠せないでいると、リリィが私を縛っている蔓を切断して、私をお姫様だっこして助けてくれた。


 やだ。

 リリィかっこいい。


「大変だわ。ジャスミン」


「え?」


「火が他の草木に燃え移ってしまったわ」


「……えぇーっ!」


 リリィに言われて見て気付く。

 キラープラントから出る炎は、もの凄い勢いで火がどんどんと燃え移っていたのがわかった。


「リリィ、取って! これ取って!?」


 私は蔓に巻きつかれたままの腕を上げて、リリィに必死に見せる。

 すると、リリィは直ぐに蔓を取ってくれたので、私は急いで水の魔法で火を消し止めた。


「危うく大火事になる所だったよ。もう、気をつけなきゃダメなんだからね! リリィ」


 私が息を切らしながらリリィに言うと、リリィは私に苦笑する。


「まさか、こんなに燃えるなんて思わなかったのよ」


「あ。そう言えば、凄い勢いで燃えちゃったけど、何を投げたの?」


「ラヴを監視していた火の玉よ」


「え?」


 リリィの言葉に、ラヴちゃんがおめ目をうるうるとさせる。


「がぉ……」


「リリィ、謝って! ラヴちゃんにごめんなさいして!」


「キラープラントおいちいのに、もえちゃった」


 え?

 そっちなの?

 って、美味しいんだ?

 あの植物……。


「ラヴ、ごめんなさいね」


 そう言えば私、目を覚ましてから何も食べてない。

 なんだか、お腹が空いてきちゃった。

 キラープラント美味しいのかぁ……。

 どんな味なんだろう?


 リリィが素直にラヴちゃんに謝っている中、私がそんな事を考えていると、トンちゃんがくるりと宙を舞って私の前に現れる。


「ご主人、向こうの方に、美味しそうな果物が生ってたッスよ」


「おお。トンちゃんナイスなタイミングだよ」


 って、いつの間にいなくなってたの?

 トンちゃんは自由だなぁ。


「くだもの。がおー」


 ラヴちゃんはボソボソとそう言って、もの凄くおめ目をキラキラとさせてバンザイをした。


 可愛い!

 ラヴちゃん可愛すぎだよ!


「私も何か食べたいし、ドゥーウィンに案内してもらいましょう? ジャスミン」


「うん。私もお腹ぺこぺこだよぉ」


 そんなわけで、私達はトンちゃんの案内で、果物が生っている場所まで移動する事になった。

 しかしその前に、私はパンツ一枚になってしまったので、その辺の草木の蔓や葉っぱを使って簡易的な服を作る。


 とりあえず、これで一安心だよね。

 それにしても、衣類だけを溶かす植物かぁ。

 もう出て来ないでほしいなぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ