表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/288

014 幼女の周りは怖い人でいっぱいです

「身長が5ミリも伸びてる!?」


 健康診断が終わり、結果を見た私は固まった。


「良かったじゃないジャスミン。毎年伸びない伸びないって言って、悔しい思いをしていたものね」


「良くない」


「え?」


「良くないよリリィ! 何で今年は5ミリも伸びちゃったの!?」


「ジャ、ジャスミン?」


 極めて遺憾いかんな事態だ!

 このままでは大人になった時、合法ロリではなく、ちょっと小さ目な人に成り下がってしまう!


「身長を止める方法とかないのかな?」


「身長を止める方法? 聞いた事ないわね」


「ぐぬぬ……」


 私は頭を悩ませて両手で頭を押さえた。


「ねえ」


 そこに、健康診断の時に服を被せてくれたブーゲンビリアお姉さんが目の前にやって来た。


「ジャスミンちゃん。ちょっと話があるんだけど良い?」


「え? 話……?」


 うげー。

 あの時は、皆の手前だったから優しくしてくれただけで、これから怒られちゃうのー!?


「それ、私も一緒に聞いても構わないかしら?」


 私が青ざめていると、リリィが横から割って入ってくれた。


 どうせ断られちゃうだろうけど、リリィありがとう!

 その気持ちだけで、私は嬉しいよ!


「リリィちゃんか。うん。良いよ」


「え!? 良いの!?」


 私は許可が下りた事に驚き、ついうっかり声に出してしまった。


「へ? 2人きりの方がいいの!?」


 ブーゲンビリアお姉さんが、私の反応を見て何故か驚いた。


「え? ……あ! えーと、2人だけの方が良いのかなって、思って……」


「ジャスミンちゃんが2人きりの方が良いなら、私はそうするけど?」


「え! いやいや。2人だけじゃなくても大丈夫だよ!」


「そっか」


 何だか心なしか、一瞬ブーゲンビリアお姉さんがしょんぼりした様に見えたのは、気のせいですか?





 少し場所を変えて、3人で草の上に座ると、ブーゲンビリアお姉さんが話を始めた。


「最近ね、ジャスミンちゃん大胆すぎないかなって思うのよ」


「はい? 言っている意味がよくわからないです」


「例えばだけど、座る時もと言うか今もそうなんだけど、短めのスカートを穿いているのに、大きく足を広げて座ってるじゃない?」


「え?」


 言われて自分の下半身に目をやると、たしかに足を広げて座っていた。


 そう言えば、前世は地べたに座る時こんなんだったなー。

 て言うか、リリィ?

 ちょっと鼻息荒くない?


「それにね、男の人との接触が多くない?」


「うーん……?」


 たしかに、前世の記憶を思い出す前と比べたら、前世が男だった影響が出ていたのかもしれない。

 パパとたっくん以外の、そこまで親しくない知り合いの男の人相手でも、前よりよくお話をしている。


 実際、健康診断中も知り合いの男の子やおじさん達と、仲良くおしゃべりなんかしていた。

 それに、結構ボディタッチと言うか、スキンシップと言うかが、自分からする事が多くなった気はする。


 そう考えると、ブーゲンビリアお姉さんのお友達が、私の悪口を言うのも仕方がない事かもしれない。

 今後は気をつけようと、私は心の中で決意する。


「男って言うのは、触れただけで恋しちゃうような馬鹿だから、私は良くないと思うの」


「同意ね」


 リリィがうんうんと頷いている。


 私はてっきりいい加減にしろみたいな事を言われて、怒られちゃうのかと思ってたよ。

 でも、全然違っていたみたい。

 むしろ心配してくれているんだなぁ。

 たしかに、男だった前世の私なら、触れられただけで恋しちゃ……わないよ!

 え?

 皆そうなの?

 違うよね?

 ま、まあ、心配してくれてるのは本当だと思うし、良かったなぁ。

 だって――


「私、お姉さんに嫌われてると思ってた」


「ああ。そうだよね。ごめんねジャスミンちゃん。私の友達のあの2人、たっくんに惚れてるから……。私はたっくん嫌いなんだけどね」


「え? 嘘!?」


「私もあの男嫌い」


 リリィちょっと黙っててと思いながら、私は思い出した。

 そう言えば、健康診断前に私の悪口言ってたのは、そのたっくんに惚れてる2人だけだと。


「昨日の鬱陶うっとうしいって言葉、私にじゃなくて、もしかして?」


「あれ? 聞こえちゃってたのね。あんなの聞いていたら、勘違いさせちゃうわよね。ごめんなさいジャスミンちゃん」


 ブーゲンビリアお姉さんは、そう言って私の手を取ってギュッと握って頭を下げた。


「もちろん鬱陶しいって言うのは、たっくんにだよ。ジャスミンちゃんに近づくロリコン。ホントウザい」


 顔を上げて、そう言い放ったブーゲンビリアお姉さんの目つきは、それはそれは恐ろしいものだった。


「貴女、話が分かるわね!」


「リリィちゃんもね!」


 2人はガシッと熱い握手を交わす。


 って、あれ?これはもしや?


 私は嫌な考えが浮かび、頭をぶんぶんと強く横に振った。


「そう言えば、たっくんに惚れてるその2人の姿が、健康診断を受ける前に見て以来見てないわね」


 あ。言っちゃった!

 リリィの馬鹿!

 私があえてふれない様にしてたのに!


「今まで友達だからと、大目に見て目をつぶっていたのだけど、あまりにもジャスミンちゃんの悪口に度が過ぎていたじゃない?」


「そうね。許される事ではないわ!」


「そうなのよ! さっきのは、本人を目の前にして言っていたし、私も我慢の限界を迎えたの。だから、ちょっと反省させてあげただけよ。うふふ」


「あらやだー。うふふ」


 ひえー。

 2人共怖いからやめよう?

 その笑い方。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ