表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/288

124 幼女の親友はちょろい

 ライリーさんとマノンちゃんのお家に到着すると、私はリリィと一緒にお風呂を借りる事になった。

 スミレちゃんが羨ましそうにしていたのだけど、3人で入れるほど広いお風呂では無かったので、我慢してもらう。

 そうして、私はリリィと背中の流し合いっこをして、一緒に湯船に浸かった。


 やっぱり、お風呂は気持ちが良いなぁ。

 今日の疲れがとれていくよぉ。


 湯船に浸かりながら、私が気持ちよさそうにしていると、リリィが私の顔を見てクスリと笑う。


「ジャスミンって、本当に気持ちよさそうに、お風呂に入るわよね」


「えへへ~。そうかも~」


 お風呂は前世でも好きな方だったし、確かにそうなのかも。

 だって、温かくて気持ちいいんだもん。

 って、あ。

 そうだ。

 リリィに報告しないとだよね。


「リリィ、そう言えばなんだけどね」


「なあに?」


「私、寿命が縮まってるみたいなんだよね」


「え?」


 リリィが驚いて目が見開いた。


「ど、どどど、どういう事なの!? ジャスミン」


「あはは。実はね……」


 私は顔を真っ青にさせたリリィに、シェルアイランドで知った事を話した。

 すると、全ての話を聞いたリリィが、わなわなと体を震わせる。


「り、リリィ? 大丈夫?」


「え、ええ。大丈夫よ。私なんかより、ジャスミンの方が……」


「私は大丈夫だよ。全然平気。不老不死を目指す理由が、一つ増えただけだもん」


 私が笑顔で話すと、リリィが力無く微笑んだ。


「そうね」


 リリィはそう返事をすると、私を抱き寄せる。


「わっ」


 リリィ?

 震えてる……。


 私はリリィが震えていたので、優しく頭を撫でてあげ……ようとしたのだけど、気がついてしまう。


 あれ?

 なんか鼻息荒くない?


「あのぉ、リリィ?」


「なあに? ジャスミン」


「鼻息荒いよ? 大丈夫?」


「うふふ。心配しないで? ジャスミンのスベスベ柔らかお肌を、舐め回したくなる気持ちを我慢して、堪能しているだけよ」


「なあんだ。なら安心……っじゃないよ!」


 へ、変態だー!

 もう完全に思考が変態のそれだよリリィ!


 私は必死になって、リリィを体から離そうとするが、流石リリィ。

 私の非力な腕力では押し剥がせない。


「はーなーしーてーっ!?」


「待って!? こんな時の為に、ほら。ちゃんと、ジャスミンのパンツは用意してあるのよ?」


 リリィが何処からともなく、私のパンツを取りだす。


「なんで持ってるの!?」


「うふふ。そんな些細な事は、今はどうでもいいじゃない。後一時間だけ、このままでいさせて?」


「長いよ! って、リリィ鼻血! 鼻血出てるから!」


「やだわ、私ったら。でも、これ位なら大丈夫よ」


「大丈夫じゃないよ! もう、なんか色んな意味で大丈夫じゃないから!」


 そんなこんなで、私は暫らくの間、リリィを体から離すのに苦戦しました。





 お風呂から上がると、私はライリーさんにキッチンを借りて、パンケーキを焼き始める。

 それからパンケーキが焼き終わると、トッピングに生クリームやフルーツを添えて、リリィと一緒にパンケーキをお部屋まで運んだ。


「待ってたです!」


「あはは。お待たせー」


 お部屋に着くと、ラテちゃんが目をキラキラと輝かせて、ベッドをパンパンと叩く。


「待ちかねたッスよ~。まったく、ご主人はお風呂が長――むぐ!」


 くるんと宙を舞ってやって来たトンちゃんの口を、リリィが指でつまむ。


「ドゥーウィン。アンタ、契約について、他に喋ってない事は無いでしょうね?」


 怖っ!

 あわわわわわわ。

 リリィが凄く怖い顔になってる!


「リリィ、やめてあげて? トンちゃんが可哀想だよ」


 私が止めに入ると、リリィが不満そうに顔をしかめて、トンちゃんを離した。


「ジャスミンの優しさに感謝する事ね」


 トンちゃんはしょんぼりと涙目になって、私を見た。


「ご主人。ありがとうッス」


「あ、あはは」


「で? 寿命の件は聞いたわ。他に何か隠している事はあるの?」


「無いッス。言わなくて、ごめんなさいッス」


「なら良いわ。当の本人のジャスミンが、アンタを責めないのに、契約と関係の無い私がこれ以上言っても仕方がないもの」


 リリィはそう言うと椅子に腰かけて、一連の流れを無視して、美味しそうにパンケーキを食べているラテちゃんを見た。


「ラテ、アナタは何で、ジャスミンに寿命の事を言わなかったの? ドゥーウィンが喋っていない事は、知っていたのでしょう?」


 今度はラテちゃんに白羽の矢が!

 リリィってラテちゃんには優しいから、トンちゃんだけに言うと思ってたよ。

 なんだか心配になってきたなぁ。


 私が心配で顔を青ざめさせていると、ラテちゃんはリリィに目を向ける事なく、美味しそうにパンケーキを食べながら答える。


「ジャスは不老不死になる子だから、そんな関係のない事は言う必要が無いです」


 ラテちゃんの言葉を聞いたリリィが、まるで虚をつかれたように、口を開けて驚いた。


「それともリリィは、ジャスが不老不死になれないと思ったです?」


 リリィはラテちゃんに逆にそう訊ねられて、数秒固まるとクスクスと笑い出した。


「うふふ。そうね。ラテ、アナタの言う通りだわ」


 私はその2人の様子を見て、ホッと胸をなで下ろす。


 良かったぁ。

 ラテちゃんがボソッと、ちょろいですって言ったような気がするけど、きっと気のせいだよね。

 うんうん。

 気のせい気のせい。


 と、私が考えていると、今までその様子を黙って見ていた2人が騒ぎ出した。


「やっぱり、リリさんは怖いんだぞ」


「幼女先輩! 寿命の件って何なのですか!?」


 あはは。

 まあ、こうなっちゃうよね。


 私は苦笑して、怯えるプリュちゃんを落ち着かせながら、スミレちゃんに説明をする。

 残念ながら、プリュちゃんは怯えすぎて、パンケーキが喉を通りませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ