117 幼女のヌルヌル事件簿
私が全身ヌルヌルになってがっかりしていると、リリィとスミレちゃんだけでなく、オークまでもが興奮しだす。
「デュフフフフ。何と言うエロさ! これは、今までで一番の美幼女ですぞ! 持ち帰りたいレベルでござる!」
お断りだよ。
「スミレ、やばいわ! ヌルヌルになったジャスミンの水着姿が最高よ! 目が離せないわ!」
今すぐ目を離して、オークとクラーケンをどうにかして?
「本当なのよ! このままだと、敵と戦うなんて出来ないなのよ!」
出来るよ?
目を離せば出来ちゃうよ?
「ぷぷぷー。ご主人。魔性の幼女って言われるだけあって、中々の痴女っぷりッスね」
トンちゃん。
魔性の幼女の由来を知ってるから、わざと言ってるでしょう?
本当、痴女とか言うのやめて?
「魔性の幼女さんまで、被害にあっちまうなんて! もう終わりだ!」
ライリーさん。
絶望してるのはわかるよ。
わかるんだけど、内容がおバカすぎるの。
だから、ライリーさんまでおバカに見えちゃうよ?
こんなの、リリィ達の反応に、ドン引きするくらいが丁度いいと思うの。
「ラテはおバカに付き合ってられないです。寝るので、終わったら起こすです」
ラテちゃん待って!?
唯一まともなラテちゃんが眠っちゃったら、私はどうすれば良いの!?
と言うかだよ。
「ラテちゃん。ヌルヌルの状態だと、眠りにくいと思うよ」
「ジャス、何言ってるです。ラテは魔法でオイルを反射させたから、ヌルヌルになっていないです」
え? 何それ凄い。
そっかぁ。
頭の上なんて見えないから、ヌルヌルになってないなんて、思わな……あれ?
ラテちゃん?
なんで私にも、その反射の魔法を使ってくれなかったの?
「次は拙者の出番でござる! 食らえ美幼女よ! これが拙者の必殺技でござる!」
必殺技!?
私は突然のオークの言動に、体を向けて身構える。
しかし、身構えた私は、簡単にオークの必殺技を食らってしまった。
「きゃぁあっ!」
み、水着が盗られた!?
嘘でしょう!?
オークの能力って、地面に足がついていない相手の、パンツを盗む能力じゃないの!?
「美幼女のヌルヌル水着、ゲットでござる!」
私はすぐに胸を手で隠し、その場に涙目でしゃがみこむ。
「ぬぬ!? 幼女がパンツを穿いている!? なんと! 二段構えでござったか!?」
オークが私を見て驚いていると、ようやくリリィとスミレちゃんが私の前に立ち、魔族と向き合った。
「その水着を返しなさい!」
リリィ。
「お前達、許さないなのよ!」
スミレちゃん。
私は涙を手で拭って、頼もしい2人の後ろで立ち上がった。
「その水着は、スミレが作った特殊な水着で、濡れると透ける仕様だったのよ! せっかく、私とスミレが水着を着る事で、自然とジャスミンにも着て貰えたのに!」
え? リリィ?
今、今なんて言ったの?
「せっかくヌルヌルになって、おっぱいが透けて見えてたのに、どうしてくれるのよ! ジャスミンが気が付くまで、見放題だったのよ!」
「全裸よりエッチな感じだったのに、よくも邪魔してくれたなのよ! 許されないなのよ!」
ええぇぇっ!?
嘘でしょう!?
透けて見えてたの!?
どうりで2人とも、やけに目線が胸ばかりで、おかしかったわけだよ!
本当に最悪だよ!
許されないのは、2人ともだよ!
「な、なんと!?」
2人の圧倒的変態発言に、オークもクラーケンも驚愕する。
「なんて事をしてしまったのでござる! そんな最高な状況に、気が付かなかったのでござるかー! 拙者は大馬鹿者でござる! うおおぉーっ!」
と、この世の全てに絶望したかのように、オークが叫ぶ。
いやもう。
本当に大馬鹿者って所はその通りだけど、そんなのどうでも良いから、水着返してくれないかな?
「しかし、拙者には使命がある故、ここで水着をもう一度着てもらう事は出来ぬでござる!」
「使命ですって!?」
「ふん。お主の様な美少女には、到底理解出来ぬ事でござる」
オークがそう言うのと同時に、クラーケンが今度はリリィに目掛けてオイルを吐き出した。
「そんなもの、私に効くと思っているの?」
リリィが不敵に笑みを見せ、そして、思わぬ行動に出る。
それは、ライリーさんの背後に隠れる事だった。
って、何してるのリリィ!?
ライリーさんはリリィの盾にされ、オイルまみれになってしまう。
そしてその時、オークに異変が起こる。
「でゅふぉおっ!」
え? 何?
なんと、ライリーさんがオイルまみれになった姿を見て、オークが口から血を吐き出したのだ。
「何て恐ろしい事をするでござるか」
「ふん。私の思った通りだった様ね」
え?
どういう事?
凄く意味がわからない。
「そうなのよ! 流石リリィなのよ!」
え?
スミレちゃんわかったの?
「オークはいつも、クラーケンに女の子達だけを狙って、オイルまみれにさせているなのよ」
「そうよ。だから、まずは一番可愛い私のジャスミンだけを狙った」
「そして次に狙ったのは、リリィ、つまり女の子だけを器用に狙ったなのよ」
「そう。その巨体なら、ここにいる全員を、まとめて狙う事も出来たはず。だけどそれをしなかった。オークはライリーにオイルが当たらないように、クラーケンにオイルを吐き出させたのよ」
リリィがオークに勢いよく指をさす。
「何故なら、オイルまみれの男、しかもおっさんのヌルヌルを見たくなかったからよ!」
「なんて美少女でござる! この短時間で、拙者の弱点を見破ったのでござるか!?」
オークが苦しそうにして、リリィを睨みつける。
「流石ハニーッス。見事な推理ッス」
「推理? そんな大それたものじゃないわよ。ドゥーウィン。ただ……」
「ハニー? ただ? ただどうしたッスか? ハニー」
「私に……も、結構効いただけ……よ」
ドサッと、リリィがその場で倒れた。
リリィが倒れると、スミレちゃんとトンちゃんが涙を流して駆け寄る。
そして、その一連の流れを見ていた私は、リリィを見つめて微笑んでから思いました。
もうお家帰りたい。




