106 幼女のパンツを無理やり見てはいけません
私がアスモデちゃんの反応を微笑ましく見ていると、リリィが驚いて声を上げる。
「まさか、それで短パンを穿いていたの!?」
「そうなのよ。恋する乙女は、好きな男の子の前では、パンツ丸見えが恥ずかしいなのよ!」
「ちょ、ちょっと! 変な事言わないでよ! ち、違うのよベルゼビュートくん。別にそんなんじゃ……」
「アスモデちゃんは、あのお兄さんが大好きなんだね」
「獣人娘! 何言いだすのよ! 違うんだからね!」
アスモデちゃん可愛い。
私、その恋応援するよ!
頑張って!
アスモデちゃんが焦りまくって顔を真っ赤にさせる中、スミレちゃんが止めをさすように言い放つ。
「そして、今穿いているパンツは、勝負パンツの紐パンなのよ!」
それを聞いたアスモデちゃんは、一瞬固まってから、頭から煙をモクモクと出した。
「な、何で!? 何でアナタが、それを知ってるのよ!?」
スミレちゃんが、まるで何かの悟りを開いたような目をして、静かに口を開く。
「簡単な事なのよ。私が、二つ目の能力の、透視の能力を覚醒させたからなのよ」
と、透視の能力!?
凄い!
それって、かなり凄い能力だよね!
「アスモデちゃん、貴女はやりすぎたなのよ。幾度となく、幼女先輩が追い詰められるうちに、私は思ったなのよ」
スミレちゃんが静かにアスモデちゃんを見る。
「このままじゃ、幼女先輩の貞操が危ないって」
ないない。
それはないよ。
「ルピナスちゃんのパパが操られて、そのままぐへへな展開になってしまわないかと、私にはそれが耐えられなかったなのよ」
ちょっとスミレちゃん?
ルピナスちゃんの前で、そういう事を言うの止めて?
「そしたら何だか、いてもたってもいられなくて、気がついたらパンツが見えていたなのよ」
スミレちゃんは、ゆっくりと目を閉じる。
どうしよう?
ツッコミどころも多すぎるし、意味がわからないよ。
「そして、私は確信したなのよ。これが、私が手に入れた二つ目の能力」
スミレちゃんが目を開けて、高らかに宣言する。
「どんな障害があったとしても、パンツを見る事が出来る能力だとなのよ!」
く、くだらない!
くだらなすぎるよスミレちゃん!
と言うか、それは透視能力と言うより、パンツを見る能力だよ!
なんでそんな、どうでも良い能力手に入れちゃったの!? スミレちゃん。
「凄いわ! 凄いわよスミレ!」
「ふふ。それ程でもあるなのよ」
誇らしげにスミレちゃんはそう言うと、リリィの側まで歩いて行き、リリィの手を取った。
「リリィ。私の能力の凄い所は、ここからなのよ。アスモデちゃんを見てみるなのよ」
「どういう事?」
リリィが訝しげにアスモデちゃんを見る。
そして、その瞬間に驚きの声を上げる。
「紐パンだわ! 私にもアスモデの紐パンが見えるわ!」
嬉々として叫ぶリリィの横で、スミレちゃんが不敵に笑う。
「私の能力の真骨頂は、私が触れている相手にも、同じ光景を見せる事が出来る事なのよ!」
本っ当にくだらないよ!
パンツ見えた所で、状況なんて変わるわけないでしょう!?
だいた、相手は自分からパンツ見せてくるような子なんだよ?
いくら好きな人の前だと恥ずかしいって言ったって、そんなの――
「み、見るなーっ!」
わぁい。
形勢逆転だよぉ。
アスモデちゃんがもの凄く顔を真っ赤にさせて、煙を頭から出しながら、必死にパンツを隠そうと両手で覆う。
しかし、悲しいかな意味がない。
「忘れたのなの! 私の能力は、どんな障害があっても、パンツを見る透視能力なのよ! 手で隠しても丸見えなのよ!」
「そ、そんなぁ! 嫌! お願い! 見ないでー!?」
う、うわぁ。
なんだか、アスモデちゃんが可哀想になってきたよ。
もの凄く涙目になってるんだもん。
よっぽど、ベルゼビュートの前で痴態をさらけ出したくないんだね。
私の認識が間違ってたよ。
そりゃあそうだよねぇ。
好きな人の目の前で、誰かにパンツ見続けられるって、結構きついかもだよ。
「ちょっと奴隷! ぼさっとしてないで、私の前に立って、私を隠しなさいよ!」
あぁ。
ついにルピナスちゃんのパパを壁にして、隠れようしだしたよ。
あの様子だと、絶対意味ないのに。
って、あれ?
シロちゃんが閉じこめられてる檻が無い?
私は周囲を確認して、無くなっていた檻を見つけて驚いた。
ルピナスちゃん!?
そう。
シロちゃんが閉じこめられている檻は、いつの間にかにルピナスちゃんが回収していたのだ。
流石は、天使可愛いルピナスちゃんだよ!
凄い頼りになる!
私がそんな事を考えていると、いつの間にかリリィが私の横に立っていた。
「リリィ?」
「ジャスミン。このままじゃ不味い事になるわ」
「え? あ。うん。そうだよね。早くスミレちゃんを――きゃぁ!」
アスモデちゃんが可哀想だから止めさせないと。と、言おうとしたその時、突然リリィが私のスカートを掴む。
そして、あろうことか脱がそうとしてきた。
「ちょっ!? え!? 何!? 何するのリリィ!?」
私はスカートを必死に抑えて抵抗する。
「このままじゃ、ジャスミンのお色気ポジションが奪われてしまうわ! 対抗しないとダメよ! ジャスミン!」
「いいよ! 奪われちゃっていいよそんなもの! やめ! やめてー!?」
「何言ってるのよ! 早く脱いで! ほら! 早く!」
「ほ、本当にやめ! って、リリィ! 顔がにやけてるよ! 絶対に私欲が入ってる顔してるよ! それに、私今パンツ穿いてないんだからねー!」
「うふふ。大丈夫よジャスミン。あくまで私はアイツに対抗させようとしているだけで、ジャスミンの柔らかいお尻を見ようだなんて、考えていないのよ?」
「大丈夫じゃないよ! それもう、絶対それ目的だよ!」
「うふふ~。そんな事ないわよ~」
もはや聞く耳を持たないリリィに対して、私は必死に抵抗を続ける。
アスモデちゃんも、未だにスミレちゃんから辱めを受け続ける。
そして、ルピナスちゃんが私とアスモデちゃんを見て、お腹を抱えて笑い転げる。
「リリィ! ホントにお願いだから止めてーっ!?」
「み、見ないで! お願いだから見ないでよー!」
こうして私とアスモデちゃんの2人は、変態の魔の手に脅かされて、叫び続けるのでした。




