010 幼女のパンツは犠牲になったのだ
オークから奪われたパンツを取り戻す為、リリィの思いついた作戦を決行する事になった。
そして、その為に人目の付かない村の外れまで移動したんだけど……。
「えっ!? リリィのパンツを使っておびき寄せるの!?」
村外れまで移動して、そこで私はリリィの立てた作戦を聞いて驚いた。
でも、たしかにそれは効果的かもしれない。
オークがターゲットにしたのは、全て女の子で、リリィだって対象に違いないからだ。
しかし、私は少し複雑な気持ちになった。
だって、そうでしょ?
リリィのパンツを使うって事は、私は結局ノーパンになっちゃうのだ。
リリィが立てた計画は、パンツを地面に置いておびき寄せる。
そして、それを手に取ったオークの後をついて行き、住処を調べるというものだった。
住処を調べ上げて、危なそうと思ったら大人達を呼ぶ。
大丈夫そうなら、オークが出かけている間に、盗まれたパンツを取り戻そうって計画だ。
最初はオークと戦うんじゃないかとハラハラしたけど、意外と平和的で良かったと思う。
そう言う事なら、私も躊躇してちゃいけないよね。
「うん。わかった。私脱ぐ……って、あれ?」
意を決してパンツを脱ぐ決断をした私の目の前で、スルッとリリィがパンツを脱いだ。
「リリィ、そのパンツは?」
「これ?」
リリィは脱ぎたてのパンツを、私に広げて見せる。
前世でやられたら大興奮のシチュエーションではあるけど、今の私は興味もないし、それどころではない。
「うん。それ」
「こんな事もあろうかと、いつも替えを持ち歩いてるのよ」
リリィは胸を張って、ドヤ顔でパンツを高らかに掲げた。
「ええーっ!?」
私は驚きのあまり硬直して、空いた口が塞がらなくなる。
そして、私が硬直している間に、リリィは今脱いだばかりの自分のパンツを、少し離れた場所の地面に置いた。
「替えがあったんだったら、それを貸してくれれば良かったのに!」
と、我に返った私は抗議するも、私の口をリリィが人差し指で押さえて制止する。
「しっ。静かに」
「んー?」
そして、近くの茂みに連れて行かれた。
「早速来たわよ」
茂みの中から顔を覗かせて見てみると、本当にあの時のオークがそこにいた。
「あの時のオークだ」
見間違えるはずもない巨体。
2メートルは越えていると思われるその身長。
そして、全身が毛深くて、髪や眉が無く、若干目が鋭い。
間違いなく、あの時のオークだ。
「作戦成功ね」
「うん」
私とリリィは息をひそめて、じっくりとオークを観察する。
そうして見ていると、やっぱり思うのだけど、見た目は凄く威圧的で怖い。
ただ、よく見てみると、今は何かを頭に被っているようで、それのおかげか怖さは少し半減されていた。
オークは周りに誰もいない事を確認して、リリィのパンツを拾い上げる。
そして、パンツを広げて満足そうな顔をして、顔に近づけて匂いを嗅いでいた。
うぷ。
……気持ち悪い。
何か気持ち悪すぎて、ゾワッとしてきた。
うー。
やだやだ。
あまりの気持ちの悪い行動に、私は吐き気を覚えた。
正直な話、本当にやめてほしい。
それに、早く住処に移動してほしいなとも思う。
ただ、あの行動を見ちゃうと、皆のパンツを取り戻しても、皆嫌がるんじゃなんて思えてくる。
少なくとも、私は取り戻しても、取り戻したパンツをまた穿こうと思えない。
そこで、ある事に気がついてしまった。
「あれ? あのオークが頭に被ってるのって、私のパンツ……?」
「何ですって!?」
最悪な事に、オークは脂っぽい頭に私のパンツを被っていたのだ。
私は一気に気分が悪くなって、半泣きになる。
もう、あんなの気持ち悪すぎて、取り返しても本当に穿けないよ!




