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001 幼女でおっさんの始まり

 私の名前はジャスミン。ジャスミン=イベリス。

 そして、この世界は地球とは別の異世界で、魔法の存在しているファンタジーな世界。

 そんなファンタジーな異世界にある村のトランスファと言う名前の、人口約60人しかいない小さな村に住む9歳の少女が私である。

 そんな9歳と幼い少女な私は、頭を抱えて悩んでいた。

 何故悩んでいるのかと言うと、幸か不幸か、前世の記憶を取り戻してしまったからだ。


 私の前世は、この世界とは違う世界で、地球と言う星に住む男だった。

 名前は間部弦はさべげん。彼女いない歴=年齢の36歳独身で、1人暮らしでバイト生活を送っている童貞だった。

 漫画やアニメが大好きで、更にロリコンで、眼鏡を掛けた見た目通りの豚野郎。

 その姿は自分で言ってて悲しくなるが、完全に一般人が連想するオタクそのものだった。


 そんな前世を持つ私だが、今はどうだ?

 正直自分で言うのも何だけど、もの凄く美少女なのだ。

 肩まで伸びた白銀の髪はサラサラで、ルビーの様な綺麗な色をした目はくりくりしていて可愛らしく、小顔で超絶美少女の顔立ちをしている。

 それだけじゃない。

 肌は白くスベスベぷにぷにで、身長も同年代の少女達よりも低く、身体は細身で小柄だ。

 そんな私は、まるで天使が舞い降りたのかと、勘違いしてしまいそうな位に可愛らしい。


 私は悩んだ。


 今まで、前世の記憶が甦るまでは、純粋無垢な少女ジャスミンとして生活してきたのだ。

 だからこそ、これからどう生きていくべきか悩んだのだ。

 9年の年月の通りに生きるのか、36年生きた前世の記憶から出てしまった男の自分を表に出して生きるか悩ましい。

 正直な所、残念ながら記憶が甦ってしまった以上、純真無垢なジャスミンとして生きていくのは、無理があるような気がしてならない。

 実際、今の私は前世の記憶のおかげもあって、それなりの知識や経験がある。

 そして何より、記憶が甦ってしまった事で、思考が追加されて性格も変わってしまったのだ。

 自分の事を美少女だの天使だのなんて、これまで思った事なんて一度も無かった位には既に変わっている。


 今までの私は、本当に色々な事に対して何も知らなかった。

 だからこそ、これからどうしようかと困り果てる。

 悩みどころは恋愛についてもそうだ。

 今まで純真無垢なジャスミンとして生きてきた私は、恋だってした事もあるのだけど、それはもう無理と言えよう。

 何故かって? そんなの簡単。決まってる。

 前世が男だったせいで、同じ男を好きになれるわけがない。

 前世の私は、別に同性愛者でもないのだ。

 だからと言って、これからは同じ女の子を好きになれるかって言われると、絶対に無理なのだ。

 私は今も前世も同性愛者じゃない。


「パパ。ママ。ごめんね。私、子孫残せそうにない」


 気が付いたら、深いため息と一緒にボソボソと呟く私がいた。

 そこで私はハッとなる。


「これ、前世でボッチやってた時のやつだよ」


 早速出た前世の自分のくせの独り言に、がっかりした私は深く深くため息をついた。

 前世の記憶は本当にマイナス方面に強烈で、本当の本当に今思うと、人生そのものが黒歴史だ。


「そう言えば、何で死んだんだっけ?」


 うーんと唸って、目をつぶって思い出す。


 思い出した記憶は、がっかりする位には最悪な物だった。


 ある日の朝、バイト先のチャラついた先輩に鬱陶うっとうしく絡まれてストレスでどうにかなりそうだった私は、近場の海にドライブしに行った。

 もちろん泳ぐ為ではなく、少女たちの水着姿を見に行ったのだ。

 捕まらないようにサングラスをかけて、目線がばれない様にしたのは良かったのだけれど、それが仇となってしまったのだ。

 日が落ちた帰り道、私は普段かけないサングラスを外し忘れ、そのまま車を運転。

 街灯が通っていない暗い夜道を、車で走った時の事だ。

 対向車線の黒い車がウインカーを出さずに右折し、暗い夜道でサングラスをかけていた馬鹿な私は、それに気が付かず衝突。

 そして、そのまま意識を失った。

 多分あの時に死んだのだろう。


「いや。止まれよ! マジ何なのあの車!」

 

 思い出したら腹が立ってきた。


 とまあ、それは今は置いておくとして、これからどうするか考えなくてはならない。

 パパとママには絶対こんな事相談なんて出来ないし、だからと言ってこのまま前世の様に引き篭もる気もない。

 ここはやはり、この世界で出来た大親友のリリィに相談しよう! と決断する。


「善は急げだ!」


 私はそう独り言を叫ぶと、勢いよく家を飛び出て、ジャスミンとして生活してきた中で得た大親友の家へと猛ダッシュを決め込んだ。

 日は落ちていてあたりは暗かったが、そよ風が気持ちが良い。


「でも。何て話せば良いんだろう?」


 相談をする為に大親友であるリリィの家に行く途中、気持ちの良い風にうたれた私は、頭が冷えて少し冷静になる。

 そうして、何から話せば良いのか悩んだ私は、今日あった出来事を振り返る事にした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「前世が男だったせいで、同じ男を好きになれるわけがない」 ホモの話は、気持ち悪いから、貫いて欲しい方針だね。
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