9.再検査
書き上がり次第随時更新するので是非読んでみて下さい。
感想も大歓迎です。
私は今から属性の再検査を行うそうです。
この世界に召喚された時は属性無しと判断され、その日の内に城から追い出された花。
だが、この度街で起きた奇跡を多くの人が目撃し、そして奇跡の出来事はあっという間に街に広がった為、当事者の花は再度属性検査を受ける事になったのだ。
「では今から属性の再検査を行う」
そう言ったのは一人の神官。
連れてこられた部屋には花以外になんと七人もの神官が居るのだ。
正直、花としてはこの検査を早々に終わらせクラースと共に、重症を負った知人がどうなったのか確認しに行きたい。
「まずはこの魔方陣の中へ入れ」
床を見ると淡く輝く白い魔法陣が浮かび上がっていた。
花は言われた通りに魔方陣の中へ入る。
「やはり…属性は反応しないな…」
「次の検査を」
神官達がテキパキと動き出す。
早く終わらないかなぁと思っていれば次の指示が聞こえてきた。
「次はこれに触れなさい」
一人の神官が先程の水の球を差し出す。
大きさは卓球ボール程か…。
ーあれ?さっきより小さい?
とりあえず触れる。が、やはり同じく膨らみ今度は神官と花をすっぽり覆う。
「な、なんだこれは!」
「何故魔力が…」
「どうなっている!もう一度検査を!」
「一番大きな魔力計量器を持ってこい!」
何やら騒がしくなる。
水の球から手を離せば卓球ボールの大きさに戻ってしまった。
「あの、検査ってまだ掛かりますか?」
「次はこれだ。早く触れなさい」
ー私の発言は無視ですか。そうですか。
今度はビー玉程の小さな水の球が差し出されるが、不機嫌全開の顔でそれに触れる。
すると今度はこの部屋まですっぽり覆ってしまった。
「おぉっ!」
「素晴らしい!
「やはり魔力が…」
また騒つく。
なんだろうこの置いてけぼり感。
誰か詳しく説明してほしい。
そんな事を考えていると、今度は水晶玉を渡された。
これ、あれだ、怪しい占い師が占いに使うやつ。
「これは属性をより精密に検査できるものだ」
神官が言うには、この水晶の中にそれぞれ属性特有のシンボルが浮かび上がるらしい。
火属性は炎が
水属性は雫が
風属性は竜巻が
土属性は葉が
星属性は輝きが
影属性は血が
「集中して、身体の奥から湧き上がるものを感じたら抑え込まないように」
そう言われ花は目を閉じて集中してみる。
ーー火傷が治った時の感覚って確か…温かい何かに包まれるような感じ…だったはず
じわり、と身体の奥から温かいものが溢れてきたがそれだけだった。
水晶玉には何も浮かび上がらない。
「どういう事だ、何故何も反応しない」
「壊れているのか?」
近くにいた神官が花から水晶玉を取り上げ力を込めると、キラキラと幻想的に輝きだした。また神官達がざわつき始める。
「壊れてはいないようだ」
「ではどうして…」
「魔力は確かにあるようだが…」
結局、魔力は保有しているという事しか分からず検査は明日も引き続き行われる事となった。
牢屋に戻ってきた花はベッドにダイブする。
「疲れた…」
「おい、どうなったんだ」
「結局何も分かりませんでした…。精密検査したんですけど、なーんにも。ただ、魔力は沢山あるそうです」
「使えん奴らだな…まあ、無事で何よりだ」
「はい、クラースさんも無事で良かったです。明日も検査の続きするって言っていたので今日はもう寝ますね」
「そうか、こんな所だがゆっくり休め」
一日でいろんな事が起き過ぎて疲れた花は、襲ってくる睡魔に抵抗する事なく眠りについた。
初めてにして長編への挑戦って無謀だったかもしれない。