2.水上都市アルメリア
メモ?機能がどこにいったのやら…。
新規作成した時に設定をまとめたのに(泣)
私は死んだ
らしい。
衝撃の内容を聞かされたが実感が全く湧かない。
それはそうだ、現に今生きているのだから。
「いや、私生きてます。信じるわけないでしょう?私出勤途中なんですが…いや、これって誘拐?」
「まあすぐには信じられないでしょう。今まで召喚した者もなかなか納得してはくれませんでしたから。ただ、中には自ら命を捨てた者、事故に遭う瞬間を覚えている者、病気で看取られながら息をひきとる者と、死んだ事を認識している者も多いのです」
つまり召喚魔法を行使する際、同時にあちらの世界で死を迎えた者が呼ばれるという仕組みだ。しかも指定した範囲でタイミングが合わなければ最悪誰も召喚出来ない。
その内容に唖然とする。
確かに私は出勤途中、駅のホームで誰かに押され線路内に落ちた。
ホームに勢いよく入ってくる電車を横目に見ながら…悲鳴を聞いて……電車のライト眩しかったな…。
ーじゃあ私はそこで死んだの?
「とりあえずこの部屋を出なさい。外を見れば直ぐに分かるはずですから」
引っ張られる形で部屋から連れ出され、細い廊下を一緒に歩いて行く。天井が物凄く高いが一体どういう構造をしているのか…まるで海外の世界遺産にある宮殿のようだ。
その途中男は召喚に長けた神官の一人と説明を受ける。
見上げながら後をついて行くと水の音が聴こえてくる。
目の前が開けた瞬間。
「…わぁっ!凄い…!」
廊下を抜けると眼下に広がるのは美しい水上都市。
広い海…のような湖の水面には白を基調とした建物が軒を連ねている。
人が歩く通路は魔力により水面に浮いているが花は知る由もない。
大きな荷物などは船で運ばれているようだ。
賑わいを見せる商店街は特に人が多く行き交いアパレル店員の花は気になって仕方がない。
「ご理解頂けましたか?」
神官に呼ばれハッとする。
確かに地球にはこんな街は存在しない。これほど美しい街があれば世界屈指の観光地になっているはずだからだ。
「こちらへ」
連れてこられた部屋のテーブルには衣服と支度金が置かれている。
「貴女の服は目立ちますのでこちらで用意した服に着替えて下さい。それとこちらは許可証になります。貴女のように召喚された人を国が保証するものです。これがあれば国内のどの店でも働く事も、また家を借りる事も出来ます」
そう言って手渡された許可証は無色透明な細長い棒。恐る恐る受け取ると次の瞬間左手首に巻き付きブレスレットのような形に変化した。
「やはりダメですか…」
神官が溜息をつく。
「この許可証は本人の属性に応じて色が変わるのです。例えば火属性であれば赤く。水属性であれば青く。風属性であれば緑に。他にもありますが、無色透明のままという事は貴女に属性がない証拠です」
神官は、また十年後か…と呟きながら部屋を出て行った。
残された花は用意されていた服を手に取ってデザインチェックを始める。
「これは…また随分シンプルな」
広げた服は濃紺の柄のない足首まであるロングワンピース。七分丈の袖は折り返しになっており袖口は金糸で僅か刺繍が施されていた。
それに比べ今の自分の姿は、新作の膝丈花柄ワンピースに赤いヒール。艶やかな黒髪ロングヘアーはかなり凝ったヘアアレンジをしている。
言われた通り着替えを済ませ支度金をポケットに入れ廊下に出ると先程の神官が立っていた。
「そちらの服はこちらで処分します。この国で派手な服を着るのは娼婦くらいですから」
神官の言葉にギョッとしたが買ったばかりの新作ワンピース…でも確かに着る機会はなさそうだ。荷物になるならと大人しく手渡す。
「こちらの階段から下へ降りて城を出て下さい。そこからは貴女の自由です。神の御加護を…」
そういって頭を下げられ無言の圧力で早く行けと言われる。
ーここってお城だったんだ。
こちらも頭を下げて長い階段を降りていく。
きっとこの神官とも二度と会うことはないだろう。やっと大きな門の所まで辿り着き後ろを振り向くと城の全容が見えてきた。
「結構大きかったんだ…それにしてもこれからどうしよう…泊まるところ…より働く場所が先かな。出来れば泊まり込みで働けたら最高だよね。よし、まずは何か食べよう!さっきの商店街も気にるし!」
だんだんこの状況が楽しくなってきた。
初めこそ怖いとか不安など負の感情が大きかったが、この景色を見てからは心がウキウキしてくるのが分かる。
帰れないのならここで楽しく暮らせばいいのだから。
商店街から漂う美味しそうな香りにまずは腹ごしらえ!と意気込む花と、城で溜息ばかりついている神官はまだ知らない。
実は花にも変わった属性があることを
文字書きさんは凄いですね…私文章力がなくて困り果ててます。