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異変

 渓汰は家に帰るため、校門を出て坂を下っていた。周りには同じように帰宅途中の生徒たち。今は部活時間なので人数は少ない。ただ、誰もが二人以上で帰っていて、一人で帰っているのは渓汰だけだった。

 少しの寂しさを感じながら、一人で歩いていく。


 坂を下り大通りを歩いていると、前に二人の親子が手を繋いで歩いている。

 散歩だろうか、買い物だろうか、短時間の外出なのか軽装で歩いていた。

 すると、小学生ぐらいの子どもが母親に話しかける。内容は他愛のない普通の会話。どちらも笑顔で話している。

 そんな親子の会話に渓汰は羨ましいと思ってしまった。今はもういない両親。学校では周りに友達がいるから楽しいが、家に帰るといつも一人。

 


 そして渓汰は思い出す。

 今、家に名前の知らない少女がいることを。


(まだ、家にいるよな?それにしても、私たちの未来を守ってって、どういうことだ?そのままの意味を考えたら、あの子は未来を知っている?未来人?)


 少女の発言の意味を考えても答えを知っている人がいないので、渓汰には何が答えかわからない。

 ただ、この状況で判ることが一つあった。


「……夕食の材料が足りない」


 自宅の冷蔵庫の中身を正確に思い出しても、食材は一人分しか無かった。正確には夕食と明日の朝食がそれぞれ一人分。夕食だけなら二人分を用意することが出来るが、同じ内容では無いし、朝食を用意することが出来なくなってしまう。


 渓汰は親から、ある程度までなら遊んで暮らせるような額の遺産を相続しているが本人は遊んで暮らすようなことはしない。

 いずれお金が尽きてしまうことがわかっているからだ。なので、必要最低限しか使わないようにしている。勿論遊ぶ時は遊ぶ、高価な物でも必要だと判断した時は購入している。

 先のことを考えて行動しているので、将来もし渓汰が家庭に入ったときはきっと良い主夫になるだろう。



 渓汰はいつも帰宅するために右に曲がる所を、まっすく行く。少し歩いて着いたのは看板に"スーパーひらじょ"と書かれている一つの建物。

 渓汰が良く使っているスーパーマーケットである。自宅からも近く、数多くの商品を取り扱っているので愛用している。

 因みに学校を北に行くと商店街があり、沢山の店があるが、そこには遊びに行くとき以外、あまり行くことがない。


 店の中に入ると、いらっしゃいませ、と店員の声が聞こえてくる。渓汰は篭を手に取り店内を歩く。陳列されている野菜や肉など様々な商品を眺めながら考える。


「何が好きかな……」


 そもそも、渓汰は少女のことをなにも知らないのだ。好きな食べ物なんてわかるはずがない。

 それでも何かないかと探して店内をさまよっていると一つの箱を見つけた。それはカレールーの入った箱。


「カレーでいいかな。もし嫌いだったとしても、俺が食べきれば良いし」


 カレーが嫌いな人はいないだろう。渓汰はカレーが好物だ。もし、少女がカレーが嫌いだったとしても、何日も連続で食べることが出来る。そして一度に数人分も作ることが出来る。

 そういった理由で、今日の深海家の夕食はカレーに決まった。


 渓汰は財布を開いた。中には千円札が二枚。

 もともと今日食材を買いに来る予定は無かったので、必要最低限のお金しか持ってきていなかった。


 牛肉やニンジン等、他の物に目移りしないようにてきぱきと必要な食材を篭にいれていく。途中、「あれ、これ冷蔵庫の中に無かったよね?」という物を見つけても意識しないように通り過ごす。


 まだ時間帯が早いのか、レジには人が並んでいない。会計を済ませお金を払う。お釣りをもらって財布に入れると、空になってしまった紙幣に少しの虚しさを感じた。

 家に帰るか銀行やATMに行けばすぐ補充出来るものだか、今この瞬間は寂しいと思ってしまう。


 渓汰は買った物をレジ袋に詰める。カレーを作るための材料だけを買ったので、量も少なく袋一つにおさめることができた。

 右手に鞄、左手にレジ袋を持って店を出る。家に帰るために来た道を帰る。

 太陽も降りてきて、道がオレンジ色に染まる。太陽に照らされて、渓汰の目の前を渓汰の影が伸びていく。

 流石にもう少女は起きているだろう。帰ったら何を話そう、何を聞こう。そんなことを考えながら道を歩いていく。


 前方から白髪のおじいさんが歩いてくる。近所に住んでいるおじいさんだ。いつも元気で、この時間に散歩している。渓汰とも顔見知りだ。向こうも渓汰に気づいたのか、表情を笑顔にして歩いてくる。

 

 その時、渓汰の視界に映る景色が一変した。


 夕焼けでオレンジ色だった空が黒く染まっていく。

 塀や電柱、おじいさんまでも黒に侵食されて、渓汰以外の全てが黒に染まった。 

 空には赤い月。自らを主張するように輝いている。


 一瞬で景色が夜のようになってしまった。


「おじいさん!」


 渓汰は手荷物を投げ出し、おじいさんに近づいた。

笑顔のまま固まっている。肌に触れてみると、肌の柔らかさは無く、コンクリートを触っているかの様に固かった。


 まるで時が止まっているかの様に。


「……何が起こっているんだ?」


 呟いてもみても返事は帰ってこない。


 時間が止まったようなこの状況で自分だけが動けるのは、何か理由があるだろう。そう考え、行き着く先はただ一つ。


「……あれだよな」


 学校で倒れたこと、この状況、明らかにあの少女が関係しているだろう。その考えに行き着く。

 この状況を何とかするために、辺りを散策しようとした時。渓汰の背中に悪寒が走った。


「……っ!」


 何かに見られている感覚。この状況で自分と同じように動ける人がいるのかと期待して、振り向いてみると、期待はあっさりと砕け散る。

 そこにいたのは、獣の様な四足歩行の黒いの何か。大型犬と同じような大きさで、渓汰を捉えている二つの赤い目は、渓汰に明確な敵意を向けている。

 

「グアァァァァァァ!」


 牙を剥き出し威嚇するように吼える。


 渓汰は恐怖で動けなかった。後ろにはおじいさん。獣に見せてしまったら襲われてしまうと思った。

 だが、獣は渓汰しか見ていなかった。獲物は一匹で充分だというかのように。 

 その意思が伝わったのか、恐怖に負けたのか、渓汰は後ろを向いて走り出す。

 渓汰が動いたことによって、獣も渓汰を追いかける。

 幸い、獣はおじいさんを狙うことはなく、無視して通りすぎた。


 渓汰は路地を真っ直ぐに全力で走る。だが、どれだけ全力で走っていても四足の獣より速くは走れない。少しずつ距離が縮まっていく。焦りと不安が募っていくが、これ以上速度は上がらない。

 目の前にT字路が目にはいった。どちらに行こうか考えない。どちらを選んでも同じことだろう。

 何となく左を選ぶ。全速力で走っているが、そのまま直角に曲がることは出来ない、少し速度を落とそうとした時、何か嫌な予感がした。


 直感で左に跳んだ。後ろでは何かにぶつかった音。

 渓汰は受け身もとれず地面を転がる。制服が汚れてしまうが関係ない。すぐに起き上がり後ろをみる。


「……嘘だろ!?」


 獣がカーブミラーごと塀にぶつかっていた。そして何事も無かったように、渓汰の方を向く。

 その跡を見ると、カーブミラーは折れるとまではいかないが、根本から曲がっていて、塀はぶつかった部分が凹んでいた。 

 もしも、跳んでいなかったかあのカーブミラーや塀の様になっていただろう。身近に感じた死の恐怖。自然と足が震える。


 獣は渓汰を捉えたまま動かない。恐怖に怯えた弱者で遊ぼうとしているのか様子を見ている。

 渓汰も動かなかった。今動いたら一瞬で殺されてしまう気がしたから。だから、相手を良く見る。どんな行動をしても対応できるように。

 このとき渓汰は死を身近に感じたことで、恐怖を通り越して冷静になっていた。


(逃げられない。どうやって戦う?武器は?鞄は置いてきた。助けを呼ぶ?同じような人がいるとは限らない……)

 

 獣に注意を向けたまま頭の中で考え続ける。


「グルァ!」


 痺れを切らした獣が突進してくる。渓汰は冷静に避ける。


(真っ直ぐに来るから、避けるのは簡単だな)


 どんどん迫ってくるが、決して背中を向けずに右へ左へ避けていく。

 獣の速度にも馴れ、渓汰の中で余裕が生まれていた。


「はぁ、はぁ」


 だが、どれだけ余裕が生まれても渓汰の体力が回復するわけではない。

 避けるたび、疲労が溜まっていく。呼吸が粗くなる。


 そして、限界が来た。


 獣の突進を渓汰は左に避ける。

 先程と同じように通り過ぎると思っていたが、獣は前足で地面に爪を立て渓汰の目の前で急停止する。そして、その勢いのまま体を九十度左に転回し渓汰の正面を向いた。

 渓汰は突進してくるだけの動きに馴れていたため、急に変化した獣の動きに対応できなかった。

 慌てて逃げようと走り出すが、足が絡まって倒れてしまう。


「うわ!……いって!」

 

 地面に体を打ち付けた衝撃で渓汰は立ち上がれない。

 そんな渓汰を見て、獣はもう終わりだというようにゆっくりと近づいてくる。

 改めて感じた死の恐怖。渓汰は獣から逃げるように後ずさる。すると、背中に何かがぶつかった感触。後ろには塀があった。これ以上は下がれない。

 逃げ場の無くなった渓汰に一歩一歩近づいてくる獣。着々と死が近づいてくる。

 そして、目の前に来ると渓汰を喰らう為に口を開いた。


「ガァ!」


 開いた口から見える鋭く尖った牙が渓汰を捉える。口の中は深淵のように暗くなにも見えない。

 渓汰は自分の体を守るため腕を前に構えた。噛まれてしまえば大怪我は免れないが死んでしまうよりはましだろう。もっとも、助けの来ないようなこの状況では痛みを長引かせるだけかもしれないが。

 そして、恐怖から目を背けるように目を瞑り、痛みに耐えるために歯を食いしばる。

 しかし、目の前にいるはずなのにその瞬間がやってこない。


「グギャ!?」


 代わりに渓汰の耳に聞こえてきたのは、獣の叫び声と何かが地面に叩きつけられた音。

 目を開けると獣の姿は無く、目の前には白いワンピースを着た銀髪の少女がいた。赤い月から発せられている光によって少女の銀髪がきらきらと輝いている。

 周りが黒に染まっている中、はっきりと色が判る少女。つまり、渓汰と同じでこの空間の中でも動くことができるということを示していた。

 自分以外にも自分と同じ人がいることがわかり安心する渓汰。

 

 少女は腕を伸ばし手を開きを一つの方向に向けていた。

 渓汰が少女が手を向けている方向を見ると、そこには獣が倒れていた。


 獣はすぐに起き上がってきて、新たに出現した敵に向かって突進する。


「グギャ!?」


 だが、少女に噛みつくこともできずに弾き返されてしまう。

 渓汰にはどうなっているかがわからなかった。獣が突進して少女に触れる瞬間、少し光を発したと思った時には既に吹っ飛んでいる様に見えた。

 それでもわかることはあった。それは、少女が自分とは同じではないこと。

 この状況の中で動ける渓汰は少なくとも異常なのだが、そのうえ、あの獣に対抗できる手段を持っている彼女に渓汰は異常だと思った。


 少女は獣には見向きもせず、渓汰の方を向き、ゆっくりと近づいてくる。無表情で何を考えているか渓汰には判らない。

 

 なにも判らない。


 その事に恐怖を覚え、無意識に後ずさろうとするが、背には壁がありこれ以上下がれない。 

 既に少女は渓汰の目の前に立っていた。

 何かされるかもしれない。殺されるかしれない。

 そんな考えが頭をよぎり、身体が硬直してしまう。


 だが、少女が起こした行動は手を伸ばし、渓汰の手と自分の手を繋いだ事だけである。


「……なんで?」


 予想外の行動と、手から伝わる女の子の柔らかい感触に緊張も忘れ、呟いてしまう。


「怖がっていたから。もう、落ち着いた?」

 

 心配しているかしていないかわからない無表情で少女は問いかける。

 敵か味方か判らない状況で掛けられた自分を心配する声に渓汰はますます混乱してしまう。

 それでも、自分を心配する声に返事をしないわけにはいかないので、


「……うん」


 と、ただ一言そういった。


 すると少女は、いきなり繋いでいた手を引っ張り、渓汰を無理矢理立たせる。


「うわぁ!」


 ただでさえ、成長期まっしぐらの高校二年生の健康的な体を片手で持ち上げることは難しいはずなのに、それを小さな少女がしているのだから、とても不思議な光景だ。

 実際にやられた渓汰も、なにがなんだかわかっていない。

 それを行った少女は、疲れた様子も見せず、渓汰の目をみて、衝撃的な言葉を口にした。


「私には、あれは倒せない…………と思う」

「……なんで?さっきまであんなに簡単にあしらってたじゃないか」


 結論ではなく、感想を口にした少女に、渓汰は問いかける。

 事実、少女はあの獣に何一つ負けていない。渓汰にはよくわからない力で獣を吹き飛ばした。獣は今も地面に横たわって起き上がろうと手足をバタバタさせている。

 その力と無表情の少女の神妙さが相まって、少女なら獣を倒せるのではないのかと思った渓汰だったが、少女の答えは簡単な理由だった。


「私には、守る手段はあっても、戦う手段がないから」


 いくら、力が強くても、守る事にしか使えない。つまり、絶対に負けないが、勝つこともできない、ということだ。


「じゃあ、どうすれば……」


 あの獣を倒さなければもとの場所には戻れないだろう。それは渓汰にもわかっている。だが、その手段がない。自分ではあの獣を倒すことはできない。少女も倒せないと言った。


 色々な方法を考えていると、まだ繋いでいた手が強く握られた。渓汰が少女の方を向くと、少女は何かを決めたような真剣な顔で渓汰を見つめて言った。


「マスター。私に力を貸して」

「それってどう…………」


 どういうことか、と聞こうとしたが、その発言は少女から発せられた蒼く目映い光によって遮られた。

 右手は少女と繋がれているため、空いている左手で、光を遮る。

 光は強くなり、だんだんと少女の輪郭も見えなくなっていく。これ以上は耐えられないと、渓汰は目をつぶった。

 

 目をつぶっていて何も見えない中、少女と繋いでいた手に、何か重さが加わる感覚。

 まぶたの奥に見える光が弱くなり目を開くと、そこにいたはずの少女の姿はなく、代わりに右手には白く輝いた剣。


「なんだこれ?」

『マスター。私を使って』


 頭のなかに響いた少女と同じ声に渓汰は驚く。


「使ってって言われても、剣なんて初めて持つし、剣道なんてやったことないんだけど」


 剣なんて持っていたら、銃刀法違反でお縄にかかってしまう。ましてや剣道なんて一度も行ったことはない。なら、どうやってあの化け物と戦えば良いのか。

 渓汰は既に、少女が不思議な力を使ったり、急に剣になったりと、あり得ない状況について考えるのをやめていた。


『大丈夫。マスターは戦い方を知ってる』


 その時、いつのまにか起き上がっていた獣が渓汰に襲いかかってくる。先程と同じく真っ直ぐに突っ込んでくる。


 渓汰は不意を突かれた。

 さっきまで獣の攻撃を避けられていたのは、ずっと獣の様子を見ていたから動き出しも見ることができていた。しかし今回は違う。既に、獣は迫ってきている。不意を突かれた渓汰は焦りで動き出すのが一拍遅れていた。


「ギャァァァ」


 獲物を捕らえたというように、獣が叫ぶ。

 今度こそ死ぬ。そう思った渓汰の眼には景色がゆっくりと流れているように見えた。


(走馬灯?)


 しかし、死ぬ間際に見る走馬灯とは、少し違っていた。渓汰が見ているのは、今見えている景色に獣がこれから通るであろう空間が、ストロボ写真のように白く重なって映っていた。

 そして、その白い空間は渓汰の今居る場所と重なっている。

 その光景を視ている渓汰の頭のなかに、一つの行動が浮かんでくる。

 

 渓汰は反射的に左に二歩移動し剣を水平に構える。


「グギャ?」


 獲物を捕らえたと思っていた獣は戸惑いの声をあげる。目の前にあるのは、水平に構えられた白い剣。

 最高速度になった突進は停めることはできない。

 そのまま剣に触れ、獣は横に真っ二つになった。


「…なんだ…今の」


 渓汰は驚きを隠せない。

 頭のなかに、次に何をすればいいか浮かんできた事もそうだが、獣が当たったはずなのに、触れた感触が手に伝わってこなかった。

 それだけ、切れ味がよいのだろう。

 渓汰は自分が今持っている武器に恐怖を抱く。

 自然と体が震えてくる。


『マスター、まだ終わってない』


 少女の声が頭に響く。

 渓汰は後ろを振り向くと、そこには二つに分かれた獣。

 綺麗に切られた断面が少しずつ形を変えていく。

 輪郭が蠢いて、獣の形を作っていく。

 そして、二体の獣になった。


「「グルゥゥ」」


 二体の獣が渓汰に敵意を向ける。


「なんだよそれ!」


 渓汰は目の前の現象に悪態をつく。


 獣たちは渓汰に襲いかかろうとする。

 そして、渓汰の視界はまたゆっくりと流れていく。

 渓汰の視界には先程と同じように、獣が行動する空間が見えた。ただし、一体だけ。もう片方の行動は見えない。


「なんで?」


 理由がわからないまま、また頭に浮かび上がった行動をおこす。

 同じように左に二歩移動し、剣を水平に構える。


 すると、行動が見えなかった方の獣が飛び上がって上から渓汰が移動した位置に襲いかかってくる。


「嘘だろ!」


 咄嗟にその場から飛び退く。


 獣は渓汰がいた場所の地面を前足で叩きつける。

 衝撃で砕けた破片が渓汰の頬を掠める。


「はぁ、危なかった」


 まだ危険は去っていないのだが、目の前の危機から、逃れられたことに少し安心する。


「それに、この現象の謎もわかった」


 渓汰は獣との二回のやり取りで自分に起こった現象についておおそよ理解していた。


 渓汰の身に起きた走馬灯のような現象は、渓汰の脳がとても速く思考しているために相対的に周りが遅く見えてしまうというものだ。

 そして、渓汰の力の元は"知識"と"経験"である。

 人間に備わっている考える力、それが異常な高速思考と合わさってより異常になってしまった。

 渓汰の眼に見えていた白い空間は、渓汰が獣の行動を知っていたために見ることができた、単なる未来予測の結果だった。


「よし」


 渓汰は自分の意思で白い剣をを獣たちに向ける。


 この黒い空間の原因はわかっている。

 元に戻す方法も知っている。

 そして、手段も手に入れた。

 恐怖には慣れた。

 なら、大丈夫だ。


「さあ、ここから反撃だ。よろしくね」

『マスターの意思のままに』

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