共通シナリオ
「あー今日も代わり映えがなくて暇だなあ……」
「射花~!」
お母さんが私を探している。
「お母さん、どうしたの?」
「今日は書道教室の日でしょう」
いっけない、完全に忘れていた!!
【一章:呪われし刀】
私は書道の他に弓道、合気道、剣道を習っている。
その中でも書道が一番楽しみだ。
「はい、鞄」
「行ってくるね!!」
私の家は今時珍しい古民家というやつ。
家には倉庫、今はほとんど使われない旧寺子屋がある。
ちなみに旧寺子屋では書道家の秋次先生が無償で書道教室を開いている。
秋次先生はかっこいいな。
女の私よりも柔らかそうな髪におしとやかな立ち振舞いで。
倉庫の中に一本の日本刀がある。
レプリカだろうけど、本物なら許可とってるよね―――。
「刀からイケメンが出てきたり刀がイケメンになったりしないかなー」
オタク気味の友達が電信柱がイケメンに見えるとか言い出した時はさすがに泣きたくなったけど。
なんか、ちょっと、いいかも、たぶん。
「あるわけねーだろ馬鹿かお前?」
いきなり青がかった黒髪の見慣れない着物を来た男がつかつか歩ってくる。
めちゃくちゃ失礼なヤツ。
というか、なに人の家に不法侵入してんの。
「警察呼ぶよ!!」
「呼べるもんなら呼んでみな」
「明代なにをしているんです?通報しますよ」
にこやかに登場したのは秋次先生。なんて素敵な笑顔なの。
でも、この男と知り合いなんだ。
「おい通報しようとすんな。だいたいなんなんだこの女」
変な着物の男は私を指差す。
私はすかさず指をへし折ってやる。
「いっで!」
「なんだって…この民家のお嬢さんですよ」
「こいつが!?」
古民家が珍しいからって、私が政府高官の娘とか、実は社長の孫とか絶対ありえないこと言ってるわけじゃないんだから、そんなに驚かなくても。
「俺は陰陽師…モノノケを封印する仕事のモンだ」
…陰陽師って鬼退治のあれ?
リアルでお目にかかれるなんて…この人じゃありがたくないか。
「そこに刀、あんだろ」
「刀…あるけどさあ…ドロボー!」
「なにぃ!?まっとれ射花!!」
目で追えないほど素早い動きで、お祖父ちゃんがムカつく陰陽師をケチョンケチョンにのした。
「わーさっすが!!」
「じいさん…俺を弟子にしてくれ!!」
いきなり入って刀に目を付けたと思ったら、いきなりなんなのこの人。
「ワシは弟子はとらん主義でな」
「わー!ジジいかっけー」
見慣れない耳付き少年が手をパチパチしている。
「坊や、どこから来たのかな?」
「坊やじゃねーよガキ」
失礼なことを言われたけどどうにかこらえよう。
「ま、まあバハアよりマシ…かな」
「そいつは俺の式神、俺達人間の倍生きてんだ」
「式神?」
聞きなれない単語だ。
「ま要するに力を使って神、妖怪の類いをパシりにすることだ」
「あーだからパシってる人と同じで失礼なんだ」
一応は納得した。
「こいつと一緒にすんな好きでパシりやってんじゃねぇもん」
式神はうるうるしている。ちょっとかわいそう。
「…名代」
「刀寄越せ」
「なんで?あ、もしかしていわくつきだからお祓いに来たの?」
冗談だけど本当にいわくがついてたら面白いかも。刀を手にとろうとした。
「おもしろ半分で話題にするシロモンじゃねえ!」
『おまえ…れば…いなくなれ!』
「そっそんなに怒鳴らなくても」
怒鳴られて、嫌なことを思い出しそうになった。
小学校に上がる頃、誰かに殺されそうになったことがある。
お前がいなくなれば、すごい剣幕で言われたのがトラウマになった。
それ以来怒鳴られると頭が真っ白になって、少しの間何も出来なくなる。
「大丈夫ですか?顔色がすぐれないようですが」
秋次さんは心配そうに声をかけてくれた。
「あ、はい大丈夫です」
刀を陰陽師に手渡そうと、刀を手にとる。
「うわぁ!」
鞘に触れた瞬間、まばゆい光が。
頭の中に憎いと恨み辛みを語る男性の声が響く。
……ずっと聞いていると私にも相手がわからない憎しみがわいてくる。
だけど、この刀は渡せない。
渡しちゃいけないと誰かが告げている。
「……?」
刀はみるみる体に吸い込まれていく。
「なっ!?」
「これは一体…?」
明代・秋次はいま目の前で起きたことが信じられないといった表情で、驚愕する。
「あれ…?」
体に禍々しい刀が取り込まれたのに特になにも悪い影響が出ていない。
「なんだよ、変なもん吸収したから拒絶反応でも出たのか?」
「不思議なくらいなんもないよ」
自分のことなのに他人事のような感じ。
「明代、貴方はここにどんな要件が?」
「話聞いてなかったのか馬鹿野郎、幻夢刀を頭領に届けるんだよ」
「その幻夢刀が一般人の体内に取り込まれていますが?」
「そんなん知るか、普通の人間が触れても弾かれるどころか、姿は見えねえんだぞ?」
「彼女に刀が見えていた時点で気づかなかったんですか」
「お前も気づいてないからなにも言わなかったんだろ」
「我々には見えていたので、ついそれを失念しただけです」
秋次先生と明代の争いが延々と続く。
いい加減わけを話してほしい。
「射花!」
争いを止めたのは、彼が私を呼ぶ声だった。
「樹くん!久しぶり!」
彼は幼馴染みの三井樹。最近神社の神主になった。
だけど、彼のいとこの誰かが神主の座を取ったとか取らないとかでしばらく京都に行っていた。
「戻って来たんだね!」
「ああ、当然だ俺が役目を棄てて目の前の出世に靡くことなどありえん」
相変わらずなに言ってるかわからないけど、明日の弓の稽古には来るみたい。
「おい、誰だそいつ」
「この俺を知らんだと!?貴様!!キリシタンか!?」
「何処の殿様だよ」
「彼は三井樹くん、三井神社の元神主だよ」
「元ではない、光吉から神主の座を奪還したからな」
ふふん、得意気に胸を張る樹くん。
「三井神社ね…」
「光吉って紫倉光吉か!?」
「興紫津殿社の紫倉神社といえばその道では有名ですから」
「で、そいつはたしかその紫倉神社の三男か、大方三井神社が末端かなにかだろ?」
話についていけないから黙ってよう。
「失敬な、三井家は紫倉家当主の夫の出た家なのだぞ」
「つまり従兄弟ですか」
神社の名前なんて気にしたことないけど樹くんすごいってことにしよう。
「貴様等、何奴だ」
「私は秋次、書道家です。今日は担当の日ですから、いつものように参りました」
「ほう……翌日が違うから存在を知らなかったぞ」
樹くんはよく弓道を習いにくるが他では来ない。
「そして……」
明代のほうを困惑しながら見ている。
「見てわかれよ陰陽師だろ」
樹くんは秋次先生になにか言いたそうにして、明代のほうを向く。
「明代だ。見てわかれよ陰陽師だろ!」
「陰陽師…生臭僧侶かと思ったぞ」
「はー皆最初はそう言うんだよな俺は袈裟も着てねえしただの着物だっつの」
誰が着てても結局争いになるんだ。
「あのさ、ちゃんと説明し……「イリカさーん!」
いいかげん話してもらおうと切り出したけど、またもや来客に妨害された。
「あ、テイルさんハロー」
彼はふわりとした金髪と特徴あるタレ目が印象的な海外からきた人。
エクソシストとして町をパトロールしているらしい。
剣道の日は私と一緒に稽古している。
「がっ外人かよ…俺英語苦手なんだよ」
「こんにちは、剣道の日がいつなのか聞きたくて…」
「日本語ペラペラか」
家では書道、弓道、柔道、合気道、剣道をローテーションしている。
その中で私は柔道以外を全てやっている。
「金曜日だよ」
「ありがとう」
にこにこ、嬉しそうにスキップで帰って行った。
「それで陰陽師さん、刀がどうしたんですか?」
「はあ…面倒だが一から話してやるよ」
「大昔、出世に目が眩んだ一人の陰陽師は・人間の夢幻の紫という男を、鬼だと偽って封印した」
「陰陽師サイテー」
「俺じゃねぇ!!」
そうは言っても、嘘をついて酷いことをした陰陽師のせいで、陰陽師皆に悪い印象がついた。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという奴だな」
「坊主じゃねぇし」
「諺ですよ馬鹿明代」
「そんな名前じゃねぇよ」
「じゃあそのまま馬鹿と呼びますよ」
「あのー紫さんはどうなったの」
「紫は封印されたことで憎しみを募らせ、封印をされたままでありながら怨念を撒き散らした」
「でも平和だよね」
「刀は奴の化身、陰陽師のように力のあるやつは見える。触れれば拒絶されるか取り込まれるかの危険物だ」
「え?」
私のなかに入ったとき、なにも感じなかったけど……。
「とにかくお前のことは頭領に報告しておく」
明代は徒歩で帰った。陰陽師ならなんかすごい去り方してよ。
「では私はこれで、また月曜日に」
「はい、また来週待ってます!」
「なにやら大変だな、明日改めて会おう」
「うん、さよなら~」
私も部屋で宿題しよう。
火曜日。今日は弓道の日だ。
「こんにちは~よろしくお願いしますね」
弓道担当の高漬先生。
弓を持っているときは男らしくキリッとしているのに、よく小指や額を壁や扉の端にぶつけている天然さんだ。
この人はいるだけでフワフワしていて、場を和ませてくれるすごい人である。
なにやら写真を眺めながらにこにこしている。
「先生、その写真に写ってる女の子って」
変な服に、紙を人差し指と中指に挟んでいる私と同い年くらいの子。
美人だがなんだか目が死んでいる気がするのはなぜだろう。
「以前隣町ですれ違いまして、年下の方だと思うのですが…一目惚れしてしまいした!」
ウサギさんみたいな先生が恋バナをしているなんて…意外だ。
「きてやったぞ」
樹くんが久々に習いにやってくる。
しばらくして生徒が数人が集まった。
主に高漬先生目当てのガールズ。
的の真ん中を射るたび矢が折れて、それ等が粉々になる。
私は五回矢を放って五回とも中心を射抜いた。
「なぜだ…札は当たるのに…」
樹くんの矢はなぜか的に届かない。
樹くんの振り回す札を見て、高漬先生の写真の子はてっきり神社関係者だと考えていたけど、彼女の持っていた固そうな紙と、樹くんのペラペラでは厚みが違うことに気がつく。
「樹くん、薄い人形カルタみたいなのを使って戦う人って知らない?」
札使うってあたりが似ているから、知っているかも。
「カルタ……それなら陰陽師ではないか?」
答えがあっさり返ってきた。
「陰陽師って昨日のあれ?」
高漬先生はたぶん陰陽師の女の子に恋しちゃったんだ。
先生はどうするんだろう。老婆心が湧いてきた。
「奴等は平安の世で、忍と云う存在だったそうだが、近代はひっそり妖魔を倒しているらしい」
「そういえば、樹くんの服、平安の人みたいだよね」
「ワザとだ」
「自覚あったんだ!?」
素でなりきっているのかとばかり。
夕方になって、私はコンビニに行くため、家の外へ出た。
「2038円になります」
珍しいサーモンピンク髪の男の子がレジのバイトをしている。
地毛なのか、頭皮まで綺麗に鮭っぽい。
帰り際、ピンク髪の子とすれ違った。
黒髪の私は、たまにカラフルな髪に憧れるけど、染めたいわけじゃない。
ただあの二人の綺麗な髪色は羨ましい。
そんなことを考えていると、辺りが急に暗くなり、変な気配が背後からする。
《グアアア!!》
【二章:鬼の陰陽師現る】
「いや……」
案の定なにかまずい事態がやってきた。
刃物を持った化け物が、私に近づいてくる。
「失せろ!」
誰かが私を背にかばい、それを引っ掻いた。
そして化け物はいなくなる。
「怪我はしていないか?」
サラリと真っ直ぐな髪を、足まで長くした男性。
「はい!助けてくれてありがとうございました!」
「ならば良い」
「さっきの、お化けですよね?貴方は何者なんですか?」
「吾の名は壊梛鬼、鬼であり陰陽師でもある」
妖怪の代表的存在の鬼なのに、陰陽師なんて不思議な人。
「汝、名を言うてみよ」
「射花です」
壊梛鬼は私に名前を聞いている。
こたえると満足そうに去っていく。私も走って帰った。
【三章:お休みポッキリで妖怪現る】
水曜は柔道の日。私は柔道はやらないので、皆の見学をしていた。
陰陽師の名代は、どういうわけかうちの祖父に弟子入りしたいらしく、柔道を習いに来た。
習い事もないので、秋次先生に会いたいけど、先生の家を知らないので、ご挨拶には行けない。
その辺りをフラフラ散歩しよう。
向こうでテイルさんと壊梛鬼が親しげに話しているのが見える。
「射花さん」
「昨日ぶりだ」
「その髪邪魔です」
こちらを向いた壊梛鬼の髪がテイルさんにあたる。
「あはは…こんにちはテイルさん、壊梛鬼さん
二人は知り合いだったんですか?」
「いや」
テイルさんいわく、壊梛鬼がいきなり話しかけてきたそうだ。
しばらく二人と話し込んでいると、遠くから声がした。
「その娘から離れろ鬼め!」
樹くんがいきなりすごい力を使おうと札をかまえた。
「待って、彼は鬼だけど陰陽師なの!」
「はあ!?鬼は陰陽師に倒されるものであろうが…」
樹くんはなにかに気がついたように札をおさめた。
「どうしたの?」
さっきまで殺る気満々だったのに、どうしたんだろう。
「俺はあくまで神主、陰陽師ではない、よって鬼は管轄外だ」
なるほど、よかった。
「しかしエクソシスト、貴様は気に入らん」
「そうですか?どちらも神に使えるものなら似たようなものじゃないですか」
やっぱり樹くん、誰と話しても喧嘩になるな。
彼のお嫁さんになる人は苦労するだろう。
「私そろそろ帰るね。壊梛鬼さん、テイルさん、樹くんまたね」
私はゆっくり歩いて帰宅し、自分の部屋に戻った。
●
「まったく……奴等は仕事をサボっているのか」
封魔の札が次々に妖へ張り付き、辺りの邪気は祓われる。
■
「oh……参ったなあ……」
悪魔の封印を解いた身内の尻拭いはしたくない。
ただでさえ妹が離脱して、連れ戻さなければならないというのにだ。
【四章:頭領投了】
今日は合気道の日。護身の為にやってみたら相手が簡単に倒れるのが面白くてハマッたのだ。
「ここか…」
「壊梛鬼さん?」
なぜ、ここにいるんだろう。
「もしかして陰陽師の力で!?」
場所を探り当てたのかな。
「なに、近所で場所を問うたまで、力を使わずとも容易い」
それは裏を返せば力を使ったほうが早いんじゃないですか…。
「…奇異な身振りであるな」
彼のいた時代に合気道はなかったのだろうか、物珍しそうに観察している。
「やってみますか?」
「否、脆い腕を砕くことになる」
ああ、鬼だから人の腕は軽くポッキンってことか。
「じゃあ見てるだけでいいんですか?」
「良い」
壊梛鬼はいい鬼だなあ。
そもそも鬼って人間に角を着けただけなんだ。
ちょっと興味がわいたかも。
【五章:始まり】
学校に行く途中、今日は剣道の日だなあ。
なんて、考えていると、白くて長い綺麗な髪をした着物の人が、私を横切った。
「待って…君から力を感じる」
「へ?」
突然呼び止められ、思わず、間のぬけた声が出てしまった。
「君は陰陽師?」
「私は違います」
「でも、それと近い、力が感じられる」
「そういえば、4日くらい前に、私の中に呪いの刀が入っちゃったんですよね」
我ながらおかしなことをいっている。
すっかり忘れていたけど実際に起きたことだ。
「……知り合いに陰陽師がいる?」
「いますけど」
初対面なのに、いきなり話しかけられてる。
私は別に驚かないけど、普通の人ならびっくりするよね。
「じゃあ、学校が終わったらでいいですか?」
「うん」
素直に了承してくれた。
「あの、どうして学校についてくるんですか?」
「人は信用できないから」
「見つかったら、怒られちゃいますよ?」
「君が?」
「あなたがです」
生徒の私が怒られるわけない。
「男雪でいいよ」
「お雪さん?」
それにしてもすっごく、日本とも外国とも取れないくらい、美人だなあ。
「ただの人間には見えないよ」
「え?」
「僕は人が妖と言う存在だから」
」
妖怪…お化けだよね…初めてみた。
「驚かないの?」
「イメージと違ったんで…」
チャイムが鳴り、私は教室へ急いだ。
やっぱり、お雪ちゃんも私についてくる。
まあ、見えないならいいか。
●
今日は剣道の日だから、彼が来ているはずだ。
「テイルさん!」
丁度、玄関に入るところで、声をかけた。
「はい、どうかしましたか?」
テイルさんは目をぱちぱちとさせている。
「壊…この前のツノの人、どこにいるか知りませんか?」
彼のほうがあの陰陽師より会える確率が高そうだ。
「すいません、わかりませんね……」
残念だなあ。お雪ちゃんごめん。
「呼んだか」
「うわああああ!」
と思っていたらいきなり探していた彼が現れた。
「あの…実はかくかくしかじか」
「成る程、さっぱりわからん」
手抜きは止めて、お雪ちゃんのことを話した。
「…ふむ、無理だ」
「え?」
「如何に陰陽師であっても、鬼なのだ。妖怪を使役など滑稽な話であろう」
「でも、鬼って妖怪と百鬼夜行とかそういうのをするんじゃ…」
「正直に言いなよ、氷雪が怖いって」
急に知らない人があらわれた。
モデルのように綺麗で、高そうな和服を着ている。
長い髪を後ろに流して輪のような形にしている若い男性。
「いきなり入ってすまないね、刀姫」
彼は不法侵入の先駆者の誰かとは違って、人あたりのいい笑顔を作る。
「私の名前は射花です」
「海豚?」
―――わざとやってるのかな。
「ふざけてごめん。君に話があるんだ」
彼は先ほどとはうって変わって、きりりと真剣な顔になった。
「…はあ、大変なことになっちゃった」
昨日は陰陽師のお偉いさんが来た。
これから刀を身に宿す私を狙う妖怪が、沢山現れるようになる。
そんなことを言って、ニコニコ笑って帰ってしまった。
それで、私を守ってくれる陰陽師を選ぶことになった。
どうしよう。皆細身で美形で見た目が強そうなムキムキの人がいない。
いやいや、陰陽師はお札で戦うんだから筋肉は関係ないよね。
私ったら何考えてんだろ。
「あ?」
名代か紫髪の人が強そうだと感じた。
「良ければ私も、候補に入れてくれませんか?」
「秋次先生!?」
「え…でも先生」
迷うなあ。秋次先生を選びたいけど、先生おしとやかだし、私を妖怪から守るなんて危険なことさせられない。
「返答に困るよな、こいつ筆より重いもん持てなそうで弱そうだもんな」
「名代、そんなことを言うと頭領の座を私が貰うことになりますよ」
「…冗談だ冗談」
「うーん」
◆どうしよう。
【明代にする】
【秋次にする】
【もう少し考える】