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光が収まると、そこは高校の体育館2つ分のホールのような場所だった。
机、椅子、授業で使っていたものはすべて無くなっていて全員地面に座っていた。おそらく、今日学校に登校していた生徒全員が。
逆に言えば、生徒だけしかいない。教師はどうやらこの召喚の対象外だったようだ。ちなみに見たところいるのは1、2年生だけ。3年生は今日は登校日ではないのだから当たり前だが。
(「今のところ起きていれたのは俺を含めて18人か」)
俺は、ポケットの中に手を入れて、そこにあるものがあることを確認した後、起きているうちの中で、良く話す3人を見つける。
「大丈夫?」
俺が話しかけると、3人中2人は一瞬驚き顔をこわばらせたが、声の主が俺だとわかると、安心したかのように緊張を解いた。
「なんだ、千浦か。驚かせるなよ」
そう言って軽くたたいてくるこいつは、山中俊哉といって、サッカー部の2年エース、といったポジションらしい。実際、運動神経は並外れていいし、俺なんかじゃ本来は体育の授業でも手も足も出ないような相手だ。
「千浦君も起きてたんだ。よかった……」
女子の中でも背が低めでしかしでるとこはでてるこの人は、佐藤奈々葉。クラスの男子からはロリ巨乳とか影でいわれているが彼氏持ち、というか俊哉の彼女だ。図書委員会に所属していて本が大好き、性格も穏やかだが、俊哉いわく夜はドSだとか。
「秀さんが目覚めてるなら安心ですね」
「いや、白凪さん、俺は秀だからね?」
なぜかしゅうではなくひでと呼んでくるこの人は、鳳白凪。この人はいわゆるアルビノで、白髪赤目。本人曰く純日本人らしいが顔立ちが日本人離れして整っているというか、まあ、真偽は俺でもわからなかった。
「ふふ、わかってますよ」
本当にわかっているのだろうか……?
「それで千浦。これはどうなってると思う? どっかのホールみたいだけど」
「あの発光かなにかで眠らせられてどこかのホールに連れ去られた、といったところが現実的に考えて妥当だと私たちは考えましたが……」
白凪さんは、そういいったものの続けてこういった。
「ただ、起きている私たちは3人は発光で目を瞑って目を開けたらここにいた、といった感覚なのが腑に落ちませんね……。秀さんはなにか思いつく可能性はありませんか?」
「異世界転移とか召喚って、私は考えちゃったけど、シュンにラノベの読み過ぎって言われちゃって……」
どうやら中庭の発光は他のクラスである白凪さんや俊哉にも見えていたらしい。それに、目を瞑ったらここにいた(俺の場合は瞑らなかったが)、という感覚も同じらしい。ちなみに佐藤は同じ2年C組だが、他の二人は2年D組なので違うクラスだ。
それはともかく、このままだと少し危ない。
「そうだね。案外、佐藤の異世界召喚、っていうのが当たってそうかもね」
そういって、俺は3人を押し倒す。
「え!?」
「ちょ、男に押し倒される趣味はないぞ!?」
「あら」
「黙って」
俺は小声で3人に言ったのとホールのおそらく後ろ側にあった扉が開くのはほぼ同時だった。