起きて幼女を確認してみました
きゅ・う・じ・つ!
ふと浮き上がるような感覚が湧き上がると同時に体が活力を少しずつ取り戻していく。
沸々と鍋の底から空気が生まれるような感覚と共に魔力が体に巡り行き、光が瞼を透過するように赤い光景を映し出す。
ああ、どうやら俺は寝ていたらしい。
「あ、おじちゃん!お兄ちゃんが起きそう!」
ふと、聞き覚えのあるようなでも聞いたことの無いような明るい声が耳へと届く。
誰、と思うと同時に答えが直ぐに帰って来た。
無事に蘇ったのだと思うと同時に起きかけの目から大量の水分が出て来そうになる感覚を堪えながらゆっくりと目を開ける。
「おはようお兄ちゃん!」
イヴという幼女が元気に俺の前で微笑んでいた。
「おお、ヨハン様。流石に低レベル帯での死霊魔法の行使は負担が大きかったようですな。もうしばらくは起きられないかと思い心配しましたがいやはや魔物とは丈夫な物ですな」
「いや、そうでもないみたいだぞ」
今ステータスを確認してみたが戦闘力にマイナスの数値が付いてからな。
『名前 ヨハン
レベル 3
戦闘力 9(-10)
スキル 【ダンジョン操作】【魔力精密操作】【死霊魔法】』
ボルツのおっさんが言うには俺のレベルが足りないせいで起こっているのだとか。
もしくは死霊魔法の熟練度が低いせいで起こっているのだろうとのことだ。
まあ、生き返らせることのできる能力に魔力以外に何の対価も入らないというのは虫のいい話ではあるよな。
それを考えれば半分しか戦闘力が下がらないのは破格の能力であるかもしれない。
「ねえねえお兄ちゃん、今弱くなってるんだよね?お兄ちゃんのお蔭であたし、凄く強くなってるみたいだから頑張るからね」
地べたに座って話し合う俺の腕にくっついて隣でニコニコと上機嫌で話しかけてくるイヴだがこの子は随分とぶっ飛んだ力を手にしていた。
『名前 イヴ
レベル 1
戦闘力 52
スキル 【短剣術】【身体能力強化】【魔力操作】【死霊】【回復量増大】【日中適応】』
魔物としては生まれたばかりなのでレベルが低いのは分かるが恐ろしいのはその戦闘力と戦闘スキルである。
改めて言うが、イヴは紛れも無い幼女である。
間違っても見た目が恐ろしく若い年齢が高い女性などでは無い。
「いや……このスキルや戦闘力があったからこそ今まで生きていられたのか?」
「でしょうな。後数年あればさらにレベルも上がり、戦闘力も桁違いに上がり、スキルもさらに増えていたとなれば……国内でも頭角を現していたでありましょう」
隣を見てイヴを確認してもどう見ても戦えれるようには見えない。
既にお腹からは刃物……軍用ナイフらしき無骨なナイフは抜かれてその辺に放り捨てられている。
しかしお腹にはもう傷口は見当たらないのは魔物として生まれ変わったのと【回復量増大】というスキルのお蔭だろう。
「ね、あたしは強くなったんだよ。お兄ちゃんのために頑張るからね」
どうやらイヴは尽くす女のようだ。
幼女をゾンビと戦闘させる後ろめたさは感じるものの、ステータスが半減している俺とボルツのおっさんだけではダンジョンを走りまわるのは如何せん厳しいものがあるので正直助かるのはほんとだ。
「だーい好きだよ、あたしのお兄ちゃん」
死んだはずの瞳には生者よりも強い光が帯びている。
笑いかけるイヴに何故か寒気を感じてしまうのはぬくもりが感じられなくなった体に直接触れているからなのかは俺には分からなかった。
最近の幼女はどうやらブラコンのようです。