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幼女、黒い幽霊に恐怖する

「ジャック!お前は後ろに回りこんでロッキーと挟撃しろ!」

「おうよ!」

「クロックは弓でジャックが回りこむまで援護だ」

「分かったっ」

「俺は様子を見てフォローする……じゃあ行くぞっ!」


「……何かあれを見てると戦ってるって感じがするわね」


 現在すでにトゥース王国を出て旅をしている最中である

 国外に出た途端魔物がそこらを徘徊している……という事はコリーア大森林の近くのため無かったが、何故かゴブリンと結構出くわした。サヨ曰く幻獣のおかげで強い魔物が近寄らないのでトゥース王国周辺は弱いゴブリン達には住みやすい環境なのだろうとのこと

 ゴブリン共は幻獣を恐れないのかと思ったが、手を出さない限り無害と知っているのかも


 で、そのゴブリンの連中と戦闘中の冒険者達に出くわしたため私達はとりあえず戦いが終わるまで邪魔にならない様に離れた位置で終わるのを待つ


「何も道のど真ん中で戦闘しなくてもいいのに」

「見晴らしがいいからですよ、わざわざ不利になる山や森の中で戦う馬鹿はいません」

「助けなくていいんですか?」

「別に手助けしないといけない程の相手ではありませんよ。それにああいう連携がとれているパーティに加勢すると逆に混乱させてしまう恐れがあるので離れた位置で待機する、というのが冒険者の中で暗黙のルールとなっています」


 それは何か分かる気がする。ペットの話で盛り上がってる時に遅れてきた奴が空気読まずに恋愛話しだしたら腹立つみたいな感じだ。いや何か違うわ

 そんな事考えてるうちにゴブリン達は大分やられてきた。あと少し待てば終わる事だろう


「たかがゴブリン相手に本気出しすぎね」

「ゴブリンは群れをなすので普通の冒険者にはそれなりに厄介な存在ですよ」

「サヨは元亜人達のリーダーとしてゴブリンに加勢しなくていいの?」

「ゴブリンを従えた覚えはありません。奴らは勝手に着いてきてただけです」

「まぁ大方楽に苗床でも手に入れようと思ったんでしょうね」


 そうだったのか……てことはオークも同様に勝手に同行して似たような事を考えていたんだろう。ぶち殺しまくってよかったわ


「お姉ちゃん、苗床ってなんですか?」

「サヨにでも聞きなさい」

「何で私に……苗床っていうのはぁ……そこの事です」


 サヨが指差したのはマオの股間……自分でふっといて何だけどやめろ。マオは何のことやら良く分かってない様だけどそのまま知らなくていいわ

 サヨが下品な事を言ってユキが説教しているところで向こうの方で歓声が聞こえてきた。冒険者達が無事ゴブリン共を倒したようだ、これで先に進める様になった


「ゴブリン相手に本気出すのはどうかと思うけど、ああいうリーダーっぽい指示するのは面白そうね」

「ちい姉はリーダーなのに今まで指示してないの?」

「そりゃしてるわよ」


 あんな真面目にした事はほぼ無いけど……大体が「やっちまえ」とか「お願い」の一言で終わる。これは指示と呼べるのだろうか……敵が強い場合はそれなりに頑張るけど

 ふむぅ、私もそろそろ指揮能力を高める必要があるかもしれないな……


「トゥース王国ではあの実験体を相手に不甲斐無い戦いをしたわ、もう少し実力をつけなきゃいけないわね」

「確かに……私も負傷なんぞしてしまいました」

「それは私のせいで片腕ふさがれてたからだってば」


 厄介そうな奴はなるべくスルーするつもりではあるが、巻き込まれる時は巻き込まれる。相手が強敵の場合、私の指示が生死を左右するかもしれないしやはり鍛えるべきか

 今のままでも大体の相手は余裕だが、どんな奴にも敗北はありえないというくらいパーティを強化してやろうじゃないか。頑張らないフィーリア一家は生まれ変わるのだ!


 ……頑張らないフィーリア一家が何を頑張ろうとしてるんだろ


「面倒くさいから実力をつけるとか止めましょう」

「流石は姉さん。自分から言い出して何もせず終わった」

「うっさい。とっととフォース王国行くわよ、一ヶ月はかかるんでしょ?」

「二ヶ月はかかります」

「そんな馬鹿な……」


 優秀なぺけぴーの脚力をもってしてもそんなにかかるのか……今は何だかんだでもう8月も終わりに近い、フォース王国に着く頃には寒くなってるなぁ


「普通に行くなら半年はかかりそうね……世界を旅する冒険者は大変だわ」

「最低でもその位はかかるでしょうね。実際は魔物との戦闘など移動以外に時間を費やすのでもっとかかるかもしれません」

「過労で死ぬわ」

「中継都市が何箇所もあるのでちゃんと休めば大丈夫でしょう。怪我をした場合そこで長期間足止めされる冒険者も多いですね」


 ならトゥース王国からフォース王国に行くのに一年以上かかるパーティも居るんだろうな。そこまでして他国に何しに行くのか分からんけど


「そんなこんな話してる間にゴブリン達に囲まれてますけど?」

「メルフィの牝犬の匂いに釣られてきたのね」

「違う」

「先程のゴブリン達の仲間でしょうね」


 増援か……あの冒険者達はすでに出発したようで姿は見えない。つまり私達は奴らのとばっちりを受けたのか。面倒だがちょうどいい、私の指示が奴らのリーダーに負けないって事をこの場で証明してやろう


「私が指示をするから任せなさい」

「ちい姉どしたの?さっきゴブリン相手に本気がどうとか言ってたのに」

「人数増えたからね、ちゃんと指示出さなきゃいけないのは事実、だからコイツらで練習するのよ」


 一気に人数が増えたのだ。雑魚相手に訓練して損は無い。アリスの実力は不明だから指示出すのも難しいが……


 皆それぞれ位置につきゴブリン達を迎え撃つ準備が整ったので始めるとしよう


「よし……行くわよ!まずはメルフィね……3歩ほど私達の前に出てその場でジャンプし続けなさい!……そう!そのままたゆんたゆんして敵の視線を釘付けにするのよっ!いいおっぱい!

 敵の集中力が切れたところでユキとサヨが左右に分かれて挟撃……と見せかけて反復横とびっ!おお……流石奇跡人、目で追うのもやっとな見事な反復横とびよ!


 メルフィに向かってくる奴が居るからマイちゃん吹っ飛ばせっ!マオもメルフィを守る盾になるように前に出なさいっ!そうよ、その位置でいいわ。そしてそのままレッツ・ダンスィングッ!!

 いい、いいわマオ!最高のダンスよ!今のあなたは戦場一輝いているわっ!そのまま腰を振る動作を増やして踊り続けるのよっ!


 ここでペドちゃん休憩タイムっ!ルリ、紅茶を淹れてちょうだい。……うん、美味しい。アリス、私を癒すためにくるっと一回転してスカートの裾をつまんでお辞儀するのよ!……きゃー、アリスちゃん可愛いー


 癒されたところで再開っ!私の作戦のおかげで見事にゴブリン達が混乱しているわ。というかこの異様な光景に警戒しているわね……サヨ、油断を誘うためにやられたフリをしなさい!」


「ウワー、ナンテコッタイ」


「OKよ!クソみたいな演技だけどチャンスと思ったのかゴブリン達がサヨに向かっていくわ、すげぇ馬鹿。ここで反撃っ!……することはなくゴブリン達にエロい事されるサヨが見たいっ!……あ、サヨ!なに私の指示を無視して無双してんのよボケっ!

 まあいいわ、ユキっ!反復横とびなのにゴブリンを吹っ飛ばしてるのは見事よ!私達の方に狙いを付けた馬鹿がいるからそっちも横とびでお願いね


 マオ、貴女はそろそろフィニッシュといくわよっ!たゆんたゆんしてるメルフィの横に移動して自分の中で踊りを締めたらお尻を突き出すっ!……ナイス、素晴らしいっ!至高のおっぱいと至高のお尻、夢の共演であるっ!


 ……ユキ、満足したから適当に倒しといてー」


 ふぅ……いい指示出した。頑張ったあとの紅茶が美味い



☆☆☆☆☆☆



「何ですか今の」


 ゴブリン共を殲滅した後にサヨが発した一番の台詞がこれである


「リーダーとしての指示じゃない」

「9割以上必要ない指示でしたよ」

「わたし踊ってただけなんですけど……」

「私に至っては跳ねてただけ」

「可愛いの言葉をもらった私は勝ち組って事だねっ!」

「ワシは紅茶を美味しいと言われたぞ」


 何故か不満そうな奴の方が多い。マイちゃんを見習え、何の文句も言わずに従ってくれたぞ


「私としては例え相手が雑魚であろうと命の奪い合いをしている時は真面目にするべきと思いますが」

「私はいつも真面目にふざけてる」

「ダメじゃないですか」


 とか文句いいつつ楽しかったくせに……下手くそな演技を披露したのはどこのどいつだって話だ


「まぁお母さんは本当にヤバそうな相手にはかなり真面目ですから大丈夫でしょう」

「貴女はお姉様に対して甘すぎ……まぁ事実でしょうから今回は見逃しましょう」

「と言いつつお母さんに嫌われたくない姉さんは今後も見逃す筈ですからご心配なく」

「こ、この変態愚妹はっ……」


 ほほぅ……愛い奴よのぉ。ふざけるのを止めるつもりは無いが少しは自重してやるとするか。まぁ今回の様に戦闘中に遊ぶことはあるまい……同じネタやってもつまらんだけだし

 話も終わったところでまたゴブリンに遭遇しない内に先へ進むとしよう



★★★★★★★★★★



 あれから数日経ったが進めど進めど道ばかり、途中に中継都市ではないが簡易的な休憩所があるだけで後は山や森や草原だけだ。どれくらい進んでいるのかすら不明である


 道中暇すぎてマオがやりたかった遊びの一つかくれんぼをやってみた。ユキは御者をしてたので不参加だが、他の面子は全員参加だ。ただのかくれんぼなので奇跡人だろうが悪魔だろうが有利不利は無かったのだが、一人だけ厄介な奴がいた……それはアリスだ

 幽霊だけあって姿を消せるので見つけるのが難しすぎる。というか隠れた後に姿を消すとか反則じゃないか?

 私は直感で何とか探し当て、サヨは探知魔法で仕方なく探し、メルフィとルリは精霊に隠れた場所を聞いて見つける事が出来た


 ただ一人、マオだけ見つけられなくて泣いた


 結局姿を消してはいけないというルールで再度始めたのでマオはアリスを無事に見つけられて終わった。アリスのせいでかくれんぼ如きに要らん労力を使わされたわ


 そんなこんなで更に数日が経過。現在は誰が作ったか不明な冒険者の為のキャンプ施設らしき場所にて休憩している。もちろん私達以外にも何組かのパーティがいるのだが、私達に比べて人数がやはり多い


 本来なら休憩なんぞまだ必要ないのだが、道中に暇意外にも問題が発生した事でこうして休憩をとっている。

 その問題とやらはぺけぴーの事だ。ぺけぴーはあの部屋をやたら気に入った様でしょっちゅう絨毯の上で寛ぐようになったのだ。おかげで休憩回数が増えて進行が大分遅くなっている。ぺけぴーの部屋を作ったのは失敗かもしれない


「ぺけぴーの根性を鍛えなおすべきじゃない?」

「いいじゃないですか、急ぐ旅でも無いですし」

「サヨ姉はここまで気に入って貰えると職人冥利に尽きる、って言ってた」

「あの娘は職人担当じゃないでしょ。しっかし暇ねぇ……確かガイドブックあったわよね?ちょっと見せて

「姉さんが持っていたと思います」


 ならサヨの部屋に行くかな。最近部屋によく篭っているが何をやっているのやら……一応サヨの部屋に行って来ると告げてから居間を出た

 で、サヨの部屋の前まで来たわけだが当然ノックせずに突入する


 中に居たサヨは全裸になって寛いでいた。何だこの全裸一家


「自分を解き放ってる時に悪いけど、ガイドブック探してるの。持ってるでしょ?」

「この幼くも美しい裸体を見ておいて感想無しですか……ガイドブックなら持ってますよ、ちょっと待って下さい」


 本棚に向かったサヨはあからさまに尻を突き出しこちらに見せつけながら本を探し出す。どうしよう……何か無性に腹立つから奇跡すてっきを差し込むべきだろうか


「有りました。フォース王国周辺ので宜しかったですよね?」

「えぇ……で?何でメルフィみたいに裸族を目指してるわけ?」

「ただのお風呂上りです。最近自分で作ったお風呂に入るのがマイブームでして……暇さえあれば入ってますよ」

「風呂上りだとしてもタオルぐらい巻いとけパイパン」

「パイパンは止めて下さい。別にお姉様になら見られても構いませんよ……どうです?この白く輝く美しい身体が湯上りで火照っている色っぽさ、胸部に存在する慎ましき山頂にある桜色」

「自分で言ってて頭悪いと思わない?」

「そう扱い悪くされると悲しくなります……分かりましたよ、服を着ればいいんでしょう」


 やれやれ、とまるで私が悪いと言いたげな様子でいつもの服を着るサヨ。だがぱんつ穿かなかったのを私は見逃さなかった。こいつ私の忠告を無視して未だにノーパン生活してやがったな……


「その服に下着は着けないってのは聞いたけど、ちゃんと穿けよ無毛」

「あまり私の股間を苛めない方がいいです。袴の下は何も着けない方が落ち着くんですよねぇ」


 袴ってのはその青いズボンのことか、衣装全部あわせて巫女服って言うと思ってたから少し意外。その後はちゃんと下着を着けてから袴を穿きなおした


 ぱんつ穿いたサヨにガイドブックを受け取る。せっかくだしサヨの部屋で本を読んでいこう、返しにいくの面倒くさいし




「むぅ……やっぱロクな場所がないわ」

「あぁ、確か地下迷宮ではありませんが、50階ほどの塔があるようです」

「へぇ……」

「名前はコリャマイッタワーと言いまして」

「待ちなさい、それはふざけてる?」

「真面目ですが?この前ダンジョンには練習として行ったので今度は塔に行くのもいいかもしれませんよ。場所がフォース王国寄りなので依頼の蜂蜜を入手した後になりますけど」


 なるほど……難易度を一つ上げた場所を探索しようってのか


「死亡率は98%と高く、最上階まで辿り着けた者は居ないかもしれません」

「ふざけた名前のくせに鬼畜すぎでしょ。何で一回簡単なダンジョン行った次が難易度ハードな塔になんのよ、確かにコリャマイッタワーね」


「ハハ、ウケルー」

「うるせぇよ駄蝶」


 たまに喋るとこれである。やはりマイちゃんには教育が必要だと思う


「小一時間もすれば夕食ですね、続きはリビングで読んでは?……そうですね、ガイド本の類はリビングに全て置いておきますか」

「それがいいわね、しょっちゅう読むだろうし」


 決まった所でリビングへ行こう……居間とかリビングとかややこしいな、いっそどっちかで統一しようか

。よし今後は高級そうなリビングと呼ぼう

 サヨが亜空間にガイドブックに分類される本を詰め込んだところで部屋を出た


「お姉様は家の中というか室内では普通に歩かれますよね」

「極端に足腰弱くなったら困るからね」

「そうですね、まぁ室内だけと言わず外でも多少は運動すべきですが」


 ウチのお節介その2も小うるさいこと……?


「……お?」


 何やら胸騒ぎが……というか動機が激しくなってきた。別に病気というか具合が悪い訳ではない。いわゆる嫌な予感という奴だ、しかもこれは中々危険な――


「どうしました?」

「あー……ちょっとね、さっさとリビングに行きましょ」


 こういう直感当たるんですよー……スルー出来ればいいんだけど




 リビングに戻ると料理中だったユキを含め全員集合させた。今から緊急時に備えて家族会議をするのだ

 私は久々にマオの太腿の上に座る、ソファーがあるのに何でかと言えば何となくである


「何事でしょう?」

「んー……まぁ私の直感がここはヤバイと告げるわけよ、ただ今更移動しようにも時間が無い」

「それほど警戒する相手……一体何者ですか?」

「さぁ?出てくれば分かるんじゃない?相手が分かるほど私の直感は優秀じゃないわ」

「いえ、私の探知に反応の無い者を事前に察知するなどそれだけで優秀ですよ」


 これで何事も起きず気のせいでしたっ!……で済めば私が格好悪いだけで終われるんだがなぁ

 終わるわけ無いわな、もうすでに近くまで来ている気がするし


「……っ」


 近くどころかリビングにある窓の向こうにヤバイ奴らしき姿が見えていた。そいつを見た瞬間こりゃアカンと直感が呼びかけてくる

 黒くボサボサになり伸び放題になっている髪、身にまとった黒くこれまた長い布をズリズリと引きずりながら歩く半透明のモノ……もしかしなくても噂の幽霊じゃないか?

 あれを見てから恐怖からかやたら身体が震えている……


「はひ……おばけです……」


 訂正、震えていたのは座椅子になってるマオだった


「アリスだって同じじゃない。噂通りならちょっかい出さなきゃ大丈夫でしょ……どう?ユキがギルドで聞いたって言う情報通り?」

「そうですね……少女なのか判別が難しいですが、多分あれが件の悪霊でしょう」

「ほほぅ……あれが800万。どうします?」

「どうもしない。あれは貴女達でもどうこう出来る奴じゃないわ」


 トゥース王国で会った実験体の比じゃない。ユキとサヨでも倒すのは無理、ではないかもしれないが厳しいだろう。あれは奇跡ぱわーでも使わないと無傷では済まない


「あれには精霊が近付かぬ……精霊が寄り付かない様な奴は大抵厄介な奴じゃ。主殿の言うとおり放っておくのが無難じゃろう」

「なら大人しく通り過ぎるのを待ちましょう。こちらに来ません様にと祈りながら待つのもスリルがありますねぇ」


 余裕ある者もいるが私は余裕無い組だ。黒い幽霊はノロノロとした速度で馬車を通り過ぎようとしているが、あまりに遅すぎて待っているのも苦痛である

 しかしこちらに気付いて向かってくる……何てお約束は無く、時間はかかったが無事に視界から消えていってホッとした。私の勘も一応危険は去ったと言っているので何もしなければ大丈夫な筈


「……はぁ、世の中危険すぎでしょ」

「しかしお姉様がここまで恐れるあの幽霊は一体何者だったので……」


 サヨの言葉は途中で止まった。別に幽霊が現れたって訳じゃない

 外からキャンプ場で休んでいた他の冒険者達のものであろう悲鳴やら絶叫が聞こえてきたのだ。800万なんぞに目が眩んだのかちょっかいをかけたのだろう。だが戦うならもっと離れた所でやってくれと思う


「自業自得ね。断末魔を聞きながら夕食でもとりましょう」

「では料理の続きをしてきますね」

「食べられないけど私の分もちゃんと用意してねっ!」

「アリスの分は私が食べる」


 すでにいつもの雰囲気に戻っていた。私達はそれでいい

 知らない奴らなんぞ知った事ではない。せいぜい生き延びてくれと思いながら、未だに震えて鬱陶しい座椅子、もといマオをどうにかしようと思った

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