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幼女、幽霊に遭遇する

「……あー、そういやここは宿じゃなくて馬車の中か」


 起きたらベッドで寝てたから勘違いした。まぁ勘違いするのは最初だけで慣れていくんだろうが……

 どうせ皆起きてるだろうしリビングにでも行くか……やっぱり馬車の中でリビングってのはおかしいな


 リビングに入るとやっぱり何人か居た。全員いると思ったけどどうやらサヨとメルフィは自分の部屋にいるみたいだ


「おはよう。流石は神木製というか、心なしか快適な目覚めだったわ」

「おはようございます。それは良かったですね」

「お姉ちゃんおはようです」

「おはのじゃ」

「勝手に新しい挨拶を作らないように」


 ルリはのじゃの使い方がいまいち分かってなかった


「朝食は食べますか?」

「まだ朝だったんだ……んー、紅茶だけちょうだい」

「かしこまりました」


 うーむ、やはり馬車を豪華にして良かったな。優雅な旅が出来そうで良きかな良きかな

 ユキ以外の皆が寛いでいるソファーに腰掛けふと思った


「こんなふかふかソファーがあるならマオ必要無いわね」

「…………要りませんか?」

「ふむ……要るわね。外の店では硬い椅子だろうしその時は座らせてもらうわ」

「はいっ!」


 マオの表情に不安は全く無かった。いつもの冗談だと気付いたみたいだな、成長したようで何より。次はもっと違う手法でいじめよう

 クイクイ……と反対側に移動してきたルリに袖を引っ張られる


「なに?えらく不機嫌な顔して」

「何故ワシがおるのにユキ殿に紅茶を頼んだのじゃ?」


 それか……ルリが物申したと同時にユキが紅茶を持ってきてくれた

 私はそのまま飲まずにルリの方へ渡す。渡されたルリは何のことやらと首を傾げている


「ルリの作る紅茶はハッキリ言って不味い。だからユキが淹れた紅茶の味を覚えなさい……そして次からはその味で作るように」

「そ、そういうことか!分かったのじゃっ!…………あっつぅ!?」

「淹れたばっかの紅茶を一気に飲むからよ馬鹿」

「ふぁい……」


 その後はちびちび飲み続け、味というか成分というか……とりあえずユキの紅茶を覚えたっぽいので新しいカップを出してもらってルリに作らせてみた


「……ふむ、熱さもいいし味もいい。合格」

「良かったのじゃ……」


 まったりは出来るが空き時間の暇さは変わらないな……本を仕入れたいけど、一冊買うだけで結構な値段するんだよなぁ


「ねぇユキ、今所持してる本って何冊ぐらいある?」

「えぇと……『美味しい母娘料理』に『母はお胸に娘はお尻に』と後は」

「誰が貴女の性癖が分かる本を暴露をしろと言った」

「しかし普通の書物となると二、三冊くらいしかありませんよ?」

「ダメじゃん。ユキのエロ本ばっかじゃない」


 ユキは駄目だ。主に頭が……流石にお小遣いとか自分のお金で買ってるんだろうから文句は言えないけど

 本ならサヨも持ってそうだが、あの娘の事だから戦いに関する本か呪術に関する本ばっかな気がする。となると残りはメルフィだが……実家は貧乏だったみたいだけど、転生前に買い込んでたりしないんだろうか?


「ちょっとメルフィの部屋に行って来るわ」

「わかりました」


 マオとルリはふかふかソファーでだらけているが、あの調子で堕落しないで欲しいものだ。まぁ休める時は休むべきか、昨日まで大工仕事を手伝っていたし……むしろ一番堕落しているのは私だ


「こりゃ早いとこ次の国にでも行かなきゃここでダラダラ過ごしてしまいそうね」



☆☆☆☆☆☆


 メルフィの部屋の前まできてノックをしようと思ったが止める。ここはいきなりドアを開けて着替え中でした、って感じのお約束をするべきではなかろうか


「という事でお邪魔します」

「……例え姉さんでもノックはすべき」

「次からそうするわ……にしても良いおっぱい」


 メルフィは何故か全裸だった。別に着替え中という訳でもなく全裸だった

 全裸で椅子に座って本を読んでいる……この慣れた感じからすると全裸の常習犯だったと思われる


「私はメルフィは常識のあるまともな奴と思ってたけど違ったのね。私の家族は変態が多い」

「……違う」

「違わない。私の目は誤魔化されないわ、その堂に入った姿……ずっと前から全裸生活してたでしょ」

「してたけど変態じゃない」


 全裸生活とか変態だろう……常識的に考えて


「私は裸になるのが好きなんじゃなくて、服を着るのが苦手なだけ」

「何で?」

「こう……締め付けられるのが嫌、最初悪魔として生まれた時は何も着てなかったし」

「そりゃカバだし、てことはエルフの時も全裸エルフとして暴れてたの?」

「人前ではちゃんと着てた」

「……今も人前でしょうが」

「姉さんだし……ここに居るのは家族、なら別に見られても平気」

「私はユキに裸見せるとか嫌」

「姉さんの場合は事件が発生する恐れがあるから見せない方がいい」


 幼女の裸に興奮したメイドが襲い掛かるという事件が発生しました。うむ、容易に想像できる


「ところで何読んでるの?」

「サヨ姉に借りた本、内容は呪術関連と封印系の魔法。もしかしたら私が知らない事も書いてあるかと思って」

「例の封印の話ね、でもあれは私が解くから勉強する必要ないんじゃない?」

「あれは強力だから……姉さんが払う気絶という対価だと数年どころか数十年は気絶したまま過ごす事になるかもしれない。それは私としても心苦しい

 そこでこの前言ってた転移の話、転移符を補助として転移したら気絶時間が大幅に短縮されたと。なら封印を解く時も補助となる道具か、もしくはある程度まで壊せるのなら代償も少なくて済むはず」


 確かに、代償が少なくて済むなら私としても喜ばしい。姉の為にがんばるメルフィには礼として乳でも揉んでやろう


「でも流石に数年とか気絶しないと思うなぁ……ユキを生み出した時だって2ヶ月ぐらいで済んだし」

「……2ヶ月?生命を生んどいてたった2ヶ月?……姉さん、それは有り得ない」

「実際2ヶ月で起きたわよ」

「生殖行為を無しに生命を生み出すなんて神の領域、身体を創るだけなら確かに2ヶ月程度で済むかもしれないけど、能力と……何より魂を作り出して付与するなんて対価は自分の命を支払うくらい必要」

「うそぉ……」

「仮に出来るとしたら姉さんは死者を蘇生する事すら簡単に可能」

「いえ……蘇生は無理……たぶん一生寝たきりか死ぬ」

「ならユキ姉を2ヶ月の代償で生むのも無理」


 言われてみればそうだと思う。魂を呼び戻して死者を蘇生するのと魂を一から創りだして新たな生命を創りだすのはどちらが簡単かって言えば蘇生だろう。こりゃ一体どういう事だ


「姉さん……もしかしてユキ姉を生んだんじゃなくて、召喚した?」

「した覚えは無いけど……」

「じゃあ何て言って呼んだか覚えてる?生命を創る場合は『なになにを産み出せ』または『産まれ出でよ』みたいな単語があったと思う」

「ユキを誕生させた時の台詞は覚えてるわ、確か最初は『私のお世話をしてくれる使い魔よ出でよ!』ね」

「それは普通に召喚の呪文だと思う」


 全くだ。普通に使い魔呼んでるわ私、アホちゃうか。初っ端の台詞が駄目じゃん……最後の台詞も来い!とか言ってたし益々駄目じゃん。

 結論としてはユキはどこかから召喚という名の誘拐してきた娘


「まだ姉さんが産み出した可能性もある、転移の時みたいにもしかしたら何か補助……ユキ姉の元となる核というか、触媒というか……とにかく何か使わなかった?」

「何も」

「なら召喚かな……おめでとう、誘拐犯の姉さん」

「ほ、本人に聞かなきゃ分かんないでしょ!」


 ユキに聞けばいいのだ!あの娘がお母さんに生んでもらいましたと言えば解決


「覚えてなさい全裸女!私が無実である事を証明してやるわ!」

「ん、いってらっしゃい」


 軽く流された。ちくしょう



☆☆☆☆☆☆


「で、私の所に来たと……ふむ、まぁいつかは聞かれると思ってたと言いますか、気付かれると思ってたと言いますか……わかりました。私からの回答として仕方ないのでお母さんに召喚される前の事でも話しましょう」


 Oh……まさかの召喚で合ってましたな話。私が創りだしたのでは無いなら母と娘という関係が





「とか意味深に言った方が良かったですか?」

「……驚かすな馬鹿」

「すいません。まぁ私は間違いなくお母さんに産みだして頂きましたよ。姉さんも言ってたじゃないですか、私と姉さんは奇跡ぱわーによって創られた奇跡人だって」

「その辺は頭から抜けてたわ……あー良かった、何の繋がりも無い義理の母と娘なんて変態が好きそうな関係だからヒヤヒヤしたわ」


 ……


「実は召喚された説は合ってます」

「もう遅いわ馬鹿たれ」


 どっちにしろ血は繋がってないから義理と言えば義理だけど。この変態はさっきの発言に本気で後悔してる様だから言わないでおく




「……仮に、それこそもしもの話ですが、メルフィさんの言う通り私が召喚されたのだとしても私はお母さんの娘である事に変わりはないですよ」

「……」


 ユキ……


「良い場面なんだろうけどその手に持ってるエロ本で台無し」

「片付け中に来られるから……」


 私のせいかよ、てかエロ本だってのに隠すどころか堂々と本棚に並べるとか女のくせに男らしいな!


「疑問も解決したことだし戻るわ」

「いえお待ちください、私からも一つ質問があります」

「……聞いてあげましょう」

「姉さんから聞きました、何でも幻獣騒動の時にペロ帝国の姫を逃したようですね?あの会長とやらの時はちゃんと殺したのに」


 その事か、確かに簡単に見逃したな。いま私を見るユキの目は中々に厳しい


「甘くなりました?大金を貰う為、もしくはあのメイド達の為だとは思いますが、それでも面倒嫌いのお母さんなら関わりたくない相手に情報を与えたまま生かして帰すとは思いません。もちろん以前ならの話ですが」

「そうね、きっと甘くなったわ」

「簡単に認めましたね……お母さんが納得してるなら良いのですが」

「してるわ。あのババアは逃がした方が良かった、多分だけど」


 あのババアを殺した所で更に面倒な事になってそうだし……


「あのババアはただの寂しがりやのお人好し、その上プライドだけは一丁前な女。私達の情報なんて話す相手もいなさそうね。まぁ情報なんて容姿ぐらいしか与えてないけど……ルリが水の大精霊とも信じて無さそうだったし。そんなババアが私の様な子供にいいようにやられましたとか報告出来るわけないわ」

「なるほど、一応考えていらっしゃったのですね」

「問題なのはババアじゃないの、土地すらもたないのに戦力だけは一国に値するまで成長したペロ帝国の指導者よ。間違いなくババアは違う、あの王であるボテバラも顔は知らないけど会長の時に聞いた話し方からして有能ではあるけどせいぜい領主どまり……」

「では、誰があの国を率いていると?」


 誰がと言われても奴らの国事情なんか知らないんだが、思い当たる人物と言えば……


「あのババアには妹がいるらしいわね」

「その者が要注意人物という事ですか」

「さぁ?もしかしたら優秀な側近がいるとかかもしれないわ。何にせよ姫であるババアを殺して刺激する必要ないわ」

「わかりました。お時間とらせてすいません」

「構わない……けど真面目な話をしてる時くらいエロ本から目を離しなさい」

「私ほどになると選別しながら真面目に話を聞けます」


 全くもって真面目じゃねぇ……自分から質問しといてこの仕打ち、なんか舐められてるんですけど


「じゃあ今度こそ戻るわ」

「はい。私は整理が終わり次第買い物に出ますので」

「わかった」


 ユキの部屋を後にする。しかしペロ帝国ね


 前にも思ったが正直ペロ帝国なんぞとは争いたくない。たかが人間だから一人の実力なんて大した事はないだろうが質より量、それに厄介な指導者……私なんかより知恵を持つ者がいたらまず勝てない


「……おぉ、人間こわいこわい」



☆☆☆☆☆☆



「私の勝ちだ全裸あああぁぁぁぁぁ!!」

「そう……よかったね」

「反応薄いわね、ぶるんぶるんさせて挑発しといて」

「してない」


 召喚説がハズレみたいだから勝ち誇って入室したがクールに返された


 メルフィは未だに全裸で本を読んでいる模様。こうも堂々とされるとエロく感じない不思議

 乳がでかいと固そうな気がしたのだが、触ってみると驚きの柔らかさ


「何で触る?」

「家族の乳を揉むのは家主としての義務よ」

「義務なら仕方ない」

「でもこう大きいと垂れそうだからやっぱり下着は着けなさい。垂れ乳のメルフィなんて魅力無いわ」

「……魅力無しは厳しい。仕方ないから着ける」


 私の説得によりやっと全裸生活を卒業した。ただし着用したのは上だけである


「下半身だけ丸出しとかどんな性癖よ」

「見慣れれば気にしなくなる」

「見慣れるってことはメルフィの裸に価値が無くなるってことよ。下着だけと言わず服を着ろっての」

「……かなり昔は全裸の人間も多かったのに」

「あっそ、昔に生まれなくて良かったわ。服を着たら散歩に行くからお供しなさい」

「何で私?」

「ちょっと本を仕入れようと思ってね。ユキやサヨなら変なの選びそうだしメルフィが適任そうだから」


 マオは何か童話とかその辺しか興味無さそうだしルリは論外。メルフィは全裸の民だがフィーリア一家の中では常識人だ。無難な物を選んでくれるだろう





 というわけで本を買いに外に出たわけだが、まずメルフィの抱っこは乳が邪魔くさい。そしてこの暑い中相変わらずローブ姿で暑苦しい


「メルフィの夏服ってかなり必要だと思う」

「そういう姉さんの格好もだいぶ暑苦しい」

「……そうね、日傘が無ければ干物になってたわ」


 と言っても私はゴスロリ以外着るつもりはない。メルフィもローブ以外は眼中に無いのだろう……つまり私たちは自分に合う服が分からないって事だ


「ん、本屋があった」

「センスは無かった」

「何の話?」


 気にするなと伝え店に入る。本屋と言うか古本屋だな、こう掘り出し物がありそうな店は好きだ。まぁ国が普通なだけにこれはって本は無いだろうけど


 という予想は当たってたようで面白そうな本は一冊もありゃしない。メルフィは中々に気に入った本があるのか無断で私を降ろし読書に集中している。また封印関係の本でも読んでるのかと思えばタイトルからして家族の絆がどうとかって物語の本だった。


「……家族って単語を出されるとどうにも茶化せられないのよね。メルフィ、私は木陰で休んでるから」

「……」


 返事は無い、まぁ聞き流してるだけで内容は耳に入ってるだろう……と解釈して店を出た


 あまり遠くに行くことは出来ないので店の裏手にある小さな林というか木々が立ち並んだ場所で寝そべる。服が多少は汚れるだろうが草の上で寝るのもまた一興という事で




★★★★★★★★★★



 現在実家にユキの転移で帰ってきたところである

 出かけていたユキが何やら慌てて戻ってきたので理由を聞いたところ母が病に倒れたと。どうせ仮病だろうと一蹴したがユキが真剣に説得するもんだから帰ってきてやったのだ


 家に入ったがどうも父は留守みたいだ、仕事にでも行ってるんだろう。で、肝心の母を見に部屋にいくと




「あらびっくり、本当だったのね」

「あれ?おかえり……ダナンが告げ口でもした?」

「みたいね……しっかし病気とは情けない」

「んー……困るよねぇ……まだお腹の子が産まれるのは先の事だし」

「……そんなに悪いの?」

「一年はもたないかも。ま、フィーリア一族って短命だし早死にするだろうなぁとは思ってたよ」


 自分が死ぬってのにえらい軽い口調で話す……そういえば祖父母も早死にしたっけか。私は顔すら知らない。そしてこのままでは妹が産まれても母親の顔すら知らずに育つ事になる……やれやれ


「ふん、娘が有り難い力を持ってる事に感謝しなさい……じゃあ早速。元気、に……?」


 おや?全く発動する気配がない……何故だろうか?発動しないんじゃ治し様が無い


「どんな病気よ」

「そりゃあ原因不明の不治の病に決まってるじゃん」


 決まってねぇよ……不治の病とはいえ病気は病気、奇跡ぱわーで治せないはずがないのだ

 だが以前にも奇跡ぱわーが効果をなさない時があった……


 奇跡ぱわーによる代償は奇跡ぱわーでは治せない、だったか

 しかし母に奇跡ぱわーなんかかけた覚えは無いし、母が使える訳も無い。なら何故……む?


「……フィーリア家は代々短命。先代は何の代償もなく力を使えた。でも実は先代の代償を一族が払い続けてるとしたら……」


 先代の力の代償は寿命、しかしどういう手を使ったのか払うのは末裔達、つまり私たちだ

 パッと思いついた割りに何故かこれだと確信できる。間違いない


「く、くはは……我が身の為なら末裔なぞどうでもいいとは流石は外道、八つ裂きにしてやりたいわ」


 病気の母の部屋でイライラするのはあまり宜しくない。なので一旦退室して今後どうするかを考える




「さて、どうするか」

「流石に私は奇跡ぱわーの代償の事にはさっぱりです」

「分かってる……これをどうにか出来るのは同じ力を使える私だけでしょう」


 直接治すことが出来ないなら抜け穴を探すしかない。どうにかズルして母の死を回避できないものか……


「全然思いつかない。いや、思いついた」

「早いですね……」

「代償を消すことは出来ない、なら誰かが肩代わりするのは大丈夫なんじゃない?」

「……他人に支払わせると?」


 他人に?お馬鹿め、先代の力の代償を払えるのはきっとフィーリア一族だけ


「対象はこの私よ」

「いけません」

「いいのよ、みなさいこの部屋のお見舞いの花たちを。お母さんはクズな性格だけどこんなに愛されている。なら私は?きっと誰にも見取られずひっそり死ぬだけよ……まぁ貴女や両親は別だけど」


 ユキが何と言おうともう決めたのだ。私の決定は覆らない……ただ、もっと最善の方法を母がいよいよヤバくなるまで探そうとは思う


「……他の方法なんて見つかりっこ無いけど。いいわよ、生きてる価値の無いガキが死ぬかもしれないってだけの話じゃない」


 ああ、そうか……こんな私が大それた力を得たのはきっとこの為だ。役立たずなりに多少は役立ってから死ねと、そういう事か



★★★★★★★★★★



 という夢だったとさ


 やたら端折った夢だったが何という胸糞悪い夢だ……とても私とは思えないネガティブさ。自分大好き人間のくせに自己犠牲するとかそれでも外道かてめぇは

 あー……何かもう二度寝する気分じゃないわ、メルフィの所に戻ろう


 と、思って目を開けたら至近距離に少女の顔がドアップで現れた


「こんなところで寝てると取り憑いちゃうぞ?……ほぐぁっ!?」


 あまりに近いので迷わずグーパンした


 よく見るとこの少女は全身が透けている……まさかユキが言ってた件の幽霊だろうか?最近の幽霊は物理が効くんだな、とか思いながら顔を覆って痛さを我慢してる幽霊を見つめた

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