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幼女と騒動の終わり

「お姉様、この二人は先ほどからちょくちょく話に出ていた者達ですよね」

「ええ」

「一応言っておきますが知り合いでも容赦しませんよ?

「敵に容赦する様な甘ちゃんはマオだけで十分よ。どっちか一人はこちらにちょうだい、事情を聞くから」

「ではある程度痛め付けて無害になった所でお渡しします……一つ聞いておきますが、あの二人が敵になると予想してましたか?」

「敵になるかはともかく、ミラが危険な森に行く事をあっさり承認した時から何となく怪しくは思ってた。でも完全な敵じゃないでしょう」


 敵なら幻獣を手なづける様な厄介な冒険者達に依頼をする筈無いし。この馬鹿みたいに高額な依頼料はミラの護衛も兼ねていたんだろう


 二人が私達に向けている武器は剣。メイドのくせに物騒な大剣をお持ちの様で……


「じゃあいってらっしゃい」

「行って参ります」


 サヨが二人に仕掛けていった。一分もすれば決着はついてるだろう。二人とも人間にしては能力高そうだが相手が悪い


「ねぇ、ドンちゃん……何で二人と戦う事態になってるのかな?」

「敵対してるのは私達だけ、貴女は違うわよ。ま、あの二人なりにこの国を守ろうとしたんでしょ。知らんけど」

「……私の予想ではあのおばさんが全部悪いと思う」

「あんなんババアって呼べばいいのよ」

「聞こえてるわよガキ共」


 聞こえる様に言ってんだよ。もう時間的に終わったかとサヨの方を見る


 見たと同時にドサッと目の前にメイドが降ってきた。金髪の方だからハンナって言う娘だ


「頭の良い方が来たわね」

「だ、大丈夫?ハンナ」

「……敵に向かって、大丈夫とは余裕ですねぇ……大丈夫じゃないです」


 そんだけ喋れるなら大丈夫だろう。サヨの言うある程度痛め付けるってのは四肢を全て骨折させる事らしい……確かに動けないから無害だが


「終わったのじゃ」

「こらルリ、そんな汚いものを近くまで持ってこないで」

「おぉ、確かにそうじゃな。ではその辺に投げ捨てるか……殺してもいいのか?」

「ダメ。そいつの腕輪を外した後に今までの幸運が不幸となって返ってくるから殺して楽にしちゃダメ」

「主殿はえげつないのぉ……まぁ悪党が不幸になろうが知った事ではないが」


 ルリが気絶している不細工から腕輪を外し遠くに蹴り飛ばした。落下地点にあった壊れた椅子が尻に刺さった様で目を覚ましてギャアギャア騒いでうるさい。はいはい、不幸不幸


 ルリがてけてけと歩きながら不細工から取った腕輪を持ってきた


「要るか?」

「すでに幸運な私には不要ね」

「聞いてみただけじゃ」

「あっそ。で、アイツをどうやって倒したの?」

「ん?別に普通にだが?」

「……何で貴女には腕輪の力が効かなかったの?」

「それか……幸運の腕輪と言うても結局は魔道具じゃ。普通に攻撃すれば通じぬじゃろうが魔力に物を言わせて腕輪以上の魔力を放てば奴の幸運に打ち勝てるという事じゃな」

「えらく強引な理由ね……それなら魔力量自体は大した事ないユキ達が倒せないのも仕方ないか」


 不細工なんかどうでもいいからハンナだな。とミラ達の方へ目線を戻すといつの間にか一人でいいと言ったのに二人仲良くダウンしていた


「早かったわね」

「はい!すっごい弱かったですっ!というか雑魚でした!立派なのは口だけです!!」

「「……ぉ、ぉぅ」」

「ふ、二人が肉体的にも精神的にもやられちゃった!?」

「やたらテンション高いわね……どうしたの?」

「最近ろくに活躍してなかった気がするので張り切ってみました」


 よりによってこの二人相手の時にか……運が無かったな、ご愁傷様

 そしてこの状態を見てヤバいって顔をしている者が一人……ババアだ。何やら慌てて衣服のポケットを探っている……転移して逃げるつもりかもしれない


「サヨ、その調子で次はババアを捕まえるのよ」

「わかりましたっ!」

「ま、待って下さい……あの人はどうか見逃して……」

「断る」

「ち……あんた達!何もかも失敗したんだから約束は無しだよ!」


 失敗とか約束とか何の事やらって思うがそれはこの先の楽しい尋問タイムで明らかになるだろう



「ババア捕まえましたぁっ!」

「うおおぉぉっ!?放すのじゃ!というか誰がババアじゃ!」

「サヨのボケエエェェッッ!!そっちのババアじゃないわっ!」

「じゃからワシは、ババアじゃないもん……びええええぇぇぇぇんっ!!」

「はっははは!ロリババアの座はあなたに差し上げますよ!」

「いらあああぁぁぁぁぁん!!」




「……何なのこいつら」


 フィーリア一家です



☆☆☆☆☆☆



「召し捕ったり」

「ち……茶番に呆れてる内に捕まるなんてドジったわ」

「計算通りだわ」

「嘘つけ」


 二人が役に立たないのでマイちゃんに命じて敵のババアを暴力的に捕まえた。マイちゃんはまだ体当たりしか覚えてないらしい


「今なら許してあげるから縄をほどきなさい」

「偉そうねぇ……マイちゃんアタックで内蔵がヤバい事になってたのを助けたのは誰だと思ってるの?」

「大怪我もあんた達のせいじゃない」


 まあいい、このややこしい状況を解明しよう

 だがブヒブヒ喧しい奴を黙らせないと気が散ってしょうがない


「不細工を黙らせて」

「黙らせる……喋れなくすればいいのですね?」


 そう言ってサヨが取り出したのは針と糸。それを見ただけで何をするか理解してしまった、間違いなく奴は不幸だ


 魔法で針を見事に操作し……いやワザと雑に操作して口を縫っていく。じたばたもがく不細工の口は血塗れになっている。私達は平然としているがミラやババア、メイド達は恐ろしいモノを見る目でサヨの方を見ていた


「貴女達には洗いざらい話してもらうわ」

「「「「はい」」」」

「素直でよろしい。でもミラは関係ないわ」

「つ、つい……」


 サヨの残虐行為は役に立った様で逆らってはヤバいとそれぞれ理解したっぽい


「まず、ババアとメイド達は仲間なのよね」

「……ええ、本当はね。私を裏切って普通なお姫様に靡いた様だけどねっ!あとババア言うな」

「……申し訳ありません」

「謝らないで、惨めになる」


 なるほどなるほど、やはり二人はミラ第一って事で間違いない

 話が長くなりそうなのでサヨに店内にあったテーブルと椅子を用意してもらいルリに紅茶を出してもらった。うん、不味い


「……そのガキ何者?何も無い所から紅茶っぽいのを出した様に見えたけど」

「目までおかしくなったんだ……頭大丈夫?」

「あんたが飲んでる紅茶が実際あるでしょうが!」

「……ふ、実はこの娘は水の大精霊でね。私のペット」

「ペットはともかく、水の大精霊?そんなビービー泣いてたガキが?言いたくないのは分かるけど分かりやすい嘘はつくもんじゃないわ」


 あーあ、知ーらない

 案の定ルリがババア目掛けて氷柱らしき魔法を放った。ただ数が異常でババアの周りは氷柱で埋め尽くされた


「たかが人間の分際で何じゃその口の聞き方は?ワシを馬鹿にしていいのは主殿だけじゃ」

「は、はい」

「ふはは!ばーかばーか!」

「な、何でいきなりワシを馬鹿にするのじゃ!」

「馬鹿にしていいって言ったじゃない」

「確かに言ったが……うぅ……」


 ルリが泣いた所で続きだ。この国の者ではないって事は既に分かっているからまずはその辺からだ


「お前ら何処の国の者よ」

「ふん、よく聞きなさい。私こそがペロ帝国の第一皇女であるアナルチア様よ」

「……」


 え?なんだって?


「尻の穴がどうしたって?」

「シリアナは妹よ。私はアナルチアって言ったでしょ」


 尻穴まで居るのかよ……ペロ帝国とか関わりたく無かったのになぁ


「貴女達も元はペロ帝国の者ってわけか」

「はい……」

「ねぇドンちゃん、二人の怪我も治したら?」

「ダメ、私達に隠し事をしてた罰よ」


 とりあえず考えよう。ペロ帝国の者達が何でこんな所に来たのかを。まず幻獣の子供が欲しいって訳じゃない筈、それなら国内で取引する必要ない


 ババアが言うにはメイド達は裏切った……メイド達は私達に国を守る依頼をした。なるほど分からん


「正直に何をしに来たのか言いなさい。嘘ついてると感じたら洗脳して吐かせるから」

「脅しじゃない……私がこんな国に来た理由、それはこの国を頂戴するためよ」

「……そういえばペロ帝国は土地を持たない、そんな事を言っていたか」

「誰に聞いたか知らないけどその通りよ。10年近くかかった計画がその裏切り者達のおかげでパーよ」

「えらく気長な計画だこと」

「子供のあなたには分からないだろうけど、国を乗っ取るってのはそう簡単じゃないの。予定の一つだったその二人のどちらかが王の子供でも孕んでくれてれば楽だったのに」


 メイドの子供を孕んだ所で揉み消されてお仕舞いだと思うが。だがこの二人を送り込んだ理由は分かった。容姿がそれなりに良いのもそれが狙いだったって事か


「何でよりによってウチを狙うかな」

「私達はこの平凡な国に革命をもたらしてあげようとしたのよ、優れたものが何一つ無い国を変えペロ帝国として繁栄させようとしたの。良い事じゃなくて?」

「良くないっ!」

「……でも結局失敗。今までも今回も全て失敗。流石に幻獣達を攻めさせればこの国ならあっさり滅ぶと思ったのになぁ……」

「残念ね、メイド達が私達に依頼をしなきゃ成功したかもね」

「……また貴女達の差し金だったのね。恩知らず、こんな国の何が良いってのよ」


 仮に私達がこの場に居なくとも果たして幻獣が襲ってきたぐらいで一国が滅びるのやら……まず無い。散々失敗したようだしヤケになって仕出かしたとしか思えない


 だが10年近くも前から様々な計画が実行されていたのなら、あの二人が敵だった場合はトゥース王国がすでに無くなっていたかも


「やったわねミラ、この国は貴女のおかげで救われたのよ」

「なんで?」

「分からないならそれでいい」


 いつから二人がミラに惹かれたのかは知らないが、自国を裏切らせるほどに好かれるとは大したもんだ




「アナルチア様……食べれもしない花を何で植えるんでしょうね」

「はぁ?……そりゃあ花なんだから普通に見て観賞するためじゃない?」

「そうですね……それが普通なんです。けれど、私達はその普通を知りませんでした」

「私達は生きる為に必要な事以外興味ありませんでしたからー」

「だけど……意味の無い事だけど、花を愛でたり、日に当たりながら眠ったり、覚えても何の価値も無い歌を歌ったり……無駄なことな筈なのにいつの間にか笑ってる……そんな日常が幸せな事を小さな女の子が教えてくれたのです」

「普通に生活をする……これって凄くありふれた事なのに一番尊いものだと思うんです」


 そうだな、その通りだ。退屈に感じるだろうがある程度幸せでなければ出来ないのが普通に暮らす事だ

 だが私にはもう出来ない。外の世界に飛び出してしまった私は全てを見るまで満足出来ない。また大怪我しようが後悔出来ない。しないけど……そんな私に着いてくる皆は果たして幸せと感じてるか……


「愚問でした」

「はい?」

「なに、サヨは幸せでしょうって話」

「……?そりゃもちろんです」


 私達にとっては旅を楽しむ今が幸せ、ウチの家族は普通に暮らしていた奴が少なすぎる


「すいませんアナルチア様……私達はあなた以上に姫様に惹かれたのです」

「ごめんなさい……私達はこの国を、姫様の国を消すなんて出来ません」

「なによ……精神的にくるからもういいわよ」

「フラれてやんの、ざまぁ」

「こ、ここ小娘ぇぇ……!」


 いい話だなーって感動する場面なのかもしれないがウチの家族は退屈そうにしていた。ルリなんかは欠伸をしている有り様、ミラは顔を赤くしているが……別に愛の告白じゃないのだが


「私達も少しくらいはジーンと来てもいい場面じゃない?」

「どうせこの先に待っているのは死罪ですから」

「見ず知らずの人間なんぞには流石のワシも泣けん」


 ふむ……死罪か、そりゃそうだ。ここまでやらかしといて無罪はないわな




「私達は姫様に多大な恩がありますが、アナルチア様にも拾って頂いた恩があるのも事実」

「この件に関しましては私達が全ての罪を償いましょう……ですから、アナルチア様の事は見逃して頂きたいです」

「貴女達死ぬ事になるわよ?」

「……仕方ありません」

「え?ダメダメ、二人共死んじゃダメ!」


 王族が騒ぎだした


「ミラの言いたい事は分かるわ、甘っちょろい事言わずに誰一人残さず死罪って言いたいんでしょう?」

「違うよ!?」

「姫様……姫様は王族にあらせられます。例え長年仕えた親しい者だろうと情など捨てて公平な判断しなければいけません」

「ですが、それでも最後のお願いとしてアナルチア様だけはお許し頂きたい」

「う、ううぅぅぅっ!ドンちゃん、今月のお小遣いの5000ポッケで依頼するから何とか一番良い形でこの場を収めて!」

「やっす!王族のくせに安っ!私の家族のお小遣いより安いわ」

「ぐふぅ……それでもお願い……」

「貴女は飾りの姫でも王族は王族、義務として自分で判断しなさい」


 どうしようどうしようと口に出しながらアタフタするミラ。流石に他国の、ましてや冒険者風情が口を挟む問題じゃない





「わかった……この件は見なかったことに!」

「ダメじゃん」

「だ、だって……」

「お姉様、ここは一肌脱ぐどころか全裸になりましょう」

「何言ってんだ馬鹿」

「こほん……まだ年若い少女には酷な判断です。お姉様の力を貸してみては?」

「つまり私は年若くないと、そう言いたいのね?」

「滅相も無い……お姉様は若くして素晴らしい判断能力があると言いたいのです。それはともかくこの優柔不断な少女に知恵を与えてみたは?」

「そう思った理由は?」

「長くなりそうなので早く終わらせたいです」


 素直でよろしい、私もそう思う


「わかった、私が案を提示しましょう」

「私は死ぬ気ないわよお嬢ちゃん?というか私が死んだらお父様達が激怒して攻めてくると思うわ」

「お前は何処へなりとも無様に逃げればいいわ」

「いちいち言い方が腹立つわね……ま、お言葉に甘えて逃げさせてもらうわ」

「アナルチア様……ありがとうございました」

「今私達がこうしていられるのはアナルチア様が救ってくださったからです」

「黙んなさい……これからペロ帝国を大きくして、私より平凡な姫を選んだ事を後悔させてあげる」

「きっと後悔は致しません」

「言い切ったわね……あーあ、これでも貴女達の事は結構気に入ってたのよ?まあいいわ、じゃあね二人共。そこの小娘達も覚えてなさい」

「雑魚の捨て台詞どうも」

「やっぱり腹立つ!」

「ばーかばーかっ!」

「子供か!!……子供だったわね……」


 ムキィっ!!とギャグキャラの如きリアクションでババアは転移していった。予想通り転移系のアイテムを持っていたようだ。ただし符ではなく水晶みたいな丸いガラス玉の様なアイテムだったが


「次は面倒なメイド達ね、貴女達はこれだけの騒動を起こした事に何の罰もなく済ませる事に納得できないのよね?」

「はい」

「真面目ね、なら死ねばいいと思う」

「駄目じゃろ」

「駄目ね、私としても死ぬのはお金を受け取ってからにしてもらわないと困る。死ぬならそうする様に」

「ドンちゃん酷いよ!外道だよ!」


 何を今更……と言ったのは私ではなくサヨだった。なので脛を奇跡すてっきで殴った、効いてなかったのでマイちゃんアタックを同じ箇所にくらわせたら悶絶した。ざまぁ


「では判決を言い渡す」

「誰の真似じゃ?」

「黙ってろロリ」

「ワシはルリじゃ」


 言い間違えた訳じゃない


「私の結論としては幻獣誘拐騒動と見せかけた国家乗っ取りを起こした張本人であるババアの一味であった事は許し難い、とはいえ二人はすでにババアから離反していた身であり、10年という長い間ババアの乗っ取り計画を邪魔していたのは考慮すべき案件である。よってもうお相子でいいんじゃね?」

「最後までもちませんでしたか……」

「私はドンちゃんに賛成!」

「……駄目です。ここまで混乱させといてぎ、あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」


 なぜアリエが急に絶叫をあげたかと言えば私が骨折した足を踏んづけたからだ


「どどドンちゃんやめて!?やめてやめて!」

「この娘達は罰が欲しいらしいわ、だから気が済むまで痛めつけてあげるの。この私が折角いい案を出してあげたってのにグチグチ言うとかムカつくのよ」

「私怨になっておるぞ」

「ぐうぅぅ……い、国に……民に少なからず被害が出た以上……咎がないなど……」


 ふん、無駄に根性を見せるな……そうか、こいつらはルリが幻獣を森に帰した事を知らないのだ。今なお兵士や冒険者達が犠牲になりながら戦っていると思ってるんだろう


「ユキ」

「はい」

「うひゃあっ!?し、知らないメイドさんが急に!?」


 呼べば来るだろうと思ったら本当に来た。転移してきたのは分かるが何故呼んだと分かった?盗聴されてる気しかしない……


「この娘は私の……あー、従者よ。ユキ、この阿呆共に魔物襲撃による被害を教えてあげなさい」

「被害ですか?無いですよ?」

「無い?そんな訳……」

「いえ本当に……姉さんが森から魔物達が向かってくるのを察知してからすぐに防壁へ出向き、結界符で防御致しましたので」

「のんきに勉強してたのはそれでか……でもグリフォンが一匹城に来たわよ」

「いきなり敵の本拠地を攻める馬鹿がいるとは思わなかったので国境にしか結界は張っておりませんでした」

「まあいいわ、で?被害なんて無いらしいけど?」

「あ、いや……魔物達は?」

「すでに殲滅済みです」

「……ここまで頼もしいとは思ってませんでした。しかし」

「まあまあアリエちゃん、見逃してくれるんですから甘えましょうよぉ」


 ハンナの方が話が早いな。先の未来を考えての発言かは不明だが……アリエは頭が固すぎる


「貴女は自分の死後ミラがどうなるか考えてから判断するべきよ」

「姫様、が?……そう、ですね……」

「なぁに、黙ってれば貴女達の行いもバレやしないわよ」

「わかりました……貴女の言う通りにします。もう痛い思いも嫌ですからね……何より、私達もまだ姫様と別れたくないですから」


 分かればよろしい……さて終わった。これで3000万だなウッヒョイヒョイ、ついに馬車が豪華な内装へとパワーアップする時がきたのだ……!


「ああ、言い忘れてたけどこの件に関して全ての罪を背負う残念な奴はそこにいるから……腕輪が壊れた時からそいつの末路は決まっていたのよ」

「楽には死ねないでしょうね」

「じゃあサヨは幻獣の子供を救助してあげなさい」

「はい」

「ユキは二人の治療ね」

「お任せ下さい」

「待つのじゃ、治癒に関してはワシの方が適任じゃろう」

「……誰だか知りませんが、私が頼まれたのです。邪魔するなら燃やす」

「わ、わかったのじゃ……ワシは大精霊なのに……ぐす」


 弱すぎだろ大精霊……ユキには紹介してなかったからな、あの冷徹な対応されてもしょうがない。後で皆に紹介しとこう




 ……治療を受けてる二人の周りを嬉しそうに踊りながらミラが回っている。そんなミラを二人は優しい眼差しで見つめる。国にとってはババアを逃がすなど最善の手段では無かったが、友達を泣かせない為ならきっと最善だった


 最後は何ともグダグダだったけど、得るものは色々あった。終わり良ければ全て良し、たまには占いを信用するのもいいかもなぁ……と泣いてるルリの頭をグリグリしながらそんな事を考えた

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