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幼女と訳ありな二人

「しかし犯人の特徴と言っても口では伝えにくいのぅ」

「不細工か、腕輪をしていたか、その二つを聞ければ十分よ」

「わかった……えー、なになに……ふむ、精霊達の話では確かに偉そうな不細工の男で腕輪もしていた気がすると言う事じゃ」


 だったらもう奴で決まりだ。しかし決め手にはかけるな……目撃者として証人にはなるが、こんなロリ幼女を誰が水の大精霊と信じるか……

 一番確実なのは売買する瞬間を現行犯で取っ捕まえることだが何時取り引きされるかが分からない


「お姉様、あの男を捕まえるのではなく幻獣の子供を救い出す方向で考えた方が楽ですよ」

「なるほど……幻獣の子供を取り返されたら不細工としても困るか」


 果たして不細工が取り返されてそのまま大人しく諦める様な奴であるのか……だが私としても奴を何の罰もなく済ませる気はないので逃げられても困る


「問題は奴のラッキーアイテムね……あれのせいで私達が不利になりかねないわ」

「私は思うのですが、あの幸運の腕輪にとってお姉様という存在は天敵なのではないでしょうか?」

「……私が?」

「はい。儲け話の最中にお姉様に目を付けられるなどとても幸運とは言えません」

「おー……確かに、シリウスの時も最初は私を敵にしてたもんね」

「つまりお姉様相手には壊れかけの幸運アイテムなど通用しないって事です」


 ならば私達が不利になる事はない。確証はないけどこれでも優秀なサヨの仮説なら信用してもよい


「じゃあ腕輪の事は無視していつも通りに行動しましょう」

「わかりました」

「ところで姫さんはどうしたの?」


 先ほどまで湖の中であれだけはしゃいでいたのに今は木の側に座り膝に顔を埋めて落ち込んでいる


「なに、国が大変だと言うのに一人遊んでいた事に罪悪感を感じでいるだけですよ」

「そういう事……」

「まるでワシの湖がダメみたいになっとるから止めて欲しいのじゃ」


 落ち込んでる暇があるならさっさと騒動を終わらせる様に動けばいいのに……めんどくさい王族だ


「ほら、行くわよ」

「うぅ……姫なのに国よりこんな三大名水を優先するなんて……もう姫失格だよ」

「自分の好きに動いて何が悪いの?あと私が作った三大名水を馬鹿にするな」

「全くじゃ!こんなとはなんじゃこんなとはっ!」

「ご、ごめんなさい」


 うじうじしてる姫さんを引っ張って連行する。もうやるべき事は決まった、私の思う通りに動けば不細工の悪行も終わりだ


「まずは幻獣の子供の救出よ」

「え?何処にいるか分かるの?」

「大丈夫、ウチのサヨなら拉致された幻獣を探すくらい楽勝よ」

「ああ、言い忘れていたがトゥース王国を襲っている幻獣達にはワシ等に任せる様に言っておいたからもう大丈夫じゃろう。魔物は流石に命令を聞かないから兵士達に相手してもらうが」

「たかが魔物の群だけなら私の家族で十分よ」


 ンフォに乗り湖を後にする。上から見ると何ともブルーで元がヘドロとは思えない。湖の中心を見ればルリの分体が私達に手を振っていた。分体のくせに自我でもあるのか……?



☆☆☆☆☆☆



「姫さんに一つ謝る事があるわ」

「え?なに?あと、ミラでいいよ」

「ならそう呼ぶわ。謝る事ってのは湖の事、今後森が神聖になる事で魔物が居なくなると思うの。そしたら今より簡単に森を通れそうだしサード帝国に攻められてもおかしくないわ」

「……そっかぁ、でもそれは私が死んだずっと先の話だろうし、後の事はその時に生きてる王族に任せちゃおう」


 おい、それでいいのか現王族。でもまぁその通りだ


「なら貴女が女王にでもなって今の弱小王国からランク上げなきゃね」

「私が……?いやぁ無理無理……でももし私が女王になれば国が今より良くなるって思うの?」

「ミラは飾り。あのメイド達が貴女に代わって国を仕切れば普通は脱却されると思うわ、それほど優秀なのよあの二人」

「……女王になっても飾りとか」


 だって普通生まれのミラ自身が国政に携わっても今と変わらないと思うし……あの二人が国政に関わらないなら王子とやらが王になってもミラが女王になっても一緒だ


「むぅ……これが普通の血筋の宿命かぁ。何でこの国はこんななのかなぁ……普通って嫌だな」

「聞き捨てならないわね……世の中には実力はあっても普通の生活さえ出来ずに暮らしていた者も居るのよ。今まで退屈だろうけど人並み以上の生活出来ただけ有り難く思いなさい」

「う……ごめん……」


 とはいえ人並みに暮らしていた私が言っても説得力ないけど。謝る筈がいつの間にか説教してる不思議


「森の外は久しぶりじゃのう……うはは!森が魔界の様に黒いぞっ!……駄目ではないか……ぐす……」

「まるで子供ね……ところでそのヒラヒラした布何とかならない?邪魔」


 ルリは私の前でもたれ掛かる様に座っている。どういう原理かふよふよ浮いてる布が視界に入ってきてウザい


「ぬ……この服はアイリス殿が作ってくれた服でな、確か乙姫とかいう人物が着ていた服を参考にしたらしいぞ。この布も服の一部ゆえ取る事は出来ん」

「乙姫?どこの姫よ」

「知らぬ。ただ水に関わりのある者らしい、海の底にある国と聞いたが場所は分からぬ」

「魚人かい」


 さてさて、お喋りしてる最中にも先には進んでいる。サヨが方向を指示し、ンフォが言われた通りに飛んで行く

 どう考えてもトゥース王国に戻っているとしか思えない。まさか国内に堂々と幻獣を隠してるのか?何というハイリスク……あの馬鹿なら有り得るが。良く検問を突破出来たもんだ


 国に更に近づくと防壁が見えた。ルリの言った通り幻獣は退散したようで兵士達や冒険者達が相手にしてるのは魔物ばかりだ

 この中の何処かにユキ達もいるのだろうが確認は出来ない




 国内に入って王都にでも向かうと思ったが流石に違った。王都付近ではあるみたいだが


「このまま行くと超ウルトラスーパーミラクル手強い町に着きます。やりましたね、お姉様」

「何がやったのよ……貴女そんなに超ウルトラ以下略に行きたかったの?」

「トゥース王国と言えば超ウルトラ以下略ですよ。世界一馬鹿みたいな名前とガイドブックにあるくらい有名です」

「やめてっ!?恥ずかしくなるっ!」


 名前だけじゃ行く価値無いわ。しかし何で超ウルトラ以下略なんかに幻獣を連れていくんだろ……て、そりゃ決まってるわな


「わざわざ国内に連れてきたって事は買取手はトゥース王国の者か」

「そりゃ昨日の今日で他国の取引相手を見つけるのは難しいですよ」

「ウチの国に幻獣を飼うような馬鹿いないと思うけど?ウチは幻獣にちょっかいかけたら重罪だし」

「そうなんだ……」


 でも居るんじゃないか?権力を誇示したい貴族なんてトゥース王国でも一人くらい居るだろう、もしくは……王族とか、ね。流石に普通に入国した場合では幻獣の子供を検問で発見出来ないわけない。あの不細工が防壁をよじ登って入国する根性があるとも思えない。誰かが手引きした可能性が高い、権力が大きい者が


「主殿、茶でも飲むか?」

「冷たいお茶は要らない」

「ちゃんと温かいから大丈夫じゃ。あ、容器が無いな」

「でしたら私が用意します」

「うむ、助かる」

「ならもらうわ」


 熱い飲み物まで出せるとは優秀なドリンクバーだ。この炎天下でお茶を飲むのも一興……


「いや普通に暑い」

「うむ、だがお茶が一番落ち着くじゃろ?主殿は悪い方悪い方へと思案してるようじゃから一度頭を休ませるとよい」


 こちらに振り向き私の顔を見つめるルリ。こんなナリしてても長年生きた大精霊、か


「だが泣き虫なんぞに心配されるとは屈辱」

「うおおおぉぉぉぉ!?羽衣を引っ張るのはやめよっ!!破れる!破れる!アイリス殿がくれた羽衣が破れるううぅぅぅぅ!ぴぎゃああああぁぁぁぁぁんっ!!」

「賑やかですねぇ」


 あー、大精霊を泣かした後のお茶は美味い


 気付けば遠目に大きめの町がみえてきた、あれが超ウルトラ以下略だろう



……



「……町の広さに対して人の気配が少ない、どうやら住民達は王都辺りに避難したようです。これなら人目に付かずに売買出来ますね」

「へー……何とも都合の良いこと」

「幻獣の子供とあの不細工の気配が同じ場所にあります」

「一緒にいるとか犯人と自供してる様なものね」

「すぐに取り押さえますか?」

「金を受け取る時に捕まえましょう」


 私が殺してもいいけどこの国の問題はこの国の者に任せよう。あん畜生にはリュックの恨みがあるからやっちまいたいが


「では離れた場所に待機して見張りましょう」

「見張り?楽しそうだねっ!」

「遊びじゃないのよ。さっき落ち込んでたくせに何なの」

「ごめんなさい」


 奴が潜んで居るのはある店舗。見た感じすでに潰れて空き店舗となってる何とも悪党が好きそうな場所だ


 私達は斜め向かいの飲食店に入り外からは見えない位置に座る。もちろん従業員も避難したようで店はやってないので不法侵入だ。ンフォは流石に入れないので空で待機させている


「この取引が夜に行われたりしたら面倒ね」

「いつ騒動が収まるか不明ですので早く売買は済ませたいと考える筈です」

「なら待つのは少しだけで済むかもね」

「それでもしばらくは暇そうじゃな」

「暇ねぇ……先代の悪行は聞いたから今度はルリがアイリスと会った時の話でもしなさいよ」

「む?アイリス殿か……?そうじゃな、ワシが紅茶と格闘していたら外道と同じくいつの間にか湖の畔におったな」


 アイリスも森の奥に一人で現れたってのか?私が二代目なら奇跡ぱわーは持ってない筈だが


「アイリスって湖に辿り着けるほど強かったの?」

「違うぞ?昔は今の様に魔物も居なかったし、幻獣だって人間が何もせねば襲う事もなかった。じゃからワシの住む湖に人間が来るのはさほど珍しい事でもなかったのじゃ」

「なるほど」

「まあワシが人前に現れる事は滅多になかったが……しかしアイリス殿を湖の中から見ていたらいつの間にか湖を出てホイホイ傍まで近寄っていたのじゃ」


 何という精霊ホイホイ……湖の中から見ていたのに惹き寄せられるとは私以上の加護があったとみえる


「恥ずかしい話じゃが、ここでお別れするには惜しいと思ってな……そこからは紅茶の事も忘れてアイリス殿に無理矢理着いていったのじゃ。流石に今の様に人型になってじゃがな」

「アイリスは湖に何をしに来たの?」

「さあの?聞いとらん」


 母親である先代でも探していたのかねぇ……ワンス王国からわざわざ湖に行くとは何かしら理由はあった筈だが、それは本人にしか分からないか




「……新たな人の気配です。もしかしたら買取手かもしれません」

「「「……」」」


 一斉に黙って外を伺う。私の予想ではこの国の貴族辺りと思っているが、はてさてどんな野郎か……


 しばらく緊張感の漂う中待っていたら人影が見えた。……予想とは違って女のようだ。貴族の夫人か何かか?

 遠目な上に隠れながらだから顔はよく見えない


「サヨ、例の遠くをみる魔法の出番よ」

「はいはい」


 魔法のおかげでよく見える。貴族っぽくはあるが顔立ちが割といいので恐らく他国の者……この短時間で他国の者と取引出来たのか……

 女は私達の視線に気付く事無く不細工と幻獣がいるであろう店の中へと入って行った。


「行くわよ」

「尾行とかわくわくするねっ!」


 だから遊びじゃないと……

 私を先頭になるべく静かに店を出る。そして女が入って行った店へ――


 行けずに何者かに捕まった。横から抱き上げられたのでサヨ達ではない


「……はぁ?この私が気付かなかったっての?」

「黙ってね?」

「ど、ドンちゃんが捕まっちゃった!?」

「お姉様……まさか私まで外に人が居ると気付かなかったとは」


 私の首元にはナイフらしき刃物が。騒ぐか動けば殺すってか……馬鹿め、この私にはリディア特製の御守りが……


「あ、着替えた時に一緒に外したままだわ」

「お、ぉぉ……お姉様……」

「そんなガッカリしないで、いったぁっ!?」

「黙って、私はそう言わなかった?次は首と胴が離れちゃうわよ?」


 このビチクソ、私の首を少しとはいえ切りやがった。許さんぞボケェ……


「さっきの女の仲間か……一体どこの誰々さんなのかね」

「……死にたいんだ」

「私なら無駄口叩かずに殺すわ、お前は三流ね。マイちゃん、やっちまえ」


 後ろで石で殴ったかの如く鈍い打撃音が聞こえた。至近距離からマイちゃんアタックを食らうとはご愁傷様だな


「あっははははは!頭の蝶は飾りと思ったか馬鹿め!!」

「大丈夫ですか?」

「首の皮が薄く切れただけ、平気よ」

「むぅ……むざむざお姉様を怪我させたと聞いたらユキさんが激怒しそうです」


 これは実力もないくせに先頭きって歩いた私の不注意だ。ユキには黙っておこう、うん。あの娘の説教って割と長いんだよ


「にしても酷い顔になったもんね」

「マイさんの一撃で顎の骨が砕けたようですね。ざまぁないです……それより見て下さい、これは気配を遮断する魔道具です。だから私もお姉様もコイツに気付かなかったのですね、全く……そうそう私が遅れを取る相手が出てきてたまるかってもんです」

「結構金持ってそうな奴等ね」

「ええ、ですから急いで中へ入りましょう。コイツを尋問しようかと思いましたが、高価な魔道具をこんな雑魚が持っているなら中にいる者が転移系のアイテムを所持してても不思議ではないです」


 なるほど……この国の者が手引きせずとも転移出来れば幻獣を国内に持ち込むのも容易いってことか……つまりあの不細工も所持してると思われる。ならばサヨの言う通り急がないと逃げられるかも


「じゃあ急ぐわよ、そいつは拘束しておきなさい」

「はい」


 と言っても気付かれてはいけないのでなるべく静かに中へと侵入した



☆☆☆☆☆☆



 こっそり入ったはいいが、奴等の姿は店内には見当たらない……まさかすでに転移された後だったりするのか?それでは3000万が……いや、依頼は騒動を収めることだったはず。でも子供を取り返さない限り幻獣が収まらないか


「地下にいるみたいですね」

「入り口は?」

「えーと、あのカウンターの所ですね。多分床がずれて入り口が出てきますよ」


 と言われたのでルリに床が動くか確認させる。なんでワシが……とか文句たれてた、ペットのくせに生意気だ


「お、ここが動きそうじゃの。どれどれ」


 ゴゴ……と音をたててずれる。気付かれるからもっと静かにやれよと思う。人一人通れるほど隙間が出来たので今度はサヨを先頭に入る




「む?ただの屍が転がってますよ」

「この暗いのによく見えるわね」

「少しだけ明かりをつけましょう」


 うっすらと明かりを灯す。確かに死体が転がっている……しかも二人分。見覚えあるな、昨日飯屋で見た不細工の取り巻きで間違いない


「し、ししし死体?……どうしよう、殺人事件の第一発見者としては記者の質問に答えたり騎士団に聴取されたり」

「落ち着けミラ、死体なんぞ放置よ放置」

「うむうむ、別に今どうにかする必要はないのじゃ」


 初めての死体に動揺するミラを何とか落ち着かせて先を急ぐ。そんな深い地下ではないからもうじき奴等の所に到着するだろう


 という予想通りに曲がり角の先に人の気配を感じた


「はて、てっきり二人と思いましたが四人は居ますね」

「取り巻きが他にもいたとか?」

「かもしれません……では突撃しますよ」


 魔法で一気に明るくし、敵を逃がさぬ内に前へと飛び出す。こちらに気付いて振り返った人影は確かに四人分いた。全員見たことある顔だった


「あれ?アリエとハンナ?」

「姫様……」

「え?あれこの普通な奴って姫なの?はっはは!ふつー!ちょーふつー!」

「だ、誰ですかその失礼な人はっ!!」


 ミラがメイド達と謎の女に話している内に私達は不細工と幻獣のほうを処理しよう

 不細工は私達の事を思い出したようで憎憎しげにこちらを見ている……怒った顔もまた見るに耐えない不細工だ


「貴様は……」

「よぉ不細工、久しぶりね不細工……相変わらず不細工で何よりね。口だけは達者なのは健在?思わず目を背けたくなるとはお前の顔の為にある言葉ね」

「こ、この……ふん、お前こそ相変わらず生意気な奴だな!」

「シリウスの腰巾着の次は幻獣の誘拐、つまらない悪党だこと」

「盗品で偉くなった気分を是非とも聞きたいものです」

「なんじゃ、本当に不細工ではないか……うははは!」


 フィーリア家は挑発が得意。不細工の顔は酔っ払ってんじゃないかってくらい真っ赤だ


「ではお姉様、この男の処分は?」

「顔がキモいから死刑」

「死ねガキ!」


 不細工はあるアイテムを取り出すと私達に向けて魔法らしきものを飛ばしてきた。魔道具を持っているって事はやはり転移で幻獣を持ち込んだと見ていい

 ちなみに奴が放ったしょうもない魔法はサヨがあっさり無効化した


「肝心の幻獣はどこ?」

「隠し部屋にでも閉じ込めているのでしょう」

「後で探しましょう……ルリ、あなたがこの男を倒してみる?」

「ワシがか?……何でこんな雑魚相手に大精霊であるワシが……わ、わかったからその握り拳をやめよっ!?」

「一応雑魚でもあの腕輪を身に着けてるので気をつけて下さい」

「ああ、幸運の腕輪じゃったか……ワシにはそんなもの効かぬよ」


 ほほぅ……なんとも頼もしいことで、本当に大精霊には通用しない代物だとしたら確かに腕輪にとって私は天敵だな……ついさっきルリをペットにしたんだし

 ならここはルリに任せてミラの方を何とかするか、流石に何の力も無いミラを一人にしてはマズそうだ




「あっちは何とかなりそうだから加勢に来たわよ」

「うぎぎ……聞いて聞いて!あのおばさん凄い腹立つの!!」

「誰がおばさんよ凡人」

「まあ下がってなさいミラ、あなたでは三人を相手にするのはまず無理よ」

「むぅ……そりゃそうだけど……あれ?三人って?」

「あのメイド二人もあっち側って事でしょう」

「え……う、嘘だよ」


 一気に不安そうになるミラ……だが安心していい、あの二人は私達の敵にはなるだろうがミラの敵には決してならない。私の見立てによればあの二人はミラを裏切ることは絶対にない


「貴女達にチャンスをあげる。あの小娘達を倒しなさい、ああ……殺しちゃ駄目よ?結構可愛いしお土産として持ち帰るから」

「……分かりました。ただ約束は守って頂きます」

「ええ、もちろん……」


 メイド達……アリエとハンナが私達の前に立ちふさがる。悪いがこちらが負ける可能性は無い……と言ってこちらが勝ってもあの二人がヤバイ事になりそうだ


「貴女達に恨みはありません……姫様の友達に刃を向ける事は私達としても心苦しい……」

「構わない……きっとあなた達はミラの為に戦うのでしょう?なら私達は悪役としてお金の為に貴女達を倒すとしましょう」

「……では、勝負です」


 やれやれと奇跡すてっきを一応構える。私は何もしないけど。というか御守り無しではサヨが戦う事を許しちゃくれない

 どうしてこうなったって感じだが、何やら決意の表情をしている二人に対してたまには真面目に戦う事にした

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