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幼女と水の大精霊

「じゃあグリフォンにでも乗って行くかな」

「大騒動になるからやめて欲しいかな?」


 依頼を受けたはいいが私達が何をすればいいのか聞くと、とりあえず魔物襲撃を鎮めてくれればいいとの事


 具体的には例の口だけ不細工野郎はメイド達に任せるとして、私達は魔物が国に入らない様に国境付近で防衛、撃退

 だが私は別行動をして大森林に行こうと思ってたりする。口だけ不細工はどうせ幻獣はどこかに隠しているだろうし、捕まえても言い訳するだろうから証拠を探さねばならない


 大森林には大精霊がいるらしいからソイツに証人になってもらおう、て事だ。……というのが表向きで、ただ単に私が大精霊を見たいだけだったりする


「とりあえず宿に行くわ、一人くらい人外が居ないと流石に不安」

「わかったよ」


 不安要素の原因の一つはこの姫さんだ。早速出掛けようとしたら着いていくとか言い出したのだ。メイド達も買い物に行くかの如く行ってらっしゃいと軽く見送ったし……正直邪魔だが金の為だ


 グリフォンが待ってる花畑に戻ると……何とグリフォンが居なくなってる……!

 何てことはなく大人しく待っていた。よほどマイちゃんが恐ろしいのか


「ちゃんと待ってて結構。私達を乗せて行って欲しい場所まで連れていってね」

「キュ」


 完全に服従したようで言われるまま私達を乗せるために目一杯態勢を低くするグリフォン


 私と頭に乗ってるマイちゃんが乗る時は何の問題も無かったのだが、姫さんが恐る恐る乗ろうとした時に事件が起こった


「グルゥアアアァァァッッ!!」

「びにゃああああぁぁぁっっ!?」

「うるさい」


 姫さんはまだンフォの敵として認識されているようだ。大事な金づるが殺されては困るので攻撃を止めさせる


「止めなさいンフォ、私達が国を去った後は好きにしていいから」

「キュ」

「聞こえてる聞こえてる。ダメ、絶対」


 どうせ依頼が終わったら幻獣も国を襲うことは無くなると思うけど。先ほどより更にビクビクしながら姫さんもンフォに乗ったので早速出発しよう


「……大騒ぎにならなきゃいいけど」

「私達が乗ってる時点で敵とは思われないでしょうから大丈夫」



☆☆☆☆☆☆



「ぎゃあああああぁぁぁぁぁ!?魔物が攻めてきたぞおおぉぉぉぉ!!!!」

「くそっ!荷物纏めてる場合じゃなかったんだ!」


 めっちゃ騒ぎになった


「駄目じゃん!?皆逃げ惑ってるじゃん!」

「平気平気、あそこにある宿の近くで降りて」

「キュゥ」


 私達が宿泊してる宿まで飛んでもらい近くまで来たので指示をだして降りる。もちろんグリフォンが降りてくるもんだから住民達は我先にと必死に逃げた


「よいしょ、グリフォンの乗り心地はまあまあだったわね」

「オソイ」


 マイちゃんはお気に召さなかったようだ。自分で飛べるしね……蝶のくせに無駄に高速で

 姫さんは降りたと同時に慌てて住民達にこのグリフォンは無害ですから落ち着いてと説得を頑張っている。残念ながら全く効果は無いが


 と思っていたら何人かの住民が姫さんに気付いたのか幾分落ち着いて話しかけてきた


「あ、もしかして姫様?」

「……姫様があのグリフォンに乗ってきたとでも?」

「おお……流石は姫様」


 ふむ……落ち着いたのはいいけど、何故か私を見ながら姫様発言をする住人達。もしかして姫さんが着てたお古のドレスを着ているから私が姫だと勘違いしているのかもしれない。


「このグリフォンはちょっかい出さなければ危害は加えないから安心しなさい」

「おぉっ!やはり姫様が従えてましたか!」

「この国の姫様もやりますね!こんな幼い姫様が居るとか知りませんでしたけど!」

「……あれ?姫って私だよね?」


 一般人に近い格好してるからきっと付き人とでも思われてるんだろうなぁ……まあ少し経てばすぐに出て行く国の住民に勘違いされた所で別に問題は無いから訂正はしない

 安全と分かるや否や増えだした野次馬達を無視して家族がいるであろう宿へと入る、姫さんも一応着いてきた






「とまぁこんな感じに各国の名称には意味があったりします。分かりましたか?メルフィさん」

「ん、なんとなく」

「わたしも知りませんでした」

「マオさんは知らなくても不思議ではないですが。メルフィさんは本当に呪いに関わる事以外は学んでこなかったのですねぇ」


 私の家族達は警報がなった非常時にも普通に勉強会を開いていた。うむ、実に頼もしい


「どう?この緊急事態にも余裕の態度で過ごしている私の仲間は」

「駄目じゃん……」

「そうね、冒険者としては全然ダメね」

「おや、お帰りなさいお姉様……の偽者さん」

「白くなってるけど本物よ」

「ふむ……その様で」

「あ……お母さん、頭に乗ってる蝶はまさか……」

「ええ、察しの通りマイちゃんよ。花畑にいたら帰ってきたの」


 頭から手の上に乗るように指示し、マイちゃんが移動したのを見て皆に見える様に差し出す


「……お久しぶりです。マイさん」

「ユキチャン、ヒサシブリ」

「ふ、普通に喋れるのですね」

「わ、わたしは覚えてます?」

「ウン、マオチャン」

「……うわわっ!マイちゃんに名前を呼ばれました!?」


 自分で聞いたんだから呼ばれて驚くなよ……サヨは知ってるだろうけどメルフィとは初対面だっけか。廃墟では夜中に私だけで会ったし


「お久しぶりです、いつぞやは無駄な検査でご迷惑を……」

「オウ!キニスンナ、サヨ」

「……何で私だけ呼び捨て?しかも上から目線」

「サヨは格付けでは下と見られたのね」

「……初めまして」

「ダレテメェ」

「…………メルフィ」


 ……何か口が悪いぞこの蝶

 薄々気付いていたが初対面のメルフィにこの態度はどうなんだ。他人にならどうぞどうぞだけど


「うーむ……せっかく喋れる様になってもその言葉遣いはどうかと思うわ」

「確実にお母さんの影響と思いますが?」


 なにを馬鹿な……え?そうなの?

 私ってそんなに言葉遣い悪かった……あぁ、良く考えなくても他人に対しては口が悪いわ、納得


 って、今はこんなほのぼのしてる場合じゃないんだよ、姫さんも呆れた様に見てるし……ここは一つリーダーとして言ってやらねば


「あんたらこの非常時に何やってんのよ、魔物退治しないで宿にいるだろうって思ったら本当に居るとかなんなの?」

「お姉ちゃんいつもぐうたらなのにどうしたんですか……?やっぱり偽者なんですか?」

「言うようになったわねマオ……」

「お姉様の事ですからきっとウマい話に乗っかったのでしょう」

「その通りだよロリババア」


 ちょっと作戦会議と言って姫さんには一旦外に出てもらう、別に聞かれてもいいけど何となく追い出した


「一緒に居たのって実はこの国の姫さんなのよ」

「……花畑に出かけてどうして姫を連れてくる事になるのでしょう」

「適当に転移した花畑が城の中だった。ちょうど姫さんが来た。姫さん相手に授乳プレイ中にグリフォンが来た。マイちゃんも来た。マイちゃんがグリフォンを倒した事で評価されて個人的に依頼を受けた。報酬は3000万ポッケよ」

「なぜ私達ではなく知らない姫様と授乳プレイをしたのか聞かねばなりません」

「重要なのはそこじゃないでしょ」

「3000万とかどうでもいいです」


 こいつら本当にお金とかどうでもいいんだな……まぁ好きなだけ稼げる実力あるから当然だけど。私もどうでもいい派だが目的の為にはすぐにでも大金が欲しい


「私は3000万……というか大金が欲しいのよ」

「お姉ちゃんがお金を欲しがるなんて珍しいですね」

「ほら、人数も増えてきたから馬車を改造しようと思うの、具体的には高級宿に匹敵するくらいの内装に仕上げたいわ」

「無理ですよ」

「そこは貴女達に頑張ってもらうわ、中を空間魔法で広げた後に改装すれば何とかなりそうじゃない」

「そう簡単に言われましても無理なものは……」

「なんだ、サヨって大した事ないのね」

「……出来ます、ええ出来ますとも!お任せくださいこん畜生」


 やる気になったので良し。だが私に向かってこん畜生などと言ったサヨには顔面に奇跡すてっきを投げておいた


「ところで依頼って何をすればよろしいのですか?」

「冒険者らしく魔物を殲滅すればいいのよ、ただ私はちょっとやる事があるから一人だけはお供してもらうわ」

「誰になさるので?」

「今回はサヨにするわ、一番適任そうだから」

「お任せ下さい」

「では私達は魔物の殲滅に向かいましょう。マオさん、メルフィさん、勉強は一時中断です」


 勉強中だったっけか、確か国の名前がどうとか言ってたな。ちょっと興味をそそられるので後で私も聞いてみよう

 姫さんを外に待たせ続けるのも悪いので方針が決まった事だし早速行動に移る


「じゃあ行くわよ。言い忘れてたけど魔物はともかく幻獣は殺しちゃ駄目よ」

「わかりました。手加減して気絶で済ませます」


 もはやこの娘達の中では幻獣なんてそこらの野良犬みたいな扱いである。よくもまぁここまで強い面子が揃ったパーティになったもんだ。何でだろうか



☆☆☆☆☆☆



「本当に近いのね、国を出てほんの十数分の距離にあるじゃない」

「グリフォンの飛ぶ速度を考えて言ってね?馬車なら一時間はかかるよ」

「私達の馬車なら変わらないけど」


 コリーア大森林の入り口付近まで到着した

 サヨがグリフォンに乗ろうとした時に姫さんと同様に渋っていたが、グーパン一発で服従した。マイちゃんアタックを何度も食らった経験から根性で反攻しても更に酷い目にあうだけと学習したようだ


「以前来た時に比べて随分と不気味になってますね」

「そうなの?」

「はい、昔はまだ多少の神聖さは残ってました。大精霊は何をやっているのやら」

「神聖とは程遠い雰囲気ね」

「森が出来た頃はそりゃもう神域って呼べるくらい神聖な場所だったらしいよ?今みたいに魔物は居なくて幻獣の楽園みたいな森だったんだって」

「それがこの様、か」


 どこに大精霊がいるのか目星をつけなければ……居るとしたら大森林の中心に位置する場所が可能性高いと思うが、この広さではそもそも中心が分からない。とすれば……


「ふむふむ、良く見ると進むにつれて森が暗くなってるわね。具体的には木が黒くなっていってる」

「神聖には程遠いですね……これは大精霊に何かあったのか、もしくは大精霊が居なくなったと考えていいですね」


 大精霊が居なくなってたなら何しに行くんだって話だ。って、ちょうど森に棲んでる幻獣が今ここにいるんだから聞けばいいじゃん


「ンフォ、この森に大精霊っているの?」

「キュウ」


 ……この返事はどっちだろうか?いっそ喋ればいいのに

 ここは好意的に受け取って大精霊が存在してると解釈しよう。そんな事を考えてたらやたら気分が悪くなるような臭いが……何だこの何か腐ってるような臭いは


「臭い、消臭の結界張って」

「分かりました。この臭いの元は恐らくあの一番黒くなってる場所でしょう、しかしまるでヘドロみたいな臭いですね」


 ヘドロ……ヘドロか、確かにそんな感じだな。そんな場所に大精霊がすんでいるとは思えないけど……


「あそこに降りましょう」

「注意して下さいよ?というか会っても喧嘩売らないで下さいね、言っておきますけど大精霊とか倒せる気しませんから」

「弱気ねぇ……」


 だがまぁ大精霊っていうくらいだから強いとは思う。流石の奇跡人も神に近いとか何とか言われてる大精霊相手では厳しいか……あの実験体より強敵かもしれない


「おぉ……戦う前提で考えてた」

「やめて下さいよ」

「本当にやめて欲しいよ……絶対最初に死んじゃうよ私……」

「安心しなさい。金づるは守るわ」

「言い方言い方!!」


 では行こう、ンフォにあの一番黒い場所で降りるように告げる。しかしものっそい嫌がり中々言うことを聞かない。

 ここに棲んでる幻獣でも大精霊の近くに寄るのは嫌というか恐れ多いって感じか……だがそんな事言ってられないので脅して無理やり向かわせた



★★★★★★★★★★



「うぇ……地面が本当にヘドロってるじゃない……」

「これは……もしやここは湖だったのでは?」

「湖……ってことは水の大精霊の住処って訳か……いえ、これは水じゃないわね。ここに住んでるのはトイレの大精霊に違いないわ」

「何とも格が低そうな精霊ですね」

「し、失礼だよ!?聞こえちゃったらどうするの!」


 居るんだろうか……こんな所にずっと居続けるとは思えないけど。その場から動けなくなっているのか?近くに行ってみないと分からないので今度はサヨの符に立って湖の側に行く


「トイレの大精霊、いるなら出てきなさい」

「言っちゃったよこの子!?」

「まぁ大精霊が姿を現すことは滅多にないと……思いましたがそうでもない様で」


 サヨの視線の先、ヘドロの湖からボコボコと泡が出ている。段々と大きくなり、いかにも何か出てきますって感じだ

 会うのが目的なので話が早い、出てくるまでまっていよう。しかし臭いな……結界張ったってのに泡が出た辺りからまた臭いだした


「くせぇくせぇ」

「ワシを臭い呼ばわりするのはその小娘か……」


 しばらく経つと人の形になったヘドロが現れた。人型ではあるけど……人みたいではないんだな

 顔も輪郭はあれど目も口もない。何故か鼻はあるが……身体のラインから察するに女性型と思う


「トイレの大精霊で合ってるわね?」

「違うわ馬鹿者……ワシは水の大精霊じゃ」

「どの辺が水だってのよ」

「ドンペリちゃん!?言葉遣い言葉遣いぃ!!」

「トイレの精霊なんかに言葉遣いを気にする事はないわ」

「……ほほぅ、もしやワシに喧嘩を売りにきたのか?いいぞ、相手してやるわ。思うように事が進まなくてイライラしていたのだ……数百年ほど」


 数百年もイライラしてたのか……長生きするもんの考えは分からん


「何で戦う風になってるんですか……私は嫌ですよ?」

「そうね、臭いから接近戦は遠慮したいわ」

「いやいや謝ろうよ!?」


 私が大精霊なんぞに謝るわけがない。サヨは厳しいと言っていたが私にとってはどいつもこいつも大差ない。本当にサヨには厳しかったら奇跡ぱわーの出番だ……いや、あのサヨが倒せる気がしないと言った相手を戦わせる必要はない。無駄に怪我をされても困る


「一応言っておくけど、私は喧嘩売った覚えないから。誰にでもあんな対応なのが私よ」

「それはいかん、ワシが教育してやらねばな……ふざけた態度をとってはいかん相手がいる事をその身に刻んでやるわい」


 うむ、何を言っても無駄そうだ。流石は他人をイラつかせる事が達人級である私だな!困るのは聞きたい事を聞いてないのでまだ殺せないことだ


「まぁいいわ、三秒で終わらせてあげる……奇跡すてっき」

「謝れば許そうかと思うたが、やる気とはな……くく、ごめんなさいゆるしてくださいおねがいしますぅぅぅ!!」


 …………何なんだろう、急に精霊が謝ってきた。しかも土下座。戦わずして降参するとはもしや雑魚、ひょっとして大精霊じゃないのかもしれない


「とんだ腰抜けね、大精霊じゃないでしょうお前」

「ワシは正真正銘の大精霊じゃ!……その杖、それを持った者に昔酷い目に合わされたので思わず謝ってしまった。もはやトラウマじゃ……」


 先代しかおらんがな。先代も私に負けじ劣らずやりたい放題だな、こいつに何をしたのかはまだ不明ではあるけど


「創造主のおかげで戦わずに済みましたね」

「元祖外道は何をしたのやら」

「何がどうなったの?」

「大精霊とやらが私に服従した」

「そこまではしとらんわ!……む?お主、何と言うか不思議というか心地よいというか懐かしい感じがするな」


 懐かしいってのは分からんが心地よいってのは例によって自然のなんたらの影響だろう

 という事を伝えると


「自然の加護のことか?そんなもんに懐かしいなどとは思わぬよ、加護持ちも世界中を探せば珍しいものでもないしな」

「じゃあ何なのよ」

「うぬぅ……少し傍に寄ってよいか?」

「嫌よ、汚い」

「ぐぬぅ……人間のくせに大精霊になんという物言いじゃ……まあよいわ」


 ヘドロ精霊は湖から少し上の方に浮いたかと思えば再びボコボコと泡立ち始めた。何をするのやらとしばらく待っていると身体の胸の部分に穴が空いた。その穴を見ると何やら小さい人影が見えた、気がするけど森の中が暗すぎてよう分からん

 だが予想は当たっていたようで穴から蹲った格好の小さい少女が出てきた。この見えづらい状況でも分かる青さ、髪も青けりゃ服も青い。そのままふよふよ私達の前まで来ると目の前で降りた


「これでよかろう?」

「ちっせ、私より小さい」

「やかましいわ!」


 羽衣……って言うんだっけか?天女が着てそうな衣装を身にまとい4才児くらいの体型で偉そうな顔でこちらを伺う大精霊……なんでババアみたいな喋り方してんだろ


「もう一度言うが、ワシが水の大精霊じゃ。人の姿で会うのはお主で二人目……あぁ、他にも二人おるから四人目か?まあよいわ」

「トイレの分際で偉そうに喋ってんじゃないわよ!」

「痛っ!?精霊を殴るとは何という不届き……いたい!やめて!?ごめんなさ……びええええええぇぇぇぇぇんっ!!!」


 泣いた

 大精霊が泣いた……実に楽しい。水の大精霊を泣かした者として歴史に名が残るかもしれない


「や、やめたげようよ!?後が怖いよ!!」

「確かに魔力だけは恐ろしいものを持ってます。キレる前にやめておきましょう」

「ふーん……こんな泣き虫がねぇ」

「うぅ……お主このワシをぞんざいに扱いおって……後で覚えておけよ?」


 涙目で負け惜しみを言ってくるが、私の右腕にしがみつくとスリスリと顔をこすりつけて悦に浸っている。何こいつキメェ


「お、おぉ……この感覚は……お主もしかしなくともワンス王国の者であろう?」

「良く分かったわね」

「やはりか!ではアイリス殿を知っているか?」

「知らん」

「何で知らないんじゃ!ここは知ってると言って話が盛り上がる所じゃろうが!」

「知るか、とりあえず離しなさいボケ」


 不承不承と言った様子で少し離れると眉間にしわを寄せて考えだした。妖精も可愛かったが精霊も可愛いようで、考えこむ姿はロリコンなら歓喜しそうだ。水属性だからか目は青い、しかし肌は青くなくユキ並に白い肌だ


「ぬぅ……本当に知らんのか?アイリス・フィーリア殿を。お主の様にただの自然の加護とは違う、何と言うか世界に愛された謂わば世界の加護を持ってる凄い人物なんじゃが」

「……フィーリア?」

「思い出しました。アイリスとは創造主の実の娘だったかと……つまりお姉様のご先祖様ですね」

「やはりアイリス殿の縁の者であったか……血は争えんという訳か……あれ?ではあの杖は先祖譲りではなく……いや、もしやあの外道とアイリス殿が血縁とか……」


 何もしてないのに顔色が悪くなり震えだす大精霊。余程我がご先祖様が苦手らしい。


「やめじゃ、外道とアイリス殿が血縁者とか考えると恐ろしくなるわ。ところでお主達はこんな危険な森に何しに来たのじゃ?アイリス殿の関係者と分かった以上話は聞くが」


 そうだった、ここに来たのは大精霊を見るついでに幻獣誘拐の件で証人というか証拠探しにきたんだ。この精霊では期待出来ないがとりあえずその旨を偉そうにしてるロリ精霊に伝える事にした

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