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幼女とメルフィ

 この私の家族に危害を加えたクソ女をめった刺しにして死ぬ前に回復して延命させる

 その後に四肢を切断したあと磔にしてダーツに興じる。死ぬ前に以下同文

 いよいよ気が晴れたら何本釘を打ったら死ぬか実験しながら殺す




「そんな風に思っていた時期が私にもありました」


 もはや怒りに任せて敵に死にたいと思わせるまでいたぶる時代は終わった

 今は余計な時間を使わずサックリ殺すのが一番じゃなかろうか


 調子こいて時間かけてたら敵の援軍が来ました、とか馬鹿かと。短時間で済ませよう短時間で


「どうかなさいましたか?」

「今は視界に入らないで、また苛々してくるでしょう」


……


「今のセリフはいけません。まるで私が苛々させる存在の様に聞こえてしまいます。正しくは私の右腕の怪我を見ると折角落ち着いたのに敵に対する苛々が再び込み上げてくる……そう言うべきです」

「必死ね、見苦しいわよ」

「やはり私と姉さんはマオさんに比べて扱いが悪い様な……」

「なに遊んでるの?」

「遊んでない」


 余裕そうにしてからに……待ってろ、いつぞやの猿の様に奇跡ぱわーで爆破してやるわっ


 ……と言いたいが、奇跡ぱわーにとって命の価値は平等ではないらしく、敵の強さによって気絶時間が異なる

 クソ女ぐらいの強さでは一体どんだけ気絶するか分かったもんじゃない


「ユキ、左手が無事ならまだ戦えるわね?」

「もちろんです。私を頼って下さり安心です。またお一人で特攻するかとヒヤヒヤしました」

「私も馬鹿じゃないわ、私が怪我をした時の貴女達の気持ちはよく分かった、さっきのでね。かなり苛つくわね、特に自分に」


 喋ってる時間すら勿体無いから始めよう。戦い方をどうするか、また先代並みに強化するのが一番だが、あの激痛は二度と味わいたくないから却下


「ねえねえ」

「……考え中よ、空気読みなさい。まあ一応聞いてやるわ、なに?」

「死体の腹をぶち破って現れる斬新な登場はどうだった?」

「ああ……同じ位の体格なのによく中に入れたわね」

「別にこの姿のまま入ってた訳じゃないから」

「へぇ……結局あの男はあなたが操っていたの?」

「んー……まあそうだね」


 コイツは結局何者なんだろうか?人間ではないとして、全体的に白い種族を考えれば分かるかな?


「で、奴は何者だと思う?」

「直接聞いてみれば如何です?」

「お馬鹿。敵に情報を聞いたが最後、聞いてもいない組織の事までペラペラ喋って新たな敵が発生するのがお約束ってやつなの。名前すら聞かずに殺すのがベストよ」

「本の読みすぎかと」

「うっさい」


 まあ何者でもいいか、世の中には死体の中に隠れる変人が居る、それでいいや




「あなたアンデッドは好き?」

「……また唐突ね。幽霊には興味あるわ」

「そっかぁ……ゾンビはいいよー?煩くないし、命令は素直に聞くし?生きてる人間と違ってウザくない」

「おまけに痛みを感じないから兵士にうってつけね。でもそれだけ、ただただ動くだけのつまらない存在よ」

「ちぇ、貴女とは気が合わないね。やっぱり生きた人間はやだ、特に子供はね……?」


 気が合わなくて良かったわ、こんな変人

 ニヤニヤ気色悪い笑みを浮かべて構えをとる。やる気みたいだな、手には先ほどの奴が持っていた例の杖……本来はこのクソ女の武器なんだろう


「ふん、来ると言うなら来なさいな。ハッキリ言ってお前に勝つ未来などない」

「言うねぇ……面白そう!」


 フィーリア一族に伝わる秘技その一、ハッタリ!!……効果は相手が警戒するか怯んで逃げる

 ダメじゃん……警戒どころかやる気アップしやがった


「何とかアイツの動きを止めましょう。止まれば口に爆薬突っ込んで終わりよ」

「それが一番難しいんですけど」

「なら正攻法でぶちのめすのみね」


 とりあえず念のため持ち歩く様にしたナイフをいつでも使える様にリュックから取り出す

 リュックに入れてりゃ役に立たんわな……ユキとサヨが喧しいから持ってるだけだったし


「あはは……燃えちゃえ、切れちゃえ、粉々になっちゃえっ!」

「うぉ!?」


 何か色々飛んできて変な声が出た

 炎やら見えないが鎌鼬らしきもの、最後には私の周辺が爆発した。詠唱は無かったし、今のが例の言霊的なやつかも


 リディアのペンダントが何とかしてくれるとは思ったが、弱っちぃ身としては焦るに決まってる


「私には通用しないわよ?べ、別にびびってないし?」

「自分から暴露してますよ」

「わぁ、凄い凄い!」


 クソ女に焦った事がバレてないならいいのだ

 これで私が中々に強敵と認識されて更に攻撃が苛烈になる……!


 ダメじゃん……


 苛烈にさせてどうすんだよ。今日の私はどうかしてるわ


「この前の都市にいた弱い冒険者達より楽しめそうだね」

「雑魚と一緒にすんな!」


 てけてけ走ってクソ女の元へ向かう。何の強化もしてないので当然遅い


「何歩いてんのよ馬鹿娘!」

「いえ、お母さんの速度に合わせようと」

「……この体型じゃ仕方ないじゃない」

「可愛らしくて結構です」


 おのれ……!馬鹿にしやがって

 クソ女は不思議そうに私達を見ている。きっと私が本気で走っている事に気付いてない


「遊んでる?馬鹿にしてる?……容赦しないよ?」

「やってみなさい!」

「……あっははははっ!」


 今度は自身が向かってきた。こちらが接近戦を挑んでいると気付き、乗ってきたようだ


「うっりゃあっ!!」

「にゅう゛っ!!」

「っと……大丈夫ですか?」


 フルスイングされた杖を受け止めようとしたが、思いっきり吹っ飛ばされた。ユキに拾ってもらったが


 ペンダントのおかげで痛みは無いが、これでは私が防御しても毎回飛ばされるだけだ


「ちっ……とりあえず突っ込めば案外ナイフ刺さるかも作戦は駄目みたいね」

「お母さん洗脳されてませんか?考えがいつもより……」

「いつもより何?」

「黙秘します」


 つまり馬鹿にしてんだろ

 私も馬鹿らしいと思ったけどさ


 でもアイツの喋り方とか考えたら馬鹿みたいな作戦が成功しそうな気もする。幼稚そうな奴だ、単純な手に引っかかりそう

 事実、先ほど操っていた男の時はウンコ踏んでるが通用した


「勝利の鍵はウンコか……」

「絶対ふざけてますよね?先ほどの真面目に怒っていたお母さんはどこに消えたのですか?」

「私は大真面目よ」


 よし……先ほどのハンカチを使って再び奴の気を引こう


「手の平にハンカチがあります」

「今度はなぁにー?もう殺しちゃうよ?」

「問題、このハンカチの下には何があるでしょうか?」

「ウンコ」

「違う」


 そんなもん手の平に乗せるか馬鹿たれ

 正解は何もない、当然だ。手品とか出来ないし


「ほら、動いてる」

「くだらない、手で動かしてるだけじゃない。そういう馬鹿にした遊びは嫌い、潰れちゃ」


『くるっくー!?』


「……ハトだっ!ハトがいる!?何でぇ!?」


 危うくこちらを殺す気で攻撃される寸前、絶妙なタイミングでぺけぴーが鳴いた

 チラリと見たらメルに腹を思いっきり蹴られてた。頑張れ


 ユキに目配せをして私がクソ女の注意を引き付けている隙に後ろに回らせる


「鳴くからハトってバレちゃった……見たい?」

「見たい!凄い凄い!!さっきまで確かにいなかったのにっ!」

「じゃあ……さん、に、いち、ハイっ!……って言ったらハンカチを取るわよ」

「うーっ……早くぅっ!我慢出来ないよぉ、焦らしちゃだめぇ……!!」

「このド変態め」


 言い方が酷すぎるんだよ

 居もしないハトが余程気になるのかズイズイ近付いて来る。もう目と鼻の先という危険な距離だがユキが何とかするだろ


「では……さん、に、いち……はいっ!」

「くふっ……!」


 最後の掛け声と同時にクソ女の胸から刃と化した鞭が突き出てきた

 そしてそのまま腹まで切り裂かれた……クソ女の目は未だ私のハンカチを取った手に注がれている


「……ハト、は?」

「馬鹿かお前は、いるわけないじゃない」

「騙、した……いたぃ!」

「あっははははっ!自分から私の間合いに近付くとは好都合!おら死ね!死ね!」


 ここぞとばかりにメッタ刺しである。人間の体内に入ってる様な奴が心臓刺されたぐらいで死ぬとは思えない

 急所が分からないため至る所を刺したが死ぬ気配がない。痛がってはいるが


「てことは頭だな!死、ね……?」

「お母さん……!?」


 誰かに持ち上げられた……


 と思ったら思いっきり地面に叩きつけられた……頭はリュックが間に挟まったおかげで何とか無事だが、めっちゃ痛い……リディアの御守り何してんだちくしょー


「いてぇ……誰かと思えば、マオじゃない」

「はぁ……はぁ……!」


 私から奪ったナイフを振り上げ、私の心臓に狙いを定めている


「ぃひ、あはは……!ざまぁ、みろっ!仲間に……殺されちゃえっ!……後ろのお姉さんも、その子が大事なら動かない方がいいよ?あはははは!!」

「あんだけ刺されて元気ねぇ」


 こちとらたったあれだけで身体が痛いというのに……マオめ、割と思いっきり叩きつけやがったな


「で?私を刺すの?……まあ、敵じゃなく家族にやられるならそれも良しね」

「お、姉ちゃん」

「ダメです……お母さん」

「黙っときなさいな」


 何故かリディアの御守りは効果無かった。次も防げる保証はない……マオ相手に奇跡ぱわーでどうこうする気もない

 それにマオほど精神が強い娘なら、例え洗脳されても本当の家族と思っている私達を傷つける事を嫌い、正気に戻ると思う


 私の独りよがりの家族ごっこじゃなければね


「早くやれば?……ただし一つだけ約束しなさい。貴女が正気に戻った時、私が死んでてもちゃんと生きること……笑いながらね」

「わた……わたしは、正気ですっ……」

「ちゃんと聞きなさいよ?貴女が覚えてることを願うわ」

「だからっ!……正気だって、言ってるじゃないですかっ!!」


 震える手を下ろし、カランと地面にナイフを手放す……本当に正気に戻ってたのか


「いつ、戻ったの?」

「お、お姉ちゃんを……た、叩きつける時……!でも、ちゃんと意識が戻るまでに間に合わなくて、もう少しでっ!」

「分かった、もういい」


 リディアのペンダントは害なすものから私を守る。正気に戻ったマオが私を傷つけようとは思わない……思わないからこそ攻撃が通じたって事か……いっそダメージ全部防げばいいのに

 だがマオが思った通りの娘で良かった……だから


「マオ」

「ご、ごめんなさい……ごめんなさい!」

「ありがとう、貴女は良い娘ね。そんな貴女にプレゼント」

「わっ!……あれ?これ……」


 マオに渡したのはリディアに貰った例のペンダント

 クソ女が私達に向けて杖を構えているのが見えたからマオに渡したのだ


 自分優先だった筈の私だが、なんだ……結局甘い奴だったか。他人を守って死ぬなど私らしくないなぁ……


 せめて奴を奇跡ぱわーで始末しようと思ったが、すでに眼前に黒い塊が迫っていた




 激しい爆発音で耳が痛い……ついでに身体中が痛い、どういうこった。死んでも痛いとか理不尽すぎる


 と、くだらない事を考えるくらい激痛が走っている、痛いって事は生きてるって事だ。


「……はん、私も生き汚さは一丁前ね」


 しばらく動けそうにないなぁ……しかし良く助かったな

 右手に生暖かい液体が触れてる感があるので見てみると、緑色の物体があった


「メル……?」

「……」


 緑色の物体はメルの頭だった。返事は無い、死んでるのだろうか?というか私を助けたのはメルなのか?

 かろうじてピクリと動いてるので生きてはいる様だ


「メル、精霊魔法使っていいからさっさと治しなさい」


 メルがどういう状態なのか私には分からない。自分もどういう状態か分からないけど……右足がちょー痛いのは分かる


「うわぁぁぁぁんっ!!」

「うぎゃあぁぁんっ!?」


 たぶんマオに拾いあげられ抱きしめられる。私の怪我などお構い無しだ……前も似たような事あったような


「と、友達から貰った物を他人に渡しちゃダメです!馬鹿ぁ!」

「はいはい、悪かった。ごめんなさい」


 ペンダントを返して貰い、再び身に付ける。するとユキも私達の元へ戻ってきた


「お母さん……一応ご無事な様で」

「本当に一応だけど……じゃなくて、クソ女はどうしたのよ」

「今はお母さんのが重要です」

「私よりメルでしょ、出血が酷いわ」


 マオに抱き上げられた事により目線が高くなったため、メルの状態がほぼ分かった

 左の脇腹が抉れてしまっている……早く治療しなければ死んでしまうな


「ユキ、ユニクスの血あるならかけてあげて。私の恩人だし」

「はい」

「構わない、そんな貴重な物は使う必要ない」


 メルの口は動いてる様子はない……けど喋った。たぶん前会った骨と一緒で風魔法で喋ってると思う


「早く治さなきゃ死ぬわよ?」

「どうせ死んでもまた転生して生まれてくる」

「よく貴女も正気に戻れたわね」

「精霊魔法が無いから解くのに時間がかかった……だけど私を完全に洗脳する何て無理」

「……何で助けた?」

「……」


 だんまりだ。私が奇跡ぱわーを使えるから、という理由では無いように思える


 あのクソ女はどうしてるかと見れば、狂った様に笑いながら杖をぐるぐる回している……何してんだあのキチガイ

 だが、じっと見ると地面が僅かに光っている様な……


「ユキ、アイツを止めなさい。あれは使わせてはダメよ」

「確かに嫌な予感しますね……何とかしてみます」


 ユキも右腕が使えないのだが、苦労をかけるなぁ……でも無茶をさせてでも止めなくてはならない気がするのだ


「メル……」

「私は、人間に転生して初めて家族という暖かい存在を知った」

「……続けて」

「悪魔の時はあんなだし……エルフでは親からも迫害、だけど人間の親は違う……何度生まれ変わって、違う親なのに変わらぬ愛を与えてくれた」

「この前両親はあまり好きじゃないって言わなかった?」

「だって……絶対に別れが来るから。何度目の転生の時だろう……こんな辛い思いを幾度となく繰り返すなら、最初から好きにならなきゃいい……そう思った」


 そうか……そうだな、死別は避けられない。メルの様に何度も別れを経験するなど私に耐えられるだろうか?


「家族というのは……たった一人欠けるだけでバラバラになりかねない脆さもある。このパーティの中心は貴女でしょう?きっと貴女が死んでしまったら明るさは失われる……そう考えたら貴女を庇っていた」

「……どいつもこいつも、外道の小娘なんか見殺しにすればいいのに」


 何もしなければメルは程なく死ぬ。だけど……借りを返す前に死なれては困る


「怪我を治しましょう」

「無理……これはただの怪我じゃない。ユニクスの血だろうと治せない」

「どうなってるの?」

「触っちゃだめ!伝染るから」


 ……ユキと同じく呪いがかかったか、伝染るとはまた病気みたいな……一緒に受けた私は?と思って右足を見ると


「離せマオっ!」

「わひゃっ!?お、お姉ちゃん?」


 私の右足はユキとは違って禍々しい紫色に変色している……ユキより酷そうな呪いだ

 痛みは徐々に無くなってる気がする……というか感覚が無くなっている


「ごめんなさい、完全には守れなかった」

「命があるだけマシよ」

「……でも、大丈夫。私が全て貰い受ける」


 何故か私の右足から呪いが無くなって……いや、メルが私の代わりに受けたのだ


「この、馬鹿が……!」

「大丈夫……苦しいのは慣れてる」


 苦しいと言いながらも優しい笑みを向けてくるメル……

 ああ、ヤバい。どうやら私はメルの事を結構気に入ってしまったみたいだ。命の恩人という補正もあるかもしれないが、それでも構わない。この娘をここで死なせるつもりはない


「好きにはならないけど、次の新しい家族に会うのは楽しみ」

「メル、家族というのは何度も取っ替え引っ替え出来るものではないの」

「……」

「どう?私達を最後の家族にしてみる気はない?」

「え……?」


 私はメルの傍でしゃがみ込み、手を差し出した


「貴女が私達を家族として受け入れるならこの手を掴みなさい。掴んだら必ず助けてあげる……家族として」

「……ごめんなさい」

「そう……」


 ダメだったか……仕方ない、本人の意思だ。そうそう他人を家族として受け入れる事はないか


「分かった。変な提案して悪かったわ」

「ちが、違う……違うの」

「?」

「動かないの……私の身体……!だから、掴みたくても掴めない」

「……いいえ、貴女ならきっと掴める。掴めないのはまだ家族と認めてないからじゃない?」


 我ながら無茶を言っているが、メルなら必ず私の手を掴む……掴んでくれる


「私は、貴女達が羨ましかった!毎日楽しそうで……毎日笑顔でっ!でも、私は他人だから……家族じゃないから……私も貴女達と共に在りたいのに……!!」

「メル」

「まだ皆と居たい……」

「私も今はそう思うわ」

「世間知らずだから、また勉強を教えて貰いたい」

「ユキは面倒見が良いから色々教えてくれるわよ」

「皆と一緒に旅をしたい、最後の家族になって笑って死にたい……!また転生して呪いに縛られた人生を過ごすのを終わりにしたい……」


 ……紛れもないメルの本音、お望み通り自由にしてやるし、最後の家族として迎えてやろうじゃないか




「ようこそメル、歓迎するわ。いえ、親しい者はメルフィと呼ぶんだっけ?何はともあれこれで貴女もフィーリア一家の一員よ。宜しくね」

「なん、で……?」

「手、ちゃんと掴んでるわよ?」

「……本当」

「最初っから今の姿で会ってたらややこしい事にならなかったのに」

「あの姿は、今回の両親に受けた愛情の証だから……」

「なら、また精霊魔法でおでぶちゃんの姿に戻る?」

「いい、今の家族は貴女達……」


 メルフィがそれでいいならいいけど、別に今までの両親の事を忘れる訳じゃないからいっか


「私の家族になった以上、こんな所で死なない様に」

「当然」

「よろしい、少し待ちなさい。後で奇跡ぱわーで治してあげる、まあ転生の呪いは無理だけど」

「貴女の力を見るの楽しみ」


 じゃあさっさとクソ女を始末しないと……と思った時、ユキが焦った様な感じで戻ってきた


「すいません……止められませんでした」

「やられたものは仕方ないわ、むしろ貴女一人に押し付けて悪かったわ」


 クソ女の方を見る、どうやら地面に書いていたのは魔方陣……どんな魔方かは不明だが


「あふぅ……いひひ、おいでおいで!私の可愛いゾンビちゃん達!!楽しい楽しい遊びの時間だよ!あっはははははは!!」


 魔方陣がまばゆい光を放ち、うぞうぞとゾンビが地面から這い出てきた

 数が半端ではない……次から次へと出てくる為、詳細な数は不明だ


「どうしようかなぁ」

「こういうのは術者を倒せば何とかなるものです」

「なら今まで通り狙いはアイツね」


 だがゾンビが邪魔すぎる……

 それにこのままでは中継都市の様に破壊されてしまうな


「そうね、ぺけぴー……ゾンビの群れに特攻しましょうか」

『くるっくー……』


 ぺけぴーは嫌そうに首を横に振った。流石に腐った人間達には突っ込みたくない様だ


「いいじゃない、私も一緒に行くから」

フルフル

「あなたと、轢き殺したい」

「どんな説得ですか」


 ちっ……!メルフィの護衛に一人は欲しい……候補はマオかぺけぴーになるが、ゾンビ相手ならマオが護衛の方がいいが




「ほら、私が居ないと大変な事になってるじゃないですか」

「メロン……」

「サヨです」


 良い所に帰ってきたな、これでクソ女を殺せる可能性がかなり高くなった。何よりも……フィーリア一家が揃った事でやる気がかなり上がった


「入国許可証です」

「ご苦労様、後で殴るから」

「……何故?」

「私は蹴りますから」

「えー……?」


 ふざける余裕もある……何の恐れもないとは頼もしい

 私達はあのクソ女とゾンビ共を殲滅するため迫ってくる大群に向かいあった

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