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幼女キレる、家族もキレる

「リディア達も来る?」

「やめておきます。鬼達の見張りも必要でしょうし、このままここで観戦させてもらいますよ…そうだ、そこの悪魔さんにこれを差し上げます」


 と言って渡されたのは一見何の変哲もない銀のブレスレットだ


「なにこれ?」

「私達も身に付けてるアイテムです。それを着けてれば悪魔の気配を隠せますよ。その娘は見た目は人間なので、これで人間の世界で暮らしやすくなると思います」

「あなた…便利キャラだったんだ…」

「素直に御礼でも言って下さい。ただエルフにはご注意を、多分精霊が感づいてバレますので」

「わかった、ありがと。じゃあマオは早速着けなさい」

「はーぅ」

「返事はハイっ!」

「はぅっ!」

「違う!アホ!あなた今めっちゃ気抜いてたでしょ、返事は…はぅっ!」

「はぅっ!」

「合ってる!よしっ!」

「…ペドちゃん達はいつも楽しそうでいいですねぇ」

「何のやり取りですか…」


 この緊張感の無さこそ私達ってもんだ。しかしマオで遊んでる場合じゃないのも事実、早いトコ出発しよう


「穴を掘ってたらお腹空きました…」

「それには同意ね…でも我慢よ」

「終わったら夕食にしますね」


 終わったら…さっさと終わらせよう。今日は血を流したし肉だ肉。夕食が私を待っている!



☆☆☆☆☆☆



 再び例の山にやってきた

 道中は魔物を見かけたが、この山には全く見当たらない…


「この山には魔物が居ないのね」

「精霊の住処ですから、神域と似たようなものと思って下さい」

「神域との違いは魔物が入って来れないのではなく、入ろうと思わない…という所です」

「なぜ?」

「魔物の嫌いな自然の力…所謂マナがより濃く発生してるのがこの山です。マナは精霊の生命の源ですね。まあ人間には関係ないですが」

「例えるならマオさんがおならした部屋に入りたくない、みたいな感じです」

「なんで例えにわたしのおならが出てくるんですか!!」


 だが分かりやすい。そりゃ入りたくないわ…

 しかしその例え話だと屁が精霊の生命の源という酷い話になるな




「お、そこに居るのは降りたら本気出す抱っこちゃんことペドちゃん一家じゃないか」

「愛されない馬鹿達こと五丁目の冒険者達じゃない。私はそんな通称言われた事ないわよ」

「愛すべき馬鹿にしてくれ」


 さっき来た時は見なかったモブオ達が居た。何か久しぶりに見たな…特にモブジロウ


「あんたら今頃来たの?」

「ああ…ちと途中で思いもよらない問題が起きてな…」

「あれは俺達が案内してくれる妖精のスカートの中を覗きながら進んでいた時の事だった」

「そんな事してるからクズ呼ばわりされるのよ」


 こいつらのせいで妖精達を助けても五丁目だけ自然の恩恵が受けられないかもしれない


「まあ聞いてくれ…そんな感じで進んでいると、急に妖精ががっくりと倒れてな…」

「本当に急で焦ったな…そして倒れた妖精をアインが介抱しようと近付いた瞬間、非常に怯えた表情をしてどっかに消えた」

「まさに最後の力を振り絞って逃げたって感じだったな」

「流石の俺も傷付いた」


 そりゃスカートの中を覗くような輩に近付かれたら逃げるわ、自業自得だ愚か者め

 もしかしたらマオが拾ってきた妖精が件の逃げ出した奴かも


「…そうよ、あれだけいた妖精がこの山ではあまり居なかったわ」

「そういえばそうですね、何処かに隠れてるんでしょうかね?」

「隠れてるならいいんだけど…まぁいいわ、戦馬鹿達の所に行きましょ」


 未だに小規模ではあるが魔法による物と思われる爆発音が聞こえてくる

 どんな戦いしてんだって話だ。剣だけで殺しあってろよ


「あー…何か俺達には場違いそうな戦場に見えるな」

「間違いなく行っても役に立ちそうにないよなぁ…」

「だらしないわねー…そういや虫人に襲われなかったの?」

「おー!いたいた!でも案内してくれてた妖精を追っかけてきたって言ったらすんなり通してくれたわ」

「妖精の尻を追っかけてきた、って言わなかった俺達を褒めてくれてもいい」

「それ言ってたら今頃死んでたかもね」


 むしろ一回死んでやり直せ


 山を登っていくと、息絶えた者達が倒れてるのがちらほら見えだした

 装備からして敵兵士が多いが、冒険者達の死体もあるにはある。果たして味方の魔法に巻き込まれたのか…


「念願の鉄の剣を手に入れたぞ!」

「あ!くそっ…お、俺もゲットぉ!」

「やってる事が賊と変わりないわね、呪われればいいのに」


 死体の側に落ちている装備品を嬉々として拾うろくでなし共。ここに来た目的ってそれじゃないか?


「死人に武器無し、生きてる俺達が有効に使わないとな!」

「他にはろくなもんが無いな…しけてやがる」

「ほんと何なんでしょう…この方達」

「あ、装備を取られた死体が起き上がってきました」


「「「「うおおぉぉっ!?」」」」

「わひゃううぅぅ!?」


 余計な子まで驚いた。もちろんマオだ

 ホラーな話は苦手だったっけか…死体は大丈夫そうなのに、変な娘だ


「おや?……誰かがこちらへ来ますよ」

「誰が?」

「…敵兵、だと思います」

「上の方が静かになってますね。戦闘が終わって逃げ帰る所でしょう」


 なんだ、結局間に合わなかったか。冒険者達が壊した山を直してくれりゃ言う事ないんだが


 しばらくその場で居るとガッシャガッシャとあの音が聞こえてきた…


「…………うわ、ぱんつ男だ」

「よりによってあの変態ですか…」


 ぱんつ男を先頭に数十人の兵士が見えた。あちらさんも気付いた様で、若干しかめっ面で近寄ってきた


「その様子じゃ負けたようね」

「…む?」

「幼女だ…」

「こんな所に幼女…他にも少女…」


 ぱんつ男は何か考え出したが、他の兵士は幼女幼女うるさい


 ちなみにクルルは私のうさぎリュックの中で寝ているため、敵に気付かれていない




「………思い出したぞ、その憎たらしい顔…君はペロ・フィーリアだな?」

「断じて違う」

「なんだと…?間違える訳が…おお!ペドだペド!確かふざけた名前だった!」


 確かにふざけた名前だが、他人に言われる筋合いはない!というか、私を知ってるって事は顔見知りの相手か…年は若そうだが………






「あ、ぱんつ泥棒の生徒会長だ」

「違うっ!あれは君の仕業だろう!?」

「はて、何の話やら…」


 驚きだ、あの日以来行方知れずだった会長がまさかぱんつ被った変態として私の前に現れるとは…


「君のせいで私の人生台無しだ…学園に行けず、外も歩けない…挙げ句に失望されて家を追い出される始末…!」

「今は開き直ってぱんつ被る変態になれたんだからいいじゃない」

「いいわけあるかっ!」


 あー喧しい

 学園に居た時に懲りずに突っ掛かって来たのがこの会長だ

 と言っても立場上、嫌がらせを繰り返す私を見過ごせなかっただけなんだが


「丁度いい!この場で制裁を与えてやろう!」

「まてまてマイク、こいつ等って、あの亜人が言ってた奴等じゃないか?」


 …亜人?

 ちらっとサヨの方を見る。何か考えているようだった。

 鬼達と虫人達が私達の情報を知っていたのは間違いなくその亜人経由だろう


「お姉様…」

「サヨの言いたい事は分かってる……会長、あなたマイクなんて名前だったんだ」

「え…違う……」

「君は本当に失礼な奴だな…!あれだけ迷惑かけといて私の名前すら知らなかったのか!」


 だって興味なかったもん


「この際だから覚えておけ、私の名前はマイク・デイヴィットだ」

「ボスっぽい名前じゃないな…大した事ないだろ」

「惜しいよな…もう少しで教科書に出そうな名前だったんだが」

「後ろ喧しいぞ!腰巾着どもは黙ってろっ!」


 そんなに怒鳴ってばっかだと血管切れるんじゃないか?


 そろそろからかうのをやめて聞いてみるか…サヨがジト目で見だしてきたし


「さっき言ってた亜人について教えてくれる?」

「亜人?…あぁ、あの亜人な…別に言う必要はないな」

「言いなさいよ…言わないとあなたのぱんつ事件をこの場で話す」

「どんな脅しだ!…わかったわかった、亜人だったな…少し前の話だが、たった一匹で飛んでる馬鹿な鳥型の亜人がいたんでな、撃ち落として尋問しただけだ」


 一匹だけでねぇ…何かそんなハーピーが居たなぁ…てか居た。まさかあの僕っ娘の事だろうか?


 あ、何かサヨの方から威圧感を感じ始めた


「その亜人は殺したの?」

「ふん、残念ながら殺しちゃいない……趣味の悪い連中に可愛がられた様だかな」


 会長が一部の兵士を睨む、ヘラヘラしてる連中が悪趣味な奴等と思われる


 そんな事よりサヨが怖い

 まだ我慢してくれ


「何で会長はどことも知れない国の兵士になったのよ」

「随分知りたがりだな…というかその会長ってのをやめろ、私はもう生徒会長ではない…今はペロ帝国の部隊長の一人だ」


 ペロ帝国…ギャグで言ってるんだろうか…?


「そう…あれは家を追い出され、宛もなく放浪していた時だった…」

「え?回想始まるの?」

「聞いてきたのは君だろう!?黙って聞け!」


 仕方ないから黙って聞いてやろう…だが早めに終わってくれ


「あれは町を出、適当に歩き続けて疲労から倒れた時だった…

 人目を避けてさ迷ったため周りは魔物と木々だらけの森の中…私はこんな所で一人死ぬのだ…と、思っていたんだが…そこへある方達が通りかかった…


 そう、それがペロ帝国の初代皇帝にあらせられるボテバラート閣下とアナルチア皇女との出会いだった」

「ひでぇ名前だな」

「国名が酷いしな」


 全くだ。名前からでは太った醜い豚と臭そうな女しか想像できない




「この頭の下着はその時にアナルチア皇女に頂いた物だ


『舐めなさい…さすれば新境地に辿り着ける』


 私は言葉通りペロペロした……その通りだった、生徒会長なんてクソ真面目に生きてきた私は衝撃を受けたさ…」

「聞いてられないのですが…」

「私もよ」


 何で初対面の女が脱いだぱんつを舐める話を聞かされなきゃいけないのだ。頭おかしい何てもんじゃない


「私はペロ帝国の為に働く忠実な兵の一人となった…そしてがむしゃらに働いてたらいつの間にか部隊長の地位に居た…


 私は何とか短期間でこの地位を与えて下さったお二人に報いれないかと考え、丁度ワンス王国と亜人の大規模な争いが始まったと聞き、どさくさに紛れて妖精を捕獲する作戦を思い付いた。


 だがたった一晩で戦は終結し見事に計画が狂って失敗、そして撤退中の今に至る…という訳だ」

「終わってホッとしたわ。今回の妖精を乱獲する目的はそのペロ帝国に豊穣をもたらす為、って事でいいのね?」

「少しは悪知恵以外にも考える様になったな…だが違う、我々の目的はその程度ではない」

「じゃあ何なのよ」


 …この場所の妖精を狩るって事は、ワンス王国が妖精からの恩恵を失いかねないって事だ。

 自分の居場所が無くなった国に復讐でもしようってのか?


「分からないのか?妖精を思う存分ペロペロする事に決まってるだろ」

「クソみたいな理由じゃない」


 真面目に考えた私に謝れ

 そんなクソみたいな国はすぐに滅ぼすべきだ。性犯罪者の巣窟になってるに違いない


「お姉様…もういいでしょう?都合よくベラベラと喋ってくれたし」

「わかった…わかったから私を睨まないでちょうだい」

「何だ?やる気か?まあ、元々逃がすつもりは無かったがな!」

「だから待てマイク!奴等が情報と一致する以上一応注意しろ!」

「必要ないっ!私はあの娘をよく知っている、奴はクズだ!従って仲間もクズだ!…だが、見てくれだけは良い奴等だ。捕らえてコイツらも閣下に献上してくれるわ!」


 …ほほぅ、言ってくれる

 だがコイツらも…ときたか、他にも献上する者を捕らえていると考えていい


「ウォーターバレットォ!」

「おぉ、魔法撃ってきたわ!会長は貴族だったみたいよ」

「家名がある時点で分かれ!…ちっ結界なんて使える奴がいたか…!」


 そういや会長はユキの事を知らなかったっけ…


 会長の言う通り、向こうが放った魔法はユキが結界であっさり防いだ

 捕らえると言っていたからか、殺傷力の低い魔法を撃ってきた


「まさか対人戦で水魔法の名前で水魔法を馬鹿正直に放ってくるとは…」

「学園でそう教えられたからね…じゃあユキが教えてあげなさい、イメージさえ出来てれば魔法名なんて関係ないって事」

「…わかりました、私も上手く出来るかわかりませんけど」


 言ってユキは私を抱いてない方の手を上に掲げ、自身も上を見上げる

 敵も何かくるかと身構えたが…


「メテオ」

「…!…ぐぁ!?」

「ぎゃああぁぁっ!!」

「な、んで…」


 ユキが魔法名を言った瞬間敵は皆して上空を警戒した


 が、放たれた魔法は地面から鋭く尖った岩が複数突き出してくるもの。下は警戒してなかった為、あっさり大部分の兵士がやられる羽目になった


「何と卑怯な…!」

「生き残った方が勝者なのよ馬鹿め」

「クソったれめ…!ならば生き残るのは我々だ!」

「おい馬鹿!だから言っただろう!コイツらは今は相手にしてはいけないんだ!この場はさっさとずらかるぞ!」

「わ、私にまた逃げろと言うのか!」

「そうだ馬鹿!出鼻を挫かれた時点で計画を実行すべきじゃなかったんだ!」

「黙れ!…すでに閣下に言ってしまっていたのだ…妖精を手に入れられると言った時のあの喜びよう……あれだけ期待されて中止になど出来るか!」

「ああ!今となっては後の祭りだ!せめて今ぐらいは正しい判断をしろっ!」

「く…これ以上犠牲は出せない、か」


 頭に血がのぼってる会長と違って、まだ状況を判断出来る兵士がいるようだ


「サヨ…まだ我慢よ」

「…わかってます。泳がせるのですね」


 その通り。奴等はこのまま逃げ帰る訳には行かないだろう、恐らく面目を保つために事前に捕らえた妖精か、別の者を献上品として連れ帰るハズ…

 その献上品が捕らえられている同じ場所に亜人も居るだろう


「あんだけ喋っておいて逃げていいの?」

「馬鹿な君と一緒にするな…私は喋っていい情報しか話してない」

「私達が逃がすとでも?」

「逃げるさ…これでな!」


 会長が取り出したのはサヨが作ったであろう転移符だ。連絡を取り合う符といい、所持数の多さが疑問だ。どこかで亜人の集団を襲って入手したのか?


「じゃあな!次こそは捕らえたあと裸にひん剥いてペロペロしてくれるわ!」

「断る」


 寒気がするわ

 会長と生き残りの兵士はこの場から転移して逃げ去った


「じゃ、奴等の居場所を探ってちょうだい」

「わかりました。あの符を作ったのは私ですからね、自分の魔力が込められている以上転移先を特定する事など造作もないです」


 索敵は得意なハズだから転移符がなかろうとサヨなら大丈夫だったとは思う


 そういえば結局あの男達はここに来なかったな…会長達が逃げたんじゃなくて見逃されたって事か?

 この戦いで死んだ仲間も居るってのに熱血漢の考える事はわからん


 大体壊した山を直さずに帰るとか何なの?ほんと何しに来たんだ…




「特定出来ました。乗り込みましょう」

「わかった…ろくでなし達はどうするの?」

「もちろん一緒に行くさ!」

「俺達の本気の応援見せてやるぜ!」

「戦えよ」


 こいつらはこいつらで何しに来たんだ…って考えるまでもないか、報酬目当てだな。参加すりゃいくらか貰えるだろうし


 サヨの近くに集まって皆一緒に転移する

 五丁目の冒険者達に近寄られてウチのメンバーは嫌そうだった



☆☆☆☆☆☆



 着いた所はありがちな洞穴だ

 こういうのって自然に出来るもんじゃないよなぁ


「…新しいですね、最近掘られた洞穴でしょう。たぶん魔法で掘ったんですね」

「く、暗いですね…何か出そうです…」

「もう外も暗いからね…それよりも気付かれない様に静かにね」


 音を立てない様にゆっくり先へ進む

 洞窟じゃないし、深くはないようだ


 しばらく進むと先が明るい場所が見えた。そして話し声も聞こえてくる


「…失敗に終わりました…申し訳ありません」

『よいよい、あれだけの戦いが一夜で終結するなど誰が予想出来ようか…だがかなりの数の同志を失ったのは辛い事だ』

「く…私の、判断ミスです…処罰は甘んじて受けましょう」

『処罰か…我々は未だに各地を転々と放浪する身だ。だがいずれは国を興す…同志の数だって今や一国に値すると言ってもよい

 …その中でもお前は中々に優秀だ、ここで失う訳にはいかんよ。まあ罰するには罰するがな…』

「閣下…!」


 ボテ腹の分際でまともそうな奴だな…いやペロ帝国の時点でまともじゃないわ


「閣下…此度は失敗に終わりましたが、捕らえた妖精は少数ですがおります。そちらは必ずやお届けしましょう」

『おお…そうか!はっはっは!では期待して待っているとしよう…余の舌技がうなるわい』


 やっぱり変態だった

 こんな変態達が一国に値するほど居るとかこの世は地獄だ


「では…」

『うむ、待っておるぞ』


 …会話は終わったようだ。多分サヨが作った連絡用の符を使っていたと思われる


 今の会話でやはり捕まった妖精が居ることがわかった。私達が来なかったら結局連れ去られてたって事だ。やはりあの男共は役に立たない


「妖精と亜人はどこにいると思う?」

「奥でしょうね」

「なら私達が暴れてる間にサヨは亜人を救出なさいな」

「…ありがとうございます」

「いいわよ…じゃあ準備いいわね?行くわよ!」

「「「はい!」」」

「おう!いってらっしゃいっ!」

「応援してるぜ!」


 五丁目のクズ達はほっといて私達は会長達の居る奥へと飛び出した




「敵襲!」

「何だと!?なぜ…」

「ふはははは!私から逃げられるわけないでしょ!!」

「また君かっ!私の邪魔をするのはいつも君だ!」

「そう!そして学園時代、私の邪魔をしてきたのも貴方よ」

「邪魔じゃない!阻止だっ!」


 阻止した事ないじゃないか…嫌がらせにおいては私に分があったな!


「はぁ…ダート、君の言う通りだった…妙な強さの冒険者は現れるわ鬼達は役に立たないわ…オマケに天敵の幼女まで来るわでもう散々だ……実行すべきじゃなかった」

「今更だな、もう妖精達も諦めろ…命だけでも持ち帰ればいい。失敗した分はペロ帝国に尽くす事で返すんだな」

「君は良い奴だな…」


 確かに常識人だ…何でそんな国にいるんだか…


「でも次は逃がさない…残念ね」

「ち……む?…転移しない?」


 会長は再び転移符で逃走を試みた…が、失敗に終わった

 サヨが転移符の機能を停止したからだ。魔力も失われて今やただの紙だ


「どうする?」

「やむを得ないな…出口まで固まって突破しよう」

「ユキ、マオ…一人足りとも逃がすんじゃないわよ。サヨは行けっ!」


 私の号令と共に各自行動を開始した。


 ユキは私を抱っこしたままだが、片手だけで鞭を捌き突破を謀る兵士を薙ぎ倒していく

 サヨは予定通り奥へと向かったようだ


 そしてマオは…隣でオロオロしている!


「マオぉぉぉ…」

「ごめんなさいごめんなさいっ!ど、どうすればいいかな…って!」

「向かってくる敵を殴り倒せばいいのよ!」

「わ、わかりました!」


 しばらく戸惑っていたが、覚悟を決めたのか握りこぶしを作り、敵の喉を狙ってぶん殴り始めた

 割と酷い。喉を殴られた兵士は悶絶している…呼吸もままならないだろうな


「流石は悪魔ね…えげつない場所を狙う」

「鎧とか殴ったら痛そうなので…」

「顔を狙えばいいじゃない」

「か、顔は兵士さん達が痛がるかなって…」

「喉の方がキツイわよ、そもそも殺すつもり何だから容赦は無用よ」


 言ってる間に大分片付いてきた。というかユキがこの狭い中でも的確に鞭で敵の首をはねていく…


 元々敵の数は減っていたので二人だけで十分対処出来るな


「不味いな…こんな所じゃ魔法も使えない」

「だな…仕方ない…お前だけでも逃がそう」

「君の事だからそういうと思った。だが却下だ」

「閣下が言っていただろ?お前はペロ帝国に必要な人材だ…生かして帰すさ」


 ダート…だっけか?どうやら命掛けで会長を逃がすつもりみたいだ


「死兵って厄介らしいわね」

「はい…例え格下相手でも油断したら酷い火傷を負いますよ」


 それほどか…残っている敵兵は十数人、死を覚悟した目でこちらを見据えてきた


 だが忘れてもらっては困るな…




「が…ふっ…」

「!?…ひ」

「ちっ!ここにきてもう一人を忘れてしまうとは不覚!」


 奴等の後方から感情が抜け落ちた様な表情をしたサヨが奇襲をかけた


 今のサヨはもうホラーの領域だ…可愛い奴はああいう顔をするとより怖いんだよ


「亜人は余程酷い目にあってたのかな?」

「そうかもしれません…」


 サヨが現れてからは独壇場になってしまった

 異様な雰囲気についさっき死を覚悟した兵士が怯えてしまっている


「こりゃ勝ったわね」

「はい、キレた姉さんは恐ろしいです」

「それは貴女もよ」


 だがただ一人、あのダートという男だけは厳しい目でサヨを睨み付けている

 今頃どうすれば会長を逃がせるか考えている事だろう…無理だと思うが


 サヨは逃げ腰になった敵相手に符を投げて容赦なく腹に風穴をあけていく…鎧が紙みたいだな

 しかしあっけなく死んでいく…戦いの場では命が軽く感じられてしまう





「…ダート、これまでだ」

「諦めるな…!」

「いいや、どう足掻いても無理さ…たった四人に我々はこの様だ…見ろ、こちらはもはや我々のみ…あっちは無傷ときた」

「…はぁ……全くだ、同じ人間とは思えない強さだ」


 人間なんて私だけだが…まぁ気付かないわな


「覚悟は決めましたね?じゃあ死ね」

「…貴様が死ねっ!」

「馬鹿!ダート!!」


 ダートがサヨに向かって突進するが…振り上げられた剣をかわす素振りすらせずサヨは突っ立っている

 だが結界によって剣は弾かれ、ダートはサヨの右手によって胸を貫かれた


「…だ、めか…!…ゆ、るせ…マイク…」

「……ふむ、最後の最後で一矢報いましたか…かすり傷ですが、私に傷を負わせたのは見事です」


 確かにサヨの脇腹付近に刃物によって斬られたと思われる傷があった


 うーむ…実力的にかなりの差があったにも関わらず手傷を負わすとは…やはり覚悟を決めた人間は恐ろしい


「後は会長一人だけね」

「…だからその会長をやめろ」

「はいはい部隊長さん…覚悟はいいわね?」

「…同じ学園で学んだ学友のよしみで見逃すつもりはないか?」

「ない。私達の余計な情報を知った以上生かして帰すつもりはないわ…持ち帰らせたら面倒な事になりそうだし」

「ふ、ふふふ…くはっははははっ!そうだ、その通りだ…!君の方がよっぽど現実を見ているな…あの偽善者共と違って」


 偽善者…あの男達か


「あの男達は何で敵であるあなた達を見逃したわけ?」

「ふん…聞きたいか?奴等は…いや、リーダー風な男はな、我々に向かって

『二度とこういう馬鹿な真似をしないと誓うなら、一度だけは見逃そう』

 と、こう言い放った…まるで賊扱いだ…!この屈辱は必ず返すと心に誓い、その場はやり過ごしたが…結局君のおかげでそれも叶うまい」

「あはははっ!ふざけた奴ね、まるで物語の英雄気取りだわ。死んだ仲間や妖精の事なんて何も考えてない」

「そうさ…奴は自分に酔った馬鹿な男だよ」


 あいつも物語の英雄に憧れた口だろうか…?架空の英雄みたいに自分の取った行動が全て賞賛されると思ったら大間違いだ

 見逃された敵も助けられた側の妖精も感謝などしていまい




「じゃ…さよならね。最後の悪あがきはする?」

「しないさ…さあ、さっさと殺し、私の首を斬り落とすがいい…これでも部隊長だ、持ち帰ればそれなりの報酬は貰えるさ……偽善者共に渡すよりはよっぽど良い」

「報酬、か…」


 別に報酬の為に頑張ったわけではないのだが…


 ユキに降ろしてもらい、ついでに鞭を借りる

 会長達が持っていた剣よりはユキ愛用の鞭の方が切れ味が鋭い…これなら失敗せずに首をはね飛ばせるだろう


「なんだ…君直々にやってくれるのか…」

「えぇ…感謝しなさい」

「くく……あぁ…君には最後の最後までやられっぱなしだったなぁ…」


 今、私を見つめてくる会長の目は憎たらしい敵を見る目ではなく、何かを懐かしむ目だ

 嫌がらせを繰り返す私を追っかけてる時でも思い出しているのか


「死の間際になって思い返すのは…私の恩人であるお二方ではなく…散々私を困らせてきた君とはな……

 問題児相手に苦労をかけさせられたが、あの振り回されていた日々が一番充実していたのかもしれないな…」

「…そうね、私もつまらない学園生活で一番記憶に残っているのは、何度も私に突っ掛かってくるしつこい生徒会長の事よ」


 学園で孤立して交流を断って以来、私の記憶に残っている生徒なんて生徒会長ぐらいだ

 会長が去ってからは私を止める者など先公以外居なくなって何とも拍子抜けしたっけ…




「…さて、やるがいい」

「わかった…」


 身長が低い私が斬りやすい様にか、地に膝をつき体勢を低くしてくれた


「さようなら…恨みたければ恨みなさい」

「そんな事しない…私はもはや軍人だ。戦場で死ぬ覚悟ぐらいしていた。死んだ仲間と共に一兵士として死ぬならば本望だ」


 変態になったと思っていたが、会長は会長だった…結局真面目な性格は短期間では直らなかったか




「光栄に思いなさい…私が初めて同族を手にかける相手は貴方よっ!」


 最後の叫びと共に鞭を力いっぱい振りおろした

 確かに肉と骨を斬る感触がした。会長の最期を目を離さずに見ていたため、首が胴を離れる所も記憶に焼き付けた


「悪いわね…私は外道だから…例え知り合いでも敵は容赦しないの」


 人を殺す感覚は覚えた。知り合いですら殺せたんだ…今後再び人間を殺す時が訪れても躊躇はしない


 しばらく会長の遺体を見ていたらヒョイっと抱え上げられた。ユキかと思ったらマオだった


「なに?」

「ぅ…お姉ちゃんが、悲しんでるかな、って」

「…大丈夫よ、私だって覚悟を決めて殺したんだから」


 だが言ったって離そうとしない。やれやれ、殺した本人より気にしてどうすんだ


「お姉様…本当に大丈夫ですか?」

「何なの…皆して心配性ね。私よりサヨの方こそどうなのよ?あんだけ怒るぐらいだからハーピーは酷い状態だったんでしょう?」

「う…それが、ですね……」

「「「?」」」


 何故か言い淀むサヨに私達は首を傾げる

 ひょっとしてハーピーは別にそんな酷い状態ではなかったりするのか?


「その…捕らえられていたのはハーピー、ではなく…バードマンでした」

「…バードマン?男の方の鳥の亜人?」

「はい……唾液まみれで恍惚とした表情で寝てました」

「それはひどい」

「えぇ…違う意味でひどいです。

 あれだけ思わせ振りな言い方しといてホモの餌食となったバードマンを見せられたら……何かキレてしまいました」


 …確かに会長の言う通り趣味の悪い連中だったようだ。

 しかし男でもイケるとは恐るべき変態達だ、ペロ帝国とはもう関わりたくない


 ペロ帝国の恐ろしさに戦慄していると、入口の方から何故かドヤ顔でろくでなし達がやってきた


「無事に終わったみたいだな…」

「ペドちゃんが降りた瞬間、俺達は勝利を確信した」

「最後まで役立たずだったわね」

「自覚はある」


 また死体から装備品を拝借するつもり何だろうか…


「この部隊長らしい男の首はどうすんだ?」

「首ね…あんたらにあげるわ」

「え?いいのか…?ギルドに持ってきゃそれなりの報酬は貰えると思うぜ?」

「敵としての会長は死んだ。もはやそいつは私にとって部隊長ではなく、同じ学園の元生徒でしかないわ」

「ふーん……じゃあ持ってくか…お前らは身体を持って来いよ」

「おう…この身体運んでたら血で汚れるな」

「返り血をこんなに浴びるほどの死闘だったとアピール出来るじゃないか」


 モブオは首を持ち、モブジロウ達は胴体を運ぶ準備をしている

 首だけ持ち帰ればいいのではないかと思う


「身体まで持ち帰る必要ある?」

「そりゃ首だけ埋葬するより身体も有った方がいいだろ?」

「埋めるの?」

「ペドちゃんの学友って事は俺達にとっても同じ五丁目の仲間って事だからな」

「故郷で眠らせてやるぐらいはするさ」


 変な所で良い奴等になったな

 だが貴族って事は実家は王都か一丁目にあると思うが…今は黙っておこう


 ふとサヨにやられたダートという男の遺体に目がいった


「…仲良さそうだったしね、その男の遺体も持って帰りましょう」

「俺達が?」

「当然」


 しぶしぶ遺体を運びだしたのを見て、私達はひとまず捕らえられた妖精を解放する事にした



★★★★★★★★★★



 妖精達を救出して、洞穴から一部が荒れ果てた山に戻ってきた

 救出の際、妖精達に警戒されたが、同じ妖精であるクルルの存在によって事なきを得た


「…山も何とかしなきゃね」

「せっかく助けた妖精達が元気ありませんからね」


 そうなんだよなぁ…

 致し方ない、今日何度目になるか分からない奇跡ぱわーを使うとするか


「…大丈夫」

「ん?」


 クルルが私の肩から飛び立ち、山の頂上に向かって進んでいった

 しばらく飛んでいった方角を眺めていると、うっすらと発光している小さな物体が見えた


「ユキ、遠見の魔法だっけ?それをお願い」

「はい」


 魔法をかけてもらったが、それでも距離があるせいかよく見えない。

 だが何となくだが光っているのがクルルであると分かる


 いや、クルルだけではなく、何処かに隠れていたのか複数の妖精が集まっているようだ


「…見て下さい。破壊された木々が再生しています」

「ほんとね…こんな早く成長する木を見れる何てね」


 にょきっ、と小さな木?が生えたと思ったら一気に成長して大木へとなっていく…凄いとしか言えない


 妖精のどこが下位の精霊だって話だ…いくら自然の精霊ったって一部とはいえ山を再生出来るなんて驚きだ


「…妖精はマナの結晶の様な存在です。今クルルさんは自身のマナを使って山を再生しています」

「だから?」

「つまりクルルさんは自分の命を削ってるって事ですよ」


 …なるほど、山の再生なんて何の代償も無しには出来ないわけか


「今の様に失われた自然を再生し、元の自然を保つ事が妖精が持つ使命なのかもしれませんね…」

「…そう」


 やがてクルル達が放っていた光は消え、山はほぼ再生されたと言っていいほどの状態になったハズだ


「クルルは?」

「…消えました、力を使い果たしたのでしょう」

「頑張ったのね…別れの挨拶ぐらいしたかったわ」

「大丈夫です。この山が有る限りクルルさんは死にません。時間が経てば再び生まれてくるでしょう」


 そうか…新たに生まれても私達の事を覚えてればいいんだけど…

 そうだな…数年ぐらい経ったらまた来よう、今回頑張った褒美をあげるのはその時だ。あの子の事だから肉がいいんだろうな


「じゃあ鬼の里にもどりましょう…いい加減夕飯にしないと私まで空腹で死ぬ」

「そうですね」


 移動が遅い五丁目のろくでなし達もいるため、転移でさっさと戻る事にする

 やはりウチの家族達は五丁目のろくでなし達が近寄ると嫌な顔をした



☆☆☆☆☆☆



 里に戻ってきたらリディア達が出迎えてくれた


 という展開になると思っていたが違った。何故か冒険者達が鬼の里で暴れている

 私達が居ない間に目が覚めたらしい鬼達が、あの男が率いる冒険者集団と戦っている


「…リディア達は居ないみたいね」

「事前に察知して里から離れたのでしょう」

「お姉さん達も見えないし、一緒に行動してるようね」


 山を放置して今度は鬼とバトルか…流石は脳筋共だ、戦う事しか頭に無い


 どうしたもんかと考えていたら、奥の方で山を破壊した時と同じと思われる魔法の閃光と爆発音がした


「またエルフでしょうか」

「何のんきに言ってんのよ馬鹿!あの辺は処刑場があった方角でしょ!」


 ハッとする一同…急いで向かおうにも冒険者達が邪魔で通りにくい。なので裏から回って行く事にする


 おのれエルフめ…つくづく私達の邪魔しかしない







「…こりゃ無惨だわ」

「…」


 急いで来たが、やはり処刑場があった所は吹っ飛んでいた。鬼達の遺体も同じく吹っ飛んだハズだ

 しばらく無言で立っていたらモブオだけが追い付いてきた


「ぜぇ…ぜぇ……急に走るからついていくの大変だったぜ…?ここに何かあったのか?」

「あったのよ…私の家族にとって大事なものが」

「そ、そうか…」


 マオの方を見ると呆然としていた…里で唯一の味方だった者達の遺体が埋葬する前に吹っ飛ばされたんだ、さぞかし無念だろう


 山の事といい、鬼達の事といい…ここまであの男達に余計な事をされてマオを除いた家族達はかなり苛ついている。もちろん私もだ




「おい!君!その手に持っているのは…」

「んぁ?…この首か?敵の部隊長だった同郷の者だが?」

「なぜ…何故殺した!彼は二度とあんな真似はしないと改心したというのに…!」

「んな事言われてもなー」


 ………ブチ殺してやろうか?

 やって来たのは会長曰く偽善者の筆頭…ユキ達に殺すのは難しいと言わしめた男だ

 隣にはやはりクソったれなエルフもいる


「そもそもコイツは別に改心してなかったと思うぞ?」

「なに…?」

「シリウス殿、コイツはワンス王国きってのクズの集まりと名高い五丁目の冒険者、なので耳を貸さない方が…」

「ひでぇな…俺を知ってるって事はおめぇ隣町の者だろ…どこの誰ともしれない奴に媚を売るとか情けねぇな!」

「黙れ!クズがっ!」


 あー…うるさい、うるさいうるさいっ

 空腹も手伝ってか…私は今、これまでの人生で一番と言ってもいいぐらいイライラしている


「ふぅ…いいかい?君が殺した男は僕達と同じ人間だ…誰しも一度は悪の道に足を踏み入れる事もあり得るさ…彼の様に

 だが…人間はやり直す事が出来る生き物だ。彼は僕に誓ったんだ…今後は人の為に生きる真っ当な人間になるはずだった…それなのに……!」

「…あんた、夢見すぎじゃね?」


 ああ全くだ…実にその通りだ…こんな夢想家なんかに付き合ってられない


 自分のやった行為によって、知らない場所で不幸になってしまった存在が居るなど思ってもいないだろう…残念な事に今回はその存在の中に肉好きな妖精もいる…私の妹もいる…


 マオは強くなった…前ならワンワン泣いてただろうが、今は涙を堪えている。だがそれでも涙は溢れてしまった


 普通の人間からしたら奴は英雄だろう…話だけ聞けば、だがな

 妖精を苦しめる人間との戦いに勝ち、更には改心させた。同じく妖精を苦しめた鬼達を成敗し、堂々と凱旋する英雄と傍らに立つ美女…実に美談だ、ヘドが出る


「大体子供をこんな所に連れてくるなんて何を考えている!」

「…ああ、この子達な…まぁいいじゃねぇか」

「よくない!…全く、その子達はこちらで保護しておく」

「おいおい…」


 こちらに寄って来る男とエルフ…暗くて見えなかった顔が近付くにつれて見えてくる…その顔を見るとよりイライラしてくる…


 仏の顔も三度まで…なんて言葉があったな


「君達、ここは危険だよ…僕達がちゃんと守るから早くこちらに避難するんだ」


 一つ…戦いの中で散った仲間の事を全く考えずに敵を偽善で見逃し、更には会長の軍人としての誇りを傷付けた事


「聞いてるかい?…他の娘達も一緒においで」


 二つ…結構な戦力差があったにも関わらず無駄に強力な魔法で山を破壊し、結果クルルを苦しめた事


「困ったな…皆この戦場にショックでも受けたのかな?……仕方ない、ちょっと強引だけど引っ張っていくしかないか」

「三つ…知らぬとは言え、私の大事な妹を泣かせた事よ」

「ん?何か言ったかい?」




「あなたムカつくわ、死ねばいいのに」





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