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幼女、また寝たきりになる

「あんだけ好き勝手やったのに、代償が気絶だけで済んで良かったわ」

「…おいたわしや、お母さん」


 私に返す返事としておかしいだろ、気絶で済んで良かったって言ってるじゃん


「お母さん…先代の力を行使した事により、一気に鍛えられてしまったお母さんの身体は…」


 言われて自分の身体を見ると…


 マッチョだった



☆☆☆☆☆☆



「うおおぉぉぉぉっ!?い゛だあああああぁぁぁぁぁいッ!!」


 夢だった

 悪夢で飛び起きようとしたが、あまりの激痛により阻止された


「あ゛ががが…いたい…いーたーいぃっ!う、動いたら死ぬ!」

「お目覚めですか、おはようございます。今回の気絶時間、およそ6日間です」

「…長いんだか、そうでもないんだか」


 いや長いわ…一晩先代の力を借りただけで6日も気絶とかぼったくりだ

 今後も借りようかと思ったけど駄目だな


 てか、この16年の内、どれくらい気絶で過ごしたんだって思う


「あーあ…6日も気絶してたってのに、まだあの娘を殺した感触が残ってるわ」

「殺してないですよ、お母さんは姉さんを救ったのです」

「そう考えたら楽にはなるけどねぇ」


 初の人殺しだな、人じゃないけど。無双した豚はどっちかと言えば魔物に分類されるから除外。豚なんぞに罪悪感を抱く私ではない



「それにしても酷い筋肉痛ね…普段動かないから仕方ないけど」

「筋肉痛…?その程度では済んでませんよ?」


 なんだと…?


「簡単に言いますと、まず至る所で血管が破裂してます、細いものですが。そして酷使した足の神経も切れてる箇所が…」

「ユニクス呼んで」


 聞いてられん。こういうのは聞いたら痛みが酷くなるんだ


「駄目です。お母さんがまた無茶しない様に戒めとして今回は魔法でゆっくり治します」

「…はん、私には奇跡ぱわーがあんのよ」


 ふははは!痛みから解放されるなら少しの気絶タイムくらい我慢できるわ

 動かない手に奇跡すてっきを呼ぶ、たぶんちゃんと握ってる


「私を完全に治しなさい!奇跡ぱわー!」


……



「…だが、何も起こらなかった…」

「残念でしたね」


 何故だ…奇跡ぱわーが失われてしまったのか…?


「奇跡ぱわーによる代償は奇跡ぱわーで治せないのでは?」

「…そういう事、じゃあ私はしばらく動けないって訳ね」


 念願の寝たきり生活を手に入れた!ってなるか馬鹿


 うーうー唸っていたらマオが部屋に入ってきた。そういやここ実家の自分の部屋だ



「あ…お姉ちゃん、起きたんですね…良かったです…」

「そう思うならもっと喜びの声をあげなさい」

「この所マオさんはあまり食事をとられてないのですよ」


 何でだ?妄想してた恥ずかしさで食事が喉を通らないとか?


「そうね…今回はマオも活躍したし今日は暑いみたいだから…ご褒美としてキンキンに冷えたアイスでもあげましょうか、甘い物ならいけるでしょ?遠慮なく口一杯に頬張ればいいわ」

「何でそんなにいじわるなんですか?」

「何でそんな事言われなきゃならんのよ」


 人の好意をいじわる扱いするとは…ん?ひょっとして…


「マオ…あなた虫歯なんじゃない?」

「むしば…?」

「歯が痛いって事。ご飯食べる時に痛かったり、冷たいものを飲んだり食べたりするとズキン!ってするならそうよ」

「はぅー…そうかもです」


 久しぶりに「はぅー」を頂いた

 にしても虫歯か…あれ痛いんだよなぁ

 私もなった事あるが、奇跡ぱわーにより虫歯とは無縁の存在になった。ほんと便利


「どれ、見せてみなさい。ああ…私動けないから近寄ってちょうだい」

「わかったです」


 マオは言われた通り近寄って、更にベッドに上がりマウントポジションになって顔を近付けてくる


 何でだよ


「横から覗き込めばいいでしょ…何でこの格好になる訳よ」

「あーん」

「聞けよ」

「…離れて見ると、マオさんがお母さんを襲っているみたいに…ああっ…いけません、というか羨ましいです…」


 外野が馬鹿な事を言っている。何だか普段の私達になってきた


 とりあえずマオの口を覗き込み、虫歯を探す。どうやら問題の歯は奥歯らしい。てか虫歯じゃないな


「こりゃ…割れてるわね、龍人との戦いでやっちゃったんでしょ。歯茎も切れてるし、だから痛んだりするのね」

「ほへー…どれくらいで治りますか?」

「歯は再生しないんじゃない?」


 そう言ってやったらマオが固まってしまった。



「お願いします…治してください…お願いですお姉ちゃん…わたしに奇跡をっ!」

「まず私の上から退きなさい」


 近いのよ顔がっ!鬱陶しい…

 言ったら素直に退く、基本素直だよな…マオは


「イチャイチャは終わったぁ?」

「いつから居たクズ」

「酷いわペドちゃん、誰が血だらけのあなたを洗ったり着替えさせたと思ってるの?」


 顔すら動かせないから見えなかった

 窃盗してたんだから大人しく捕まっとけばいいんだ


「何しにきたの?」

「ああ…忘れてたわ、ノエルちゃんが来てるわよ」


 ノエルが…?町を救った礼でも言いに来たか?

 何でも気絶中に数回訪ねてきてたとか、何度も足を運ばせたのは悪いと思うがしゃあないな…待たせても悪いからさっさと会おう




☆☆☆☆☆☆



「…なん、だと?……もう一度言ってみなさい」

「ですから…この度の亜人襲撃を見事に撃退した功績を讃えて、ペド様達は見事に上級者へとランクアップ致しました。おめでとうございます」


 馬鹿な…ランクアップしたと言う事は、面倒な義務が生じてしまうという事だ……!


「何で…五丁目を救ってあげたのに、6日の気絶と動くと死ぬんじゃないかって激痛を味わってるのに…この上ランクアップなんて代償まで私に要求する何て酷すぎる!」

「ランクアップをそこまで嫌がる方はペド様が初です」


 くそぉ…ランクアップの事なんて全く考えてなかった。これからは町を訪れる度に魔物襲撃を事前に察知しなければ巻き込まれてしまうのだ!こんな面倒な事あるかッ!


「これからは人とすれ違う度に握手やサインを求められてしまうのね…」

「急に英雄気取りですね…ご安心下さい。ペド様達は精々五丁目の英雄って所ですから」

「…何でよ」

「実は王都でお姫様が囚われた様で、それを颯爽と救った騎士の話題で他の町は持ちきりです」


 うわぁ…まさに物語の主役みたいな奴が居たのか…まぁ、お陰で私達が話題にならずに済んだわけだが


「自分の倍以上の大きさのワーベアを華麗に倒したらしいですよ」

「居たんだ、熊の亜人…」

「龍人に比べたら雑魚なんですけどね…ペド様達も五丁目の冒険者って事で軽く見られてるみたいです…全く、嘆かわしい事です!」


 プリプリ怒るノエル、私にとっては有難い事なんだがなぁ


「そういや…結局あの後どうなったの?」

「特に問題なく終わりましたよ、他の町も同様に亜人達は撤退した様です。ショタロウ…でしたか?あの方が戻ってきてそう言ってました」


 ああ…先代の娘に何処かへ飛ばされてたっけ…


「ハーピー達も亜人の国とやらに行った?」

「はい。嬉しそうに、でも名残惜しそうにと複雑そうでしたが」


 …?嬉しそうに?

 悲しそうにじゃなくて?どういうこっちゃ


 私が困惑していると、家の外から妙な声が聞こえてきた





「そこのあなた、ペド神様を信仰するペド教の信者になりませんか?」

「なったらご利益でもあんのか?」

「もちろんです…あなたに相応しい幼妻にきっと巡り逢える事でしょう」

「喜んで入ります」



……



「外にいる邪神を奉ってる邪教徒を引っ捕らえてきなさい」



☆☆☆☆☆☆



「おお…ペド神様が…お目覚めになられて」

「邪神復活みたいに言わないでくれる?」

「ではおはようございます、と」

「ええ、おはよう。誰だか知らないけど、勝手に人を神に仕立てあげるのはやめてちょうだい」

「…?なぜこちらを向いて下さらないのですか?」

「動いたら激痛が走るから動けないの」


 ん?何か近付いて来たと思ったら、手を掲げて何事か呟く。魔法だろうか?

 ユキが邪魔しないという事は害は無いんだろう…



「もう動いて結構ですよ」

「…?…いでぇッ!?こ、このボケッ!嘘つき!ゴミ野郎!全然治ってないわっ!!」

「おかしいですね…?これでも治癒術には自信があったのですが…」

「奇跡ぱわーの代償には効かないみたいですね…という事は今まで私がかけてた魔法も意味無かったみたいです」


 てことは下手すりゃ一生治らないのか?困るぞそれは…


「そりゃ」


 急にマオが液体を足にかけてきた。たぶんユニクスの血だな




「…おお、流石は奇跡ぱわー生まれのユニクスの血…完治はしないけど多少は治ったわ」

「…私が、この私が駄馬に負けた…?」


 そういや誰だよ…上半身にも血をぶっかけたら何とか首を動かす事が出来るみたいだ。私にかかった血とベッドに付着した血はユキに魔法で綺麗にしてもらった


 首を横に向けると立っていたのは小さい少女…白髪に見た事ある変な服

 顔は…私と同じ紅い目をした可愛らしい顔立ちだ。人形みたいに可愛らしいとはこの事か





「…で?何で生きてる」

「何でと言われましても…ペド様が私を再生し、なおかつ呪いからも解き放ってくださったのではありませんか」

「私はあなたを救った覚えはない」

「でも、最後に大好きなフィーリア様とずっと一緒に…幸せに過ごせと仰いましたよ?ですから、こうして私はこの場に居るのですが」

「人違いにも程がある。そもそもあの世で過ごせって事よ、なに勝手に復活してんの…あんだけ良いこと言ったのが無駄になったわ」


 私が再生したとはほざきおるわ…あの時は確かに死を与えて気絶…


 急に気絶したな…まさか、奇跡すてっきの奴がまた勝手に力を使ったのか?私は奇跡すてっきを握りしめて気絶した、しかも娘に刺さっていた…あり得る


「おのれ奇跡すてっき…6日も気絶したのは貴様のせいか」


 奇跡すてっきを睨み付けるが、反応があるハズがない。過去に生んだからって贔屓するのは良くないぞ


「私は先ほど、お母さんは姉さんを救ったと言いましたのに」

「言ったけど分かるかお馬鹿」


 潔く死んで、良い話だったなー…で終わっておけよ



「ま…生き延びちゃったのは仕方ないわ…ハーピー達と一緒に生きなさいな」

「何を仰いますか…ハーピー達とはきちんとお別れをしました。あの子達は私から巣立ちましたよ。私は今後、ペド様の元で頑張らせて頂きます」

「いらん」

「頑張らせて頂きます」

「断る」

「…頑張らせて頂きます…ぐす…」

「今のトコ仲間を増やすつもり無いのよ」


 今でベストメンバーだし


「…私、お役に立ちますよ?ほら…魔法だって符術だって…他にもまだ見せてない技だってあるんです…」

「その内ユキが全て修得しそうだからいいや」

「…呪いは解けましたが、不思議と力は弱まっておりません…立ちはだかる強敵は必ず倒して見せます」

「ユキが倒すから問題ないわね」


 私がことごとく否定するもんだからオロオロしだした


「…マオさんよりお役に立てます」

「拒否されたからって自分より弱い者を蹴落とすのやめてくれますぅ?」

「確かにマオよりは強いだろうけど、あなたじゃ私の椅子は無理そうだもの…丁度いい位置に胸枕もあるし、椅子としてはマオは優秀なの」

「ふっ…」

「座椅子扱いのくせに勝ち誇らないで下さい」


 何かすでに馴染みかけてるな…私が気絶してる間に仲良くなっていたか

 強さ的に申し分ないが、何かユキと被ってるんだよなぁ…この娘…


「…ひどいです…ペド様もフィーリア様みたいに私を捨てるんですね」

「拾ってもいないわ」

「…ぅわあああん!」


 喧しい。いや待てよ…


「あなた、どのくらいの範囲で索敵できる?」

「…?符を飛ばせば数十キロはいけますが?」

「採用」

「ほ、本当ですか!?」


 数十キロも索敵できれば仮に辿り着いた町が魔物に襲撃されようが事前に逃げる事が可能だろう

 ユキも索敵は出来るが、流石に数十キロは無理だ。この娘にはサポート系で役立ってもらおう



「ペドちゃん、同性のハーレム作ってどうするの?同性にしかモテないの?同性にしか興味ないの?」

「黙りなさい犯罪者。牢屋で罪を償ってなさい」

「もう保釈金払って出所したもの」


 やっぱり捕まってたんかい。フィーリア家の恥さらしめ


「その事でもお伝えする事が」

「聞きたくないけど聞きましょう」

「窃盗で捕まったセティ様と、共犯として捕まったダナン様の二人の保釈金は今回活躍なされたペド様達の報酬から支払われました。

 あの状況での犯罪でしたので割と重罪扱いになり、報酬を全額頂きました。町の復興に使わせて頂きますね、ありがとうございます」

「このクズめ!私の想いを裏切りおって!」


 報酬金がどのくらいかは知らないが、全員分となると結構な金額だろう、知りたくないから聞かない




「おや、起きたのかペドちゃん」

「父親面しないで犯罪者」

「久しぶりに会話したのに…最初の一声がそれとか泣けるよ。悪かった、セティの事となるとすぐに頭に血が上っちゃうんだよ」


 久しぶりにフィーリア一家が揃ったのにこの雰囲気

 まあ、別にお金の事なんざ気にしてないんだけどね


「でも何かしら制裁はしたいわね…」

「やめてよね、お腹の子に何かあったらどうすんのよ」

「そうだよペドちゃん、許してやってよ」

「だったら豪華な食事くらい用意しなさいよ」


 そういや気絶中って食事どうしてんだろ?ユキが何かしら対処はしてると思うが







「お腹の子?」

「反応が鈍いわねぇ」


 子供?母に子供?つまり私の弟か妹。何という年の差…


「…よく、あの怪我で無事だったわね……」

「ほんとよねー…私もこの子はもう駄目だろーなーって思ったわ」

「いやー、奇跡が起こって僕もほっとしたよ」

「私のピンチにぐーすか寝てたくせに」

「…ごめんなさい」


 そういや暢気にに寝てたんだっけ…あの騒動の最中で寝れるんだから我が父も結構大物だな


「にしても奇跡よねぇ」

「奇跡ですね」

「奇跡と呼べますね」

「奇跡です」



「「「「……」」」」



 ……まさか、ね


「この子もペドちゃんみたいな変な力を持ってるのかしらね?」

「ペド様がご存命ですから、それはあり得ません。あの力は杖に選ばれた者にしか使えないはずです」




「はっ……未来が見えました!…大きくなった妹さんが、ラスボスとしてお姉ちゃんの前に立ち塞がる姿がっ!」

「妄想大好きマオちゃんはまた妙な事を言い出したわね。何で妹が姉である私に立ち塞がるっての」

「そりゃー…お姉ちゃんの力が欲しいからです


『お姉ちゃんの力…私にちょうだい?お姉ちゃんには勿体無いよ』


ってな感じで」

「くっ…何かあり得そうなのが腹立つ!って、妹が生まれるって決まってないじゃない」

「たぶん妹ね、何かうちの家系って女しか産まれてないし」


 呪われてんじゃないか?

 妙な所でマオの妄想が当たりそうで怖い



「違いますよ?ペド様の家系はフィーリア様の血を色濃く継いでいるみたいですので女系になってますが、各国に散らばってるフィーリア一族には男子もいます」


 新事実、各国には親戚が居る

 いや、居てもいいんだけど


「とりあえず更に余計な事を言えば歯は治さない」

「…は!…わたしは今まで何を…」


 うむ、正気に戻って良かった

 て言う訳あるか、最初から正気だこのアホは



「良いこと思い付いた。無事に産まれてきたらシスコンかアネモエって名前をつけましょう。そしたらお姉ちゃん大好きっ子になるわ」

「苛められるじゃない」


 尊い犠牲だが仕方ない

 私が未来を平穏に暮らすためだ


「名前と言えばお母さん、姉さんに名前が無いと不便かと」

「名前?……そういや名無しだったわね」

「ま、まさかペド様が名前を与えてくださるのですか!?」

「まぁ、構わないけど」

「…おぉ、まさに感無量でございます」


 そこまで言われちゃ最高の名を与えてやろうじゃない

 先代の娘にぴったりの名前か…ついこの間戦ってた姿を思い出す…





「グロリアル、あなたはグロリアルね!ぴったりでしょ?あの時を思い出して名付けたわ!」

「お、おぉぉぉぉ…」

「流石に酷すぎるんじゃない?泣いちゃったじゃない」

「…で、出来ればあの姿を忘れていられる様な名前を頂きたいかなーって」


 めっちゃ良い名前だったのに拒否された。愛称はグロリアで良い感じだったのに…


「じゃあ白髪だからシロね」

「犬じゃないんですから」

「白髪じゃないです…限りなく銀に近い灰色です…」


 白髪も灰色も変わらないんじゃないか?


「じゃあ…その巫女服だっけ?それにちなんでミケね」

「猫じゃないんですから」

「さっきからうっさいわよマオ」


 何が不満なんだか…

 考える方はなかなか面倒なんだぞ


「…ひょっとして、フィーリア様も名前を考えるのが苦手だったので私達に名前を与えて下さらなかったのではないかと思えてきました」

「中々の推理ですね、合ってるかもしれません」


 んー…この娘は…少女…つまり小さい、そして初めて会ったのは夜だ…小さい夜か…


「じゃあサヨね」

「す、素晴らしい名前です!」

「はい。今までに比べたら」


 一言余計だ馬鹿野郎

 だが名前で初めて会った時の事を思い出せるし、我ながら良い名前だと思う


「あなたは今からサヨ。ユキはバカ、マオはアホ、だからサヨはボケを目指しなさい」

「それは冗談でしょうか?」

「大丈夫、あなたにはすでにボケの片鱗が見えているわ」

「……」


 ぶっちゃけ目指してどうすんだって感じだが

 ギャグキャラとして生きれば死亡率が下がる、そんな気がする



「今後は私の事は名前で呼ばない様に」

「では主様と…いえ、これでは疎外感が……むぅ、お母様…お姉様…そうですね、これからはお姉様と」

「私の何十倍生きてると思ってんの?」

「お母様はやはりフィーリア様ですから…お姉様で御容赦下さい」


 まあ…この娘がそれでいいなら良いけどね…


「ペドちゃん、この子は私達がちゃんと名付けるから余計な事考えなくていいからね?」

「分かってるわよ…で?もう妊娠してどれくらい?」

「2ヶ月くらいだっけ?」


 ならまだ先の話か…

 産まれたら私が結婚しなくても、妹か弟によってフィーリア家は存続できるな


「触っていい?」

「いいけど?」


 ろくに動けないので近寄ってもらう。何とか手を伸ばして触ってみたが、まだあんまりお腹も大きくなってないな


「…私も一人っ子じゃなくなるのかぁ」

「そうねぇ…ペドちゃんはあちこち世界中を回るのに夢中であんまり会えないと思うけど」


 そう…だな……たまに会っただけじゃ姉として認識されないかもなぁ

 でも、それはそれで仕方がない…世界中を見て回るのが私の夢なのだから






「…死んだマッコリ爺さんは、お母さんの子供として生き続けるのね」





…………





「どぉいう事だセティィィィィィィッ!!!」

「何がよっ!!?」

「僕が必死に働いてた時にあんなジジイと浮気してたのかぁぁぁぁ!」

「するかぁっ!するとしたらもっと金持ちとするわ!!」



 私は寛大だからな

 報酬金の事はこの言い争いでチャラにしてやろう。盛大に夫婦喧嘩してくれ


「…ペド様…性格悪いですよ?」

「誉め言葉として受け取るわ。というかノエル、ギルド忙しいんじゃないの?」

「ああっ!すっかり忘れてました!?で、では失礼します!…あ、ペド様、お大事に」

「どうも」


 二人の争いは長くなりそうなので、とりあえず部屋から追い出した


 さて…動ける様になったら、いよいよ国外に出るかな…その事を考えると今から楽しみだ

 そうそう、ドワーフ達もどうなったか気になるな…特にカマラ。無事に釈放されただろうか


 やりたい事を考えたらキリがないな…でも今出来る事は思考する事ぐらいだしなぁ…

 顔を窓へ向ける。寝たきりだから窓の外も見えない、果たして町の外はどんな状態なんだろうか…


 とりあえず新たに一人追加された仲間達…いや、家族達と今後の予定でも考え合う事にした

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