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幼女、再会する

 結局ユキの診断による絶対安静期間は5日はかかった。血液不足と言われても体調は変わらないので何が良くて何がいけなかったかサッパリ分からないが、ようやく自由になれるから良し


「結局カマラは帰って来なかったわね」

「そうですね…何か事件にでも巻き込まれたのかもしれませんね」

「ドワーフさん達はカマラさんが帰って来なくてものんびりしてるので不思議です」


 カマラがかなりの実力者だった場合はさほど心配は不要かもしれない…が


「未だにカマラが芋パーティー開いてると思ってる可能性があるわ」

「はい」

「5日以上行う芋パーティーなんて普通考えます?」


 確かに芋パーティーがこんな長い事行われてると思うハズがない。という事はやはりカマラは中々の実力者であり、少なくともこの辺の魔物にやられる事はないぐらい強いと思われる。


「カマラは強いから間違いなく無事と思ってるんでしょうね」

「一人で王都へ行けるくらいの実力はあるでしょうから」


 考えてても仕方ない。王都に行けば何か手がかりが有るだろう。さっさと出発するとしよう



☆☆☆☆☆☆



 馬車に乗るのも、マイちゃんが頭に居るのも何か久しぶりだ。トイレと風呂以外は寝たきり生活というのは今となっては何ともつまらなかった。

 入浴しててもドアの向こうにお馬鹿が待機してて落ち着かなかったし…トイレもな…もう大怪我はしない様にしよう




「カマラに会ったら村に戻れって言えばいいのね?」

「うむ、よろしく頼むぞ」

「近いんだし、俺らが行けばいいんだが、装備品の納期が迫っていてな…カマラを探す余裕無いんで悪いが頼んだぜ」

「構わないわ、部屋を貸してくれたお礼よ、ありがとう」


 カマラに伝える伝言を聞いたあと、お世話になったドワーフに礼を言って集落を後にする

 ゴラスの言う通り近いので、馬車移動ならすぐに到着するだろう




「王都の広さを考えたら、私達だけでカマラを探すのは難しいかもね」

「住民に聞き込みするのが早そうですね」


 聞き込みか…丁度いい知り合いが居るし、その人に聞いてみるのも良いかもしれない。


「とりあえず知り合いを訪ねてみましょう」

「王都にお知り合いがいるんですか?」

「えぇ…」


 まともな人になってればいいけど…精神おかしくなってたもんなぁ…あ、何か会いたくなくなってきた


 だけど、あの後どうなってるか気になるから、やっぱり会ってみよう


「くぁ……あふぅ、寝たきりに慣れて常に眠たくなったわ…」

「寝ます?落ちないように掴んでおきますよ?」


 マオの善意は有難いが、どうせすぐに王都に着くし我慢して起きていよう


「ありがと…でも起きてるわ」


 外でも見て眠気を我慢する。今日も天気は晴れ、だけどもうすぐ雨の多い時期になる。雨漏りとかしないかな?

 雨漏りも心配だが、ぺけぴーが濡れっぱなしで移動するのも心配だ。


「ねえユキ、雨よけの魔法とかあるの?」

「有りますよ。風属性になりますが、軽い飛来物は弾けます」


 あるなら大丈夫か、最悪ぺけぴーとユキに雨合羽を着てもらう所だった


 話す事も無くなったので、その後はまったりしながら王都へ向かった



★★★★★★★★★★



 王都に着いたが、まず入口にある門の大きさが凄い。王都周辺にある塀より高いかもしれない…


「…こんな大きくして何か意味あるの?」

「見栄じゃないですか?」

「開けるのも大変そうです…」


 全くだ。何人がかりで開けるんだ…と思ってたら大きい門の隣に小さい扉があった。それでも馬車2台は同時に通れそうな大きさだが

 こちらが一般用の門なんだろうな…出入りしてる人達はそこを通ってるし


「じゃ、あそこから入りましょうか」

「はい」


 王都に入る前に騎士によるチェックがあるが、もちろんギルドカード見せるだけで問題なく入れた


 いざ、王都へ入ると…何とまぁ都会?だこと。五丁目のレンガ造りとは全く違う凹凸のない綺麗な壁、そしてやたらカラフルな家が目につく


「あれって塗ってあるのよね」

「そうみたいですね」

「ほへー…」


 濡れたら色が落ちるみたいな事はなさそうだ。王都の住民は服装と言い家と言い目立つのが好きなんだなー


 以前聞いていた通り道も広くて馬車のまま進行が可能だ。そして住民と思われる人々は例の奇抜なファッションをしている。やっぱり流行っているらしい


「色々観光したい所だけど、まずはカマラの情報を得ましょう」

「どちらへ向かえばいいでしょう?」

「そうねぇ…風俗店が並んでいる場所に行って」

「…わ、わたしを売るわけじゃないですよね?ね?!」


 売らんわ。風俗店が並ぶ場所に行くだけで自分が売られると思うとかなかなか発想力が豊かな娘だ。自分がエロいと認めているんじゃなかろうか?


「安心なさい。知り合いの娼婦に会いにいくだけよ」


 まだ昼間だし、店は開いてないハズだ。仕事中は聞けそうにないから今の内に訪ねる事にしよう


 ユキが恥ずかしげもなく通行人に風俗街を聞いて、大通りではなく裏通りに在ることが分かった。

 裏通りは馬車で通るには狭い道なので、馬車を置ける宿屋を手配して歩いて向かう事にした。ぺけぴーは残念ながらお留守番だ


 という事で抱っこ状態になって移動する。ユキは私があけだブローチをばっちり付けており、間近で見れる距離にあるので何か恥ずかしい…なので正面を向いておく事にした。首が疲れるけど


……




 裏通りに行き、しばらく歩いて風俗街を目指していると、何か怪しい雰囲気の景色になりだした


「何かピンクな世界になってきたわね」

「風俗街に近付いたのでしょう」

「あわわ、何か目線が気になります…」

「気のせいよ。王都の住民を見たでしょ?美女と美少女の宝庫じゃない。王都においてユキはともかく私達は普通の少女にすぎないわ」


 やたら王都の住民は男女問わず容姿に優れている者が多い。五丁目の名物も王都じゃパッとしない存在だな…皆整形してるんじゃないかと疑ってしまう


「風俗街も広いわね…これじゃ人に聞かないと分からないわ」

「では聞いてみましょう」


 風俗街で働いてそうな人を偏見で決めつけて尋ねてみた


「すいません、娼婦として働いてるソープさん知りませんか?」



☆☆☆☆☆☆



 聞き込みの結果、あっさりとソープお姉さんの所在が分かった。風俗街ではそれなりに有名になっていたらしい


 裏通りにある集合住宅の一つに住んでいるとの事なので、話を頼りに場所を探した




「ここね」


 夜の商売みたいだし、まだ寝てるかもしれない…起きている事を願ってドアをノックした

 はーい、という声がしてガチャっとドアが開いた。ちゃんと起きていたようで助かった。


「はい?…あれ、もしかしてペドちゃん?」

「お久しぶり、ソープお姉さん」


 数年ぶりに会うが、何か色気が増したソープお姉さんと久々に再会した。




 お姉さんの部屋に上がらせてもらい、紅茶を出してもらった。

 借金のために娼婦になったハズだが、部屋には高そうな化粧品があるので、もしかしたら借金は返済し終えたのかも


「本当に久しぶりだね」

「えぇ、お姉さんがまともに戻ってて良かったわ」

「あ、あの時は私も混乱しててねっ!?何というかぁ…ごめんね!」

「もう気にしてないわ、小さいままってのも悪くないし」


 主に自分で歩かなくていいからだが


「良かった…ペドちゃんが恨みを晴らしにでもきたかと思ったよ。じゃあ…観光ついでに寄ったのかな?それとも側にいる子に娼婦の仕事を紹介してもらいにきたとか?」

「淫魔じゃないですっ!」

「誰もそんな事言ってないでしょうに」


 過剰反応しすぎだろう…側にいる子と聞いて即座に自分と判断するとはやはりエロが似合う娘として自覚があるっぽい


「その娘なら男性客の人気者になれると思うけど、田舎に住んでるイモ娘って感じで需要はあると思うな」

「馬鹿にしてます?」

「王都は美女ばっかだし、そうそう人気者にはなれないと思うけど?」

「素朴な娘はあんまり居ないからね、癒される感じで人気でるよ、きっと!」


 確かに王都の女性はチャラそうだもんなー…アホの子ほど可愛いと思う男もいるだろうし


「イモっぽさを全面に出した宣伝文句もあれば完璧じゃないかな?」

「例えば?」

「えっと…流石にすぐには思い付かないけど」

「ちなみにお姉さんの宣伝文句ってなに?」

「私は料理が得意だからそれにちなんだ宣伝文句だよ」


 何か普通だな…もっと名前的に恥ずかしい言葉を想像してた


「どんな宣伝文句か教えて?」

「溢れだす肉汁だよ」


 エロッ!?何てエロく感じる言葉だろうか、恥ずかしくてしばらくハンバーグ食べれない

 流石ソープお姉さんだ…皆がうわぁ…って感じになってしまった


「私の事よりその娘の事を考えよっか」

「…私に考えがあるわ、イモっぽさを出しつつ有名な宣伝文句を改良すればいいのよ」


 来店するのは夜に仕事や依頼を終えた男性だ。こんな店に来るくらいだし独身が主だろう

 だったら店の中だけでも擬似的な結婚生活をするとかどうだろう?新婚生活において有名なセリフをイモ娘っぽくして…


「おかえりなさい!あなた石焼き派?焚き火派?それともわ・た・し?」

「うん!意味不明だけど面白いからそれにしよう!」

「なに勝手に話をすすめてるんですかっ!」


 それもそうだ、今日はマオの就職先を探しに来たんじゃなかった

 気がついたら宣伝文句まで考えてる有り様とは


「はいはい、冗談よ冗談…悪かったわ」

「私は本気!」

「お姉ちゃん、この人ビンタしていいです?」

「駄目よ」


 首がもげたりしたら困る。ビンタだけど、マオが人に攻撃する意思を持ったのは成長したなと思うべきか…


 そういえば借金の事を聞いてないから質問してみよう


「もう借金は返済したの?」

「うん。こう見えて稼いでるよ、私」

「何でまだ娼婦何てしてるわけ?」

「うーん…もう慣れたしねー…それに急に辞めても私を指名してくれる人達に悪いし」


 今のお姉さんを見る限り楽しんでやってるみたいだ。じゃあ私からは何も言う事はない


「そうそう、面白い話があるよー、借金返済が終わった後に父が客として来店した話なんだけど」

「是非とも詳しくお願いします」

「この馬鹿は近親話に異常な反応するからやめて」


 ユキも馬鹿だが、お姉さんの父もどうかしてる。何を考えてるんだろうか、近親なんてありふれた話なのか?




「変な話になる前に本題に入るけど、知り合いのドワーフの女性の連絡取れない状態なんだけど、何か知らない?王都に行ったっきりなの。名前はカマラ」

「ドワーフ?…ごめんね、知らないや」

「でしょうねぇ…」

「行方不明なの?」

「えぇ」


 知り合いが目撃してました、なんて都合の良い事はなかったか。地道に聞き込みするしかないのかな…めんどくさい


「じゃあ…お客さん達に聞いておいてあげようか?そのドワーフの女性の事」

「いいの?助かるわ…ありがとう」

「いいよ、昔酷い事言ったお詫びって事で!でも、手がかり見つからないかもしれないからね」


 それでもカマラが見つかる可能性は増える。お姉さんは普通の状態ならやはりいい人だな

 男性の聞き込みはお姉さんに任せて、私達は女性に聞くか、別の方法で探すとしよう


「じゃ…私達も捜索するからおいとまするわね」

「そっか…早く見つかるといいね!」

「そうね…また聞きに来るわ」

「うん、またねー」


 持つべきものは人脈だな…前に母が言った通り人付き合いしといて損はないかも…興味持った人くらい仲良くしておくか


 お姉さんの家を後にし、とりあえず聞き込みしながら王都を見て回る事にする



☆☆☆☆☆☆



「うぐぐぐっ…そんなにわたしはエッチな女に見えますか!?」

「えぇ…じゃなくて、いい加減機嫌直しなさいな」

「あ、いま認めました…お姉ちゃんはわたしをえっちぃ女って認めました!ひどいですっ!」


 さっきからこの調子だ…喧しい事この上ない。悪かったって謝ったんだからいいじゃないか


「今日の夕飯はマオに選ばせてあげるからもう黙りなさい」

「わたしは食べ物何かにつられませんっ」

「あっそ」


 めんどくさいから放置しよう。今はマオよりカマラだ、行動範囲が分からないので骨が折れそうだな


「ハンマーを持ち歩いてたら目立つけど…」

「着替えを用意してると言ってましたので、ハンマーも着替えた時に置いてきてるかと」

「着替えるって、どこで着替えたのやら…荷物を置いていける場所って宿屋くらいだと思うけど」

「それはカマラさんじゃないと分かりませんが…」


 仕方ないから今日の所は王都の入口付近で探す事にした。何も分からなければ明日は更に奥に入って探せばいい。


 何日も見付からなかったりしたら面倒だし、いっそお姉さんに丸投げして観光でもするか?


「1日経たずに面倒になってきたわ」

「お母さんらしいです」


 聞いた通りユキは寝たきり期間中に修行したお陰で、今ではスムーズにお母さんと呼べるようになった

 堅苦しい敬語に親しい呼び方されると違和感が凄いが…



「パスタでいいので構ってください」

「変な可愛さがある娘ね貴女は」


 腹は立っても嫌いになれないタイプの娘だなマオは…要望通り今夜はパスタにしてあげよう。



 良さげなパスタ店を探しながら聞き込みをする事にした。

 王都は道が広いが通行人も多い…話を聞こうにも一言謝罪して去る者が多い。何を急いでるんだか




「……姫様が亜人の子供を献上されたって噂があるよね」

「へー、ペットにでもするのかな?可愛くないのに不思議だね」


 住民の何気ない日常会話なんだろう、ふと聞こえた会話なのに妙に嫌な予感がした。

 こういう直感って、滅法当たるから困る…面倒事にならなければ良いなぁ、と思いながら夕飯にはまだ早いがパスタの店を見つけたので入店する事にした。

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