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幼女とさいきょう

『うえええええええええええんっ!』

『なんで泣くのー?うわああああああああああああんっ!』

『びえええええええええええええっ!!』


 あーもう耳元でうるっさいっ!

 ここに存在する全ての精霊達が一斉に泣き始めて私の耳がこれでもかってくらいヤバい。

 原因は、間違いなくあの娘なんだけど……


 今は紫の髪の子の胸で泣いている小さい子。

 私に、道を標してくれた子だ。自分勝手だけど、その生き様に妙に惹かれてしまった娘だ。


 そんなあの娘が泣いた。

 空からは雨も降ってきた。この時期なので当然寒い……


「まるで世界も悲しんでるかのよう」


 これが世界に愛される者か、精霊だ世界樹だと騒いでるエルフなんて馬鹿馬鹿しく思えてきた。


 そんな時、轟音と共に雷が落ちてきた。

 ……まさかとは思うけど、このまま天変地異とか起きない、よね?


「とりあえず、貴女達は一刻も早くここから逃げるのをお勧めします」

「ど、どこへ行けば?」

「ファルクス、あそこに居る冒険者達の元へ行って下さい。そして何処か安全な場所へ行く様に伝えて下さい」

「わ、わかりました」


 捕らえられていた娘達はファルクス達に任せていれば大丈夫だろう。

 私は、出来る事があるかは分からないけどあの娘が悲しんでいるのなら何か力になろう。


『うえええ?』

『悲しくないね』

『なんかね、すっごい暴れたいのー』

『わたしもー』


 ……今度は暴れたいそうだ。今度はなんだ?地震でもくるのか?

 私程度じゃ力になれる気しない、かも。



★★★★★★★★★★



 落雷……急に曇って急な落雷ってどう考えてもお母さんのせい?

 一応結界は張ってあるのでここに落ちても問題はない、けど。


「お、お姉ちゃん?」

「……」


 マオさんの問いにお母さんは何も答えない。


 その代わり身体を支えていたマオさんの左手、小指を持つと、ベギリと折った。


「ひにゃあああああああっ!!?い、痛ぃ、いだいですぅっ」

「お、ぉぉぉお姉さま?」


 はっ

 何とも言えない光景に一瞬頭が働きませんでした。

 と、とにかくマオさんの治療する為にお母さんには離れて頂きましょう。


「お母さん。マオさんの手当てを致しますので一度お離れ下さい」

「……」


 私が抱きかかえようとすると手を振り払われ、ご自分でお離れになった。

 反抗期になられたのか?


「ゆ、ゆき、殿?」

「何でしょう?」

「あ、貴女……右腕」


 ……ああ、言われて気付いたが右腕が存在しなかった。

 恐らくさっき振り払われた時に失ったのだな。


「だ、大丈夫なのですか?」

「ええ、不思議と全く痛くありません」


 平然と答える私を訝しんだ姉さんは傷口を調べる為に失った右腕の部分を調べるが


「……傷がありません。まるで最初から腕なんか無かったかの様につるっつるです」

「そうですか。痛くないのは良いことです」

「良くないでしょう!?」

「利き腕が無いのは困りますが、左手があればお母さんを抱っこ出来ますから」


 直らなかったら足技主体に変更すればいいだけだ。

 魔法は……口から撃てばいいか。


 しかし本当にどうしてしまわれたのか……さっき小さく呟かれた「さいきょう」という言葉。

 確かに今のお母さんは最強なんだろうけど、どっちかと言うと最狂という言葉のが似合う。


「今の姉さんは大分危険。どうする?」

「怒っているのか悲しんでいるのか分かりませんからね……自然に静まるのを待つしか」

「とりあえず生贄としてあの奇跡人を差し出しましょう」


 自分の身が可愛いを地で行く姉は口から足を生やした奇跡人をお母さんの前まで押して捧げる。

 あんなのだけで気が済むとは思えないのだが。


 無表情なお母さんは目の前に差し出された奇跡人に指を向けた。ああ、消されるな……と思ったが実際は全く違った。


 一瞬にして奇跡人は元の姿に戻った。有り得ない現象である。

 まさに奇跡ぱわーと言うか……でも何故?


「ん。治った」

「あ、ありがとうございますぅ」

「小指は痛い」


 ついでにマオさんの折られた指もユニクスの血で治ったらしい。

 あの娘も散々である。


「ひっ……ひぎ、いい?」

「……」

「な、治ってる……何で、いやそれよりも貴女が」


 何か言おうとしていた奇跡人だが言い切る事は叶わなかった。

 奇跡人の身体にはかろうじて繋がっていると言えるほど大きな穴が空いていた。


 ボンと音がしたので消滅させたのではなく何か攻撃をなさったのだろう。

 そして再び指を向けると元通りに……なるほど、生き地獄になさるつもりか。


「がぁ……あれ?……な、なんだい、僕で遊んでいるのか?……殺すなら一思いにやったらどうだ!?」

「……」

「何だよ畜生!」


 苦し紛れに鎖で拘束しようとするが当然通用しない。お母さんの身体に触れる前に消滅する始末。

 無様だ。こんな事になるならお母さんにちょっかいなんか出さなきゃ良かったって思ってそうだ。


「そう言えばマオさんは普通に紐で縛られてましたね。と言っても強度はかなりのものでしたが」

「言われてみれば……あの鎖で拘束すれば良かったものを」

「マオ殿がちゃんと覚えておればのう」

「うー……そうだ、あんな小さい人じゃなかったと思います」


 つまりマオさんを攫ったのはあの奇跡人ではなく別人か。なら鎖が無かったのも分かる。

 で、その別人とやらは何処に?

 あの施設内には私達に気付かれずにマオさんを攫う様な強い者は居なかったと思うが


「私達が来る前にどっか行ったんでしょう」

「そんな事より目先の事じゃろ」


 と言われても……どうすればいいのやら

 リュックを破壊された時とは違って精神が幼いわけではない。近寄っただけで消されるとか元に戻るまで逃げ続けるしかないと思う。

 その場合、世界がどうなるかは不明だ。




「ひ、ひひひひっ!……狂ってるね、僕のせいか?まるで君が強くなる為の踏み台にされた気分だ」

「……」

「でも、よく考えたら面白いよ!あのデカブツが暴れまわるより君が暴れまわる方がよっぽど楽しそうだっ!!」

「……」

「きひひひっ!もっと狂えよ、僕に、何も与えてくれなかった、この」


 飽きたのか、それとも聞き苦しかったのか。

 手を振り払う、たったそれだけの動作をされただけでアイツはこの世から姿を消した。

 ホント何のために居たんだって感じだったな。


 で、生贄が居なくなったら今度は?


「めっちゃこっち見てますけど」

「目を合わせたら消されるのじゃ」


 私のお母さんを何だと思っているのだ。

 かくいう私も下を向いてどうするか考えてる最中なのだが。


「うふ、ふふ……やはりフィーリア様は素晴らしい……」

「ちょっと、キキョウさん?」


 キキョウさんは恐れもなくお母さんに近付いていく……命知らずというか、彼女も狂ってるのかもしれない。

 一メートルほど離れた位置に止まり、まるで臣下の如く跪いてから語りだした。


「……」

「我が君、私は貴女様の忠実な犬であります」

「だからあなた狐でしょうに」

「どうか、貴女様の側に居ることをお許し下さい」


 姉のツッコミを華麗にスルーしてキキョウさんはお母さんの背後に控えた。物凄くニコニコしながら……お母さんは特に何もしなかった。


「上手い事取り入りましたね、あの人」

「そうですね」


 ふむ、誰だろうと構わず消すという訳ではないのか。だったら娘である私も大丈夫、だと思う。

 このまま消されるくらいなら私も下手に出て側に置いていただける可能性に賭けたい。


「お母さん。私も、いえ私達全員お母さんの敵ではありません」

「……」

「ですが、お母さんの気持ちが収まるのならどうぞ私をお好きな様に。ただし、後で後悔なさる可能性があるのなら危害を加えるのはお止め下さい」


 我ながら変な説得だ。若干脅迫が入ってる気がする。

 だが、お母さんは手を上げこちらに向けた。消滅させるのか、あの奇跡人の様に身体に穴を開けて遊ばれるのか……どちらでもいいか。私はお母さんに創られたんだし、好きになさればよいのだ。


 しかし、特に何も起こらなかった。

 いや、若干違和感があった。元に戻ったというか……右腕が再生されていた。


「……ありがとうございます」

「……」


 元々お母さんが消された腕を戻して貰ってありがとうってどういう事だと思うが。何にせよ私達は許されたと認識していいのだろう。

 何ともあっさりした展開だが、完全に正気を失ってる訳ではないのかも。


「いやー、流石ユキさん。何とかなりましたね」

「ダメ。問題なのは姉さんだけじゃない」

「うむ……精霊達が暴れだした」


 確かに天候が先程より悪い。

 四丁目の冒険者達は避難したようだが、五丁目の冒険者達は落雷から逃げ回っている。動かない方が当たらない様な気がするが……


「精霊が暴れだすとどうなるのですか?」

「……色々と起こる。雷、嵐、地震」

「誘発されてどこかの山で噴火も起こるじゃろ。じゃが最悪なのは自然現象ではないぞ」

「と言いますと?」

「魔物。魔物は生存本能が他の生物より特化してる。このままだと世界を、自分達の縄張りである棲家を破壊しかねない姉さんを本能で察知して排除しにくる」

「……たかが魔物では?」

「普通では敵わないだろうから群れで来る。もし、遠い海からも大型の魔物が来たら物凄く面倒になる」


 大げさじゃなかろうか……と思いたいが、現に一匹こちらに向かって来る気配を感じる。

 あの化け物だ。

 さっきまでお母さんから逃げていたくせに、ゆっくりとこちらに向きを変えている。その内突っ込んでくるだろう。


 魔物なら倒したところで何の問題も無いが、倒す際に大規模な自然破壊が行われる可能性がある。こんなサード帝国からも近い場所で暴れると後々困りそうだ。


「良いではないですか?……魔物程度、私達で殲滅すれば良いのです。それに、私はフィーリア様の勇姿を見とうございます」

「一番弱い貴女は黙ってなさい」

「まぁ、酷いですこと」

「ナンダカアバレタイゼー!」


 キキョウさんもだが、いつになくマイさんがアグレッシブだ。少し精霊化しているせいだろう。そんなマイさんはお母さんの周りをチョロチョロと飛んでいる……消されるから大人しくしてれば良いのに。


「た、助けてくれペドちゃん!?」

「流石の俺たちでも雷はヤバイ!」

『情けねえなブラザー!』

「おお、馬!」

『ユニクス様と呼べ!』


 騒がしい連中まで来た。こいつらは今のお母さんに対して何も感じないのか?

 今までの様にギャグでは済まされないというのに……


「む、早速何か飛んできたのじゃ」

「ドラゴンですね。まぁ飛べるので一番乗りでもおかしくはないです」

「マジかよ……お前らドラゴンだってよ」

「そんなんあの化け物よりマシだろ」

「確かに。なら安心だな」

「何でだよ」


 あれはフィフス王国付近にもいる下位種の飛竜か。上位種のドラゴンが群れで来たら厄介だが、あの程度ならまだ問題ない。


「さて、ではお母さんが元に戻るまで魔物狩りをしましょうか」

「いや、ドラゴンはともかくあの化け物はどうする気ですか?」

「動きが鈍いので離れつつ魔物を掃討するという事で」


 まずは離れている内に魔法で大体を打ち落として……

 と、魔法を撃とうとするとお母さんがとことこと前にお出になる。まさか、ご自身が相手になると言うのか?遊び相手には不足だと思うが。


「どうするんですか?流石に下位種のドラゴン程度ならお姉様も怪我をなさるとは思いませんが」

「……どうしましょう」


 そうこう言ってる間に飛竜達は地に降りお母さんと対峙する。

 仮にもドラゴン、実力の差くらい分かるだろうに。しかし今のお母さんはそうは言ってられない存在なのだろう……


 だけど、スタスタ歩くお母さんに飛竜達は何もしない……?

 むしろ邪魔にならない様に道をあけただ見守っている。何だこの状況。


「まるでお姉様に服従してるかの様ですね」

「う、うむ?……主殿を前にして怖気づいたのかのう?」

「有り得る。今の姉さんを目の前にしたらまずびびる」

「前々から思ってましたが、魔物を従えるのがお上手ですね」

「わぁ……まるで絵本に出てくる魔王さんみたいですっ!」


 あらゆる魔物を従える者、実際の魔王ではなく絵本の中での魔王か。確かにしっくりくるが……


 精霊を従えて、魔物も従えて、更に自分自身がそもそも最強であるとか勇者には絶望しかない物語になるな。

 ただ、マントの代わりにいつの間にか背負ったリュックを身に着けている所が何とも愛らしい。


「あ、あのぅ?」

「おや、黒エルフじゃないですか。貴女も逃げれば良かったものを」

「いえ……あの娘を放っておけませんから」

「失礼ですが、貴女が一人増えたところでどうにもならないでしょう」

「わ、分かってます。でも、あの娘は無理でも精霊なら何とか出来るかも……」

「そういう事ならまぁ」

「そういえば何処に向かっておられるのでしょう?」

「あのまま行けばシックス王国ですね」

「なるほど、攻め入るのですねっ!」


 キキョウさんだけは嬉しそうである。

 シックス王国が目的だとして、歩いて行くとどれくらい時間かかるというのだ。

 それに到着する頃にはとんでもない魔物の大集団になってそうなんだけど。


 というか国を潰すのは流石に不味い。魔物を使って潰すのは更に不味い。

 やはりお母さんを正気に戻さないといけないか……そもそも何でこんなに怒ってるというか豹変なさったんだっけ?


 確か、あの奇跡人がリュックをボロボロにしたから……しかし今はリュックに傷一つ無い。私も直したがあそこまで完全修復は出来なかった。まぁ、リュックに関してはお母さんが奇跡ぱわーで直したのだと思う。

 元凶である奇跡人はすでにご自身の手で消された事だし、未だにあの状態のままなのは謎だ。


 んー、何か忘れてるというか……記憶が欠けてると言うか。そもそもここへは何故来たのだったか。

 マオさんが攫われたから……しかしそれは面倒事回避の為にお母さんが奇跡ぱわーで救出したので違うと考えられる。


 ならばこの黒いエルフの為か?

 まずないな、四丁目の冒険者に丸投げしたのを覚えているし……


「姉さん。私達は何故この場所に来たのか覚えてますか?」

「そりゃあ……えー、確か祭りの途中でエルフの姫か何かに言われて?」

「……私達は何か忘れてませんか?」

「その忘れている何かがお姉様がお変わりになった原因であると?」


 断言は出来ないがその可能性が高いと思う。

 お母さんから直接聞くのが一番早いのだが、今は何もお喋りにならない。

 仕方ない、少々本気を出して考えてみるか。


 しかし突如辺り一面が光に包まれるほどの激しい発光が現れた。


 思考を中断し、光が収まるのを待ってから改めて辺りを見回すと……

 ドラゴンが居たであろう場所にはドラゴンもろとも大地がごっそりと消滅していた。


 爆発した訳ではない、何の衝撃も無かったし……地面が綺麗さっぱり丸く消えている事からドラゴンがいた一体丸ごと消したんだろう。

 にしても……恐ろしい。結界があろうがまとめて消される気しかしない。


「精霊も消えた」

「うむ……一部じゃが大地と共に消されたか」

「そんな」


 エルフには悪いけど、精霊よりも自分達の身の方が危ない。巻き添えで消されたとか洒落にならない。


「人間らしき集団が来ますね。まだ距離はありますがそいつらが騎士団やどこぞの軍だった場合は今のお姉様を見られたら少々厄介になるかと」

「私としてはその人間達まで消して問題になるんじゃないかと思ってます」

「益々厄介じゃないですか」


 どっちにしろ見られたら正気に戻った後のお母さんの冒険に支障をきたす恐れがある。

 何とか説得するしかないか……


「ふぅ……気に入りません。私のフィーリア様は格下のドラゴンなど相手にもしない筈です。それをこんな弱者をいたぶるかの如き所業」

「いつからキキョウさんのお姉様になりましたか。耳を引き千切りますよ?」

「とにかく、ドラゴン程度サヨ様にでも任せればよいのです。フィーリア様はこう……私達が束でかかっても倒せない様な敵を颯爽と倒す、ああ……素敵です」

「この奴隷なんか調子に乗ってると思いませんか?」

「調子に乗ってるかはともかく、その意見には賛成です。戦闘など私達にお任せしてくださればよいのです」



★★★★★★★★★★



 最強とは一体何なのか。

 言葉通り世界で最も強い者か?

 あの娘の為に最強な存在になってみたはいいが、こんなものが最強なのか。

 派手な魔法も桁外れな武力も要らない、ただ消えろと念じれば誰だろうが容赦なく消えていく。


 今の私には何者だろうが敵わないだろう。例えあのデカブツだろうが相手にはならない。

 この身体に疲れは感じない、自分の足でどんなに歩こうが何処まででもきっと行ける。


 だとするともう足代わりであったユキなど不要。

 いきなり襲われようが余裕で返り討ちならサヨも不要。

 いや、もはや誰も必要としない。


 お金もどうにでもなる。

 食べ物は?適当に創造するか何処かの食料を手元に転移させればいい。


 私はおかしな性格をしてるのは周知の事実なのだが、どうやら今まで築いてきた絆ですらあっさり捨てられるほど歪んでいたようだ。


 私を拘束していた邪魔な小娘、少しは大事に思っていた娘の指すら何の気なしに折った。

 自分で創った散々世話になった娘の腕すら消し去った。

 だけど別に何とも思わなかった。不要なものなどどうしようと関係ないからだ。


 一年にも満たないが世話になった事だし情けで消すのは止めてやった。

 私の力を見せ付けてもどいつもこいつも喜びやしない。心配なのは私ではなく周りの被害だけ。

 ああ、キチガイな狐だけは喜んでいたな、今は不満そうな顔をしてるけど。


 要するに最強なんてものはただ孤独と化すだけなのかもしれない。先代もこんな感じだったのだろうか?

 いやまぁ人付き合いの上手い奴なら人外な力を得ようが仲間と共に生きていけるのだろうけど……私には無理だな。


 しかしこれじゃあ……もはや冒険のドキドキも得られない。

 どれだけ強大な魔物や敵を目の前にしても驚きも恐怖も感じない。

 恐ろしい罠がある迷宮に入ろうが全ても無視して進む事になろう。

 綺麗な景色を見ればすぐに消すことが出来る脆い風景に見える事だろう。


 私の夢だった冒険が酷くつまらないものになった。

 このままでは世界に飽きて昔の引きこもり生活に戻るだけ。


 それは生きるのすらつまらない事だ。


 つまるところペド・フィーリアには最強なぞ似合わない。


 他人任せに好き勝手して生きるのが私には合ってる。

 大勢と一緒に過ごすのが良いと言っていた。そうだろう、我が妹よ。


 だけど今日一日だけはあの娘の為に最強な存在として暴れてやるとしよう。

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