幼女の武器作成
「不味い。期待通りで嬉しいわ」
「不味い飯で喜ぶ奴は譲ちゃんが初めてだぜ」
「とりあえず切ればいいという生野菜、塩を入れればスープになるんじゃないかと勘違いしている汁物、一日放置されてるんじゃないかと言う固めのパン、そしてくっさい水。これでワンランク上とは良く言ったものね」
「いや、いつもはスープなんか無いから確かにワンランク上だぞ」
「不味いと言いつつ完食とは良い心がけだぜ」
「俺の口には合わない。森に生えてる草が欲しい」
「おめーも苦労してんだな…」
不味いことは不味いが食えない事も無いので全部頂いた。
ユキ達も不味そうながらも完食。マオは顔色一つ変えずに普通に食べてた。貫禄が違う
「しっかし大量殺人しときながら無罪とは運が良いな」
「日頃の行いの良さが出たわね」
「いいなぁ……俺も祭りの日までには出所したいわ」
「俺も俺も」
「しょーもない犯罪ばっかだし温情で出してくれるかもね」
げふぅ……流石に水は飲まなかったので紅茶で優雅な食後を満喫する。場所は牢内だけど。
「姉さんって……ガラ悪そうなのと仲良し」
「まぁお堅い連中よりは話しやすいわ」
「わたしには出来ない事を簡単にやってのけるのは尊敬しますっ」
「マオさんは怯えて逃げますからね」
「怒ると大丈夫。怒らせればいい」
「でもマオって中々怒らないじゃない。お尻触っても怒らないし」
「うひっ!?だ、だからって触らないでくださいっ!」
「羨ましいなオイっ!!」
「触っていいのは私達だけよ」
ほーれほれ、羨ましかろう?んん?
悔しがるかと思ったら興奮してるみたいだから止めた。
つまらんかったけどガッカリした顔は良かった。
「お、こんな時間にまた新入りが来たぜ」
「牢屋足りねぇんじゃね?」
「いや譲ちゃん達が出て行けばいいだろ。無罪なのに居るほうがおかしい」
こんな夜に……というか夜だからこそ犯罪が発生するのか。
やってきたのはチンピラ二人組、どっかで見た顔だな……
「思い出した。あいつらゲスの仲間の門番じゃない」
「ああ?……おお、確かにあのいけ好かない門番達だな」
「何やったんだ騎士さんよー」
「喧しいわっ!こいつらは例の冒険者共の共犯の容疑で捕まえた。尤も、とある容疑がお前達にある、取調べするから着いて来いと言っただけなのに自分達から他国の冒険者は襲ってないと自白してくれたから容疑ではないがな」
「見ても居ない現場を詳しく言うとか馬鹿だな」
馬鹿に馬鹿とか言われとる。ざまぁ
捕まるきっかけとなった私達を目ざとく見つけると忌々しそうな目で見てくる。
「くそ……お前らのランクの低さに騙された」
「私としてはランクを上げたがる奴等のが不思議でならないわ」
「ランクだけで判断するお前達が悪い。こんな格好の冒険者の時点でまず疑うわアホ」
確かに。全員私服の冒険者とか実力に自信がある奴等にしか無理だ。やろうと思えば誰でもやれるけど実力無いなら魔物にやられて死ぬ。
そのアホ共は他の囚人と相部屋になり派手な歓迎を受けているが騎士達は知らぬフリである。
「ふぅ、どこかの誰かさん達がさっさと帰ってくれたらこの牢に入れてアホ達が暴行により牢内で死なずに済むんだがなぁ」
「こんな夜に出てけっての?か弱い女性達に対して酷い対応ですこと」
「帰ってください」
「接客がなってないわね。まぁ目的のご飯は食べたからいいか」
私達が帰ることにホッとした隊長さんとガッカリしたその他。
帰って工作の続きでもするとしようか。とは言っても水竜を狩ってきて貰わないと進まないけど
「世話になったわ。罪も無いのに捕まった屈辱は王様に直接苦情の手紙を出す事で許してあげる」
「やめて!?」
「冗談よ。クソ不味い飯でチャラにしてあげるわよ」
あれは不味かった……いつも食べてるご飯が美味すぎるせいで余計不味かった。
牢屋にいる意気投合した囚人達に別れを告げてからさっさと転移で帰る事にする。
わざわざ夜の街を歩いて絡まれる必要は無い。
「ぅ……ぇぐ……」
馬車に戻ったら大精霊が泣いていた。
サヨはまだ帰っていないらしい。つまりこの泣き虫精霊は一人が寂しくて泣いていたという事か。
「遅いのじゃっ!」
「そんなに一人が寂しかったの?」
「泉では一人の時間も多かったでしょうに」
「あそこと一緒にするでないわっ!こ、こんな広い部屋に一人とか寂しいじゃろっ!ばかっ!おたこんなすっ!!」
「おたこんなす。言い間違えなのにこっちのが良い響き」
「ぬ?お、おたこん、なす?」
「いやいやルリさん、それを言うならおたこんなすですっ」
「そうそうおたこんなすだよ」
「言えてませんよマオさんにアリスさん」
もうおたこんなすしか言えない。サヨを除く皆が帰ってきた事とおたこんなすの謎の効果によりルリの機嫌は直ったようだ。
「そういえばルリさんは夕飯は食べたのですか?」
「いや?ワシは別に食事は要らぬのだから食べてないのじゃ」
「素直に一人で食べるのが寂しいから待ってたって言いなさい」
「……ふんっ!」
「では何か作って参りますね」
「あ、私たちの分も何か軽い物をお願い。牢屋の不味い飯じゃ足らないから」
どこぞに戦いに行ったサヨは何時帰ってくるつもりなんだろう?
というか何処に行ったのやら……
「良かったねルリちゃんっ!ちい姉が一緒にご飯食べてくれるってっ!」
「う、うむ!」
「一日4食……贅沢ですっ」
「マオの栄養は尻にいくから注意」
賑やかよのぅ……
家族団欒の様子を横目にボウガン改めニワトリ爆散一号の作成を続けていると、リビングのド真ん中に一人の少女が倒れたまま現れた。
どう見てもサヨなのだが、そのボロボロの姿に思わずカッとなる!!――
「床が汚れるっ!捨ててきなさい!」
「酷いですお姉様……」
「ど、どうしたんですかサヨさん!?」
「くっ……私とした事が不覚でした……まさかコリャマイッタワーがあそこまで手強い塔だとは!」
「行ったのかよ」
「はい。しかしこうして生還しましたので死亡率を下げてやりました」
「一人だけ生還した所で大して変わんないわよ」
依頼を受けると言いながらコリャマイッタワーの事を思い出したのでそっちに行った模様。
しかし流石脅威の死亡率を誇る塔だ。あのサヨがここまで手酷くやられるとは……一体どんな魔物がいるのか。
「魔物ですか?良く分かりませんが影としか言い様がないです。ただ、影の分際でやたら強かったですね。罠もえげつないですし……しかも一度入ったら出られないオマケ付きでした」
「転移なら帰ってこれるのね」
「残念ながら空間魔法だけ使用不可にするいやらしい仕様でした。どうやって帰ってきたかは行った時にお教えしますよ」
「えげつない罠とやらは見てみたいけど、どうしようかなぁ」
「行きましょう!一人ではキツイですが皆さんとなら制覇出来ますっ!」
「何階まで行ったんですか?」
「……22階です」
凄いのか凄くないのか分からない中途半端な数字だ。一人で半分近く登ったのなら凄い方なのかもしれない。奇跡人すらこの有様なら普通の冒険者じゃまず制覇は無理だわ。
「塔はともかく肝心の気の習得はどうなったのよ」
「それどころでは無かったので全く」
「ふーん。なら現状維持でも問題無いからあの剣は飾るだけにしときましょう」
「分かりました。力が漏れないガラスでも作成して入れておきます」
話は終わりとサヨに向けてリンを投げると肩まで上りポンポンと労う様に肩を叩いている。それを苦笑しながらサヨは見ていた。
祭りまではまだ有るし、明日は転移でワンス王国の王都まで行ってマオの武器を調達しようかな……
ユキが料理を運んできたのでとりあえず食べる事に集中しようと思う。
☆☆☆☆☆☆
翌日早速ワンス王国までやってきた。
相変わらず美人の多いこと……男は無視だ。
早速一件目の武器屋に着いたが、ワイヤーが無いとの事でハズレ
歩いてすぐに二件目があったがここもハズレ
「ボロっちい武器屋が穴場なのがお約束じゃない?」
「残念ながらボロい武器屋は儲かってないのでロクな品揃えじゃないのが現実です」
「なら一番大きな店に行きましょうか」
「となるとかなり遠いですね。転移で行きましょう」
歩けば一日以上かかるので勿論転移だ。
騎士団ご用達の武器屋が一番の品揃えらしいので当然城の近くにある。この辺は騎士と冒険者の扱いの差が出ていると思う。
いきなり転移で現れて騎士共に目をつけられても嫌なので路地裏に転移する。
目撃者がいたら殺すつもりだったけど幸い居なかった。
この辺は地理に詳しく無いのでぶらぶらしながら探していると、ボロい武器屋と違って大きく立派な武器屋が見えた。これがご用達の武器屋とやらだろう
「いらっしゃ……なんでぇ女子供で、冷やかしなら帰ってくれ」
「頑固親父の店よ。ここは当たりね」
店に入ると同時にこの言葉、絵に書いた様な頑固親父だ。きっと私達の実力を見せれば奥から非売品の業物を持ってくるに違いない。しないけど。
店内を見ると高そうな剣は一本ずつ綺麗に飾られているが、安物と思われる剣は樽みたいな入れ物に適当に突っ込まれている。
槍など他の武器も同様だ。弓だけは樽ではなく大きめの机に置かれている。
「ユキ、樽の中にしれっとお宝級の剣が隠されているかもしれないわ」
「剣を買いに来た訳ではないのですが」
「そうだった、親父さん、ワイヤー頂戴」
「ワイヤーだぁ?珍しいもん欲しがるな……一応あるが、まあ持ってくるから待ってろ」
ちょっと待ってろと奥に入っていく店員その一、奥にあるって事は隠された商品という事でいいのだろうか?単にそうそう売れる物じゃないから店に出してないだけかもしれない。
「いえ、そもそもワイヤーは武器ではないので店に並べていないだけかと」
「武器じゃないのか」
「使う者によっては立派で恐ろしい武器になりますよ」
店内はそれなりに客が居るようで騎士風の者や貴族風の者など様々だ。
もちろん見栄だろうが飾ってある高い方から選んでいる。
これは良い剣だっ!と興奮している貴族が持っている剣を見るとあんまり大した事ない剣に見えるが、武器の事は良く分からん。
「せっかくなのでお姉さまの目利きが武器にも通用するか見てみたいです。あの樽の中に良さそうなのが無いか調べてましょう、買う買わないはともかく」
「無理でしょ」
無理と言ってるのに樽に近付き剣を一本一本見せてくるボケの人。
どれもこれもピンと来ない剣ばかりなので樽の中のは本当に安い剣ばかりなのだろう。もしくは私に武器の目利きの才が無かったかだ。
「私の琴線に触れる剣は無いわね」
「ふむふむ、ではこの飾ってある高い剣はどうですか?」
飾ってある剣とやらは価格が高めなせいか盗難防止の為にケースに入っている。値段は高いがこれもあんまりピンと来ない。装飾と素材は安物より良さげだが
「これもイマイチみたいですね」
「私達は剣を使わないのですから違うのを見ては?杖とか槍とか」
「槍を使う者も居ませんよ。まさか私の薙刀を槍と同類に考えてるんじゃないでしょうね?」
「似たようなモノでしょう」
剣以外と言われても……店内をザッと見回しても特に使えそうな武器は無い。
これは店の奥に隠してある武器がお宝なパターンかこの武器屋にはこれ以上の武器が無いかのどちらかだ。
「ま、別に装備とか要らないし良いじゃない」
「やはりそうそうお宝は見つかりませんか」
お宝に値する装備が普通の武器屋にある方がおかしい気もするが……そういうのはお偉いさんの所に渡ってしまうと思う。
目利きも終わり、気に入った武器を購入していく冒険者や騎士を眺めていると、奥に探しに行ってた店員が戻ってきた。
「待たせたな、ワイヤーだがこれぐらいしか残ってなかった」
「なにこれ?」
「いやワイヤーだろ」
店員が持ってきたのは金属で出来た糸をグルグルに巻いただけの物だった。
私の考えてたワイヤーと違う。いやワイヤーではあるのだが、何と言うか……てっきりグローブを着けてその指先からワイヤーが出てくるものとばかり思ってた。
太さが違う数種類のワイヤーが有り、一番細いのが切れ味が良さげだが脆そうでも有る。
私の基準は光に当たってキラキラするかなので一番細いのがいいな
「ユキ、これでいいの?」
「はい?これがワイヤーですけど?」
「……左様か」
「指に巻きつけて使う、のでは無いのですか?」
「嬢ちゃんは何か勘違いしてた風だが、買うか?」
「まあ……折角だから一番細い奴を買いましょう。あと手袋ある?」
「あるぜ。あっちのカウンターに置いてあるカゴに入ってるから適当に見つけてくれ。ついでにこのワイヤーと一緒に支払いしてくれればいいさ」
持ち逃げするなよと声を掛けられたあとワイヤーを受け取り手袋を選びに行く。
考えてたワイヤーと違うなら作ればいいのだ。
手袋をはめるのはマオなので自分の気に入った物を選ばせる。
「手袋というか、グローブですね」
「何かゴツいのばっかね。この指先が剥き出しになるのとか何の意味があるのやら」
「どれもこれもマオさんには似合わない様な……」
「そうねぇ……」
着物にグローブは合わんな。想像しただけで分かる、せめて白色か肌色にしないと……
「むぅ……気に入らない」
「まぁ何に使うのか分かりませんがマオさんのならマオさんが選べばいいと思います」
「のじゃ」
「あ、じゃあ普通の服屋さんにある手袋でいいです」
なるほど、こんなゴツい手袋から選ぶ必要は確かに無い。
武器屋ではワイヤーだけを購入して近くにある一般人向けの服屋に向かった。
奇抜な格好をしてる王都なので手袋も妙なデザインの物が多々あったが、普通の物で素材が絹と少々贅沢な値段の白い手袋を購入した。
マオは自分のお金で払うといったが必要経費なので貯蓄から出した。
絹だけあって貴婦人が使う様な薄めの手袋だが、これならまあ着物と一緒でも目立ちまい。
本日はそのまま帰ってお休みにする。まだ昼間なので依頼受けたきゃ依頼を受けてもいいが、今日は皆馬車の中で好きに過ごす事にした様だ。
私は購入した。ワイヤーと手袋をマオから借りて改造にかかる。
指に巻きつけて戦うとユキは言っていたが、実際やると巻いてたワイヤーを巻くのも伸ばすのも面倒でたまらん。ワイヤーの準備をするだけでかなり時間を消費するとか動きが早い敵には使えなさすぎる。根元を手袋に固定して最初から巻きつけとくしかないな
購入したワイヤーは20メートルはあるのだが、大体どれくらいの長さが使いやすいのだろうか……その辺はマオに聞いてから切断した方が良いが、慣れた頃にもっと長めでも大丈夫とか言われても困る。
私としては両手でワイヤーを操り敵を舞いながら切り裂くマオが見たいので手袋の両方に取り付けたい。そして片手にワイヤー一本ではなく三本は使わせたいなぁ
となると指一本につきワイヤーの長さは3メートルちょっと……更に戦闘準備がすぐに出来る仕様となると……
…………
……めんどくせっ
「私とマオ好みの武器になれ、奇跡ぱわー!」
困った時の奇跡ぱわー様。ヨーコ達の時は出番無かったし良いよね?
「至高の武器が完成したわ」
「お昼寝されてた様ですが、いつの間に完成を……」
「ふっ……さぁ受け取りなさいマオ、これが貴女の武器よ」
「さっき買った手袋にしか見えないです」
「甘いわ、それは私が三分考えて2秒で作成した最高の一品よ」
「早っ」
マオは疑わしい目で見ながらも手袋をはめて感触を確かめている。
「特に変わった所は無いような?」
「ええ、見た目も手袋ではめた感じも手袋だもの」
「ただの手袋じゃないですか」
「ふ……手袋からワイヤーを伸ばすイメージをしてみなさい」
むむむ、と言われた通り手袋を凝視しながら唸ると、手の甲からワイヤーがスススっと伸びてきた。
何故手の甲から伸びるイメージをした。指でいいだろうに
「わわっ!?毛が伸びてきました」
「毛じゃなくてワイヤーよ。極限まで細くしてキラキラと光に反射する仕様っ!とりあえず手の甲じゃなくて指の……どの辺がいいか、爪から伸びる様にイメージしてみなさい」
「は、はい」
手の甲から生えてたワイヤーはスルスルと戻っていき、今度は爪先の方からちゃんとワイヤーが出てきた。そのまま出し続ける様にと言うとずっとワイヤーが出てきている。
うむ、考えてた通り伸ばそうと思えばいくらでも伸びる様になっているな。どうなってるかは奇跡ぱわーを使った本人にも分からん。
次に出しっぱなしだったワイヤーを戻させ三本の指から一メートルほど伸ばさせる、それも成功すると今度は両手で試させたがあっさり成功した。そりゃ奇跡ぱわー製だからこのぐらい余裕である。
「これは、奇跡ぱわーで作られた武器ですか?」
「その通りっ!手袋からならどの場所からでも何本でもワイヤーを伸ばす事が出来る。更にユキの鞭と同様に強度も硬度も変える事が可能っ!……ちょっと片方貸して」
「ど、どうぞ」
右手の手袋を借りて手を……あれでいいや。
おやつであろう林檎に向かって貫けと命令しながらワイヤーが一直線に飛ぶイメージをする。
するとイメージ通りに真っ直ぐ指先からワイヤーが放たれ林檎を貫通した。
皆が驚愕したのを見てから満足する様に頷く。
「これは……また凄いですね。魔法よりも発動が早いです。ワイヤーなので傷は小さいですが」
「馬鹿ね。刺した後にこう、切り裂けば良いのよ」
手を横にズラすと林檎もスパっと切れる。どこぞの名刀並みに切れ味はある筈だ。林檎程度じゃ手ごたえを感じない。
「うわぁ……ちい姉ってばまた卑怯な武器を作ったね……」
「まぁ性能はともかく、これはマオが舞いながら戦う為の武器だからその辺は忘れないように。ちなみに味方にワイヤーが当たってもダメージ無しよ。でも肌は大丈夫だけど服は切れるから」
「ほほぅ……つまりマオさんの器量次第で戦場で味方に素っ裸にされる恐れもあると。慣れてない内は近くに居ない方が良いですね」
「こ、こんな恐ろしい武器を……ありがとうございます?」
「む、私は自分の武器を持ってるとはいえ羨ましいですね」
「そうじゃ!ワシも武器とか欲しいのじゃ」
「私の杖も強化希望する」
「嫌」
武器が必要ない奴等の為に気絶してまで武器を作る気は無い。
さて、折角ワイヤーの武器を作ったのだから今後は着物姿で戦わせるのも良し、しかし袖が長いので万が一ワイヤーでスパっとやると泣きそうなので戦闘用に別に用意した方がいい。
「戦闘用に着物を作る事は出来る?」
「まぁ何とか……生地さえあれば」
「ならお願いね」
「ちい姉マオちゃん贔屓じゃない?」
「一番弱いから必要なのよ」
「うぐっ」
武器は出来たので明日は練習がてら魔物討伐にでも行くかな……
こんな使える武器なのに誰もやらないのは準備するのに時間かかるし離れないと味方が怪我するからだと聞いた。
私が作った武器はその辺気にする必要ないが、怪我はしなくとも服は破れるのでやはいマオには上手く扱える様に練習は必須だ。
そうだなぁ……サヨが攻略出来なかったコリャマイッタワーは魔物が強いらしいし、二日ぐらいかけて練習するのもいいかも。それとも水竜とやらを狩るのにするか……まぁ明日の事は明日決めよう




