幼女、牢屋を満喫する
「ようよう別嬪さんたち、俺の牢がオススメだぜ」
「アイツは助平だからやめとけ」
「おいおい騎士さんよ、エロい尋問するなら是非ともご一緒させてくれよ」
「黙っとれ馬鹿共」
街の中央付近にあった収容所に連行されてきたが、多聞に漏れず牢屋は地下にあった。
私達は女性だからか、相部屋にはならず誰も入っていない牢に入れられるみたいだ。
「別に君達の身の安全の為に別けている訳ではない。一緒にしたら不埒な囚人を殺しかねないからだ」
「はいはい」
「少しは反省しろっ。入れ、大人しくしていろよ」
牢に入ったらすぐさまガチャリと鉄格子の鍵を閉められてしまったが、別に逃げ出そうとは思ってない。
牢の中は他と違って椅子くらいはあるが、ベッドはない。何か布が敷いてあるのでそこで寝ろという事だろう。
トイレらしき物はあるが牢内に置いてあるだけで丸見えだ。
地下なので当然窓は無い。こんな所じゃ空気の入れ替えも出来ないじゃないかと思えば通路の高い天井の方が開いていてそこから空気が流れてくるらしい。
「おうあんたら、犯罪者には見えないが何やったんだよ」
「殺人の容疑よ。困ったもんね」
「はっ、そりゃ災難だったな」
「まぁ殺したけど」
「そりゃ立派な犯罪だわ」
牢に収容されているのは極悪人ばかりだと思ったが、案外普通の奴等が多い。
今話しかけてきているのは何処にでも居そうな普通のオッサンだ。
「そっちこそ犯罪者には見えないけど」
「お、聞いてくれよ……この街で滅多に入手出来ない、何だっけか?名前は忘れたが貴重な卵が入荷したって言うから店に行って有り金全て使う覚悟で食ってみたのよ」
「ほほぅ、貴重な卵」
「そしたらよ、貴重なくせに不味いのなんの……こんなのに大金出せるかっ!って金払わずに帰ったら捕まった」
「ただの食い逃げじゃない」
不味いというか、調理方法が悪かったんじゃなかろうか。貴重らしいが名前が分からないのでは入手しようがないが、卵らしいので街で聞き込みすればすぐ分かりそうだ。
他の囚人達にも収容された経緯を聞いたが、どいつもこいつもしょうもない理由で牢に入れられている。
一番ひどいのは道行く女性に酔った勢いでカンチョーしたら捕まったという奴だが、セクハラだから仕方ない。
「お姉ちゃん、随分牢屋に馴染んでますね」
「性に合ってるのね」
「ダメじゃないですかっ!?」
「マオ、ここは発想を変えるのよ。昔あなたが住んでた家と比べなさい。ボロ屋と違って頑丈な部屋だし、寝る場所だって藁じゃなくて布よ?オマケに決まった時間にご飯だって出てくるわ」
「なるほど、犯罪者も悪くないですねー」
「悪いですよ」
しかし馴染んでるのは私達より他の囚人の方だ。もはや住み慣れた家の如く寛いでいる。
牢の主を名乗り長年収容されていると自負するアホもいる始末だ。罪状は道に落ちてる石を蹴飛ばしたら貴族が乗ってた馬車に当たったからだと。運が無かったな
すでに牢屋にも慣れたもんで寛いでいると突然私達の居る牢屋に何者かがいきなり現れた。
まぁどう見ても転移だし、使える者を考えると誰なのかすぐに分かる。
「おやお姉様、随分と陰気臭い場所におられる様で」
「行水だっけ?終わったの?」
「良く考えたらあんなので気が使える様になる訳がないと気付いたので中止です。次なる手として戦いの場でなら何か習得出来そう、という事でついでに魔物討伐の依頼でも受けようと思い許可を頂きに参りました」
「それは実に安易な考えよ。依頼は許可するけど」
「ありがとうございます」
許可を出すとあっさり帰って行った。
私達がなぜ牢に居るのかは気にならないのか……それとも簡単に脱獄出来るし大丈夫だろうと判断されたのか、たぶん後者だ。
「おい譲ちゃんっ!今のなんだっ!?急に少女が出てきたが」
「あの娘幽霊だから急に現れるのよ」
「何だ幽霊か……」
「幽霊なら仕方ない」
なるほど馬鹿だ。何が仕方ないのか不明だが囚人達は納得してしまった。
「ご飯って何時くらいに出てくるの?」
「飯か?そうだな……あと3時間くらいじゃないか?」
「何か期待してそうだけどよ、牢屋の飯だぜ?大したもんじゃねぇよ」
「ところで尿意とかあったら言ってくれ、静かに耳をすませるからよ」
「トイレは帰ってからするわ」
うーん……3時間もあるのか。椅子に座ってる待つだけじゃキツイな、寝っ転がっていいなら余裕で1年は過ごせるが、残念ながら薄い布の上では無理。
椅子に座っていると言っても正確にはいつもの様にマオの太腿の上に座っている状態だ。勢いをつけてマオの胸に後頭部をぶつけるとマイちゃんがグェ、という悲鳴をあげた。忘れてたわ。
「痛いですよ」
「マイちゃんは貴女より痛いのよ、我慢しなさい」
「そう言えばマイさんがいるともたれ掛かる事も出来ないのでは?」
「部屋の中じゃマイちゃんは頭に乗ってないからね。うん、たまにはマオの頭にでも乗ったら?」
マイちゃんの羽根を掴んで上半身を背伸びしながらマオ頭に置く。後は自力で良いポジションを決めてくれるだろう。
「似合ってる」
「着物でしたら更に似合ってたかもしれませんね」
「そ、そうですか?」
「タノシンデンナー」
私からは見えないけど、案外好評らしい。見た感じ大きいリボンに見えるし、髪飾りとしてはマイちゃんは中々優秀な様だ。
これで私も安心して後頭部をポフポフ出来る。
「暇ねー……後頭部をポフポフしながらリンをプニプニする以外やる事が無いわ」
「リンの服の下が気になる」
「流石メルフィ、裸族は目の付け所が違うわ」
「リンさんは食事は必要無いみたいなので排泄器官は無いと思いますが」
安上がりな護衛だこと。かと言って魔力が必要という訳でもなく正しく対価が何も要らない護衛なのがリンだ。量産したい。
暇を持て余していると地下牢に入る為の扉が開き、足音が複数聞こえてきた。時間的に飯ではないだろうが
騎士数名と私達の様に枷をはめられて連行されてきたフード付きローブの人物を見る限り新しい囚人かな。
その人物は私達の牢の向かいに収容された。
「何だ、今日は大漁だな。新入りさんよ、お前さん何やったんだ?」
「俺はスパイだ」
「マジかよカッケー!てか捕まるなんてドジな間者だなぁ……こんな小国で何を調べんだよ」
「名前がスパイだ」
「紛らわしいなっ」
スパイという名の男は私達が殺した冒険者達の遺品を漁っていたところ捕まったらしい。名前や雰囲気と違いえらく小物臭い奴だ。
「俺は落ちてた物を拾っていただけに過ぎん。よって悪くない」
「落ちてたならなぁ……死体漁ってりゃそりゃ捕まるわ。そいつら殺した奴等の仲間と思われたんじゃねぇの?」
あの冒険者達の装備拾ったところで大したもんは無かった気もするけど……小銭くらいは持ってたかもしれないが、あの性格の奴等だしホントに小銭しか無かったと思うわ
「そういえば先程姉さんにお伝えするのを忘れてました。今日の夕飯は自分達で用意する様に言ってきますね」
「そうね、存分にメロンを食えばいいと言って来て」
「かしこまりました」
牢屋だってのに魔法が使えるとか大丈夫なのだろうか。転移で脱獄するのはともかく、攻撃魔法で破壊されるって事もあるし。
まだ建国して7年目って事だし予算が無いのかもな。結界だって無いし。
眠たくなってきたのでそろそろ昼寝でもしようかと思っていたら、再び扉が開いて誰かが入ってきた。ガシャガシャ煩い足音なので騎士だろう。
見回りなんだろうか、牢内にいる囚人を確認しながら見回っている。
「ん?……あれ?一人減ってない?」
「家に戻って今日は夕飯要らないって伝えに行ってる」
「なにあっさり脱獄してんのっ!?」
「ショボイ牢屋なのが悪い」
「そりゃそうだわ」
予算がなぁ……とかぼやいてる間に伝言を終えたであろうユキが普通に転移で戻ってきた。
まさか転移で戻ってくると思わなかった騎士がかなり唖然としている。
「今の魔法?そんな凄い娘どこの国行っても引く手数多だね」
「簡単に脱走される事に危機感持ったほうがいいわよ」
「んな事言われてもなー、魔法使える犯罪者とかそうは居ないから魔法使い用の牢とか作っても無駄っぽいし」
「魔法使いという肩書きだけで仕事なら腐るほど有りますからね。まぁ冒険者に決闘を挑まれて不運にも殺してしまう事はありますが」
「30人皆殺しは最初から殺す気だったとしか思えない。しかし律儀に戻って来てくれたし、大人しく牢に入っててくれて助かるけど、あんまり簡単に脱走しないでほしい」
「私達が大人しくしてるかはご飯次第よ」
今日の夕飯をワンランク上げなきゃとブツブツ言いながら見回りに戻っていった。
勝手に脱獄とか顔を真っ赤にして怒鳴ってくる場面だと思うが、あっさり見逃すとかこの国の騎士は大丈夫なんだろうか?
「不用意な事を言って私達を敵にしたくないだけです。転移を使える魔法使いを敵に回すなど小国にとっては亡国の危機になりかねませんから」
「ご機嫌取りしてるって事ね」
「なら茶くらい欲しい」
「わたしは別に不満無いです」
「ねぇ、この国は客に茶菓子も出さないっての?」
「君達囚人だからねっ!?」
流石にここまでの我侭はダメらしい。当たり前だけど。茶菓子が出てきたら次はふかふかのベッドを要求するところだった。
見回りが終わって騎士が出て行ったところで囚人達はどうやって暇を潰しているかと聞いてみたら大体今みたいに駄弁っているだけだとか
「暇ねー……昔作った工作でも改造しましょうか。あの私でも射る事が出来る弓ってある?」
「ああ、学生時代に作られたあのどう見てもボウガンの」
「そんな武器じゃないわ。引き金引いたら矢が飛ぶ弓ってだけよ」
「それをボウガンというのです」
「なんて物作ってるんですか!?」
「威力は無いわよ。飛ばすのも丸い矢の先に粘土くっつけた物だし」
用途はもちろん遠距離からの射撃。粘土に洗っても落ちづらい液体を付け、身なりの良い者だけを狙い撃つ嫌がらせ兵器の一つだ。
私の近くで明日おめかししてくると言ったが最後、その服は汚れ物と化す。ムカつく奴には破れやすい袋か腸を調達して当たると破裂する液体袋をセットしてから撃つ。
改造すると言っても材料が……あったわ、ユキが普通に木材を出してきた。私は素人なので適当に木で作ったが、実際の材料って何だろうか?まぁいいか、とりあえず矢が飛べばいいし。
とりあえず死なない用に威力低めに作ってるから作り直しだな。射程も短いし……まずは弦から考えようか。
「威力が上がる弦ってどんなの?」
「ドラゴンの髭でいいんじゃないですか?強く引っ張っても千切れにくいですし、ドラゴンによりますが水竜なら伸縮性も良いみたいですよ」
「なるほど。じゃあ弦はそれを採用しましょう。今のところは本体だけでいいか」
「素材はその神木でいいですね。というか木材ではこれ以上の素材は無いかと」
「何故持ってた」
「こんなこともあろうかと」
「贅沢な武器」
「大きさは今のままでも強化魔法をかければ威力は期待出来るかもしれません」
「魔道具ならぬ魔弓か。矢は火薬を仕込んで当たると爆発する用にするか」
「難しいですね、先端をいじって金属同士が当たると火花で引火して爆発を誘導する……とかですか?」
「爆発すれば何でもいいわ。サヨに頼んで符を貼り付けるのもいいし」
しばし皆で上を見ながら考えると、同じ結論に達したのか危険という判断が下された。
「魔法を使えない者が弓で強力な魔法を放つなど戦争の道具でしかないですね。まぁ姉さんみたいに強力な魔法が使えて符術も使える、という者は少ないでしょうが。というか居ないでしょうね……私ですら未だに上手く出来ませんので符術を使うには長寿な種族が長年修行しないと無理かと」
「これが完成したら強めの魔法を込めた符を作ってもらって試せばいいわ。火薬と違って紙を貼るだけでいいって所が魅力ね」
「何に使うんですか?」
「んー。馬車の窓に引っ掛ける作りにして砲台の代わりにする」
「もはや国宝級の馬車」
確かに。とても始めは田舎の領主の馬車とは思えない出来になっただろう。
さらに迎撃用に各窓に符術兵器を完備すれば……
「私とアリス以外魔法使えるんだから要らんじゃないか」
「いえ、今後魔法を使えない者が仲間に増えた場合は有用な武器です」
「わたしは魔法はあんまりですし、いいかな……って」
「室内から撃ちまくる。ストレス発散」
「それは良いわね。元々お遊びの武器だし、楽しく外の敵を屠るのもいいわ」
「もはや玩具ではありませんが」
大きさもこのままで良いなら簡単だ。神木で同じように作れば良い。後は窓に取り付ける為に細工をすれば良し、水竜とやらが何処にいるか知らないけど奇跡人達に任せれば良いだろう。
私が一から作るとなると時間がかかるのでユキに魔法である程度の形まで切ってもらった。後は私が鑢でガリガリ削っていく。最初は荒く削るが、細かい調整の時は指先が金属製で出来ておりザラザラして鑢の様になっている特注の手袋をはめて削る。
店には無いのでユキに作ってもらった一品だ。普通なら結構力がいるが、これも魔道具と化しているので幼女でも楽に使えるのだ。
作業中は余計な事を考えながらでも集中出来るのでふとある事を思い出した。
「そういえばユキの誕生日も近いわね」
「そうですね」
「わ、おめでとうございます」
「まだ早いわよ。しかし……ユキも3歳か」
「改めて聞くと変」
「そういえばユキ以外の誕生日って知らないわ」
サヨはきっと覚えていない。マオも知らない。ルリももちろん知らない。
メルフィはすでに過ぎたから良いらしい。来年の事を考えて教えろと言ったらどうせ忘れるから一月前になったら教えるだと。良く分かってるな
「アリスは何時?」
「秘密」
「言えよ」
「死んだ人間に誕生日なんて要らないよ」
つまり言いたくないと……何か怪しいが、本人が言いたくないならいいか。
アリスの事は一先ず置いておいて……残りの3人だな。
「めんどくさいからユキと同じ日が誕生日って事にしましょう」
「生を受けためでたい日がこの扱い」
「わたしは別にいいですよ?」
「マオさんは舞王さんに聞いたら分かると思いますけど……」
一度で済むんだからいいじゃないか。本当の誕生日はおめでとうの一言だけ送ればいいわ。
しかし神木は不思議な木だ。どっちかと言えば柔らかい木で水分を妙に含んでいる感じだが硬い木の様に削りにくい。丈夫なんだから当然だが。
これなら普通の弓でも良くしなるいい武器が出来そうだ。ただしベッドの値段から考えるに高い。
暇そうなマオが部品を手に持ってしげしげと見ているが、きっと分かってない。
「この穴は何ですか?」
「そこから弦を引っ掛ける部品を取り付ける。弦と矢をセットして引き金を引いたら部品が引っ込んで矢が放たれるの」
「ほへー、胴長ですねー」
「今回のはもっと弦を引いて威力を上げるからね」
「何故削る?」
「ギリギリ折れないくらいまで細くしてしならせる職人のこだわり」
問題は幼女が弦を発射装置まで引っ張れるのかって話だが、その辺は後で考えよう。別に私じゃなくてユキ達がセットしたのを私が打てばいいんだけど。
工作に夢中になっているとガシャンガシャンと足音がすぐ近くに聞こえた。気付かない内にまた騎士が見回りにきてたようだ。
「んんっ、あー……何をしとるのだ?」
「ちょっと武器を作ってる」
「牢屋で犯罪者が武器を作るなっ!……と、言いたい所だが君達は釈放だ。良かったな。続きは外でやってくれ」
意外な言葉に顔を上げて騎士の顔を見ると、どうやら私達を拘束した隊長と呼ばれていた男みたいだ。
「君達が皆殺しにしてしまった冒険者だが……どうやら犯罪の常習犯だった様だ。因縁をつけては複数で囲み脅す。罪状は脅迫、強盗、強姦、殺人と救いようが無い奴等だ」
「へー」
「住民からの情報で奴等の仲間を捕まえて尋問した事で発覚した。奴等は他国の冒険者を狙い先程の手口で金品を奪っては殺し、国外に捨てる」
「魔物に殺されたって事にしてたのね。でも何で今頃分かったのよ」
「……今まで住民から何の情報も与えられなかった。だから気付くのが遅れた、というのは言い訳だ。今まで全く気付かなかった私達の責任だ」
「ふん、あんだけ派手にやってて分からない訳ないでしょうに」
広場で堂々と決闘する馬鹿者達が長い間騎士にバレずに犯行を行えるとは思えない。きっと住民は奴等の悪行を知ってた。でも言えなかったし言わなかった。被害に合うのは他国の冒険者だから
「その情報をくれた住民は何故今更になって出てきたのです?」
「彼は3年ほど前にこの国の住民になった者だが……数ヶ月前の事だ。彼の妹が冒険者になって兄を訪ねてこの国に来たとき奴等の被害にあったようだ」
同じ手口でやたれた妹とやらは住民に発見された時は重体ながらも何とか生きていたらしい。
そして兄が駆けつけ、一通り事情を聞き終えたあと妹は息を引き取ったと。
何故今まで言わずにいたかというと、妹に黙っていた方がいいと何度も念を押されたからだそうだ。
「黙っておらず、言ってくれれば被害者も軽減されていたと言うのに」
「騎士もグルなのに騎士団に言う馬鹿は居ないわよ」
「そうか…………え?」
「門番もグルじゃないの。バッチリ合図送ってたわよ。けど良い考えよね、あいつらはハッキリ言って雑魚だけど門番ならギルドカードでランクも確認出来る。おかげで弱い冒険者だけを狙えるってわけね」
「……それが本当なら身内に賊まがいの輩がいるという事か。まだ若い国とはいえ、嘆かわしい」
おうおう、精々尋問してくれたまえ。腐ってるのは上の方もだろうけどなっ
過去に一度くらいは問題になっていると思うが、お偉いさんが揉み消してるというのが私の勘だ。たかが門番程度の騎士だけで目撃者多数の犯罪を揉み消すのは無理がある。
「忙しくなるな……まぁそれはともかく君達は釈放なのだから出たまえ」
「やだ」
「は?」
「まだ肝心のご飯を食べてないもの。一泊していくわ。ああ、牢屋の鍵は開けといて、トイレに行くから」
「ここは宿屋じゃないわ!!」
怒られた。
だが犯罪者扱いしたんだからそれぐらい優遇しろと文句言ったら特別に許可するとのこと。
言ってみるもんだな




