Finaleを君に
この小説は死ネタです。
嫌だと思う方はお戻りください。
読んだ後の文句等は一切受け付けません。
感想・指摘は大歓迎です。
夢溢れる現実と夢溢れる幻想と
泡沫の挟間に生れし波紋
ひらひらと飛ぶ蝶は目的地に辿り着いたか
夢が現となり現は夢へと変化する
さぁ今日で物語はおしまい
深いふかい眠りにつこう
ここはどこ?
暗闇の中私は一人ぽつりと佇む。
どこを見渡しても周りは黒で染まっている。
だけど私の姿は見えて、私の存在を示す。
そんな時、微かに聞こえる鈴の音。
私は迷いなく音の方へ走り出す。
------------ハヤク
-----------ココ二キテ
徐々に聞こえてくる形なきモノの声。
不気味だ、そう思う反面安心する。
しばらく走ると一筋の光を見つけた。
それが私には希望の光に見えた。
だけど現実はそう甘くはない。
「なに・・・これ・・・っ」
光の先には荒れた大地が広がっていた。
とても人の住める所ではない。
現に人の気配はない。
では、さっきの声は何だったのか・・・。
すると再び聞こえてきた鈴の音。
バッと勢いよく振り返れば、白髪をした少年が立っていた。
「ここはどこ?どうして君はこんな所にいるの?」
少年はくすっと笑って。
「ここをなんと呼ぶかは貴女次第。僕はここの番人さ」
少年の言葉を私は理解出来なかった。
「わからない?ここは貴女の知る世界じゃないってこと」
「世界?どうして私はここにいるの?」
さっきまで友達と一緒に居たのに。
なぜいきなりこんな所にいるの?
「ここはね、通称別れの場と言われている場所」
「別れの場・・・」
少年はふいと視線を巡らせた。
「竜崎 雛菊。貴女は向こうの世界で死んだ」
頭の中を走間灯の如く駆け巡る記憶。
一緒に居た友達
食べていたアイス
道路に飛び出した小さい女の子
そして走ってくるトラック
私は咄嗟に道路に飛び出して女の子を突き飛ばした。
「・・・・あの女の子はどうなったの?」
「無事だよ。雛菊のおかげでね」
「君は、いいえ貴方は死神なの?」
思い出した事実は最悪なもので、だけどなんだかあっさりとそれを受け入れた。
死んでしまったのは仕方がない。
まだやりたいことはいっぱいあったけど、後悔はしていない。
あの女の子が無事ならそれでいい。
「死神?僕は番人だよ。この別れの場に来る人を誘導する」
「私はどっちにいくの?」
「どっち なんて答えはない」
「え?」
死んだなら行く道は、天国か地獄なんじゃないのか。
「死んだ というのは正確じゃないね。言い直そう。貴女はまだ死んでない」
少年、もとい番人は指をパチンと鳴らした。
「・・・私?」
「そう。貴女は今夢と現を彷徨っている。だからここにいるんだ」
足元に映る、傷だらけで沢山のチューブに繋がれた‘私’。
近くで両親や友達が泣いている。
さっきまで一緒に居たのに、遠く感じるこの距離間。
「私は戻れるの?」
「言っているでしょう?貴女次第だって」
楽しそうに番人は口端を上げる
「‘ここをなんと呼ぶかは貴女次第’」
それは番人が最初に言った言葉。
「これがどういう意味だか分かる?」
「・・・わからない」
「ここはね、現であり夢でもある泡沫の挟間。貴女がここを現実だと言えば現実になるし、逆にここを夢だと言えば夢の中の出来事になる」
頭の中が?で埋め尽くされる。
結局、何が言いたいのか。
「つまり、貴女が生きたいと思えばこれは夢の中の出来事として終わる。だけどその分対価がいるけどね」
生きているわけでもなく、死んでいるわけでもない曖昧な境目を彷徨っている雛菊。
「・・本当は死ぬはずだったの?」
「そうだね。死ぬ確率は98%くらいかな」
「だけど私は生きることが出きる」
「そう」
「・・・・・対価は、なに?」
冷たい風が頬を撫ぜる。
ここでは感覚があるのか そんなことを番人が口を開く、たった数秒の間に思った。
矛盾しすぎているこの世界。
だけどそんな世界に私は居て、こんな世界にいる番人を信じている。
「対価は、雛菊の一番大事な物」
「一番大事な物?」
一番大事な物 そんなもの決まってはいない。
まだ高校生という雛菊に一番大切な物を選べ、だなんて無理だ。
「一番大切なものなんて・・・」
「考えれば、出てこない。だけど心の中では決まっているんだ」
その時、暗闇の中で聞こえた鈴の音が聞こえた。
「あぁ時間が近い。雛菊の一番大切な物は、記憶だよ。今までの記憶」
「記憶・・・。それをすべて取るの?」
「そう。いわゆる記憶喪失」
記憶を失くして生きていくか、それとももう一生目を覚まさないか。二つに一つの選択。
「他に、何か他にないの!?」
生きたとしても、記憶が無ければ意味がない。記憶を失くすなんて、今までのことを覚えていないのなら生きてることが無意味だ。
「ないよ。ねぇ雛菊。生きることか、死ぬことか。どちらを選ぶ?と聞かれれば当然生きるほうを選ぶよね」
「・・・当たり前じゃない」
「そう。当たり前なんだ。だから、そんな当たり前はつまらないだろう?」
「・・・」
クスクスと笑う少年は座り込む雛菊に視線を合わせて
「死ぬ運命だったのに生き返るなんてそうそうに出来ない事さ。それを貴女は出来る。なんて素晴らしいことだろう。だけど人間は欲ばかりだから、それに払う対価すらも厭う」
「な・・んで、なんで私なの!?」
「選ばれたのが貴女だったから、ただそれだけさ」
「っ!」
嗚咽が静寂のこの場所に響く。
感情の籠らぬ瞳が彼女を射抜いた。
「さぁ、時間がない。貴女はどちらを選ぶ?」
“死”への恐怖か、自分も他人も誰ひとりとして知らないまま“生きる”ことへの恐怖か。
「・・・・っ私は・・私は、ッ死を、選ぶわ・・」
「そう。では・・・」
パチンと指を鳴らす音が、波紋のように響き渡る。
そしてどこから来たのか、ひらひら舞う幾多の幻想的な蝶が雛菊を囲う。
それが彼女が見た、最後の景色だった。
「おやすみ、雛菊――――――」
ひらりひらりと舞う蝶は
華やかな花畑に辿り着いた
そこは楽園
誰も知らない秘密の花園
花畑の中心に眠る姫君は
一生目を覚ますことのない
永遠の眠り姫―――――
END




