プロローグ
人の人生を決定づけるのは一体何だと思う
『金』か?『才能』か?それとも『努力』か?
答えは『運』だ
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「努力すれば夢は必ずかなう」
そう当たり前のように体育館壇上の校長は言った。
四月に入ってすぐの始業式。恒例の校長先生の話だ。
先月まで行われていた野球の地区大会優勝の表彰がついさっきまで行われていた。今回のテーマの「努力することの大切さ」はそこから来ているのだろう。壇上の校長は今回活躍した野球部員をほめたたえながら自分の過去の夢などを話していた。
努力すれば夢は必ずかなう。
きれいに聞こえる言葉。誰もが一度はそうであると考え、盲信する言葉。
正直僕はこの言葉が嫌いだ。
才能のない人間がいくら頑張ろうと才能ある人間にはかなわない。
むしろ努力した分だけ叶わなかった時のむなしさは大きくなるだけだ。
だったら努力しないほうがいいのではないか?
努力が実ることがないのを人はいずれ気づく。そして人は夢をあきらめ自分にできることを探していく。
いずれ気づくのなら早くに気付いたほうがいいと思う。
この言葉はそう言った事実を都合良く忘れさせようとする。そうしてどんどん気づくのを遅らせる。
僕ももう少し早く気付ければこんな思いはしなかったのだろうか?
校長の話は続く。
「今はつらくてもいつの日か努力は報われます」
じゃあ、僕はいったいいつになれば報われるんですか?
どういう風に努力すれば報われたんですか?
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