表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ジオラマ

作者: dct

 ふと、私が牧場でニワトリに追いかけられて泣いていたくらいの年の頃を振り返ってみると、幼年時代の私はやはり、世界が自分を中心に回っている、と思っていたのかもしれない。良くテレビやら新聞やらで、そのような話は聞いていたのだが、別段ニュースになるようなことでもない、と感じていた。しかし、改めて幼年時代を追想すると、実際そうなのだろうと思わずにはいられなかった。

 私がジオラマに凝っていたのも、そのせいではないかと思う。特に、ご飯をこぼしてだったり、お風呂に入るのを渋ったりして怒られた時などは、ジオラマの世界に浸っていた。ジオラマの中では、自分の世界を、自分の手で構成することができたのだ。今、ジオラマと言われて思い浮かべるのは、綿密な工程を通して、やっと出来上がる小さな世界、なのだが、当時は、はめ込んでつなげる形の道路の脇に既製品の玩具屋や野球場の模型をおいて、それで完成、といったもので、私自身それで充分満足だった。

 最近、大掃除の為だったか、押し入れの、小さい頃のアルバムや、もう長い事使われなくなった掃除機などを詰め込んだ押し入れの、その奥をごそごそと漁って見ると、私の手は三両の電車の模型を掴んだ。電池で走る類のものだ。そういえば、道路だけではなく、しばしば線路も敷いていた。その上に電車を走らせたものだった。電池式だからだろう、随分とスピードが出るわけではなかった。平時の私は、それでもいつまでも電車を見て微笑んだものであったが、時々、機械的に、だが緩慢に走っている電車に苛々を募らせ、強悪に電車を引っ捕え、無理矢理に押し出して脱線させてみたりすることもあった。

 三両の電車の模型は幾分か埃に塗れていた。顔を近づけると、仄かにプラスチックの香りが漂って来た気がしたが、プラスチックの匂いがどのようなものか私には判らないので、気のせいだったのかもしれない。私は、結局、この匂いは思い出の匂いだ、と些か気分を良くして、そして電車の模型を、今度は丁重にビニールに包んで、そっとまた、押し入れの奥にしまった。

 実を言うと、昔のように、思いっきり道路、あるいは線路を並べて、部屋いっぱいにジオラマを、自分の世界を構成したかったのだが、残念、その三両の電車以外はいつだったか、廃棄に出していた。今更、ジオラマの為に、道路だの建物だのを買いに行くのも気が引ける。例えば、玩具売り場で、眩しい笑顔で、お子さんにですか、などと話しかけられたら恥ずかしい。苦笑いさえ出来ずに、むすっとした顔で退散してしまうかもしれない。だから、仕方無しに、頭の中でジオラマを作り上げてみた。

 まず、線路で丸を作ろう。丸の中心に交差点を置いて、そこから道路を東西南北に伸ばして行こう。道路と線路の接点には踏切を設置しよう。ただ、接点の一つは、駅にしよう。後は、建物だ。道路に沿って、銀行を置こう。病院も必要だろう。居酒屋もないと困る。ああ、そうだ。タクシーのロータリーが無いと、家に帰れないじゃないか。このくらいで、次に何を設置しようか、思い浮かばなくなった。小さい頃のジオラマを思い浮かべる。玩具屋に、野球場に、ハンバーガーショップ。わくわくさせる並びだった。

 幼年時代、人は、世界が自分を中心に回っている、と言われる。それが、私にはさも羨ましい事のように思えた。

初投稿です。勢いで書き、小説は何か作者に感じさせるものがなければならない、と思い出した為に、冒頭で出て来た「世界が自分中心に回っている」という考え方について書こう、と。ただ、それが自分の明確な意見である訳でもないので、後半はgdgdの一途。お目汚し失礼致しました。アドバイス頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ