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第2話 神との邂逅と設定 (2)

「・・・俺達二人の力で・・・」

「・・・日本を元に戻す・・・?」

二人の声はハモって、呆然となりながらも訊き返す。

彼女の姿は二人には刺激が強すぎた。

しかし彼女は、その姿に全く恥かしがる様子が無いどころか、むしろ毅然として二人を見据えて立つ。

そして、彼女の透けた衣装からは、(かたち)良く、理想的な大きさの乳房が見え隠れしている。

その下、股間部はどうなっているかまでは、確かめる気持の余裕は二人には無い。

ただ、黒く透けては見えないところから、どうやら生えてないらしい事は判る。

「そうです。貴方たち二人が嘆かれていた通り、日本は本当に情けない国になってしまいました。

聖徳太子は『日出る国の天子』と称して毅然とした態度で臨み、元寇の国難にも果敢に立ち向かい、

明治時代になって、西欧列強が亜細亜を侵食する中、日清、日露の二つの戦いを勝ち抜いた有様は、

この日本を(つかさど)る神である私にして、大変胸がすく思いを致しました。

しかし、これら日本の凛々しさは太平洋戦争に敗れて以来、すっかり影を潜めてしまい、

今では大国はおろか、小国にまで(へつら)う有様です。

私はこんな惨めな日本を看ていたくありません。

ですから二人の力で、その元凶となった太平洋戦争に日本を勝利させ、毅然とした態度が取れる

元の姿に戻してほしいのです」

彼女から詳しい理由を聴いても、二人は釈然としなかった。それだけ突飛だという事だ。

将緋斗(まさひと)は思い切って訊いてみる。

大和(やまと)様、おっしゃる事は解りますし、俺達も気持は同じです。

けれども、俺達は青二才の唯の一般人にすぎません。日本を元に戻すなんて出来っこありませんよ」

この将緋斗の言う事に対しては、彼女も心得てたらしい。

「それはそうでしょうね。ですから私が力を与えます」

「力を与えるって、どんなですか?」

「そうですね。貴方たち二人には、その当時の人間に転生していただきます。

希望する誰でも構わないのですが、一般人では国の中枢に辿り着くのに時間が掛かってしまいますし、

下手をしたら辿り着く事さえ出来ません。ですから、既に権力を持っている者が良いでしょう。

時期的には、戦争に突入したばかりで、勢いのあった1942年元日という事でいかがですか?」

「なるほど、それだったら歴史が既に解っているので、ミッドウェーの失敗とか回避出来ますね」

「ええ。それから、独司(ひとし)。貴方は独逸に詳しいみたいですから、そちら側の人間に転生して、

日本を手助けしてほしいのですが」

「えっ! 俺がですか? う~ん・・・」

独司は考え込んだ。



「決まりましたか?」

大和は二人にしばらく考察時間を与えた後に声を掛ける。

「ええ、俺はやっぱり山本五十六でいこうと思います」

「分かりました。独司はどうですか?」

「ドイツ人ですよね? う~ん、砂漠の狐・エルウィン・ロンメルにしたいんだけどなあ・・・」

「でも、ロンメルでは日本にあまり関係するとは思えないぞ。やっぱりやるからには、あの方だろう?」

「あの方って、チョビ髭の伍長閣下か?」

「そうそう」

将緋斗はニヤリと笑って頷く。

「ちょっと気乗りしないけど、日本の為だもんな・・・ よし! 人肌脱ぐか。ヒトラー総統に決まり!」

独司もやっと決心をつける。

「では、将緋斗が山本五十六で、独司がアドルフ・ヒトラーと・・・ それで良いですか?

それから言っておきますが、貴方たちは既に死んだ人間です。

転生後はその人間になって一生をおくっていただく事になります。よろしいですね?」

「ええ、ブーゲンビル島で撃墜死しない様にがんばります」

「俺も自殺で最期とならない様にしますよ」

二人が承諾した事で、大和も満足そうな笑みを浮かべる。

そんな中、将緋斗は真顔に戻ると、彼女に言う。

「大和様、俺が五十六、独司がヒトラーになるとしても、相手はあの物量を誇るアメリカです。

これだけでは全く太刀打ち出来ませんよ」

「たしかにその通りですね。では、他に何か付けましょうか? 超兵器でも希望しますか?」

「いや、当時の日本の工業技術の粋を遥かに越えた、訳の解らんチート兵器をてんこ盛りされるより、

もっと手っ取り早く確実なものがあるのです。ですが・・・」

将緋斗はここで躊躇する。

「ですが・・・何でしょうか?

いくら私が神であっても、貴方の心の中まで見通す事は出来ないのです。

遠慮しないで言ってみてください」

彼女は口を尖らせて、少しばかり拗ねてみせる。その表情がまた可愛い。

「では思い切って言います。『アメリカという国をこの世界から消して下さい!』」

将緋斗が言い切ると、大和と独司の二人はしばらく何も言えず、彼を見詰めていた。

そして、我に返った独司が呆れる様に言い捨てた。

「えーーーーー! そりゃいくら大和様でも無理だろう。呆れて物も言えないとはこの事だ」

「そうだろうな。だから俺も言い辛かったんだ」

将緋斗も苦し紛れの弁解をする。

しかし、それに対する大和の返事は、全く反するものだった。

「いいえ。私は、そんな方法もあったのだと、感心していたのですよ」

平然と言ってのける。

「では、大和様は、アメリカを消し去る事が出来るのですか?」

「はい。私は神ですから」

そう言って彼女はにっこり笑う。

これには、将緋斗と独司の二人は呆れを通り越して、いよいよ何も言えなくなってしまった。

他の方の作品なら一話分で終わる神様との邂逅も、だらだらと小出ししながら続いてます。

予定では、あと二回費すつもりです(をい


さて、今回分で核心に入ってきました。

実は、他の作家様の作品を読ませていただいて、

「神様にチート兵器をプレゼントしてもらうくらいだったら、いっそのこと、戦争相手国を無くしてもらった方が、

手っ取り早くね?」と思ったのが、そもそもの執筆動機だったりします。

ま、アメリカあたりをチート兵器でフルボッコするのも、それはそれで快感ですがw


ちょっと問題発言だったかもしれません・・・



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