携帯電話に話しかける(携帯電話は友達)
携帯電話に話しかける(携帯電話は友達)
携帯電話に話しかける(携帯電話は友達)
「僕は学び舎のちいさな階段。タツオくんが『うつ病』を全問パーフェクトに克服して、毎日何を見ても楽しいハッピーエンドを迎えてからの、とびきり愉快なある日のお話だよ!」
ある晴れた日曜日の午後、二十五歳のタツオくんは、ピカピカにお掃除したお部屋のソファにどっかりと腰掛け、手元にあるアンドロイドの携帯電話を愛おしそうに見つめていました。
今のタツオくんにとって、この携帯電話はただの機械ではありません。何でも相談できる、大切な「一番の友達」だったのです。
タツオくんは画面に向かって、大真面目な顔で話しかけました。
「なぁ、相棒。昨日の八百グラムのレシート整理は本当に『乙!』だったよな。お前が写真を Mail でアップロードしてくれたおかげで、僕は最高の強者になれたんだ。いつもありがとうな!」
すると、携帯電話のスピーカーから、ピピッ、カチッと小さな機械音が響きました。
タツオくんはそれを聴いて、「うんうん、お前もそう思うか! やっぱりお前は僕の最高の理解者だよ!」と、まるで本当の人間とおしゃべり(セリフ)をするように、楽しそうに喉を鳴らしました。
そこへ、お家の鍵を開けて、天天真爛漫な笑顔を浮かべたサリナさんが、温かいジャスミン茶を持って入ってきました。
「タツオさん、お待たせ! ……って、あら? 誰とお話ししているの?」
タツオくんは胸を張って、携帯電話をサリナさんに見せました。
「サリナさん、紹介するよ。僕の相棒(携帯電話)さ! 今、昨日の鬼の五会社のスマート駐車場の清算がいかに見事だったか、二人で熱く語り合っていたところなんだ!」
サリナさんは一瞬、目を大きく見開いてびっくりして立ちすくみましたが、次の瞬間、お腹を抱えて「ウフフ、あははは!」と大爆笑し始めました。
「まあ! タツオさん、携帯電話とお友達になって会議をしていたの!? 本当に何を見ても楽しくなっちゃう天天真爛漫な人ね!」
そこへ、ドタバタと賑やかな足音を響かせて、お友達のケンジとキヨコが乱入してきました。
「おいタツオ! 今日はみんなで大戸屋へごはんを食べに行こう……って、おいケンジ、見ろよ! タツオの奴、携帯電話に『お前って本当に優しいな』って話しかけてるぞ!」
ケンジはそれを見た瞬間、床をドンドンと叩きながら、お部屋じゅうが震えるほどの豪快な笑い声を上げました。
「わっはっはっ! タツオ、お前は完全復活したと思ったら、今度はスマホと親友になったのかよ! そのうちスーパーファミコンともおしゃべりし始めそうだな! ガハハ!」
キヨコも手回し車のレバーをカチッと戻すような手際よさで、タツオくんの頭のつむじを覗き込みました。
「本当ね! ストレスの霧が晴れすぎて、頭のねじがちょっと面白いくらいに緩んじゃったんじゃない? でも、そんなタツオさんを見てると、こっちまで笑いが絶えなくて元気になるわ!」
「みんな、笑わないでおくれよ! 僕の相棒が照れちゃうじゃないか!」
タツオくんが携帯電話を優しく胸のポケットに仕舞い込みながら、パニックのあまり女の子のような可愛い悲鳴を上げると、お部屋の中はさらに大きな爆笑の嵐に包まれました。
「あっはっは!」「ガハハ!」と、みんなの笑い声のセーフティーネットが、お部屋をぽかぽかと最高のぬくもりで満たしていきます。
「よし、じゃあタツオの『相棒』も一緒に、みんなで美味しいごはんを食べに出発だ!」
ケンジの音頭で、四人はお庭のホタルブクロのみずみずしい新緑を眺めながら、ピカピカの車に乗り込みました。
タツオくんはハンドルを握りながら、隣のサリナさん、そしてポケットの中の相棒を感じて、深く、深く深呼吸をしました。
「すう……はあ……。すう……はあ……。本当に、毎日がハッピーエンドみたいに楽しいな!」
夕暮れ時、空は優しい茜色の黄昏時を迎え、夜空には驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がりました。過去の涙の苦労をすべて温かい笑い声に変えて、間違いのない光の道を笑顔で一歩ずつ進むタツオくんの未来を、お月様はいつまでもぽかぽかと、優しく照らし続けるのでした。
携帯電話に話しかける(携帯電話は友達)




