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絶望のファーストキスの後に君が選んだのは…  作者: 猫の集会


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6/6

こうじ

 ユイカの部屋に向かう途中は、いたって普通の会話だった。

 

 別れ話は、絶対密室ってことなのだろう。

 

 家におじゃますると、ユイカは

「今日は…だれもいないから…ね。その…安心して?」

 とオレをじっとみてきた。

 

 そんな、めっちゃとにかく慎重やんけ。

 

 別れ話が、こんなにも人に聞かれたくないほどに厳重とは…。

 

「それじゃあ…その…はじめますか…?」

「あぁ。うん」

 

 …

 

 …

 

 …

 

 ?

 

 始まらない。

 

 一向に始まらない別れ話…

 

 えっとー…

 

 やっぱりこれは、オレから切り出さないとですか…ね?

 

 

「あの…ユイカ…?」

「えっと…はいっ‼︎」

「あー、そんな緊張しなくても…」

「あ、うん…ごめん。」

「いや、謝らなくてもいいよ」

「あ、はいっ!」

「で、ユイカは…どうしたいの?」

 

 こういえば、別れやすいかな?

 

 どうしたいの?別れたいってさ…。

 

 でも、ユイカは…

 

「わたしは…まず抱きしめてもらいたい…です」

 って、恥ずかしそうにいうんです。

 

 ⁉︎

 

 はあ⁉︎

 

 そんなの…

 

 最後に抱きしめてほしいとかさ…

 

 そもそも抱きしめてほしいなんて言われたら、理性ぶっ飛んだよね?

 

 そりゃ、抱きしめたよ。

 

「ユイカ、ユイカ」

 って言いながらさ。

 

 ほんとは、好きだよ。離したくないって言いたかったけどね…

 

 ユイカを困らせるだけだからさ…名前を呼ぶのが精一杯でしたけどね。

 

 オレに抱きしめられて、ユイカは

「瞬…大好きだよ」

 って、やっぱり涙目になったんよ。

 

 …

 

 それは、その大好きは…

 

 幼馴染として…なんだよね。

 

「ユイカ、ありがとうな」

「ううん、こちらそ」

 

 …

 

 そうか。

 

 ユイカは、別れようって最後まで言わないつもりなのだろう。

 

 でも、最後のお別れのハグでオレたちなりの別れの挨拶を交わした。

 

「じゃあ、オレ帰るわ」

「えっ?」

 

 ユイカが、なぜ?みたいな顔をしている…?

 

「ん?なに?」

 

 やっぱり、きちんと別れたいって言いたいのかな…。

 

「え、だって…続きが…」

 

 やっぱりはっきりさせたいんだね。

 

 わかりましたよ。

 

「わかったよ。ちゃんと聞くよ」

 

 もう一度、オレはユイカの前に腰をおろした。

 

「えっ…恥ずかしいじゃん。わたしが欲しがりみたいじゃない…」

「えっ?」

 

 欲しがり?

 

「いや、別にそういうつもりじゃ…」

「ならさ、そんなツンデレみたいにしなくてもいいじゃない‼︎帰るとかいきなりいうしさ…。もっとさ…もっとイチャイチャたくさんしたいって思っても…いいじゃない…好きなんだし…だれもいないのに…さ。あ、でも瞬は…そんなにわたしとイチャイチャしたくないんだ?そうなんだ?」

 

 ⁉︎

 

 えっ⁉︎

 

 えっ⁉︎

 

 んっ⁉︎って、なったよ⁇

 

「は?なんだよそれ…ユイカが泣くから…泣くほどイヤなんだからって…抑えてオレは…」

「違うよ。逆だし…」

「えっ?逆…って…」

 

 …

 

 えっ⁉︎

 

 えっ⁉︎

 

 もしかして…ユイカって、オレのこと⁇

 

「ユイカ‼︎なんだよ…ユイカー…」

 

 オレはユイカを抱きしめて、抱きしめて抱きしめて、キスをした。

 

 たくさん、何度も何度も優しくキスをした。

 

 こうじを好きだなんて、オレの勘違いやんけ。

 

 ユイカは、完全にオレを求めている。

 

 顔をみれば、わかることだった。

 

 泣いたのは…嬉し涙だったのかよ。

 

 紛らわしいツンデレユイカめ。

 

 

 オレたちは、時間が許す限りイチャイチャし続けた。

 

「ユイカ、大好きだよ」

「わたしも大好き」

 

 チュ〜♡

 

 部屋が大好きで溢れた。

 

 

 あー、オレってば…なんでこんな勘違いしたんだろ。

 

 バカだなあ。

 

 こんなにユイカは、オレが大好きなんじゃん。

 

 って、大反省したよね。

 

 だんだん日が暮れてきたけど、オレたちのイチャイチャは、とまらない。

 

 このままずっとくっついていたいね♡ってなっていた。

 

 家が隣だけど、それすら遠く感じる。

 

 離れたくない。

 

 早く同棲して、ずっとくっついていたいね♡ってなっていた。

 

 

 …

 

 

 ですが…やっぱり気になって仕方ないことがどうしてもあって、思い切って聞いてみることにした。

 

「ユイカってさ…こうじのこと好きって…小耳にオレ挟んじゃってさ…」

 と、恐る恐る聞いてみた。

 

 ユイカは、しばらく無言になり

「こうじって…もしかしてあのこうじ?お母さんが瞬のお母さんに言ったんだ?わたし食いしん坊みたいだね。こうじ菌のことでしょ?アレは、ほんと神商品だよね!お肉柔らかくなるし、甘みも出るでしょ?だから、大好き!唐揚げとかにもあるじゃない?めっちゃ美味しいよね!てか、お腹空いた?いきなりこうじとかって…瞬って、もしかして…料理にめざめた?」

「あー、うん!そうそう。こうじ…ね。あれは、すっごいな!」

「ね!」

「ユイカ…オレ…やっぱりユイカが彼女で最高だよ‼︎」

「わたしもだよ♡」

 

 安心イチャイチャタイム続行です♡

 

 聞いといてよかった…。

 

 そうだと思ったよねー‼︎

 

 

 でも、時間はどんどん過ぎます。

 

 だから、またイチャイチャしようね♡ってことで、最後にまたイチャついて、家に帰ることにした。

 

 幸せすぎんだろ。

 

 もうさ、幸せ〜って脳内がポワポワなんよ。

 

 

 勘違いでとにかくよかった。

 

 今度は、唐揚げデートでもしようかな♡

 

 なんなら、オレが頑張ってこうじ唐揚げ作ってご馳走してみてもいいな。

 

 こうじのこと好きって疑ったお礼がてらさ。

 

 帰ってこうじについて調べよっと。

 

 ユイカ、美味しい唐揚げの勉強するから待っててね♡

 

 

 

 

 おしまい。

 

 

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