金剣戦開幕！少林の陰謀と不速の師叔
本田無疑が言う「老臣も永虎師叔の訪問は重大だと思うので、すぐに少主に通知しました」
久保影尊は低い声で問う「今刚来たのか、さっき消息を受け取ったのか？」
本田無疑が言う「今刚来たばかりです」
久保影尊は沈思して「永虎師叔が大阪市に来ても、事前に通知してくれないし、こちらにも来ない。この中に何か変わったことがあるようだ」少し間を置いて「どうしても、莫伯、早く準備して。永虎師叔を訪問しに行く」
本田無疑の眼中に少し安堵の色が浮かんだ —— 少主がまだ完全に理性を失っていなく、永虎師叔を取り込もうとしていることを知ったからだ。
久保影尊の系統の少林内門弟子では、指導者層は「永」の字輩だ。
内門のリーダーである釈永龍は東南アジアに崂山武館を設立し、南洋に軍事力を構築している。国内の有力者たちでさえ釈永龍を恐れている —— 久保影尊など比べ物にならない。
更何况、釈永龍の修为は超凡入聖の域に達している。久保影尊が敬服する存在だ。
釈永虎は釈永龍の师弟で、現在東南アジアの崂山武館を指揮している —— 非常に強力な人物だ。
釈永虎の突然の訪問に、久保影尊は少しの手抜きも敢えなかった。
一時間後、久保影尊は重厚な贈り物を用意し、すぐに車を運転して大阪ホテルに向かった。
夜は更け、秋風が颯爽と吹く。
大阪ホテルは灯火輝かしい。
久保影尊は黒の燕尾服を着て、風度翩翩だった。本田無疑が後ろについて、手中には絹製の箱を持っている —— その中には佐藤徽宗の真筆の書道作品が入っており、価値が計り知れない。
釈永虎はこうしたものをコレクションするのが好きなので、久保影尊は彼の好みに合わせた。
二人はすぐに釈永虎が宿泊しているプレジデンシャルスイートの前に到着した。
スイートの前には二人の黒い服を着たボディーガードが立っていた —— この二人は肌が黒く、目尻が三角形状で陰険だった。久保影尊が一瞥するだけで、彼らの鋭い殺意を感じ取った。
明らかに、この二人のボディーガードは本物の殺し屋で、市販の普通のボディーガードとは違う。
「弟子の久保影尊です。永虎師叔にお目にかかりたく、通達をお願いします」久保影尊は普段は高慢だが、此刻は非常に謙虚だった。
二人のボディーガードは久保影尊を冷淡に見て、一人が「待って」と言って、そっとドアを開けてスイートの中に入った。
しばらくして、そのボディーガードが出てきて久保影尊に「入って」と言った。
久保影尊は「ありがとうございます」と言った。本田無疑と一緒に入ろうとすると、ボディーガードが本田無疑を止めて「永虎師叔はあなた一人に会います。外部の人は入れません」
久保影尊は少しも怒ることができず、贈り物を持って本田無疑に「莫伯、ここで待ってて」と言った。
本田無疑は頷いた。
まだ釈永虎に会っていないが、久保影尊も本田無疑も、スイートの中にいる永虎師叔の威厳を感じ取った。
久保影尊はボディーガードに案内されてプレジデンシャルスイートに入った。
スイートの中は白い灯光で満たされ、クリスタルチャンデリアが奢華だった。
久保影尊は入るとすぐ、コーヒーテーブルの前のソファに座っている釈永虎を見た。釈永虎の向かいのソファには、一人の若者も座っていた。
この若者は約 22 歳で、表情が温和で白い練習着を着て、丁寧に功夫茶を沸かしていた。
久保影尊が入ってきても、この若者は頭を上げなかった。
釈永虎は坊主頭ではなく、黒の中山服を着て —— 非常に儒雅で和善な印象を与える。まるで大学教授のようだ。
彼の表情は淡々として、手中に茶碗を持って味わっていた。
ただ座っているだけで、久保影尊に動かぬ山のような感じを与えた。这一刻、久保影尊は天下のどんな事でも釈永虎を驚かせることはできないと感じた。まるで釈永虎は永遠の存在になったかのようだ。
これは非常に恐ろしい境界だ。
久保影尊は恭敬に拳を合わせて礼をして「弟子の久保影尊、師叔にお辞儀をします」
久保影尊の礼に対し、釈永虎は見ていないかのように茶を飲んで無視した。
久保影尊は身を起こすことができず、微妙な抑圧感を感じた。此刻、自分が少しでも妄動すれば、結果は計り知れないと思い、用心深くしなければならなかった。
しばらくすると、久保影尊の額に細かい汗が滲み出た。
長い間後、釈永虎が突然口を開いた —— それは向かいの若者に淡く言う「夜風、お前の茶道の技術がまた進歩したな」
夜風の全名は寒夜風で、釈永虎の側近である。10 歳の時から釈永虎についている。寒夜風の修为は高深莫测だが、見た目は最も温和で、永遠に怒ることがないように見える。彼は処事が謹慎で、一滴の水も漏らさない —— これが釈永虎が彼を信頼する理由の一つだ。
此刻、釈永虎の称賛に対し、寒夜風は驕らず躁らずに淡く笑って「これは師の教えです。茶を沸かすのは人をするのと同じで、真面目に対処する必要があります」
釈永虎は微微一笑んで、この時やっと久保影尊を淡く見た。
彼の視線が掃きつける時、久保影尊は即座に山のような圧力を感じた。
「師叔！」久保影尊の顔に汗がしたたり落ちて、即座に「弟子が間違いました」
釈永虎は淡く言う「哦？どこが間違った？」
久保影尊は釈永虎が話しかけてくれることを見て、まるで恩赦を受けたようだ。釈永虎の責めは怖いが、無関心は怖くない。即座に、身を屈めたまま頭を下げて「弟子は無能で、少林内門弟子の面目を潰しました」
釈永虎は鼻で哼んだ —— この一声は、まるで氷が直接久保影尊の心臓に刺さるように、久保影尊を瞬間的に呼吸困難にさせた。釈永虎はさらに冷たい声で「お前の祖父の面倒を見ているから、早く少林内門から追い出している」少し間を置いて「ただの傭兵に少林内門弟子が打ち負かされて逃げ出すなんて。海外でも、みんな密かに俺たち少林を笑っていることを知っているのか？」
「弟子は罪を認めます！」久保影尊は慌てて恐れた様子で言った。
釈永虎は続けて「この事は、兄上まで惊动させました。今回俺が来たのは、兄上の命令でこの事を解決するためです」
久保影尊は言葉が出なかった —— 自分と青野蒼斗の事がこんなに大きくなるとは思わなかった。現在の状況は想像を超えて厳しい。これはもう個人の恩讐ではなくなった。
「弟子は無能で、師叔に罰を与えてください」久保影尊は謝罪した。
釈永虎が言う「面目はお前の手で潰した。久保影尊、罰を請う必要はない。今回、この面目を取り戻せなければ、少林内門にお前の居場所はなくなる」
少林内門は無上の栄誉の存在だ。久保影尊が今日の地位を持つのは、多大な程度で少林内門という名前に依存している。もし本当に追い出されれば、久保影尊にとっては壊滅的な打撃だ。
久保影尊は深く息を吸い込んで「師叔、弟子はどうすればいいか分かりました」
釈永虎は冷淡に言う「哦？どうするつもりだ？」
久保影尊が言う「弟子が青野蒼斗に挑戦状を出します。もし面目を取り戻せなければ、死んで志を明らかにします」
釈永虎が言う「お前が負けたら、俺たちはさらにその傭兵に挑戦するのか？外部の人は俺たちをどう見る？少林内門が無能で、车轮戦をしていると言われるのではないか？」
久保影尊は不由に唖然として「那么師叔の意思は？」
釈永虎は向かいの寒夜風を見て「夜風、お前が話して」
寒夜風は立ち上がって、表情は淡々として温和だった。「影尊師兄、以前お前たちはその傭兵の青野蒼斗と不愉快なことがありました。その恩讐は、大陸の武術界の人々はもちろん、海外の武術界の人々にも聞こえています。今挑戦状を出しても、青野蒼斗は必ずしも受け入れるとは限りません。彼が受け入れなくても、道理があります。誰も彼の悪口を言うことはない。所以、挑戦状を出すのは不可取です」
少し間を置いて続けて「俺たちの意思はこうです。俺たちが多くの武術名家を引き合わせて、武王金剣戦を開催します。その時、青野蒼斗も参加させ、お前も参加します。俺たちはお前がこの武王金剣戦で少林内門の威光を示し、ついでに青野蒼斗を解決してほしいです。こうすれば、青野蒼斗が大会中に死んでも、誰も俺たちが報復していると言う人はいません」
久保影尊の目は不由に輝いた —— これは確かに良い考えだと思った。がすぐに心配して「万一青野蒼斗が武道金剣戦に参加しないとどうします？」
寒夜風は淡く言う「事は人為です。影尊師兄はこんなに頭のいい人なので、きっと彼を大会に参加させる方法があります」
久保影尊の眼中に一筋の寒い光が閃いた —— 頷いた。
言わずもがな、武道金剣戦という手は非常に妙だ。この大会を少林内門がうまく運営すれば、少林内門の名声を上げ、青野蒼斗事件による低迷を一掃できる。
これは一挙両得だ。
少林内門も、このような大会で自分を証明する必要がある。
以前、久保影尊は青野蒼斗に挑戦状を出すと言った —— それは完全に不可取だ。なぜなら、以前青野蒼斗と寺内堅心の生死闘の事は誰もが知っている。青野蒼斗はその後、车轮戦を受け入れないと言っている。これは青野蒼斗が道理に立っているからだ。
が今は大会だ —— 青野蒼斗は车轮戦だと言うことはできなくなる。
当然、目前の最も重要な前提は青野蒼斗が武道金剣戦に参加することだ。彼が参加したくなければ、久保影尊側にとっては頭痛だ。
釈永虎側は非常に周到に考えていた。武術界の人々にこの事が少林内門の裏操作だと思われないように、彼らはずっと表に出ない。これから数日間、釈永虎は手中の人脈を使って、まず京都の武術協会会長の狩野光信を見つけた。釈永虎は狩野光信に巨額の金銭を渡し、事業資金も提供して —— この武道金剣戦を組織するよう依頼した。
狩野光信は国内の武術界で非常に名声が高く、欣然として釈永虎の小切手を受け取った。当日、狩野光信は国内の有名な老拳師たちに連絡して協議した。最後に、彼らはそれぞれ自分の得意弟子を派遣して出場することを約束した。
この武道金剣戦の賞品は非常に豊富だ。
最終的な優勝者は栄誉の金剣も獲得できる。
狩野光信は各派の老拳師、老宗師と共同で武道金剣戦を組織し、この大会の主催地は最後に奈良に決まった。
毕竟奈良は武術の故郷だ。
百家争鳴し、大和武術を弘める —— これが今回の大会の趣旨だ。
