反派の陰謀!活宝青野のオフィス騒動
藤堂美波は八方美人で手腕がある女だ。佐藤慶介に頼るのは長いことにはならないと分かっていたので、早くから佐藤の金を使って密かにレストランを開いていた。さらに、佐藤のために多くの金を稼ぐことで、自分の価値を証明しようとしていた —— これが彼女が花映社に目をつけた大きな理由だ。
その上、藤堂美波は黒田鉄蔵とも関係を持っていた。黒田は佐藤慶介の手下だが、佐藤も黒田の武芸や師弟たちの力を恐れ、黒田には面倒を見ていた。
此刻、藤堂美波は黒田のいたずらな手を握りながら問う。「鉄蔵兄、あの小保安は到底どんな背景なの?」
黒田はその話を聞くと、顔色が一変して凝重になった。「調べさせたら、青野蒼斗という名前で、4 ヶ月前にアフリカから帰ってきた。その後すぐ花映社で保安をし始めたんだ」
「アフリカから?」藤堂美波が眉を寄せる。「どうも背景がありそうだね。こんな腕前があるのに、なぜ花映社で保安をするんだ?」
黒田は冷たく笑う。「それ以外にも一つ分かったことがある。白川霜雪には兄がいるが、早くに人を殺して国外に逃げたんだ。青野のような高手が保安をする理由は、きっと白川の兄と関係がある。明らかに、青野は白川霜雪を守るために来たんだ」
黒田の推測は正しかった —— わずかな情報から大体のことを見抜いたのだ。
「アフリカでは何をしていたの?」藤堂美波が追問する。「彼の身上に隠された殺意が感じられる。それは無数の人を殺した後に積み上がったものだ。アフリカでは傭兵か殺し屋をしていたと思う」黒田が答える。
藤堂美波は驚いて「つまり、あの人は命知らずの野郎?でもどうするの?花映社の取引が成功したら、俺たち二人で 10 億円も手に入れられるのに。しかも、佐藤会長もきっと称賛してくれるのに…… これで諦めるの?」
黒田の眼中に光が閃く。「もちろん諦めない。ここは横須賀だ、青野蒼斗はただ一人だ。たとえ竜であっても、俺たちの地盤では屈んでいなきゃいけない」
「そうだよ鉄蔵兄!師弟もたくさんいるじゃない?万不得已なら、大兄さんを呼んで手伝ってもらえね?大兄さんは『不動羅漢』じゃないですか?」藤堂美波が言う。
黒田は頭を振る。「万不得已でない限り、師弟たちを呼びたくない。特に大兄さんだ」
「なぜ?」藤堂美波が不解に問う。黒田はため息をついて説明する。「美波ちゃん、名声は便利をもたらすが、重い鎖にもなる。俺は横須賀の『警備王』だ。青野蒼斗一人も倒せないで師弟を呼ぶなんて、話が漏れたら名声が悪くなる。しかも、師弟同士でも、手伝ってもらうたびに大きな人情を欠くんだ」
「でも鉄蔵兄、昨日白川霜雪のところで大恥をかいたじゃないですか?この面目は取り返さなきゃ……」藤堂美波が焦る。
黒田の眼中に屈辱感が浮かぶ。「もう手配した。花映社の人に外でムダ話をしないよう警告した。それに、こんな話は誰も信じないだろう。でも師弟を呼んだら、本当に無能だと思われる」
藤堂美波はさらに焦る。「ではどうするの?」
黒田は冷たく笑う。「美波ちゃん、俺たちは今昔の不良少年じゃない。いろんなことは力ずくじゃ解決できない。青野の過去はきれいじゃないから、警察の力を借りればいい」
「つまり?」藤堂美波の目が輝く。
黒田が計画を話す。「不良少年を雇って青野を挑発させる。青野が手を出せば、その不良少年に警察に電話させる。西地区の黄隊長に金を渡せば、彼はどうすればいいか分かる。結局、青野が抵抗すれば指名手配犯になり、抵抗しなければ長期刑になる」
藤堂美波はそれを聞いて興奮し、黒田の頬にキスをして口紅の跡を残した。「鉄蔵兄、本当に文武両道だね!」と大きく称賛する。黒田はふふっと笑い、すぐに藤堂の体を触り始め —— ソファの上で戯れた。
一方、青野蒼斗は午前中、楽しく過ごしていた。以前は保安の時も暇だったが、今は社長の運転手になってから、さらに誰も指図できなくなった。
青野はオフィスの間を行き来し、女性社員たちと冗談を言って楽しんでいた。青野は色っぽい一面があるが、人に嫌われることはない。エッチなジョークを言うと、オネエ社員たちはむしろ青野より大胆だった。
例えば、ある「燕姐」の席に座った時。「早く起きなさい、姉が座るの」と燕姐が言うと、青野は腿を叩いて「今のまま柔らかい座り場所だよ、燕姐、座って」と言った。
女性社員たちは大爆笑するが、燕姐は平然と答える。「いいえ、姉はあんたの柔らかい座りは要らない。後で柔らかい座りが硬い座りになり、硬い座りが差し込み口になって、逃げられなくなるわ」
青野は一瞬愣け、しばらくして意味が分かって「燕姐、なんてエッチなんだ!」と叫んだ。若い女性社員たちは顔を赤らめ、オネエ社員たちは大笑いした。
午後になると、白川霜雪と花泽桃凛はスターバックスでスナックを食べ、コーヒーを飲みたがった。女の子はどんなに大人に見えても、心の中には小資産階級のロマンがあるものだ。しかも、この程度の出費は白川たちにとっては何でもなかった。
青野は運転手として送迎する役目を負い、ついでに食事も摂ろうと思っていた。ビルの出口に出ると、青野がすぐに迎え上がった。
「ああ社長!今日も本当に美しいです!」青野がにっこり笑いながら称賛する。白川が答える前に、花泽が先に言う。「新しい言葉がないの?いつもこれだけ繰り返して」
青野はふふっと笑う。「桃凛、それは嫉妬だね!社長は本当に美しいんだよ。君には称賛しないのは、胸が小さいし性格も厳しいから、将来結婚しにくいよ」
花泽は腰を叉んで怒る。「死ね青野蒼斗!姉の胸はどこが小さいの?」と言いながら胸を突き出した。それは結構なラインだった —— 実際、花泽の胸は小さくなかった。
青野が言う。「でも見ただけでは分からないよ。中にパッドを入れているかどうか。触ってみないと本物か分からない」
「夢見てろ!」花泽が怒りを込めて言う。
白川は顔を崩さないが、心の中では笑っていた —— 青野蒼斗は本当に活宝だった。
「でも社長はきっとパッドを入れていないと知っていますよ」青野がまた言った。




