柚緒姐酔い!部屋での微妙距離
青野蒼斗は輝かしい笑顔を浮かべ、呼びかける声も甘かった。
橘柚緒はこの明るい若者を見ると、理由もなく気持ちがよくなり、心から微笑んだ。その後青野の BMW を見て、不思議そうに尋ねた。「この車は?」橘柚緒は青野が車を買えるとは思えなかった —— 月 3 万円の安アパートに住む人が、BMW を持てるはずがないからだ。
青野は説明する。「これは社長の車で、今俺が社長の運転手をしてるんだ。来て、柚緒姐、乗って」と言いながら、殷勤に助手席のドアを開けた。明らかに、柚緒を自分のそばに座らせたい意図だ。
橘柚緒は車に乗り込み、青野も運転席に座ってエンジンをかけた。「あら、君は運転できるの?」柚緒が少し意外そうに問うと、青野はふふっと笑う。「以前軍にいたんだ、部隊で習ったんだ」柚緒はそれで納得した。
「それで、小雪を迎えに行かないの?」青野が尋ねる。「いいよ、今日は金曜日だから、母が迎えに来てくれたの」柚緒が答えた。週末は柚緒が出勤するので、小雪を預けるのは当たり前だ。
「柚緒姐、ご両親は横須賀の人ですか?」青野が続けて問うと、柚緒は「そうだよ」と答えた。「なら、家に住まないで外に住むのはなぜ?」青野は追及する —— 柚緒の住環境は明らかに厳しいものだった。
問いかけると、柚緒の口元に苦しい笑みが浮かんだ。青野は気遣いを込めて「話しにくいなら大丈夫です」と言うと、柚緒は「そんなに隠すこともないよ。今日、前夫のことも見たでしょ?当時両親は結婚を反対したのに、俺は固執して嫁いだ。今こんな始末になったのは、俺が頭が悪かったせいだ。これは報いだから、どんな苦労も自分でこなさなきゃ」
青野はため息をついて「両親は子供を責めるものじゃないよ。どうして自分を苦しめるの?きっと怒っていないと思う」と励ます。「でも俺が自分を責めているの。今の生活でもいいの」柚緒が言うので、青野はこれ以上追及しなかった。
「そうだ了、ご飯をおごす約束をしたから。何が食べたい?」柚緒が問うと、青野はにっこり笑う。「柚緒姐が食べたいもの、俺も同じだ」柚緒はそれを聞いて柔らかく笑った。「君は横須賀の人じゃないでしょ?」と再び尋ねる。
「違うよ、故郷は山奥の村だから、話しても柚緒姐は知らないでしょう」青野が答える。「ご両親は?」柚緒の問いに、青野は一瞬愣けた。目つきが複雑になった。
青野蒼斗は今年 24 歳だが、記憶がある限り、師匠と一緒に大興安嶺の山奥で生活していた。師匠が育ててくれ、武術も教えてくれた。16 歳の時、師匠の指示で海外に任務に行き、その後師匠の行方が分からなくなり、連絡が途絶えた。
その後青野は傭兵団に入り、優れた武術と頭脳ですぐに頭角を現した。だが団長に忌み嫌われて殺されようとし、青野は事前に察知して逃げ出し、怒りのあまり自分で「黒牙傭兵団」を立ち上げた。5 年で国際的な一流団体に成長し、「狼王」青野蒼斗の名は四方に轟いた。
でも両親については…… 青野には最も迷う点だ。誰か分からず、根のない人だと感じていた。「俺には両親もいないし、親族もいない」青野が言う。「記憶がある時から師匠に育てられたんだが、今は師匠も行方不明で、どこにいるか分からない」
橘柚緒は呆れた。自分の人生は暗いと思っていたが、青野に比べれば何でもなかった。無形の中で、柚緒は青野に親しみを感じた。車内には柚緒の体から漏れる自然な香りが広がり、人を酔わせるようだ。
「ごめんね」柚緒が謝る。「もう慣れちゃったよ」青野はにっこり笑う。「それで、今後の計画は?例えば、女の人と結婚して家庭を作るとか?」柚緒が問うと、青野はふふっと笑う。「俺は力持ちだけで、金も車も家もない。誰が嫁いでくれるかな」
「そんなこと言わないで。君は優しい人だから、きっといい女の人が好きになってくれる」柚緒が励ます。青野はへへと笑って「それで柚緒姐は?」と問うと、柚緒は一瞬愣けて頬が赤くなり、「君は弟だから、当然好きだよ」と言った。
青野は心の中で笑った —— 愚かな柚緒姐、弟がもう全部見ちゃったことを知らないだろう。この話題は深く掘り下げるのは適切でないので、最後に二人は適当なレストランに入った。
青野は少し酒を飲みたかった —— 柚緒を酔わせて、酒后に何か良いことが起こらないかと思っていた。だが柚緒は青野に「後で運転するから」と酒を飲ませなかった。青野は悔しくて「次は絶対車を運転しない」と心の中で呟いた。
がっかりしていると、柚緒が突然「でも、料理を買って帰って飲もうよ」と言った。青野は大喜びした。柚緒も心が苦しかったので、急に酒を飲みたくなったのだ。
二人は料理をパックして、柚緒がさらに「劍南春」の白酒 1 本とビール 10 缶ほど買った。30 分後、車で柚緒の家に戻った。
柚緒のアパートは狭く、少し乱れていて、整理整顿されたものではなかった。青野が入るとすぐに、ベッドの上にパンティと黒いブラを見つけた。目を見開いて見つめると、柚緒は頬が火照り、慌ててそれらを取り上げて布団の中に隠した。
「朝起き遅れて整理する時間がなかったの」柚緒が照れくさそうに説明する。「俺のところはもっと乱れてるよ」青野はふふっと笑う。
続いて二人はテーブルに酒菜を並べて飲み始めた。青野の心はドキドキしていた。柚緒が「飲もう」と言うたび、青野は止めなかった。頭の中には柚緒がトイレでシャワーを浴びる姿が浮かび、何度も幻想したことを思い出すと、目の前に柚緒がいることが信じられないほど興奮した。
さらに青野は思った —— 柚緒も何か欲しいので、わざと酒を飲んで機会を作ってくれているのでは?「自分を酔わせて、他人にチャンスを与える」ってやつだ!
しばらくすると、柚緒の頬は真っ赤になった。この時の柚緒は格外に嬌らしく可愛く、小さな女の子のようだった。二人はグラスを交わし続け、やがて柚緒は本当に酔ってしまった。
青野は頭が冴えていた。柚緒をベッドに抱き上げる時、心は興奮と葛藤が入り混じっていた。「クソ、俺は禽獣になる?それとも禽獣より悪い?」青野はぶつぶつ呟いた。




