拘留室の禁断キス~青野の対策と仲間の安全確保
北条真绪は一瞬考えて、頷いて「いいよ」と答えた。
その後、拘置室の戸が開かれ、橘柚緒が入った。彼女が入ると戸はすぐに閉まり、同時に拘置室の監視カメラも切られた。
青野蒼斗はベッドにうんざりしたように座っていた —— 怒りはだいぶ収まり、以前のような激昂した様子はなくなっていた。上を見上げて橘柚緒が入ってくるのを見て、少し意外だった。
橘柚緒は白いワンピースを着て、美しい姿を披露していた。雪のように白い腕が露出しており、入ってくると同時に香りが青野の鼻に届いた。が今の青野には、橘柚緒をからかう気持ちはまったくなかった。
橘柚緒は青野の機嫌が悪いことに気づき、ベッドのそばに来て青野の隣に座った。
青野は自嘲的に笑って「柚緒姐、久保影尊に下跪して謝罪するように説得に来たの?」
橘柚緒は首を振って「謝罪させるわけにはいかない。君が謝罪するなら、君はもう青野蒼斗じゃないから」
青野は少し意外で、橘柚緒を見上げて「では姐は……」
橘柚緒の目が少し紅くなり、心は非常に複雑だった。「青野蒼斗、君が有事になるのが怖いの。分かって?」
青野はこの女性の心配を感じ、心の中に温かみが湧いた。「柚緒姐、安心して。僕は大丈夫だ。今ここにいるのは、出られないからじゃない。ただあの手を使いたくないんだ —— 横須賀を離れたくない、姐を離れたくない、逃亡者になりたくない。本当に逃げたいなら、この戸で僕を止められるわけがない。この警察署全体でも、僕を止められる人はいない」
橘柚緒は当然青野の腕前を信じていた。深く息を吸って「もしどうしようもなくなったら、必ず逃げて。いい?」ここで顔が少し照れて、さらに「僕はきっと待っています。もし君が願えば、一緒に逃げます」
青野は呆れてしまった —— 橘柚緒がこんなに大きな決心を持っているとは思わなかった。「本当にそうなったら、橘小雪はどうする?」
橘柚緒は一瞬愣けて、眼中に葛藤が浮かんだ。しばらくして「国外で落ち着いたら、橘小雪を連れて行けるから」
青野の心は感動でいっぱいになり、思わず橘柚緒を抱き寄せた。
もちろん、彼は本当に逃亡するわけではないが、橘柚緒の行動は本当に彼を感動させた。この瞬間、彼女と一生を共にしたいという衝動が生まれた。
同時に青野は橘柚緒を理解した —— 彼女は本当に珍しい女性で、愛するときは思い切って、恋のためにどんなことでもできる。盲目になるほどの愛を持っていた。
佐伯劣に傷つけられたにもかかわらず、今でも自分と一緒になる勇気がある。自分が逃亡者になっても一緒にいようとする —— これはどんな深い想いだろう?
橘柚緒は青野に抱かれても抵抗せず、そのまま抱かれていた。
青野は彼女を抱きながら、柔らかい体と胸の柔らかさを感じながら、心が酔っていった。
彼はもちろん監視カメラが切られたことを知っている —— そうでなければ、こんなに親密になるわけにはいかない。
橘柚緒の体から漂う香りは心を癒してくれた。
青野は佳人を抱きながら、思わずトイレで彼女がシャワーを浴びていた白い体を思い出した。
青野は下半身が湧き上がってきたように感じ、血液が沸き、心が騒ぎ始めた。ついつい橘柚緒の唇を探した —— その誘惑的な唇はさくらんぼ色をしていた。
橘柚緒は目を閉じた —— まるで眠りの美女のように、王子のキスを待って目を覚ますのを待っていた。
青野はついキスをしてしまった。このキスは一瞬で雷が地面に落ちるように、両者の唇と舌が絡み合い、お互いの唾液を吸い取り、少し狂おしいほどの熱狂が込められていた。
青野は獣のような血が沸き、この拘置室で橘柚緒を抱きしめたくなった。が幸いにも、残った理性が「绝对にいけない」と告げていた。
しばらくして、やっと唇を離した。
この時、橘柚緒の顔は真っ赤になっていた。照れが隠せないほどで、自分がどんなに荒唐なことをしたかと思うと照れてしまった。
しばらくしてやっと落ち着き、髪と服を整理してから拘置室を出た。最後まで青野には一言も話しかけなかった。
青野は分かっていた —— 橘柚緒はやはり面皮が薄いからだ。
北条真緒たちは橘柚緒が出てくるのを見て、彼女の赤い顔を見てみんな思い思いに怪しい思いを抱いた。「ええ?この二人、中で何してたんだ?」
橘柚緒は大家の不思議な視線を感じ、穴があったらその中に逃げ込みたいと思った。
橘柚緒は大家に挨拶もしないで、独りで速く逃げ出した。
「心が鬼を作る」というのは、大概こんな感じだろう。
拘置室の戸が再び開かれ、武田拳心と霧島静を除く 3 人の女性が入った。武田拳心と霧島静は大人で武術を練る人だから、後の対策について話し合っていた。
「禽獣!橘柚緒に何したんだ?」花泽桃凛は入ってくるとすぐに怒って青野に問った。
本来大家は青野の怒りと血気に震撼されていたが、橘柚緒と青野のこの一コマで、雰囲気は完全に崩れてしまった。
花泽桃凛は入ってくるとすぐに青野を責めた。
青野は面皮が厚いから、花泽桃凛を見てふふっと笑って「何もしてないよ。人目があるところで、何ができるんだ?」
「嘘だ」花泽桃凛が言う「いたずらしたんでしょ?」
青野はすぐに泣き言を言った。「ちくしょう、俺がそんな厚かましい人だと思う?」
「そうだ!」北条真绪、白川霜雪、花泽桃凛の 3 人が同声で言った。
青野は鬱陶しそうに鼻を掻いて「君たちは嫉妬しているだけだ。俺が君たちにいたずらしなかったから嫉妬してるんだろ?」
「死ね!」花泽桃凛が唾を吐いた。
騒ぎは騒ぎでも、3 人の女性は青野のことを心配していた。白川霜雪は考え込んで「青野蒼斗、どうやったら助けられるの?」彼女も当然、青野に下跪するように言うわけにはいかなかった。
大家はこれが青野の逆鳞だと知っていた。
青野は真面目な表情に変えて「君たちには何もする必要ない。僕には自分の方法がある」
北条真绪がすぐに言う「違法なことはしないで」
青野は北条真绪を見て「北条隊長、一つお願いがあるんだが?」
北条真绪が言う「言って。違法じゃないことなら、必ず助ける」
青野はふふっと笑って「北条隊長が最も規律を守る良い警察官だと知っている。もちろん違法なことをさせるわけじゃない。隊長の背景は簡単じゃないと思うが、霜雪さん、桃凛、それに橘柚緒を安全な場所に一時的に泊めていただけないか?」
白川霜雪と花泽桃凛はたちまち驚いた。
北条真绪も驚いて「どういう意味?久保影尊が彼女たちにも手を出すの?」
青野は説明しないで「万一のことを考えておかないと。隊長の長辈の家に泊めていただけるといい —— この長辈は必ず高官である必要がある」
北条真绪は一瞬考えて「わかった。承知した」彼女も青野が空目遣いをするわけではないと知っていた —— この男はだらけた様子をしても、実は知谋が豊かだ。
その後、3 人の女性は退室した。
次は武田拳心と霧島静が青野に会う番だった。
武田拳心はまず青野に深くお辞儀をして「青野蒼斗、申し訳ない。桃凛たちのことで君を巻き込んでしまった」
青野は驚いて武田拳心を支えて「武田師匠、これは使いません。僕の因縁は僕の責任で、他人には関係ない」
武田拳心は青野を深く見て —— 一瞬で青野と久保影尊の違いを見抜いた。
明らかに、青野蒼斗も久保影尊も非常に優れた若者だ。
が久保影尊は完璧主義で陰険狠毒、恭順な様子をしても心の中は非常に自慢高ぶっている。
一方の青野蒼斗は、細かいことを気にしない率直な性格で、しかし光明磊落で度量が大きい。
もし友達を選ぶなら、武田拳心は迷わず青野蒼斗を選ぶだろう。
霧島静がそばで言う「これから、久保影尊はきっと君を有罪にして刑務所に入れようとする。今回の暗殺事件の影響が薄れたら、最後の一撃を加えて君を殺そうとする。青野蒼斗、どう対処するつもり?」
青野は霧島静を見て真面目に言う「僕のことは心配しなくていい。この頃久保影尊に手を出すから、君たちは自分の安全に気をつけて。久保影尊が追い詰められて君たちを人質に取るのを防ぐためだ」
霧島静と武田拳心は少し意外だった。「どうやって手を出すつもり?」武田拳心が不禁に問った。
青野が言う「武田師匠、この件については、一旦秘密にしておいてください。後で自然に分かるようになります」
武田拳心は青野が胸有成竹だと見て「君に計画があるなら、それが一番いい」
その後、武田拳心と霧島静は辞儀をして退室した。
青野はまた独りで拘置室のベッドに座った —— この時、他のことは考えていない。脳裏には橘柚緒とキスした味わいが蘇っていた。
さらにトイレで彼女がシャワーを浴びていた誘惑的な姿も思い出した。
ああ、もし本当に橘柚緒とベッドの上で戯れられたら、それは最高だろう。
こう思うと、小腹に熱気が湧き上がった。ここで手コキをしたくなったが、上を見上げると監視カメラの赤いライトが点いていた。「くそっ、カメラがついてる」
やむを得ず、この誘惑的な思いを捨てた。
夜になると、北条真绪が拘置室に青野に会いに来た。
北条真绪は宝蓝色の警察制服を着て、胸が豊かで、颯爽とした姿で —— 言葉で表せないほど美しくて魅力的だった。
この時の北条真绪は少しくだけた様子で、青野のベッドに座り、警帽を取ると髪が滝のように下りてきた。
この時、北条真绪の颯爽さは薄れ、ほんのり妖艶さが加わった。
青野は見とれてしまった。
この男は女性に対して非常に弱い —— いつか陥るとしたら、きっと女性の手に陥るだろう。
北条真绪は青野の反応に気づかず、低い声で「青野蒼斗、今はあらゆる証拠が君に不利だ。本当に法廷に行ったら、君は必ず刑務所に入る。久保影尊は近藤狭香の家族に最高の弁護士団を付け、上下の関係も全部说得した。公的にも私的にも、君に勝算はない。分かる?」




