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狼王、都市に潜む:鉄拳で花を守り、商業帝国を築く  作者: 転生下書き人


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青野、雷暴・武田東を打ち破る~北条の信頼と脱罪の糸口

青野蒼斗の背後は壁だった —— 羚羊掛角りょうようかっかくの身法も使えない状況だ。

この点については、雷暴と武田東も知っていた。彼らは来る前にこの場所の地形を調べていたからだ。

がその瞬間、暗闇の中で突然火花が散り、耳障りな銃声が鳴った。

銃声は切迫して耳に刺さり、非常に突拍子もなく信じられないものだった。

その後、武田東はまるで負傷した小鳥のように倒れた。

彼の眉間からは血がどっと溢れ —— 一発で即死したのだ。

この銃撃はもちろん青野蒼斗がしたものだ。青野は久保影尊が今回は必ず手強い手を出すと思っていたので、拳銃を盗んでいたのだ。

青野蒼斗の射撃技術は天下無双だ。

こんな近い距離で突然撃てば、武田東も警戒していなかったため、たとえ高手でも一発で倒される。

青野は一発撃った後、もう二発目を撃つ機会はなかった。

なぜなら雷暴がすでに襲いかかってきたからだ。

雷暴の猛々しい拳圧に直面し、青野は冷笑して首を突然縮めた。

亀の首を縮めるような動きだ。

彼の頭はまるで突然消えたかのように見えた。

雷暴の一撃は空振りになった。

青野は両手を外に押し広げると、手錠は即座に折れた。彼は勢いよく一歩踏み出し、轟雷拳印ごうらいけんいんを打ち出した。

拳風は爆裂し、まるで雷鳴のように轟いた!

その威勢は恐ろしかった!

轟雷拳印は青野蒼斗の得意技で、この一撃の威力は計り知れなかった。

たとえ雷暴が拳力の猛々しさで名高くても、青野のこの一撃には依然として抗えなかった……

青野蒼斗は常に大日月訣だいにちげつけつを修行していた —— この訣は骨身を鍛え、自身を強化するものだ。

そして彼が修行している勁は天玄罡勁てんげんごうけいだ。彼の全ての勁は天玄罡勁で、この勁はまるで 1 万ボルトの電流のように螺旋の力を帯びており、非常に猛々しかった。

大日月訣、天玄罡勁、羚羊掛角 —— この三つの絶技が、青野蒼斗が今まで生き残ってきた最大の資本だ。

轟雷拳印の中には天玄罡勁が含まれており、その猛々しさは天下無双だ。

雷暴は慌てて一歩後退し、青野の轟雷拳印を避けた。青野は拳印が空振りする前に、突然前に駆け出して羚羊掛角の绝妙な身法を使った。

雷暴は眼前がひらめくように、再び猛々しい風圧が襲いかかってくるのを感じた。

また轟雷拳印だ!

雷暴は今回は避ける場所がなかった。彼は丹田に気を込めて大声で叫び、凶暴な拳を打ち出して迎えた。

ドンと音を立て、両者の拳力が衝突した。青野の天玄罡勁は瞬く間に雷暴の拳力を打ち破り、この螺旋電流が雷暴の拳の中に入り込み、全身を痺れさせた。

雷暴の体は激しく震えた —— この震えには大きな意味があった。まるで鶏がムカデをつかんで、ムカデが激しくもがく時、鶏が体を震わせるとムカデの力を全部解きほぐすのと同じだ。

雷暴は青野の螺旋電流の勁を直接解きほぐし、その後体を猛然と屈めて両腕を太い鋼索のように青野に抱きつこうとした。

封じ込めるような構えだ!

一旦抱きつけば、雷暴は強大な力を爆発させて青野の腰を締め切ろうとするだろう。

青野は少し驚いた —— 雷暴の技が意外にも手強かったからだ。この雷暴は反応が速く、本物の高手だ。青野は慌てることなく、両手を突然下ろして外に返し、雷暴が抱きつく瞬間に、両手を鋭い龍爪手りゅうそうしゅに変えて雷暴の腕に巻きつけた。

この巻きつきは、まるでトゲだらけの茨のように雷暴の筋肉を引き裂き、痛みで死にたくなるようにさせるだろう。

雷暴も顔色を変えた —— 青野の恐ろしさに気づいたからだ。この男は全身がトゲだらけで、格闘スタイルは神業の域に達している。一つ一つの変化が頭を痛くさせる。本当に抱きつくわけにはいかなかったので、やむを得ず両掌を地面につき、激しい回し蹴りを繰り出した。

千軍を掃くような蹴りだ!

雷暴は今日、绝对に青野を殺せないと悟った。今の唯一の考えは逃げることだった。

雷暴の一撃が横から掃き込んでくると、青野は避けずに直接一脚を蹴り返した。

ドンと音を立て!

雷暴の脛骨は直接折れ、惨叫を上げた。

青野は続けて一指天玄指勁てんげんしきんを稲妻のように打ち出し、瞬く間に雷暴の少陽経絡しょうようけいらくに命中させた。この一指で雷暴の経絡を封じ、血液の流れを悪くした。もし無理に力を込めれば、血管が破裂するだろう。

天玄点穴手てんげんてんけつしゅ—— これも青野蒼斗の技だ。

点穴は小説のように「一度命中させれば動けなくなる」わけではない。この点穴術は「寸進打穴すんしんだけつ」とも呼ばれ、人の経絡を封じるものだ。封じた後も歩いたり話したりはできるが、力を入れることはできない。なぜなら力を入れるには血液の供給が必要で、経絡が封じられれば力を入れすぎると血管が破裂するからだ。

まさにこの時、拘置所の明かりが再びついた。

警察署の警察官もすぐに駆けつけてきたが、現場の状況を見て一瞬呆れてしまった。

青野蒼斗はだるそうに片側に座って、悠々とした様子だった。

北条真緒は近藤狭香の遺体が火葬されるのを阻止しようとしたが、途中で巡查から「近藤狭香の遺体は既に火葬された」と電話があった。北条真緒は激怒して巡查を叱責したが、彼女はこの巡查が金を受け取っていることを知らなかった。さもなければ近藤狭香の遺体はそんなに簡単に火葬されなかっただろう。

その同時に、北条真緒は警察署から電話を受け取った。

拘置室で変事が起きたという内容だ。

北条真緒はこの知らせを聞いて、速く警察署に戻ってきた。

警察署に戻ると、彼女はまず武田東の遺体を見て、雷暴は病院に運ばれて包帯を巻かれることになった。

北条真緒は再び青野を取り調べ室に連れて行った。

「俺の拳銃を盗んだ?」北条真緒は最初に問い詰めた。

青野はにっこり笑って「これは盗みじゃなくて、借りだ」

「拳銃の使い方を知ってる?」北条真緒は再び厳しい口調で「到底どんな人だ?君の過去はきれいじゃないだろ?」

青野は北条真緒を見て「俺の過去がきれいかどうかは調べれば分かる。少なくとも国内では一度も犯罪をしたことがない。以前は国外で傭兵として働いていたが、これで罪を科せるつもり?」

北条真緒は青野の国外での経歴については管轄できず、証拠も集められない。彼女はまた「どうして誰かが君を殺そうとすることを知っていた?」

青野が言う。「簡単だ。久保影尊は俺を刑務所に入れたいわけじゃなく、死なせたいんだ。それに、近藤狭香の件は調べれば調べるほど疑問が浮かぶから、彼はまず近藤狭香の遺体を火葬し、その後手下行きを 2 人派遣して俺を殺す。最後に俺の遺体を警察車に乗せて、罪を恐れて逃亡したように見せかける。そして途中で警察車に事故を起こさせ、車ごと炎上させる假象を作る。こうすれば彼は俺を殺しつつ、全てを完璧に隠すことができる。今ここで俺を調べるのは無駄だ。久保影尊を調べるべきだ」

北条真緒は青野を深く見た —— この青野蒼斗が普通のチンピラではないことに気づき始めた。この男は本当に頭がいい。が久保影尊を調べるのは現実的ではなかった —— 一件の事全体に久保影尊の名前は出ておらず、全てが青野の単独の主張だからだ。

その上、久保影尊は大阪市で人脈が広く、家族も燕京で力を持っている。北条真緒には久保影尊を調べる資格がなかった。

その同時に、北条真緒はまた電話を受け取った。

病院からの電話で、雷暴が誰かに救い出されて行方不明になったという内容だ。

北条真緒は悔しさを感じた —— 本来は雷暴を尋問して久保影尊に繋げることができたのに。今雷暴が逃げたことで、久保影尊を調べる方法はさらになくなった。

北条真緒は考えに耽った。

青野蒼斗は悠々と北条真緒を見て —— この女は警服を着ると颯爽として魅力的だと思った。特に真剣に考えている時は、なおさら魅力的だ。

「たとえ近藤狭香の殺人犯が君ではないと信じても」北条真緒が言う「が今、近藤狭香の遺体は火葬されてしまい、彼女の家族は君を突き放そうとしている。検死報告の証拠から見れば、君には非常に不利だ。今、どうすればいいと思う?」

青野蒼斗もこの件の後始末が手強いことを知っていた。近藤狭香の家族が必死に自分を訴え、証拠もなく、いわゆる検死報告まであれば、自分はまるでズボンに黄泥がついたように —— うんこでもないのにうんこだと言われる始末だ。

この件は裁判で勝つのが非常に難しい。

青野蒼斗が今、罪を晴らして拘置室から出るのは無理に近い。武田東の遺体はここにあり、ある程度証拠にはなるが、この証拠も一方的な主張で、法廷での審理に耐えられない。

久保影尊は力が強いので、関係者を买収して法廷に青野を有罪判決にすることができる。

北条真緒は心の中では青野に味方していたが、法に従って行動しなければならず、青野を放つことはできなかった。

青野は答えられなかった。

「なぜ横須賀市に来たんだ?」北条真緒はその後突然青野に問った。彼女は警察官だから、今日青野を殺そうとした殺し屋が普通の人ではないことを知っていた。がこの 2 人を青野が解決したことから、青野の腕前が非常に優れていることもわかった。

青野は北条真緒を見て —— 今は北条に頼る必要があることを理解していたので、隠すわけにはいかなかった。その場で本当のことを話し、白川陽斗と白川霜雪の関係、そして白川陽斗が死んだことを話した。

「白川陽斗が死んだから帰ってきて、彼の妹を守ろうとしただけ?」北条真緒はこの瞬間、青野を見る目が変わった。

間違いなく、北条真緒はロマンチックで理想主義者だ。青野の伝説のような経歴を聞いて、心の中で大きく考えが変わった。

北条真緒は、青野蒼斗のような人は小説や伝説の中にしかいないと思っていた。

現実には存在しないはずだった。

「白川陽斗が死んだことは霜雪さんにはまだ知らせていない。彼女には言わないで」青野蒼斗が低い声で言った。「帰ってから、ずっと霜雪さんの会社で警備員として働いていた。今回黒田鉄蔵が彼女に手を出さなければ、手を出すつもりはなかった。本来はこのように平穏に過ごせると思っていたが、意外にもトラブルが起きた」

北条真緒は深呼吸をして「安心して。白川霜雪には言わない。ただ、今回久保影尊が君を殺せなかったから、きっと後でまた手を出すだろう」

青野が言う。「今は一歩一歩進んでいくしかない」実は彼の心の中では既に考えがまとまっていたが、北条真緒には言わなかった。事実上、青野蒼斗は怒っていた —— 久保影尊は人を欺きすぎた。自分は一再譲歩したが、久保影尊は必死で自分を殺そうとしていた。

北条真緒が言う。「君の境遇を同情して、助けたいと思う。が今のところ、君を放つことはできない。理解してくれ」

青野は頷いて「君が俺を信じてくれるだけで、もう感動している」

北条真緒が言う。「でも、全力で証拠を集めて、君の無実を証明しようと思う」

青野は少し感動して「ありがとう」

その後、北条真緒は青野を拘置室に戻した。拘置室は既に掃除され、ドアも新しく取り付けられていた。

武田東の遺体は霊安室に運ばれ、法医学者が検査するのを待っていた。全ての手続きは速く進み、青野蒼斗は今回は正当防衛だった上に、北条真緒の助けもあるので、武田東を殺したことについては問題がないだろう。

夜は静かだった。

青野蒼斗は拘置室のベッドに横になった —— 彼は血雨腥風に慣れている人だから、拘置室で人が死んだことで怖がるわけはなかった。

橘柚緒、霧島静、白川霜雪たちは、今夜ここで起きたことを知らなかった。

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