青野柚緒の甘い共演→霧島の援護で決戦場へ
橘柚緒の頬が赤くなったが、心の中は嬉しかった。このシャリーは 7 割くらい新しく見え、外に出ても恥ずかしいと思わなかった。むしろ BMW よりこの車に乗る方が安心できると感じた ——BMW はどんなに良くても見知らぬものだが、このシャリーは親しみやすかった。
青野は嬉しそうに橘柚緒のためにドアを開け、その後運転席に座って車を発進させた。家に帰ると、橘柚緒は部屋の中に準備された食材を見て、まるで小さな家庭のような光景に目を潤ませた。
青野は橘柚緒に驚きを与えようと思っていたのに、こんな反応があると慌てて「柚緒姐、俺が何か間違えたの？怒らないでください」と言った。
すると橘柚緒は振り返って青野の胸に飛び込んだ。青野は橘柚緒の柔らかい腰を抱え、豊かな胸の触感を感じて心が激しく躍った —— この感覚は最高だった。
橘柚緒はこの夕暮れの場面に「家」の温かみを感じた。いつからかこんな感じを失っていたのかもしれない。当時衝動的に結婚したら、まるで地獄に落ちたようだ。今ではこの街で独りで頑張って生きていき、誰にも頼らない。尊厳を守るために頑張っていた。
もともと父母とは大げんかをしてしまい、自分が人を選ぶのを間違えたことも事実だから、父母に会う勇気がなかった。
しばらくして橘柚緒が冷静になると、目を潤ませたまま背を向けて青野に見られないようにした。その後「青野蒼斗、部屋の整理をして。俺が料理を作るから、すぐに食べられるよ」と言った。
青野は「わかった！」と答えて外に出た。橘柚緒が感動したと思って、とても嬉しかった。
この夕食はとても楽しく済んだ。食後、青野はお皿の片付けを手伝おうとしたが、橘柚緒が止めた。「本当に賢い女だ」と青野は心の中で感慨した。
食後、青野は橘柚緒の部屋にいつまでもいたが、橘柚緒が片付けを終えて座ると、二人は適当に話をして温かくて和やかな雰囲気だった。青野は橘柚緒が少しずつ自分を受け入れているのを感じ、「良いスタートだ」と思った。
が、急ぐわけにもいかないと知っていたので、主动的に帰ることを提案した。橘柚緒も引き留めず、立ち上がって見送った。
午後 10 時になると、橘柚緒はいつものようにシャワーを浴びに行った。青野は興奮して覗き見て、トイレの中の美しい体を見ながら「目標にだんだん近づいている」と思った。いつの日か、覗き見せずに本当に柚緒姐を抱き、自分の女にすることができるだろう。その時の快感は最高だろう。
あっという間に 3 日が過ぎた。朝、天気は晴れだった。
黒田鉄蔵から先に電話がかかってきた。電話の中で陰険な声で「午前 10 時、佳悦剣道クラブ。師兄が待っている」と言った。
青野はだるそうに「俺が分かった、退け」と言って電話を切った。黒田は怒り狂ったが、どうすることもできなかった。
青野は起きて身支度をした。橘柚緒も起きて、二人は会うとにっこり笑い合い、温かくて嬉しい雰囲気だった。本来青野は身支度を終えたら橘柚緒を仕事場まで送るつもりだった —— 橘柚緒の仕事は休みが少なく給料も低く、大変だった。
二人が出かけようとした時、外にポルシュが停まった。その後、霧島静の手下である黒田清が降りてきた。黒田清は厳格で古株な性格で、怒らなくても威圧感があった。
急に高級車が停まり、黒田清が青野に向かってくるのを見て、橘柚緒は少し怖くて慌てた。「友達だ」と青野は橘柚緒の緊張を察知し、すぐに彼女の柔らかい手を握って励ました。橘柚緒はそれを聞いて落ち着いた。
その後、橘柚緒は驚く一幕を見た。黒田清が青野の前に来て、非常に恭敬な声で「陳さん、しず姐がお迎えに来させていただきました」と言った。
青野は淡淡に笑って「霧島さん、気遣いすぎでは？」と言った。
黒田清がにっこり笑って「陳さん、しず姐が言いました。人は着るもので評価され、仏は金で輝く。こちらも気迫を見せないと、相手に見下されてしまうからです」
青野は霧島静が真心で自分のことを思っていることに気づき、もう拒否するわけにはいかなかった。「いいよ」と言って橘柚緒の手を握り「先に仕事場まで送るね」と言った。
橘柚緒は青野に手を握られて頬が真っ赤になり、逃げたくもなったが離したくもなく、心が矛盾した。青野はそのまま橘柚緒をポルシュに乗せた。黒田清も運転席に座って車を発進させた。
青野は黒田清に「まず横須賀中央商店街の携帯店まで」と指示し、黒田清は「わかりました」と答えた。車が動き出すと、青野は名残惜しそうに橘柚緒の手を離した —— その柔らかさが忘れられなかった。
「今日は人と決闘するの？」橘柚緒が突然問った。青野は何も言わなかったが、片言隻語から察していた。
青野はにっこり笑って「そんなもんだ。でも、度胸はあるよ」と言った。
橘柚緒は勇気を出して「俺も一緒に行っていい？」と問った。
青野が「仕事は？」と言うと、橘柚緒が「休暇を取るか、無断欠勤する」と答えた。青野は橘柚緒の決心を見て、仕方なく同意した。
橘柚緒はすぐに休暇を申し込む電話をかけたが、店長は融通がきかず「来ないと解雇する。給料も払わない」と言った。この店長は中年女性で、険しくて意地悪だった。
橘柚緒は少し照れた —— 中年女性の声が大きすぎて、黒田清と青野も聞こえたからだ。
「電話を渡せ」青野が手を伸ばした。橘柚緒が愣けている間に、青野はすぐに電話を取った。電話の向こうでは女性店長がまだガサガサ言っていたので、青野が冷たく「黙れ！」と言った。
この一声には恐ろしい殺意が込められていた。女性店長は一瞬で怖がって黙った。青野が続けて「明日、柚緒姐の給料を用意して。俺が取りに来る。もし払わなかったら、口を裂いてやる」と言って電話を切った。
橘柚緒の心は温かくなった —— 男に庇ってもらう感じは本当に良かった。
霧島静は茶屋の前で青野を待っていた。茶屋の前には全部で 6 台の高級車が停まっていて、全部クラウンかジャガーだった。ジャガーの車体のラインは滑らかで完璧で、塗装は高貴さを漂わせていた。この光景は少し衝撃的だった。
ジャガーのそばにはそれぞれ黒いシャツを着た大男が立っていて、誰もが鋭い気迫を持っていた。橘柚緒はこの場面を見て自然に怖くなったが、青野がすぐに彼女の手を握ってくれたので、心が少し落ち着いた。
同時に橘柚緒は「これは大きな事だ」と感じた。本来は決闘は簡単で小規模なものだと思っていたが、この様子を見ると絶対にそうではないと悟った。心の奥で青野のことを心配し始め、振り返って青野を見た。
が、青野はくつろいでいて、橘柚緒を連れて霧島静の前に来てにっこり笑って「霧島さん、この構えはヤクザみたいだね」と言った。
霧島静は黒いスポーツウェアを着て颯爽とした姿で、強い存在感から見上げたくなる衝動があった。霧島は淡淡に笑って橘柚緒を見て「そばの女性を紹介してくれない？」と言った。
青野はにっこり笑って「俺の友達、橘柚緒だ」と言った。
橘柚緒は照れて手を離し、霧島に会釈して「こんにちは」と言った。霧島は手を伸ばして「橘さん、こんにちは」と言った。二人は握手してから離れた。
霧島が青野に向かって「今回、几位の大師が来ている。寺内堅心側は大げさな構えをしているから、君が質素だと相手に見下されて話が通じない。話が通じなければ、少林の在家門人の纠缠を一掃することはできない」と説明した。
青野もこの道理を懂っていた —— 地位が低い人の話は誰も聞かない。決闘前に後のトラブルを断ち切りたいなら、こちらも力を見せなければならない。この点、霧島静の方が思い深かった。
青野は笑って拳を合わせて「ありがとう！」と言った。
霧島はこれ以上言わず「車に乗ろう」と言った。一同は順番に車に乗った。橘柚緒と青野は同じ車に乗り、霧島は単独で一台の車に乗った。その後車が発進した。
橘柚緒と青野の車を運転していたのは黒いシャツの大男で、沈着冷静で無口だった。橘柚緒は少し緊張して青野を見た。青野も彼女を見返した。
「本当に大丈夫？」橘柚緒が問った。
青野は笑って「もちろんだ」と答えた。橘柚緒の心はそれで少し落ち着いた。
青野が突然「でも柚緒姐、女のキスは男に幸運をもたらすって聞いたよ。俺たちは友達だから、幸運を祈ってくれない？」と言った。
橘柚緒の頬はたちまち真っ赤になった —— 照れてできなかった。前で運転していた大男はこれを聞いて顔色を変えた。青野はこんな時にも女性を口説いていると思った。
青野はすぐに自虐的に「哎、いいよ。自分で幸運を祈るか」と言った。橘柚緒は反対側を向いて黙った。青野は「冗談が過ぎたか」と思って慌てて「柚緒姐、冗談だよ。怒らないで」と謝った。
橘柚緒が照れて「そんな冗談は悪いよ」と言った。
佳悦剣道クラブは今日、外部の客や会員を受け入れずに封鎖されていた。寺内堅心たちは早く到着し、今はクラブの中で休憩していた。青野たちが到着すると、少しの騒ぎが起きた。
花泽桃凛、白川霜雪、武田剛雷も当然来ていて、三人は外で青野を待っていた。青一色の高級車がやってきて、青野と橘柚緒が降りるのを見て、三人は顔色が怪しくなった。
「青野蒼斗！」白川霜雪と花泽桃凛が先に迎えに来た。二人は美しいドレスを着て、精巧な鎖骨を見せ、非常に美しかった。
白川は一声叫んだが、一時的に何を言って良いか分からなかった。花泽は複雑な目つきで「青野蒼斗、今日勝ったら謝罪する」と言った。この数日、彼女も大変苦しんでいた。
