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狼王、都市に潜む:鉄拳で花を守り、商業帝国を築く  作者: 転生下書き人


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寺内に窮地の武田→青野登場!生死約束の闘い

武田剛雷は寺内堅心に見つめられて気持ちが悪くなり、思い切って大声で叫びながら体を稲妻のように動かした。一歩を駆け出し、そのまま「半步崩拳はんぽほうけん」を打ち出した。武田の半步崩拳は極めつけの技で、彼の一番の得意技だった。

風が破裂するような勢いで、体が揺らぎ、拳は重い弓が切れるような力を含み、稲妻のように寺内の胸腹部に突き刺さる。拳の中には強い螺旋電流のような勁が込められていた。

が、寺内堅心はその場に一歩も動かずに立っていた。武田の拳が寺内に届きかけた瞬間、寺内の胸腹部が突然引っ込み、丁度武田の拳を収めるように窪んだ。それだけでなく、武田はすぐに拳の力が空回りしたと感じ、悪い予感を覚えて逃げようとしたが、寺内の胸腹部からは引力が働き、手を引き抜けなくなった。

同時に寺内も手を出し、稲妻のように武田の首を掴んだ。武田は寺内に持ち上げられ、顔はすぐに紫黑色になった。このままだと窒息して死ぬだろう。武田は足をバタバタさせ、極度の苦痛に苛まれた。

この一連の動きは一瞬で終わった。白川霜雪と花泽桃凛は、武田が寺内に向かって飛びかかり、その後寺内が武田を掴み上げたのをただ見ていただけだ。寺内の実力はあまりに恐怖だった。

黒田鉄蔵は「警備王」と呼ばれながらも武田の敵ではなく、その武田が寺内には一回合も持ちこたえられなかった。花泽と白川はこの光景を見て顔色を白くし、花泽は慌てて叫んだ。「止めて!早く止めなさい!」—— 兄が殺されるのを見ていられなかった。思い切って寺内に向かって飛びかかった。

白川は少し冷静で、すぐに青野蒼斗に電話をかけた。花泽が近づくと、寺内はもう一方の手で袖を一振った。激しい風が吹き起こり、花泽は勢いで吹き飛ばされて地面に倒れた。

この時、花泽は絶望に陥った。白日の下で兄を殺そうとするなんて、寺内の大胆さに信じられなかった。白川は厳しい声で言った。「こちらは国内だ。人を殺せば刑務所に入り命で償わなければならない。早く人を放せ」

寺内は淡淡と黙ったままだった。武田の呼吸はだんだん弱くなっていった。

警備員たちが騒ぎを聞いて駆けつけると、白川は急いで命令した。「早く人を救え!」夏目忠を含む警備員たちも、この場面を見て辞さずにトンファを持って寺内に向かって襲いかかった。

が、寺内はその場に立ったまま袖を連続で振った。ドンドンドン!一瞬の間に、彼の袖は恐怖なムチのように警備員たちを打ちのめし、苦しむ声が上がった。誰も寺内に歯が立たなかった。

突然、残影が一闪した。疾風のように現れた!

ドン!

青野蒼斗がやっと到着した。両者の拳がぶつかり合い、寺内は三歩後ろに下がってやっと立ち直り、青野は武田を掴んでも三歩後ろに下がった。

青野は武田を放すと、武田はすぐにガスガスと息を荒くした。花泽と白川は急いで武田のそばに寄り添い、心配して問うた。「雷兄、大丈夫?」花泽の目からは涙が溢れた。

武田は手を振って「大丈夫だ」と言った。花泽と白川はほっとため息をついた。二人の視線は青野の身上に集まった。青野の登場はまるで神のようで、彼女たちに無限の安全感を与えてくれた。

青野は周りの人々を無視し、寺内を見た。その後、ガタガタと起き上がる黒田鉄蔵の方を見て、にっこり笑いながら言った。「黒田鉄蔵、俺の話は全部忘れたみたいだな。こいつを呼んだから安全だと思ってるの?」

黒田が青野の目を見ると、心が凍るような寒さを感じ、思わず二歩後ろに下がった。青野は黒田を置き去りにして寺内に向かって言った。「黒田のために出かけてきたのだろ?来い来い、今日はここで解決しよう」と言いながら手を出そうとした —— その火爆した性格が丸出しだった。

が、寺内は手を出さずに青野を見て言った。「君は確かに俺が手を出す価値がある。だが今日は闘わない。俺は恩讐を解決するために来た」

青野は冷笑して「俺の武田兄弟を殺そうとして恩讐を解決するの?」と言った。

寺内は淡淡に「この施主が先に俺に手を出したからだ」と答えた。

青野はこの問題をこだわらず「いいだろう。どうやって恩讐を解決する?」と問った。

寺内が言う。「俺たちはどちらも武を練る人だ。武人が問題を解決するなら、武人のやり方で解決すべきだ。こうしよう。三日後、佳悦剣道クラブで待っている。その時、生死状を結ぼう。誰かが死んでも負けても、他人には関係ない。もし君が負けたら、花映社を前に話し合った価格で弟に売る。どうだ?」

青野は冷淡に「いい算段をしてるな。君が負けたらどうする?条件はないの?」と言った。

寺内が「君はどうしたい?」と問うと、青野が言う。「黒田鉄蔵には横須賀市から永久に出ていくようにさせる」

寺内は頷いて「できる」と答え、少し止めてから「花映社のことについては、君が決められるの?」と問った。

「もちろん決められる」青野が言う。

寺内が「よし。帰ったら弟に契約書を作成させる。その時、武術界の先輩たちを呼んで公证人にしよう」と言い、そのまま振り返って歩き出した。黒田は後ろからついていった。

「なぜ相談もせずに勝手に決めたの?」花泽桃凛が青野に文句を言った。たとえ青野が武田を救ったとしても、花映社を賭けに出したことは、花泽と白川を怒らせた。

一瞬、花泽と白川の頭の中に恐怖な思いが浮かんだ —— もし青野が黒田のスパイで、この方法で自分たちの会社を奪おうとしていたらどうしよう?

青野は呆れた。花泽の怒りを感じ、白川の目にも不満があることに気づいたが、彼女は言い出せずに我慢していた。青野は黙った後、「すまない。相談しなかったのは俺の悪い。だが安心して。もし負けたら、命で償う」と言った。

そう言って、青野はこれ以上話さずに花映社から離れていった。この瞬間、青野蒼斗の姿は少し物憂げで寂しげに見えた。

花泽と白川は呆れて立ったままだった。心中には同情の念が湧いた。武田剛雷は心有余悸で、好奇に「この青野蒼斗は誰だ?」と問った。—— この青野の恐ろしい腕前を考えると、なぜ突然花映社にいるのか不思議だった。

花泽が「彼の来历はあまり知らない。以前は会社で保安をしていた。後で黒田が問題を起こした時、彼が手を出して救ってくれたので、運転手兼ボディガードにしたんだ」と説明する。

「この人は絶対に問題がある」武田がすぐに言った。

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