武田剛雷、半步崩拳で黒田撃破！不動羅漢対峙
するとその時、花泽桃凛が立ち上がって驚いて叫んだ。「雷兄！どうしてここに来たの？」と速歩で近づき、青野蒼斗を手で払いのけた。「臭い青野蒼斗、早くどけ！これは俺の表哥だ」
青野はがっかりしたが、仕方なく道を譲った。この「雷兄」は武田剛雷といい、武田拳心の愛弟子だった。
武田剛雷は花泽に対しては優しく、にっこり笑って風格高く言った。「こっちで用事があったので、ついでに君を見に来たんだ」
武田剛雷の声は磁性があり沈穩で、まるでドラマの主人公のようだった。花泽は少し愚痴った。「雷兄、事前に言ってくれれば迎えに行ったのに」
武田剛雷は淡淡に笑う。「そんなに面倒なことは要らない」
白川霜雪も容姿を整えて近づき、にっこり笑って手を差し出した。「武田さん、こんにちは」
武田剛雷が白川を見ると、眼中に恋慕の色が閃いた。老实说、白川は本当に美しく、岡崎亦菲に似た容姿に加え、恬淡で清潔な性格がある。白いドレスを着て、まるで雪の妖精が人間界に降りてきたようだった。
武田剛雷は白川の手を軽く握ったらすぐに離し、物腰も適度だった。「霜雪さん、以前お会いしたことがありますよ」と微笑んで言った。
白川も笑って「武田さん、まだご飯を食べていないでしょう？今日は私がおごります」と言った。
武田剛雷は淡笑いして「恭敬不如従順です」と答え、少し止めてから「霜雪さんも桃凛と親友ですから、『武田さん』と呼ばれると少し気まずいです。不如、『兄』と呼んでいただけませんか？」
白川はこだわらず「雷兄！」と呼んだ。武田剛雷は朗らかに笑って「今日妹が増えたんだ、嬉しいです」と言った。
青野はそばで見て、心の中で思った。「クソ、明らかに霜雪さんを狙ってるな！」
が、青野は特に意見もなかった。反正霜雪さんは結婚するものだから。ただ武田剛雷の人間性については、よく調べておかないといけないと思った —— 青野は白川を「実の妹」のように思っているので、どんなことにも気を配った。
その後、青野は社長室にいる必要がなくなったので、静かに退室した。オフィスに行って女性社員たちをからかい、大家もエッチなジョークを交わして、青野は気持ちよく過ごしていた。
その後、武田剛雷は白川と花泽と一緒に外に出かけた —— 外で食事をするつもりだった。白川は特意に青野に電話して、「今日は送迎しなくてもいい、自由に過ごせ」と伝えた。
青野は武田剛雷が高手だと知っているので安心し、他に用事もないので会社で退社まで過ごし、その後橘柚緒を迎えに行くつもりだった。
翠嵐ビルの外で、武田剛雷たちがビルから出ると、まだ車に乗っていない時、突然オーディが駆け付けてきた。オーディはガシャッと停まり、ドアが開いた。
白川は悪い予感を感じた。最初に降りてきたのは黒田鉄蔵で、彼は恭敬に後ろのドアを開けた。そこから 30 代ぐらいの男性が降りてきた。
男性は白いボタニアンを着て、布製の靴を履き、手には青い数珠を持っていた。背丈は高くないが、体つきは非常に逞しく —— 太っているのではなく、筋肉質だった。
黒田はこの男性を非常に畏敬しているようで、一路案内しながら殷勤に仕えた。男性はあまり話さず、淡淡に白川の方に向かってきた。
武田剛雷の眼中に光が輝いた —— 男性の歩き方は大地のように安定し、淵や山のような重厚感があることに気づいた。この男性は绝对的な高手だった。
武田剛雷は好奇になった —— この男性は何のために来たのか？
白川と花泽は顔色を白くした。誰がこの二人が自分たちを狙っているか分からないわけではなかった。武術はできないが、男性の恐ろしい気配を感じることができたので、当然怖かった。
武田剛雷は二人の恐怖を察知し、男らしさを発揮して前に出て遮り、「怖がらないで、俺がいるから」と言った。その後、男性と黒田に冷たく問うた。「君たちは誰だ？ここに何するの？」
この男性はもちろん、黒田の師兄・不動羅漢だ。彼ら師弟はいずれも少林の在家門人で、不動羅漢の本名は寺内堅心だ。
寺内は武田剛雷を淡く見て、一言も言わなかった。黒田が直接的に話した。「どけ！俺たちは青野蒼斗というクソ野郎を探している。早く出てこさせろ！」
武田剛雷の眼中に怒りが浮かんだ。彼も心高い性格だから、黒田のような侮辱を許せなかった。もちろん武田剛雷は青野蒼斗が誰か知らなかったが、黒田の言い方は明らかに挑発で、許せないことだった。
武を練る人は侮辱を受けると、即座に怒りを爆発させる。その瞬間、武田剛雷は黒田を冷たく見て「口が汚いな。自覚してこられるのか？」と厳しく言い、すぐに手を出した。
武田剛雷は形意拳を練習していた。昔の郭云深は形意拳の達人で、「半步崩拳で天下無敵」と言われた。この時、武田剛雷は霊蛇が穴から飛び出すように素早く進み、手を鷹爪の形にして黒田の喉元に突きつけた。風は肌を刺すように冷たかった。
黒田は驚いた。彼も武術の高手だから、危機の中で一瞬後ろに退き、指を刀のように立てて武田剛雷の手の経絡に突き刺そうとした。これは「経絡を封じる手」という技だ。
黒田は少林武術を学び、鷹爪鉄身術や七十二特技の摑み手も習得しており、この技は摑み手の一つだ。
武田剛雷は冷笑して鷹爪手を引っ込め、腕全体を柔らかくした。続いて「蟒蛇が獲物を巻き付ける技」を繰り出し、腕を黒田の手首に巻き付けた。この時の武田剛雷は、まるで千年の霊蛇のように険しくて诡抜かった。
形意拳は「形と神を一致させる」ことが核心だ。黒田は慌てて体を後ろに退いたが、高手同士の戦いでは「退く」ことは「優位を失う」ことだ。黒田が退くと、武田剛雷は即座に追いかけ、拳を崩して打ち出した —— それは猛々しい「半步崩拳」だった。
ドン！という音と共に、武田剛雷の拳はまるで数百斤の重い弓を満たした後、弦が切れるような激しい力で飛び出した。黒田は避け切れず胸に命中し、勢いよく飛ばされて血を吐き、もう起き上がれなかった。
武田剛雷はその後にうへっと笑い、寺内堅心を見た。「これで確執はついたから、もうためらう必要はない」と思い、寺内に向かって拳を合わせて「どうぞ」と言った。
寺内は依然として武田剛雷を冷淡に見て、全く反応しなかった。
