北条翁登場!少林への救済要請
霧島静の話が終わると、青野蒼斗と北条真緒はともに表情が奇妙になった。北条真緒はさらに顔が真っ赤になって慌てて「そんなことできるわけない!」
青野蒼斗も咳払いをして「この冗談は一点も面白くない」
霧島静は淡く言う「結婚した後で離婚してもいい。今の時代、そんなこと大したことない。どうしてこんなに大反応するの?」
北条真緒は少しつまり言って —— 一瞬心が慌てだしたが、心の奥には隠せない嬉しさがうずいていた。
青野蒼斗は微微と苦笑いをして「しず姐、俺はまだ女の人の庇護を受ける程度になっていない」
霧島静が言う「忘れてる?今回真緒が及時に駆けつけてくれなければ、俺たちはもう死んでいる」
青野蒼斗は不由に言葉が詰まった。
北条真緒は沈思した後、霧島静を見て「しず姐、俺が青野蒼斗と結婚すれば、青野蒼斗は危険がなくなるの?」霧島静は北条真緒を見て「北条翁の孫女婿が殺されたら、どんな結果になると思う?少林内門の勢力が再び大きくても、この結果を考慮に入れなければならない」
北条真緒は深く息を吸い込んで —— 大きな決心をしたように「わかった。青野蒼斗、しず姐の言う通りにしよう。すぐ爺爺にこの事を報告する」
「やめて、千萬に!」青野蒼斗は焦って「何なんだこれは、絶対にダメだ」彼の反応が一番激しかった。
北条真緒の心が一沉んだ —— 愣然とした後、深く考えたくなくて「これは今の応急の策だ。心理的な負担を感じる必要はない。お前は俺の救命恩人だから、こんなことをするのは何でもない」
青野蒼斗は眼神が堅固で「就算偽装結婚でもダメだ。俺はお前にこんなことをさせたくない」
「なぜ?」北条真緒は不可解だった。
青野蒼斗が言う「理由はない。とにかく誰とも結婚しない。本物の結婚でも偽装結婚でも」この男は普段はだらけた様子だが、時に意地っ張りになると、天王老子でも手に負えない。
北条真緒の心に一筋の酸味が涌いた —— もちろんお前は俺のこと一点も好きじゃないのかなんて矯揉造作なことは聞かなかった。ただ察しがつかないほどの憂いを浮かべて「算了、お前の考えが理解できない。俺も願いではないわ。お前が承諾しないなら、言わなかったことにしよう」
霧島静は青野蒼斗を見て「那么お前はどうする?本当に自分が天命の子で九つの命を持って、永遠に死なないと思っている?青野蒼斗、少林内門の人々は想像を超えて強い。お前の掌握から外れている。今お前は彼らを完全に怒らせた。就算横須賀市を離れてもダメだろう。横須賀市には真緒がいるから、彼らは鼠を投げて器を忌むかもしれない。一旦横須賀市を離れて武道大会から完全に遠ざかれば、彼らはすぐにお前に殺し屋を派遣する。本当に自分の命を惜しまないの?」
青野蒼斗は微微と苦しそうに —— 今自分が本当に馬蜂の巣を突いたことを知っている。沈黙した後「橘柚绪を離れたのは、結婚したくないからだ。今は生きるために真緒と結婚し、彼女の羽根の下で命をつなぐなんて、この坎を越えられない」
霧島静は沈んだ声で「そうする気がないなら、折り合いのつく方法がある」
北条真緒と青野蒼斗は即座に「何の方法?」
北条真緒は青野蒼斗に少し怒りを感じても、彼の命がより心配だった。
霧島静が言う「真緒、爺爺に助けを求めて人情を請いなさい。爺爺に少林内門の人々と話し合って、青野蒼斗を守ってもらう。爺爺が口を開けば、少林内門は爺爺の顔を買うと思う」
北条真緒の目が輝いた —— すぐに頷いて「すぐ爺爺に連絡する」話し終わると部屋を出て、静かな場所で電話をかけた。
青野蒼斗は依然として嬉しくなかった —— 今日の事は、彼にとっても霧島静にとっても侮辱であり、打撃だった。
二人は自分の一身の修为を誇っていたが、今日釈永虎の前では一撃も扛えなかったことに気づいた。
「对不起、しず姐。今日は俺がお前を巻き込んでしまった」青野蒼斗は沈んだ声で言った。
霧島静は少し疲れた様子で「今日の事は俺にとって貴重な経験だ。この侮辱を心に閉じ込めて、いつかあの人に返してやる」少し間を置いて「而且、あの人の違いが分かっただろう?」
青野蒼斗は沈んだ声で「「道」という字を感じた。俺たちは武者だが、彼こそ本物の武道大師だ。彼の拳には道理が含まれ、気質には道理が含まれている。周囲の空気や物事まで、彼の道理に引き寄せられて服従している。彼が動けば、四方八方、風の音や草の動きまでが俺の敵になる。風声鶴唳だ!」
霧島静が言う「その通り。俺とお前は今、この瓶口に立っている。この一歩を踏み出せるかが鍵だ」少し間を置いて「所以、少林内門が操作していることを知っても、武道金剣大会に参加する。生死の追い詰めの中でこそ、俺が欲しいものを見つけられるかもしれない」
青野蒼斗は霧島静を見て —— 眼神が複雑だった。「しず姐、今お前も少林内門を怒らせた。参加すれば、彼らはお前を放過しない。一人打ち負かせても、二人、三人と打ち負かせるの?俺が命を惜しまないって言うけど、お前は?」
霧島静が言う「俺はお前と違う。青野蒼斗、お前はだらけた人で武道の成就にそれほど執着していない。自由を好きだ。が俺は武道の最高境界を渇望している。あの人のようになりたい。いわゆる「朝に道を聞きて、夕に死んでも悔いなし」だ。就算死んでも何だ?俺が欲しいものを見つければ、それで足りる」
この瞬間、霧島静の身上には捨て身の惨烈さが漂っていた。
それは「道が在る所以、千万人がいようと俺は往かん」という精神だ!
青野蒼斗は霧島静の身上にまるで輝きが宿っているように感じた。
この時、青野蒼斗は霧島静が今日の成就を得たのは当然だと思った。彼女は意志が堅固で大魄力の女だ。多くの老拳師や武者にはこのような心性がない。
所以此刻、青野蒼斗は霧島静に再考するように勧めなかった。
彼は霧島静を生死の知己として、彼女の選択を尊重した。
茶屋の外、北条真緒は自分のパトカーの中で、爺爺・北条震南の電話をかけた。
電話の向こう、北条震南は可愛い孫娘からの電話を受けると、すぐににっこりと「小娘、やっと爺爺を思い出したの?」
北条真緒の心は重苦しいが、爺爺と冗談を言う気分はなかった。ほとんど泣きそうな声で「爺爺、必ず助けて」
北条震南は即座に顔色を失った —— 彼の印象では、小孫娘・北条真緒はいつも強くて自立しており、めったに泣かない。この泣き声を聞いて、北条震南は心が慌てだした。慌てて「大丈夫、誰がお前をいじめた?爺爺が必ず仕返しをしてやる」
北条真緒は涙を拭って「一人の人を守ってもらいたい」
北条震南は愣然とした後「何のことだ?誰を守るんだ?」少し間を置いて厳しい声で「真緒、もしお前の友達が法律に違反したら、爺爺は決して私権を濫用しない。お前は知っているはずだ —— 爺爺は一生、贈収賄や不正を最も嫌っている」
北条真緒は慌てて「違う!友達は法律に違反していない。事情はこうだ……」
当下、北条真緒は青野蒼斗が少林内門を怒らせた経緯を話した。ただし、霜月詩織の話は省略した。
北条真緒は最後に憤慨して「爺爺、この少林内門はあまりに王法を無視している。今日茶屋で、白昼の下で青野蒼斗を殺そうとした」
北条震南は聞き終わると沈黙に陥った。
北条真緒の心が一沉んで「爺爺、なぜ喋らないの?难道爺爺も少林内門を怖がっているの?」
北条震南は不由に苦笑いをして「この愚かな小娘、爺爺が少林内門を怖がるわけがない。が少林内門の門主・釈永龍は人物だ。彼は現在海外で南洋やインドネシアなどの地域をうまく掌握している。我が国にも多大な協力を提供できる。俺たちと釈永龍は良好な友情を結んでいる。これは外交だ、分かる?」
北条真緒はふんふん言って「外交なんて分からない。ただ彼らがあまりに囂張だと思う。昔の封建時代の高官の家族のように、人の命や法律を眼中に置かない。今は 21 世紀だ、どうしてこんなことができるの?」
北条震南が言う「小娘、この世界はそんなに単純じゃない。黒と白は絶対に分明しているわけじゃない」
「爺爺、それは分かるけど、認めない」北条真緒が言う「俺は何も変えられないかもしれないが、爺爺の言うことは認めない。今ただ聞きたい —— 助けてくれる?青野蒼斗は绝对に有事になってはいけない」
北条震南は沈んだ声で「真緒、正直に言って —— お前とこの青野蒼斗はどんな関係?なぜこんなに彼の生死を心配している?単なる友達?」
北条真緒は深く息を吸い込んで「本当のことを言うと、青野蒼斗がいなければ、俺はもう死んでいる。この点はお父さんが知っている —— 確認してもいい。还有、爺爺が何を考えているか知っている。そう、俺は彼が好きだ。ただ彼は俺を好きじゃないだけだ」
北条震南は即座に生気を失って「は?この野郎がお前を好きじゃないと?俺の孫娘が彼に足りないと?」
北条震南は青野蒼斗を見たことがなく、孫娘を彼に嫁がせるつもりもなかった。がこの男が自分の孫娘を好きじゃないと聞いて、依然として怒った。
北条真緒は勇気を振り絞った「爺爺、今はそんなことを言ってる時じゃない。助けてくれるか?青野蒼斗が有事になったら、一生爺爺と話さない」
北条震南は不由に苦笑いをして「女は大きくなると家に留まらないな。これからだね、もう外人に心を寄せるようになった」少し間を置いて「好吧、すぐ釈永龍門主に連絡して人情を請う」




