③未知の武器
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「隊長。遅れましたがその鎧、似合ってますぜ。初めて隊長と会った頃を思い出しますよ」
「あぁ………あの時はまだ初任の騎士に与えられていたのは市販の鉄鎧だったからな。確かにそうだ」
息を短く吐き、タイサが懐かしむように笑って見せる。
鎧の存在は彼にも伝えてある。全てを聞き終えたボーマは、彼なりに心配している素振りも見せたが、それを口にする事なく、普段通りの軽口で見事に滑っていた。
そう意味では、タイサは彼との付き合いが長い分、その変わらぬ姿勢がタイサにとって嬉しかった。
そして、タイサは正面で座っているエコーにも目を向ける。
訓練学校を出てからというものの、何かと彼女の表情が暗い。出発前にフォースィと何か話していた事をタイサは知っていたが、内容までは聞こえてこなかった。
「心配するな、エコー」
とりあえず声をか事ことにした。
「この戦いがどうなるか、この国がどうなるか、俺達がこれからどうなるかは分からないが、俺達にはやれる事をやっていくしかない。流石に世界を変える力は俺にはないがな」
心配するな。タイサは上手く言えた自信がないまま、頬をかいて誤魔化すように笑って見せた。
「⋯⋯⋯そうですね、私もそれでいいと思います」
エコーも笑って返す。表情はぎこちないままだったが、それでも前向きにはなってくれたのだろう。タイサはそれでよしと頷く事にした。
そこに、ボーマがタイサの背中越しに声をかけてくる。
「そういえば、隊長が積んだ荷物の中にあったあれ、見ましたか? 何といいましたっけ」
「あー、タネガシマの事か?」
タイサは魔王軍が使っていた飛び道具の名前を発すると、彼は『そうそう』と思い出したように笑い出す。
そしてすぐに真面目な声に戻る。
「俺も見ましたが、何ですかあれは………フォースィの姉さんから説明してもらって、原理は何とか分かりましたが。奴らはあんなもんを作る事ができたんですかい」
―――タネガシマ。
魔王軍がそう呼んでいた飛び道具は、木の筒と細かい鉄の部品からなる武器だった。引き金を引いて矢を飛ばすクロスボウに近いものがあったが、弓を装填する弦はなく、筒の穴から出てくるのは矢ではなく小さな鉄の球である。
タイサはデルに無理を言って鹵獲したタネガシマを数丁譲り受けていた。




