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Lost19 ブレイダス防衛戦  作者: JHST
第四章 ブレイダス防衛戦
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⑧類は友を呼ぶ、呼ばれる?

「エコーさん、機を見て飛び降りてください!」

「分かったわ! カエデちゃん、よろしくね!」「はい!」

 カエデは弦に矢を一本かけると、両手を開きながら弓を顔の横へと構えた。トリーゼから貰ったやじりの先端は鉄でも骨でもなく、赤い結晶で形作られており、彼女が集中すると同時に赤い結晶が僅かに光り出す。


「いきます!」

 右手で弦を弾き、矢を放つ。

 放たれた矢の先端はさらに輝きを増し、赤い光が軌跡となって曲線を描く。まっすぐ飛ぶはずの矢は、街の上空を旋回するバードマンに吸い込まれるように曲がり続け、背中に突き刺さると同時に爆発。一撃でバードマンとその背中に乗っていたゴブリンを炎と煙で包み込んだ。

 さらにカエデは残り二本の矢も放って二匹のバードマンを打ち落とし、短い時間ながらも城壁へ降りる隙間を作り出した。


「今だ! 飛び降りろ!」「「「了解!」」」

 タイサの合図で東の城壁の上に飛び降りる。カエデはエコーを降ろした後、すぐに手綱を引き継いで飛竜を上昇させ、こちらの動きに気付いた三体のバードマンを撃ち落としながら旋回、音と光に集まって来たバードマン達の注意を自分へと向けさせた。



「二番手! ボーマいっきまぁます!」

 着地したボーマは、背負っていた球体を布が付いたまま、城壁に集まってきたゴブリン達に向かって投げつける。

 狭い城壁の上で投げつけられた巨大な球体は、ゴブリン達を弾きながら直進していく。そして、ボーマが持っていた鎖を引くと、球体が元来た道を戻る様に彼の手元へと戻った。

「よっしゃぁぁ! お帰りぃ、大鉄球ちゃん!」

 球体を覆っていた血まみれの布が外れ落ちると、ボーマの目の前には彼以上の大きさの黒い球が置かれていた。


「それがお前の貰って来た武器か………まぁ、何というか………類は友を呼ぶとはこの事だな」

「え、良くないですか!? この滑らかな曲線美と手触り! あぁ! ずっと頬ずりしていたいくらいに最高なんですよ!」

 呆れるタイサの横で、ボーマが実際に黒い球体に頬ずりして鼻息を荒くする。


「隊長、さすがに引きそうです」

「あぁ、エコーは俺の後ろにいなさい」

 あれは見てはいけないものだと、タイサがエコーの前に立つ。

「お父さん、あの人は大丈夫なの?」

 相変わらずタイサを『お父さん』と呼ぶイリーナは、眉をひそめてボーマを指さした。

 タイサが腰を下ろし、イリーナの肩に手を置いて視線を合わせる。

「イリーナ、あれはな。変態って言うんだよ」

「変態かぁ。そうかぁ」

 イリーナは何度も頷きながら、もう一度ボーマを指さす。

「変態」「隊長おおおおぉぉぉう!」

 ボーマは女の子に変態扱いされ、両脇を絞めながら口を縦にして叫ぶ。

「小さな女の子に何て事を教えているんですか! それでも大人ですかっ!?」

「ぃやかましい! 第一、言われる側にそれを言う資格はない! そう思うんだったら、そんな姿を見せるお前が悪いっ!」


 下らない話をしている間に、タイサ達はすっかりゴブリン達に前後を挟まれていた。

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