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Lost19 ブレイダス防衛戦  作者: JHST
第三章 敗北と撤退
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⑫ブレイダスの戦い -一進一退-

「流石に、しつこい」

 デルが無意識に舌を鳴らす。

 彼は何とか間合いを作ろうと、左右に後方にと何度も動いてみるが、その度にアモンが接近しては攻撃を過剰に加えてくる。


「はっ、一旦飛び込んじまえば、こっちのもんよ」

 デルの正面に飛び込んでくるアモン。デルは外から中へと袈裟斬りに剣を振るが、アモンの左手がデルの剣を持つ柄を押さえ込み、彼の下顎を右の掌底で打ち抜いた。

「ぐっ!」

「先程の礼ってやつだ」

 デルは不利な態勢から左手を自分の腰に回すと、即座に短剣の柄に指をかける。

「甘ぇ!」

 アモンが右手をそのまま下へと払い、腰から引き抜いたデルの短剣を持つ手に裏拳を当てた。

 短剣が地面に落下する。

「………なんの、まだまださ」

 デルは左の踵で落ちた短剣の柄の先端を踏みつけた。

 短剣は不規則に回転しながら二人の間を浮かび、アモンは顔を逸らす事で直撃を避ける。

 だがそれを好機と見切ったデルが地面を蹴って跳び上がり、体を捻りながらアモンの体に両足の蹴りを叩き込んだ。


「………器用な奴め」

 吹き飛ばされたアモンは地面に着地し、蹴られた胸の毛を払う。

 

 ようやく作り出された間合い。

 二人はお互いにその距離を縮めようとはせず、そのまま動きを止める。

 デルは大きく息を吸い込み、呼吸を整える。そして周囲を見渡し、撤退している騎士達の様子を今一度確認する。既に白凰騎士団の姿は殆どなく、撤退した騎士達を追撃するべきか、アモンの後方で控えている重装オーク達が指示を待って首を左右に動かしていた。


「………そろそろ頃合いだな」

 そもそも戦う事が目的ではない。デルにとって、前線が後退した今、ここにいる意味が消失する。

 だがすんなりとこの場から逃げる事ができるのか。むしろ包囲される前に、目の前の敵を倒す事ができるのではないか。デルは選択を迫られる中、剣を握る力を強めた。


 その時、デルとアモンの間に白銀の斧が通り過ぎた。

 斧には赤い鎖が巻かれており、斧が通り過ぎた後を追いかけるように炎の道が出来上がる。


 斧と鎖と炎。デルは以前戦ったバステトの武器を思い出した。

「アモン、時間切れだよ」

 鎖の先。斧とは逆の方向では、白と黒のメイド服を着たネコの亜人が立っていた。黄色い体毛に茶色の斑点、かつでデルと戦った魔王軍77柱が一人、バステト四姉妹のオセであった。

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