表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost19 ブレイダス防衛戦  作者: JHST
第三章 敗北と撤退
37/100

⑥ブレイダスの戦い -一発の銃弾-

 たった一発で、白凰騎士団は大混乱に陥った。

 

 ゴブリンが持つ音と光を放つ筒。同時に鉄球が飛び出し、騎士達を次々と貫いた道具を見てきた騎士達は、我先にとその場を離れ始める。始めは先日経験した騎士だけの行動だったが、その動きに感化された者、噂や生き残った騎士から話を聞いていた者達も次々にその場を離れ始め、ものの数十秒で後衛の陣は瓦解してしまった。

 それを狙い、バードマンに乗ったゴブリン達が一斉に降下し、射程距離を確保したゴブリンから筒越しに光と音を放っていく。そしてバードマンが上昇、旋回している間にゴブリンが次の目標を定め、再び降下すると、逃げ惑う騎士の背中に向けて鉄球を浴びせていく。


「デル、ここにいても巻き添えを受けるだけよ」

「分かっている!」

 デルは腰の剣を抜き放ち、空高く掲げた。

「銀龍騎士団はこれよりこの場を離れ、白凰騎士団の混乱を収めに回る! 正面から攻撃は来ない! 盾を上に向け、空からの攻撃にのみ対応しろ!」

「「「はっ!!!」」」

 十名に満たない銀龍騎士団の精鋭は、僅かに緊張しつつも、敵の新しい戦法に動揺する事なく、ひたすらに団長であるデルの言葉に従った。


 僅かに正気を残していた白凰騎士団の騎士は、各個で弓矢を放って対抗しているが、バードマンの速さに狙いを合わせられず、放ったとしても敵は弓の射程外から攻撃を仕掛けており、全く効果がない。

 デルは背中にフォースィを乗せると、僅かな騎兵で白凰騎士団の崩れた陣を抜けていく。

「慌てるな! 十人単位で集団をつくり、盾を頭上に構えて対抗するんだ!」

 デルが声を上げ、それを聞いて我に返れた者だけが忠実に動き始める。

 彼の背中に掴まっているフォースィは、魔導杖を空に向けて風の塊を放つが、途中で風は霧散し、有効打を与えられない。

「フォースィ!?」デルが叫ぶ。

「大丈夫よ、この程度の魔法なら数には入らない。だけど私の攻撃魔法では、あの高さまでは届かないようね」

 完全なる一方的な攻撃。バードマンに乗ったゴブリンは空から自由に敵を選び、反撃されない場所から攻撃を続けていた。

 だがデルの声掛けが少しずつ功を奏し、白凰騎士団の騎士達も集団で盾を組み始めた。傘のように上方に構えた盾は、敵の鉄球を弾く事に成功し、落ち着きを取り戻した騎士が増える毎に、ゴブリン達が狙える目標が狭まり始める。


 そこで遠くから聞こえる大勢の声と金属音。


「始まったわ!」

 風で乱れる髪を抑え、フォースィが前線で動きがあった事をデルに伝えた。

 距離は遠いが、前線で同じ音が何度も響き渡っている。恐らく突撃した騎士達も同じ武器で攻撃を受けているのだろう。


「どうするの!?」

「一人でも多くの騎士達を助ける!」

 デルは後方で走る部下達に手で合図を送る。事前に指示が渡っているのか、黒銀の鎧を着た三人の騎士が陣形から離れて、別の方向に向かっていく。

「このままベルフォールの所へと向かう!」

 デル達は馬を加速させ、騎士達の側面を抜けていく。前に出れば出る程、混乱は収束しており、空からの攻撃に備えつつ、陣形を再編していた。

 

 デルは声を荒げながら、馬上から必死に指示を出している金髪の騎士を見つける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ