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第四章「祈り」

キャンパスに彼女の姿はない。

友人の話では、療養の為に大学病院に

入院しているらしい。

オレは彼女が口にした「闘病中」の意味を

いまだに知らない。


ようやく肌を刺す日差しも和らぐ。

そんな時、かん高い木琴の音色が・・・

彼女からの着信?

「もしもし。今週末、京都へ行くの。」

「京都は地元だったよね?」

「行きたいところがあるから、案内して欲しいの。」

断る理由など無かった。

久しぶりに聞いた彼女の声は、心なしか

以前より少しか細く聞こえた。


「着いたよ、ここで良かったんだよね?」

京都御所の西側にある護王神社。

地元に住みながらオレもこの神社へ参拝するの

は初めてだ。

聞くところに寄ると、脚腰に御利益の

ある神社とか。

「私、腰がダメで。」

オレが尋ねるまでもなく彼女は言った。

「椎間板ヘルニアだけじゃないんだけどね。」

そう言って手水を行う柄杓を右手に持ち

前かがみになった。

綺麗な鎖骨、その向こうに小さな傷が見えた。

「少し痩せた?」

「うん・・・まあね・・・」


それ以上言葉が出なかった。

言葉をかけるべきではない。

そんな直感が頭を過った。

彼女は拝殿の前で、長い時間手を合わせていた。

本殿の横に立つ銀杏の木が黄色く色づき始めていた。

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