EX
時間は遡って、1章と間章の間のエピソードです。
「ただいま! 急に雨に降られて大変だったよ!」
学校からの帰り道、急に豪雨に見舞われて慌てて家に帰ってきた。
家と言っても実家ではない。
今はとある事情で、クラスメイトでお姫様と呼ばれている女の子と同棲をしている。
だからこのマンションの中の一室が俺の家と言っていい。
「ん?」
いつもはおかえりなさいという声が聞こえるはずなのに反応が無かった。
彼女の靴が玄関にあったので家にいるのは間違いない。
トイレに行っているわけでもないようだ。
明かりのついているリビングに入ると彼女の姿が見えた。
「すぅ……」
ソファでクッションを抱きながら気持ち良さそうに眠っていた。
彼女の名前は片桐姫乃。
金色の髪とコバルトブルーの瞳を持つ女の子。
日本有数名家である片桐家のご令嬢なのだが、生まれのことがありこうやってこの高級マンションで一人で住んでいる。
家族に絶望し、家出した俺に対して家族になろうと言ってくれた優しい子だ
俺はソファに腰を下ろし、姫乃の髪を撫でる。
「……可愛いな」
姫乃は学園で一番人気のある女の子で儚げで可憐な容姿に魅せられているのも多い。
一緒に暮らすようになって俺もその姿に魅せられつつある。
それはもちろん姫乃の優しさに惹かれているからだ。姫乃には恩がある。そのために俺はどんなことでもやってみせる。
「ふにゃ……燐くん」
「起きたか」
「寝ちゃってました……。燐くんが帰ってくるのが遅いから」
「ごめん。学校で話込んでしまったから」
姫乃は家族愛に飢えており、寂しがり屋だ。
寝る時以外はなるべく一緒の部屋に過ごしたがる。そんな姫乃の願いを叶えてあげたい。
「昨日、夜遅くまで本を読んでたから眠くて……」
「まだ夕食まで時間あるし、ちょっと寝たらどうだ。膝貸すよ」
「それは良いですね。お言葉に甘えて」
姫乃がゆっくりと近づき、俺の膝上に頭を乗せる。
小さくて軽い体だ。いつも頑張っている姫乃のために出来ることをしたい。
俺は姫乃の頭を撫でながらそんなのどかな夕方を過ごす。
「ふわぁ」
突然姫乃が起き上がる。
「どうした。寝づらかった?」
「いえ……。寝る時はいつも着替えるので」
「え」
いきなり姫乃は服を脱ぎだした。私服の下にはネグリジェを着ており、その姿が露わになる。
小柄な体に似つかわしくないその大きなものが突然現れ、脳内がパニックになる。
そのネグリジェを愛用しているのは知っていたが際どい格好のため表に出すことはなかった。
どうやら姫乃はまだ寝ぼけているのかもしれない。
「すっきりしたぁ。お休みなさい」
そして再び、俺の膝の上に寝転んだのである。
幼少時に貰ったというお気に入りのネグリジェ。体の成長と共にいろいろはみ出るようになり、一人暮らしならそれでも良かったが男の俺の前で無防備な格好でいられるとたまらん。
手足白い肌が見え、柔らかそうな太ももと下着が少し露わになっている。
いつも服の上からでも分かるほど大きな胸部は谷間として現れて、寝返り打つ度に揺れて、つい手を出したくなってしまう。
「すぅ……」
「気持ち良さそうに寝てやがる」
姫乃が起きるまで俺が理性を抑えねばならんらしい。
さらに姫乃が起きた後、自分の格好に大騒ぎして面倒くさいことになることに違いない。
「ウチのお姫様は可愛くて大変だ」
外を見ると彼女と初めて出会った時のように雨が振っている。
あの時、姫乃が差し出した手を掴んだから今がある。この幸せをずっと掴んでいたい。
お久しぶりです。
久しぶりにこの作品のSSを投稿したということは本作の書籍化が決まりまして、2月20日に発売となります。
書籍化に伴っていろいろ設定を変えました。代表として夜華の名前被るので夜歌に変えたり、特に双子姉弟を双子姉妹にしました。ラブコメにおいて弟はやっぱり使いづらいのです……。
そんなわけでWEBの続きは書けそうにないのですが、いろいろ補完し、素晴らしいイラストが添えられた
【身内の世話に疲れた俺が選んだのは学園のお姫様と家族になることでした】
は2月20日発売となります。良ければ下のリンクから飛んで頂き、購入頂けると嬉しいです。





