022 姫のお気に入り
その罰の内容に思わず引きつってしまったが……姫乃の機嫌が良くなるなら了承するしかない。
「まさか俺の声を録音するなんてな」
俺の声のASMR化とは思わなかった。
ワクワクしている姫乃と違って平原さんはつまらなそうだ。
「燐音っちの声っておじ系だもんね。あたしの好みじゃないかな」
「おじって言うのやめろ」
「まぁいいや。和彦っちのとこにもまわすから早く録音しよ」
「おい、拡散やめろ!」
俺の声なんて友人からしたら笑い要素しかねーじゃねぇか。絶対拡散させないようにしないと。
「燐くんの癒やしボイスを求めています」
「そんなに俺の声がいいのか?」
「落ち着きがあって、低めで力強さのある声がたまらなく良きです」
落ち着きがあるとか言われると嬉しいんだけど、同い年の男子に言う言葉ではない気もする。
やはり俺は人より老けてるんだろうか。
姫乃のお父さんの声に似ているんだろうか。
「分かったよ。それで何て言えばいい?」
「私が考えるのはつまらないので燐くんが考えてください。あ、良かったら参考にしてください」
姫乃がスマートフォンをいじって、俺に見せてくる。
イケメンボイス集みたいなプレイリストが表示されていた。
姫乃のはこういうのを嗜むんだ。俺もヤンデレCDを買ったことがあるから気持ちは分かる。
でもイケメンに癒やされる姫乃の姿を見たくなったなかったような。
「ん?」
プレイリストのイケボイスが凄まじく偏っているような。
声優の平均年齢50歳を超えてないか。俺も大○ボイスや置○、緑○ボイスは好きだが。
「姫乃ってやっぱファザコンなんだな」
「分析しなくていいです」
ちょうどボイス帳みたいなのもあるな。なるほど、こんな感じで癒やしボイスを言えばいいのか。
ちょっと恥ずかしい気もするが。咳払いして喉を作る。
「姫乃、いつもご苦労様。凄く頑張って偉いね。自慢の家族だよ」
「っ!」
姫乃がびくんと震えた。
「姫乃さん、ど、どうでしょう」
「120点」
ちょっと父親ぶった言葉にしてみました。
お気に召したようで何より。自分で喋ってなんだけど何がいいんだコレ。
「それで平原さんは何を撮ってるのかな」
「あたしは変な顔して喋ってる燐音っちを録画する方がおもろい」
「やめろや!」
止めさせたいが俺も組み伏せるついで平原さんの体をくすぐったりして弄んだので何も言えない。あたしの体触りまくった分なんかしろって言われるのは避けたかった。
姫乃ほど弱くはなかったけど体がエロく、反応もそこそこ良かったのでとても楽しかった。
胸も大きいし、好意の有無関係なく可愛い子にいたずらするのは楽しい。
でもやっぱり姫乃ほど頭がクリアになることはないな。
その後ひとしきりボイスを録られ、姫乃はホクホク顔でスマホを握っていた。
随分と嬉しそうだな。
「声を言うなら俺は姫乃の声がいいかな。澄んだ声って言うか姫乃の声は聞いてて飽きないかも」
「あ、それ分かる。姫乃、何か録音させてあげれば?」
「録音はヤです」
うーん、やはりそれはできないか。
「でも……燐くんが聞きたい言葉を聞かせてあげてもいいですよ」
「本当に?」
「えっちな言葉はダメですけど」
出会ってから今まで姫乃の声はたくさん聞いてきた。
その中で一番ぐっときた姫乃の声はやっぱり。
「危機的状況で余裕なく叫んでしまう声が一番好きかも」
「どんな声ですか!?」
「つまりこういうことでしょ」
姫乃の後にまわった平原さんが姫乃の脇の下に指を差し込みさっきみたいにグリグリとし始めた。
「ひゃあああっ! きゃはははっ。なんでぇ、なんでぇっ!」
びくんと震えた姫乃が崩れ落ちてしまう。
「そう、その余裕なくて焦る声が一番好きかも」
「分かる。燐音っちとはこの声で一杯やれそうだね」
「きゃはは! やぁん、ち、力が抜けるから。もういい加減にしなさいっ! いやぁっ!」
弄ばれる姫乃さん。
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