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018 姫乃の親友

 姫乃と家族になって1ヶ月半が過ぎた。

 あれからフェチズムを刺激するようなことはなく、のんびりとした生活を送っている。

 俺の家族からは相変わらず連絡が来るが心をなるべく揺らさないようにしている。夜華や朝也から連絡が来るが……割り切っている。


 そして気になるのは姫乃の方だ。

 姫乃と家族になって結構経つのに家族と連絡を取っているそぶりは見せない。

 父親を求めていて、でもこの家に来たことはない。他の家族も一緒だろうか。

 そして他にも友達と遊びにいくそぶりもないんだよな。姫乃は友人がいないのだろうか。だがそんなデリケートな問題、聞けるはずもない。

 それにいなくても……俺が側にいればいいんじゃ。そんな独占欲も少しだけ芽生えてしまっていた。


 そんなことを思っていた放課後、学校の中だった。


「葛西くんだよね。ちょっといいかな」


 少しだけ色素の薄い茶髪の女の子に声をかけられた。目元がぱっちりした可愛らしい見た目の女の子だ。

 明るく雰囲気で気崩した雰囲気から陰キャが関わり合いのできる女子とは思えない。

 俺の通ってる学校では制服で学年が分かるようになってるので同じ学年であることが分かる。


「あたしは平原みなも。隣のクラスなんだけど葛西くんにちょっと聞きたいことがあるんだ」


 平原さんがぐいっと近づいてくる。男子に対して物怖じせずに近づいてくるとは距離感がない。

 姫乃ほどではないものの結構綺麗な顔立ちをしている。こういう子に近づかれると正直ドキドキする。

 平原さんの声が耳に入った。


「姫乃と家族って話、ほんと?」

「え? ああ、遠い親戚だけどね」


 姫乃を下の名前で呼ぶ人を初めて聞いたかも。姫乃との噂で女子に声をかけられることが増えたがこの子もその類だろうか。

 だけど耳元でつぶやかれた言葉に心が冷えるものだった。


「姫乃の身の上を知っていたら絶対遠い親戚なんて出てこないと思うけどね。本当に君は姫乃の家族なのかな」

「っ!」


 もしかして姫乃の家族構成を知ってる!?


「君はいったい」

「あたしは姫乃の中学時代からの大親友なの。だから急に現れた家族を疑うのは当然だよね! 葛西くんって何者? 姫乃とどういう関係?」

「えーっと……でも、怒ってる感じはなさそうだね」


 てっきりそういう方向だと思ってたけど平原さんの表情は明るい。


「姫乃が嫌がってるなら処刑だったけどそんな感じじゃなさそうだから」

「処刑って」

「あの子は……」

「みなも!? どうして燐くんと一緒にいるんですか」


 ちょうどいいのか悪いのか。姫乃が顔出して近づいてくる。

 姫乃の様子を見て、平原さん悪い顔をして急に俺の腕に絡みついてきた。

 む、胸が当たってる。この子、女子にしては体格が良いゆえにスタイルもかなり良い。


「あたし、葛西くんが気になってるの。気になる男子に近づくのは当然じゃない」


 ええい顔よ赤くなるな。どうせ冗談に決まっている。

 なのに姫乃は顔はとても機嫌が悪いものになっていた。


「燐くん嬉しそうですね。ふーん」

「そんなことは!」

「ふふっ、姫乃のそんな顔初めて見た。葛西くんとそんなに仲良くなってたんだ。くそ、あたしが目を離してる隙に」

「みなもは吹奏楽部なんです。最近コンテストが近かったのでお昼休みも部活してて、放課後も遊べなくて」


 そうだったのか。姫乃にもちゃんと親友がいたんだな。良かった……。良かったよな?

 同性の友達がいた方がいいに決まっている。


「姫乃と平原さんは仲がいいんだな」

「そうですね。みなもはたくさん友人がいますが私はみなもしか友人がいないので大事ですね」

「姫乃はあたしの一番の友達なんだから! だから葛西くんが気になるのは当然」


 それで俺に近づいてきたのか。姫乃には男の影がなかったはずだ。なのに突然現れたんだから見定めたいってことだろうか。


「燐くん、みなもはちょっと図々しいしマイペースな子ですけど良い子なんです」

「フォローしなくて大丈夫だよ。姫乃が親友と思うんだからそうなんだろう。俺も仲良くできればって思うし」

「燐くんならきっと大丈夫ですよ」


「ふーん」


 平原さんがじっと俺と姫乃のやりとりを眺めている。


「二人って出会ってそんな経ってない聞いてたけどその割にすごく仲良いよね」


「そ、そうかな」

「か、家族ですから」


「姫乃は中学時代男子なんて見向きもしなかったのに葛西くんに微笑んでるし、葛西くんはあたしと話す時、声が上擦ってるけど姫乃と話すのはすごく慣れてるみたい」


 何かを疑っているのか。いくら姫乃が超絶に可愛くっても毎日毎夜一緒にいたらさすがに慣れてくる。姫乃に対しての信頼感が芽生えたことも大きい。

 家での姫乃は本当に優しくて、家族として守ってあげたくなる。


「実は一緒に住んでるんじゃないの」


「……!」「っ!」


 さすが親友。めざとく見抜いてくる。どうする誤魔化すか。

 平原さんは俺の側により、その後姫乃の後ろにまわった。


「シャンプーの匂いがおんなじだぁ。なんで、なんでかなぁ」


「姫乃……」

「みなもにこれ以上隠し通すのは無理です。性格的にも」


 ここを潜り抜けても仕方ないもんな。

 結局、この後俺の事情を話し今、姫乃の家に厄介になっていることを話すハメになった。

 助かったのは平原さんが少し気遣ってくれたことだろう。姫乃のために出ていけと言われずに本当に良かった。


 そして次の休日。

 朝ごはんを食べた朝、ピンポーンと音が鳴った。

 こんな早い時間に宅配便だろうか。

 姫乃は利用した記憶がなく、俺も家主に告げずに頼む必要もないので首を傾げてしまった。


 姫乃が応答ボタンを押すとその疑問はすぐに解決となった。


「やっほー!」

「みなも!?」


「姫乃、遊びにきたよぉ!」

ここで姫乃の親友の登場。

彼女はとても良い子なので安心してください。

姫乃の過去を知るキャラなので作品への深みを担っています。


「美少女来た!」「はよ次の話を」って思って頂けるならブックマークと下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」の評価を頂けますと楽しいイチャイチャが見れるかもしれないので良ければ応援して頂けると嬉しいです。

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