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【第一巻発売中】弱小世界の英雄叙事詩(オラトリオ)  作者: 銀髪卿
第八章 目覚めを叫ぶ英雄戦歌
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滅亡惨禍④ / 目覚めを叫ぶ英雄戦歌①

 別れを告げた、そこまで話したシンシアは一度口を閉じた。

 長い長い螺旋階段の途上、三人の足音だけが響く静かな時間が続く。


「そのあとは……どうなった」

「…………」


 紅蓮の問いかけに、シンシアは長い沈黙を貫く。


「わかりません」

「何?」


 帰ってきた答えに紅蓮は片眉を上げた。

 背後の吸血鬼の反応などお構いなしに、シンシアは淡々と抑揚のない声音で続ける。


「私はみんなの最後を知りません。何があったのか、どんな戦いだったのか……どんな最期だったのか。私たちは知らないのです」

「……キミは、クライン()()の指示に従ってメンタルケアを?」

「…………ふふ」


 初めてシンシアがこぼした笑いに紅蓮とエステラは思わず目を見開いた。

 自嘲、自虐から溢れたあまりにも痛々しい小さな笑い声に閉口する。


「そうであれば、良かったんでしょうね」



◆◆◆



「皆さん落ち着いてください! 今、世界の外でクラインたちが戦っています! “秘纏十二使徒”が戦っているんです!」


 託された。

 市民たちの心に寄り添えと、手を差し伸べろと頼まれた。自分が憧れた人からのたっての願いに、シンシアは後ろ髪を引かれる思いを振り切って声を張り上げる。


「だから諦めないで! 自棄にならないでください! 彼らは戦っています! この『幻窮世界』を、私たちが生きる大地を守るために!!」


 ステージで観客を魅了する歌声とダンス。欠かさず続けた基礎鍛錬の成果を示すように、シンシアは混乱の中でもなお埋もれない力強い声を届かせる。

 一人でも多くに届くようにと全力で走りながらの発生も、普段の訓練の賜物だろう、彼女は息一つ乱さなかった。


「彼らを……クラインたちを信じてください!!」


 シンシアの心からの願いは、届く。


「そ、そうだ……クライン様たちが戦ってるんだ!」

「ハーヴィー様も、ティルティエッタ殿も!」

「彼らが……俺たちの守護者が!!」


 長きに渡り『幻窮世界』リプルレーゲンを守護してきた使徒たちが戦っている、その事実は少しずつ、けれども確かに彼らの心に寄り添っていく。


 百の世界を滅ぼした災害であろうとも、世界を見守り続けてきた彼らが負けるはずがないと、人々の心に安心が芽生えてゆく。


「そうだ! 俺たちが諦めてどうする!?」

「全駐屯地へ告ぐ! 守備隊は外周部へ急げ! 使徒様たちが獲り逃した魔物はそこで仕留めるぞ!」

「空挺部隊は守備隊と連携しろ! 射撃で援護する!」


 さらに、膝を折りかけていた正規軍の心をも奮い立たせた。


「何のための軍だ! 何のための訓練だ! 我々はこの日のために牙を研いできたのだろう!?」

「一人一殺でも二十万は道連れにできんだろ!」

「一つと言わず何匹でもぶっ殺してやらぁ!」


 自分たちの世界なのだから全てを任せていいはずがない。

 そんな思いひとつで、穀潰しと揶揄されようと鍛えてきた。彼らの心は、今日、この日のために。


「頑張れ、使徒様……頑張れ軍人共……!!」

「俺たちも声を上げろ! 男は何でもいい、武器持て! 女子供を守れ!!」

「聞こえたじゃろう老人共! 儂らでも肉盾くらいにはなるじゃろうて!!」


 訪れる滅びの足音に、『幻窮世界』の心が一つになってゆく。——まとめたのは、シンシアの声だ。

 彼女はきっと信じない、きっと認めない。

 だがその声に奮い立った皆が知っている。


 一番悔しいはずだ。

 一番無力を嘆いているはずだ。

 たった一人見送るなんて、一番しんどかったはずだ。

 そんな彼女が、他でもない十三人目の使徒が『信じろ』

と叫んだのだ。


 ——ならば、それを信じないで何とする?

 その声を無視できるはずがない。その声に、応えずにいることなどできるはずがない!


「シンシアちゃんを信じろ! あの子の……俺たちの〈歌姫〉の声を聞け! 心を震わせろ! 体の震えを熱にしろ!! 俺たちは……リプルレーゲンに生きているんだろう!!?」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!』



 伝播してゆく。

 通信を、テレビを通じて。

 風に運ばれた微かな熱気に当てられて。

 広大な『幻窮世界』全体へ、願いが広がってゆく。


「みんな……!」


 その光景に、シンシアは頬を紅潮させる。

 走り続けて、声を張り上げ続けたおかげで息も絶え絶えで。それでも、生きようと叫ぶ人々の声がシンシアに力を与えた。


「クライン、みんなは大丈夫です。幻窮は大丈夫です! だから……だから、勝ってください!!」


 世界の壁に阻まれて見ることができない外側の戦いに、シンシアはひたすらに声を枯らしてエールを送った。


「勝って……帰ってきてください! クライン!!」

























 全ては一抹の夢のように。

 幻であったかのように。

 願いも、祈りも、叫びも。決意も意志も誓願も。

 全ては、踏み躙られた。























 



 民家が燃えていた。

 聞こえていた子供の泣き声はやがて消え、瓦礫の崩れる音がした。

 恋人の右腕を持って走る女がいた。現実から目を背け、まだそこにいると信じながら蜘蛛のような魔物に上半身を喰われた。

 鎧は無惨に引き裂かれた。

 勇敢にも立ち向かった軍人たちは大地の“しみ”になった。

 残骸なような鉄クズが、辛うじて彼らがそこにいたという証明。それも、後から続く魔物に踏みならされて消えた。

 そもそも、『幻窮世界』は間もなく滅びる。彼らの名前も、奮戦にも満たない蹂躙も、未来永劫残ることはない。


 〈駒鳥〉遊園地は業火の中へと沈んでゆく。

 ドロドロに溶けた鉄が地面を焦がし、白亜の城は黒く焦げて崩れゆく。

 ステージは無惨に砕け、観覧車は熱にひしゃげ、不気味な音をたてながらも役目を果たそうと回り続ける。しかし、やがて訪れた限界に根本から折れ曲がり、静かに大地へ倒れ伏した。

 もうここにはいない吸血鬼の少年が憧れたジェットコースターは見る陰もなく、レールを途中で失った乗機は宙ぶらりんで揺れ、やがて落下した。

 駒鳥たちの憩いの場は、もうどこにもない。


 〈王冠〉の小物屋はショーケースが壊され中身が散乱していた。カエルのぬいぐるみが火に巻かれる中で、寂しげに涙を流した。


 民宿〈浮世〉も、〈贋作〉工房も、〈祭日〉委員会も、〈災禍〉のお祓いも……彼らが生きた証が悉く消えてゆく。




「……みんな、何処ですか?」


 終わりゆく世界で一人。

 シンシアは煤けた髪も黒く汚れた頬も気にせずに。

 裸足で足裏が焼けるのも無視して、幽霊のようにふらふらと歩き続ける。


「誰か……返事、してください」


 枯れた瞳から、もう涙は出ないと。


「いつもみたいに……サプライズしてくださいよ。クライン。何も言わず帰ってきて……起きた私を、驚かせてください……!」


 そう思っても、身体中の水分が消え去ったと感じても。


「オフェリア……また、星のお話をしてください。ヤウラス、喉乾いたんです。あなたのお茶、飲みたいんです。ねえ、ガルタスも……お茶菓子、私の分も食べていいですから」


 それでも、絶えず涙は溢れ出す。


「ルーナも。いつもみたいに、不幸だって言って……エイミーと、はしゃいで……。ハーヴィーも一緒に騒いで……アルジェに怒られて」


 たどり着いたのは、焼け落ちたシェアハウス。


「アカリ。お掃除、大変でも頑張りますから……。エンラ、私いま、身だしなみ酷いんです。だから、いつもみたいに(おこ)りにきて……!」


 欺瞞の力を絞り出して、浅ましくも魔物たちからたった一人逃げおおせて。


「プリシラ……わたし、楽しみにしてたんです。ネックレス、貴女は嫌がるかもしれないけど……本当は、お揃い、つけたくて……!!」


 その果てに、思い出の終焉を見届けた。


「ごめんなさい……ごめんなさいティルティ……! あなたが作ってくれたご飯、食べていなくてごめんなさい……! みんなで食べたくて……みんなと食べたくて……! 無駄にしてごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」


 キッチンがあったはずの場所は瓦礫に覆われていて。

 もう、神秘の息吹を感じられないシンシアでは、どうやっても掘り起こすことはできなくて。


「ごめんなさい、クライン……! 私、貴女の期待に応えられなかった……! 何も、何もできなかった……! みんなが泣いてるのに、苦しんでるのに、私、ただ見ていることしかできなくて……!!」


 火災の空に慟哭が響く。

 太陽を覆い隠す土煙。舞い上がった灰が世界を夜のように暗く、光を奪っていく。


「私、甘えてばかりで……! なにも、何ひとつ……! ぅあ……っ、あ……! なにが、歌姫。なにが……みんなを笑顔にしたい……!?」


 焼けた喉から漏れる哀哭と己への怒りと憎しみ。

 たった一人生き残ってしまった無力への後悔に、シンシアは滂沱の涙を溢して地面にうずくまった。



「……んて……踊りなんて。……私の、歌なんか……!」


 魔物の濁流。

 命を飲み込むことのみに特化した悪意の権化の前に、たった声ひとつ、あまりにも無力。

 無意味だった。無価値だった。

 声を枯らすことに、意味なんてなくて。


 ——シンシアは、歌うことをやめた。


「なんの意味も、なかったじゃないですか——!!」



 なにも救えなかった。なにも守れなかった。何ひとつ、残すことができなかった。


 絶望に打ちひしがれるシンシアに声をかけるものは誰もいない。

 ここには命の気配がない。シンシア以外の生命は、全て大氾濫(スタンピード)が飲み込んだ。


 彼女が今生きているのは、ただの偶然だった。

 自分たちの家を見たいと衝動に駆られて走った。欺瞞が偶然、彼女から魔物を遠ざけた。

 ……その間にリプルレーゲンは滅び……魔物たちは、単に蹂躙に()()()のだ。


「嫌だ……嫌です。そんなの、嫌……いや……!」


 消えてゆく。

 世界の消滅は、すなわち紐付く全ての生命の終焉。

 ただ偶然生き残ったシンシアも例外なく、燃え尽き、分解される。

 『幻窮世界』リプルレーゲンは、何も残らずに消えてゆく。


「嫌……嫌だ。忘れたくない、忘れさせたくない……! 何も残らないなんて嫌……! クラインが、プリシラが、ティルティが……みんな消えていくなんて嫌です……!!」


 終わりたくない。終わらせたくない。

 何も残らなかった。でも、何も残せないのは嫌だ。

 子供の癇癪のようにシンシアは泣き叫ぶ。


 ……どれほどの時間、そうしていただろうか。


 気がつけば世界は泡のように消えてゆく。

 存在の証明が虚ろに。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 泣き叫び、泣き疲れ。

 シンシアは泣き腫らした瞳で消えてゆく世界を眺める。

 いつのまにか炎は消え、焼け爛れた自分の四肢は毒を膿み震えていた。


 ……そんな彼女の前に、一冊の本が姿を見せた。

 それは《英雄叙事(オラトリオ)》。記録の概念を有した、英雄や英傑、その可能性を秘めたものたちを記録する書物。

 その記録の一端にシンシアは触れ……拒絶した。


「ごめんなさい……私には、あなたを持つ資格はありません」


 女の首元には、鎖のようなチョーカーが巻き付いていた。

 それは縛られることを宿命づけられた露出した心臓……異界主の証だった。


「私は、あなた達の敵ですから」



◆◆◆



「気がつけば、私は異界主になっていました」


 シンシアは淡々と当時を語る。


「死にたくない、忘れたくない、忘れさせたくない……そんな思いだけが頭の中をこだましていたんです」

「人間が——」


 紅蓮は、その衝撃的な事実に問う。


「ただの人間が、どうやって異界主になった?」

「わかりません。私は、気づいたらなっていた。気づいたその時、私はそういうものになったのだ、という自覚だけがあったんです」

「まあ、不可能ってことはないだろうね」


 そう切り出したのはエステラだった。


「バイパーやシーナのように、魄導(はくどう)を用いて世界を上書きする技術を持っている存在がいる以上、在り方として近しい異界の心臓に人間がなることもあるんだろうね」


 それは説明というよりも自分を納得させるための方便のようだった。彼女自身、信じられなくともそういうものだと飲み込むための儀式のようなものだった。


「この世界は、キミの心象風景だね」

「…………はい。浅ましくも、私は生き残った。辛うじて世界の形を保っていたリプルレーゲンを飲み込み、この『幻窮異界』を生み出したんです」


 ——だから彼女は、“世界を滅ぼした”と自らを貶めた。


 異界は、圧縮された『幻窮世界』そのものだった。

 シンシアの記憶を頼りに再現された偽りの景色。

 一般に魔物と呼べるものはおらず、再現されたのはそこに生きていた人々。

 そして、秘纏十二使徒の足跡たち。


「まだ、そこにあると信じたかったのです」


 全てを諦めたような、何もかもを手放したような声色だった。


「……どうか、底までお付き合いください。そこに……どうしても、死ぬ前に身につけたいものがあるのです」


 欺きもない、ただの懇願。

 紅蓮とエステラは静かに了承し、シンシアの後を追うように螺旋階段を下ってゆく。




◆◆◆




 滅亡惨禍……或いは、誰かにとっての“讃歌”であれば。

 地上で、数多の命が散ってゆく。


 ——竜を殺せと叫ぶ男がいた。

 ——かつての友の願いを踏み躙る蛮行に激昂する鬼人がいた。

 ——変わりゆく世界の産声に祝福を送る男がいた。


 ——後世に語られることのない無数の物語があった。

 語られずとも、忘れられるとも。

 自らの守りたいもののために命を賭して、未来に、たった一つでも何か欠片を残したいと足掻く人々がいた。



 ——そしてここにも、十二人の守護者が。

 思わず笑いが出るような負け戦であっても立ち向かうと決めた英雄たちがいた。


 ——勝てる見込みなど初めから無かった。

 『幻窮世界』は他世界にとっての未知でいたがためにその神秘を維持できていた。

 では、異界が……()()()()()が攻め込んできたのなら。


 一秒、一瞬ごとに暴かれる神秘。

 失われていく力。勢いを増す魔物の行進。

 それはあまりにも不利で、戦いとすら呼べぬ蹂躙劇となる。


 ——だが、それでも。

 たとえ暴力の前に散るのだとしても。

 その足掻きが決して無駄ではなかったのだと。



 ただ一人、記録を担う青年(エトラヴァルト)だけが知っている。



 泡沫に消えるはずだった物語を、そこにあった願いを。

 泥沼に沈む歌姫に届ける目覚めの戦歌は、二千年前、確かにそこにあったのだと。




◆◆◆




「うひゃあ〜、こりゃ壮観やなあ!」


 〈門番〉アルジェの大氾濫(スタンピード)に対する第一印象、それは“この世の終わり”だった。


「イナゴの群れでもこんなことにはならないっしょ」


 〈猟犬〉ティルティエッタは“食”の天敵である蝗害を引き合いに出したが……それではあまりにも格が低すぎると。目の前の光景が既存の概念では語り尽くせない異質で異常なものであると再認識して嫌な顔をした。



 先陣を切る冷気を纏う竜の軍勢。その後方を四足歩行の足の早い魔獣たちがひた走る。

 亜人……特に獣人たちから蛇蝎の如く嫌われる二足歩行の獣もどきのような魔獣が武器を構えて行進する。

 体格の大きい魔物たちは氷の大地が盤石になるまで歩みを緩めている。

 空を飛ぶ魔物は語るまでもなく、竜の背を追うように飛翔した。


 ()()()とはよく言ったもの。

 十二人の守護者の眼前に押し寄せる、濁り切った河川の氾濫など児戯にも等しい生命の濁流。

 世界(せかい)異界(せかい)が牙を剥く、星の上で行われる最大の生存競争。


 既に百を超える世界を飲み込んだ大氾濫(スタンピード)の勢いは増すばかりであった。


「あー、吐き気がするわ。数えるのも馬鹿らしいわね。揃いも揃って、歴史の残響の模造品ばっか!」

「うう……やっぱり不幸だよぅ……!」


 唾を吐き捨てる〈贋作〉プリシラとみっともなく全身を震える〈災禍〉ルーナ。


 誰かの呟きは皆の総意。

 そして、彼らのうち誰かがそれ以上無駄口を叩くことはなかった。

 目と鼻の先まで迫った死の足音を前に、彼らの意識の全てが戦いへと集約される。


 〈浮世〉ヤウラスによって固められた大気の足場。

 迎撃のために整えられたみすぼらしい透明の舞台に立つ十二人。


 そんな彼らを代表するように、示し合わせたわけでもなく、〈駒鳥〉ハーヴィーが前へと躍り出た。


「騒ぐんじゃねえよ魔物共」


 声に乗った殺意。鼓動は静かに、激情が世界の摂理を握りしめる。


「お前らが居ると、人は自由(そら)を謳歌できねえんだ。だから」


 高く振り上げられたハーヴィーの右手が世界の理に触れ、神秘が摂理を捻じ曲げる……!


「大人しく堕ちろ——〈駒鳥の空〉!!」


 振り下ろされた右腕に従い、最前列の竜と有翼の魔物へ向けて空という名の重力が堕ちた。

 捕食者を地に縛り付ける絶対的な重力の檻が顕現する。


 数百倍、ともすれば数千倍にも至るハーヴィーの重力圏。出鱈目な重力は空間を歪ませ、音はおろか光すらも歪ませる。

 薄暗く歪み、砕けて落ちる氷の上で竜が苦悶に血を吐いた。

 竜ですら眼球を動かすことすらままならない馬鹿げた重力圏に魔物の足が僅かに鈍る。


「ここをどこだと思ってやがる魔物共。ここは、俺たちが愛する『幻窮世界』リプルレーゲンの玄関口だ!」


 魂を奮い立たせるハーヴィーの啖呵に、十一人が戦意を剥き出しに一歩踏み出す。


「さあ——」


 〈王冠〉クラインは、たった一言。


「私たちの世界を守ろうか!」


 そして、約束された敗北へと続く死闘の幕が上がる。

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