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日本から異世界へ

基本、職員のセリフだけです。


 こちらは、ハ〇ーワーク付属・異世界就職係です。


 異世界での就職を希望される方の支援を行っております。


 ご利用にあたっては、以下の規約をお守り下さい。


 規約1、聖剣を抜かない。


 規約2、魔王討伐を請け負わない。


 規約違反に関わる事態になった場合、至急ご連絡下さい。


 原則として、異世界にあっても日本国憲法の遵守をお願い致します。



「はい、次の方、どうぞ。

 異世界での就職希望の方ですね。

 どのような職種をご希望でしょうか?」


「『勇者』ですか?

 問題の無い『勇者』の求人は、現在こちらの1件のみになっております」


「ただの害獣駆除の短期求人にしか思えない?

 そうですね。問題の無い求人ですと、どうしてもそれぐらいですね。

 依頼は『勇者』宛ですから、『勇者』の求人ではありますよ」


「問題のある『勇者』の求人がどのようなものか?

 実質的に侵略戦争に当たる場合ですね。

 我が国では、憲法で侵略戦争の放棄を謳っていますので、依頼があってもお断りしております。

 魔王討伐禁止の規約も同じ理由ですね」


「冒険者にされますか。

 異世界も多数ございますので、まず希望される異世界の条件から検索を始めていただいて……」



「次の方、どうぞ」


「『聖女』になって王子様と結婚したい、と。

 ……ちょうど合致する求人がありますね。

 こちらです」


「詳細ですね。

 求人先の国王陛下即位のタイミングで結婚、以後、神殿でお勤め無期限、となっております。

 衣食住保障。ただし、無断外出不可、ですね」


「結婚生活ですか?

 名前だけの結婚ですので、結婚式が最後ですね。

 ご利用者様本人が同意されていると、こちらとしては、何とも」


「留学に変更されますか?

 こちらは職業の斡旋になっておりますので、留学ですと外務省所属の……」



「次の方、どうぞ」


「聖剣を抜いてしまった?

 台座に刺さっていて誰にも抜けなかったので、自分も大丈夫だろうと試してみたら抜けてしまった、と。

 困りましたね。

 世界の理が違うせいか、大概の日本人には聖剣が抜けてしまうんですよ」


「規約の説明が足りていない?

 異世界に行かれる前にオリエンテーションを行っておりますよ?

 覚えておられない、と。

 ですが、誓約書が、えっと……こちらにございますね」


「では、誓約書に基づいて進めさせていただきます。

 今回は、邪竜退治を行うための聖剣の試練だったようですね。

 侵略戦争の問題はありませんので、このまま依頼を受けていただいて問題ありません。

 現地で支援を受けて、邪竜退治に行って来てください。お気を付けて」



「はい、次の方、どうぞ」


「人を殺してしまった?

 殺されそうだったので咄嗟に、と。

 ご自分の命を守るためにやむを得ない場合は、日本の法律でも罪には問われません。

 心配でしたら、こちらの法律相談を受けていただいて……」


「もっと安全な求人ですか?

 それは、日本での就職ではなく、あくまでも異世界で?」


「はい、国内用のハ〇ーワークは、この建物を出て左の……」


 

 ご利用ありがとうございました。

 本日の営業は終了いたしました。

 またのご利用をお待ちしております。


読んで下さってありがとうございます。


似たような作品が既にあるかもとも思ったんですが、「なろう」で検索ヒットしなかったので、あげてみました。

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